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大腸がんのリキッドバイオプシーに含まれる遺伝子

大腸がんのリキッドバイオプシーに含まれる遺伝子

大腸がん

大腸がんは、世界中の女性および男性において、診断される頻度が3番目に高いがんであり、女性と男性を合わせたがんの死亡原因としては2番目に多いものです。

マイクロサテライト不安定性(MSI)は、大腸がんの最大20%に見られます。MSI検査は、正確な予後診断のために、国際的なMSI検査は、正確な予後と治療法の決定のために、国際的な医学会で推奨されています。MSIが高い症例では、免疫療法が特に有効です。

大腸がんに対する免疫療法は、世界各国で承認されていますが、薬の効果がありそうかどうかを見極めるのに分子診断であるリキッドバイオプシーが活躍します。

また、例えば大腸がんと診断されたとき、リキッドバイオプシーを受けておいて、手術後にもう一度受けて循環腫瘍DNAがなくなっていた患者さんは再発リスクが下がることもわかっています。

診療ガイドラインと大腸がんの循環腫瘍DNAリキッドバイオプシー検査

“結腸・直腸がんの病歴を持つすべての患者にMSI検査を推奨” NCCN 2021年版ガイドライン

2021年版NCCN大腸がんガイドラインでは大腸がん患者全員にMSI検査を推奨している

米国総合がんセンターネットワーク(National Comprehensive Cancer. Network:NCCN)の2021年版大腸がんガイドラインでは、結腸・直腸がんの全患者にMSI検査を推奨しています。

“ステージ2の大腸がん患者には、治療方針決定のためにMSIの分子検査を提案する”ESMO 2020ガイドライン

www.esmo.org/guidelines/gastrointestinal-cancers/localised-colon-cancer/eupdate-early-colon-cancer-treatment-recommendations

低リスクのII期患者には経過観察が選択肢となりますが、高リスクの患者には化学療法が推奨されています。

無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)に相関する様々な臨床的、病理学的、分子的マーカーのうち、プロスペクティブな無作為化臨床試験RCTで繰り返し検証されているのは、マイクロサテライト不安定性(MSI)とマイクロサテライト安定性(MSS)、T3とT4、検査したリンパ節の数が12個以上と12個未満、原発性腫瘍の穿孔または閉塞、腫瘍のグレードのみです(文献)。

大腸がんのリキッドバイオプシー検査でできること

大腸がんのリキッドバイオプシーでは、がんの原因となる遺伝子変異や、治療薬の感受性、治療薬への耐性に関連する遺伝子変異を検出することができます。

また、非侵襲的で精密な検査のアプローチとして、患者の腫瘍に関する非常に重要かつ詳細な遺伝子の情報を提供することができます。

大腸がんのリキッドバイオプシーでは、臨床管理や治療を向上させるための、患者の腫瘍に関する詳細な遺伝子情報を提供します。

大腸がんのリキッドバイオプシーで検査対象となっている遺伝子変異は、以下の点を考慮した徹底的調査後に選択されました。

  • ・がん治療の国際的な臨床実践ガイドラインを考慮し、徹底的な調査の上で選択されました。
  • バリアントスクリーニングは、臨床的意義の高いバリアント(AMP/ASCO/CAPガイドラインによるTier1およびTier2バリアント
  • ・FDAまたはEMAで使用が承認されている免疫療法薬を含む標的治療薬に関連するもの
  • ・NCCN、ESMO、ASCOが定める臨床試験ガイドラインに含まれるもの
  • ・臨床試験の組み入れ基準や除外基準の一部となっている
  • ・治療抵抗性の指標となりうる

リキッドバイオプシー検査の報告書のサンプル

大腸がんの循環腫瘍DNA(CtDNA)リキッドバイオプシー検査の陽性報告書のサンプルはスマホの方はこちらからご覧ください。

大腸がん循環腫瘍DNA検査リキッドバイオプシー陽性検査結果サンプル

ミネルバクリニックの大腸がんリキッドバイオプシーの検査に含まれる遺伝子

遺伝子名

塩基バリアント

(SNV)/indels

Copy Number
Alterations (CNV)
Rearrangements
AKT1 Exon4    
APC    
ATM    

BRAF Exon9-12,16

   
BRCA1 Exon2-23    
BRCA2    
CTNNB1 Exon1    
EGFR Exon2-5, 8-10, 12,14-15, 17-24, 27-28  
ERBB2 Exon7-8, 11-12, 14, 23-28, 31  
FBXW7 Exon6-7, 9-14    

FGFR1 Exon3, 6-10, 13-14, 17-19

   
FGFR2 Exon2-9, 11, 13-18    
FGFR3 Exon4, 7-8, 11-12, 16-18    
GNAS Exon8    
KRAS Exon2-5  
MET Exon2-6, 8-21    
MLH1    
MSH2    
MSH6    
MTOR Exon43, 47, 53, 56    
NRAS Exon2-4    
NTRK1 Exon7-15  
NTRK2 Exon12-13, 15-16    
NTRK3 Exon14-15    
PALB2     
PDGFRA Exon18    
PIK3CA Exon2-6, 8, 10, 16-17, 19-21    
PIK3CB Exon 13, 15, 24    
PMS2 Exon 6-8, 10    
POLE Exon2-49    
PTEN     
RAF1 Exon7    
SMAD4     
TP53    

NCCN/ESMOのガイドラインから推奨されているFDA/EMA認可の大腸がんの分子標的治療薬とそのターゲット

NCCN/ESMOのガイドラインから推奨されているFDA/EMA認可の大腸がんの分子標的とその治療薬
KRASとNRASが共に野生型(遺伝子変異がない) パニツムマブ
KRAS野生型 セツキシマブ
BRAF エンコラフェニブ
NTRK1/2/3融合 ラロトレクチニブ、エントレクチニブ
MSI ペンブロリズマブ、ニボルマブ、イピリムマブ

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プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、日本内科学会内科専門医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医 、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医として従事し、患者様の心に寄り添った診療を心がけています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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