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リポジストロフィー(脂肪萎縮症)NGS遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

リポジストロフィー(脂肪萎縮症)NGS遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

リポジストロフィー(脂肪萎縮症)とは

リポジストロフィー(脂肪萎縮症、脂肪異栄養症)は、皮下脂肪や内臓脂肪などの脂肪組織が全身性あるいは部分性に減少または消失する疾患の総称です。エネルギー摂取の低下やエネルギー消費の亢進による単純な「やせ」とは異なり、脂肪組織そのものに問題がある病態です。

本疾患は臨床的にも遺伝学的にも多様性が高く、脂肪組織の減少パターン、発症年齢、代謝合併症の重症度などが患者さんによって大きく異なります。遺伝子異常による先天性のものと、自己免疫異常やウイルス感染、薬剤による後天性のものがあり、現在までに複数の原因遺伝子が同定されています。

リポジストロフィーは国の指定難病(指定難病265番)に指定されています。有病率は推定で約130万人に1人とされる稀な疾患ですが、適切な診断と管理により、生活の質と予後の改善が期待できます。脂肪組織が一定以上消失すると、糖尿病、高中性脂肪血症、脂肪肝などの糖脂質代謝異常を発症し、これが患者さんの予後を大きく左右します。

症状と病態

リポジストロフィーの主な特徴は、脂肪組織の減少・消失と、それに伴う代謝異常です。食欲が落ちていないにもかかわらず、全身または部分的にやせてくることが特徴的です。

主要症状

  • 脂肪組織の減少または消失(全身性または部分性)
  • 食欲が正常またはむしろ亢進しているのに体がやせる
  • 強いインスリン抵抗性を伴う糖尿病
  • 高中性脂肪血症(トリグリセリド血症)
  • 脂肪肝(非アルコール性脂肪肝)
  • 黒色表皮腫(皮膚の色素沈着)
  • 肝腫大
  • 女性の場合:月経異常、多毛症、多嚢胞性卵巣
  • 心筋肥大

脂肪組織の役割と病態メカニズム

脂肪組織には、エネルギーを脂質として貯蔵・再利用する機能と、レプチンをはじめとする生理活性物質(アディポサイトカイン)を分泌する機能があります。

脂肪組織から分泌されるレプチンは、食欲調節、糖代謝、脂質代謝において重要な働きをしており、インスリン感受性を高める効果もあります。リポジストロフィーでは脂肪組織が減少するため、レプチンが減少し、インスリンがうまく作用しなくなる「インスリン抵抗性」という状態になります。

その結果、血糖値が慢性的に高い状態となり、食欲や代謝機能、ホルモンバランスが乱れます。また、食事により摂取したエネルギーのうち、身体活動で使われなかった余剰エネルギーは、通常は脂肪組織に蓄積されますが、リポジストロフィーではこの脂肪組織が減少または消失しているため、余剰エネルギーは糖や中性脂肪として血液中に溢れ出したり、肝臓や筋肉などに蓄積したりして、糖尿病や脂質異常を悪化させます。

リポジストロフィーの分類

リポジストロフィーは、脂肪組織の減少パターンと病因により以下のように分類されます:

  • 先天性全身性脂肪萎縮症(Berardinelli-Seip症候群):生下時または乳幼児期から全身の脂肪組織が消失し、肝腫大が認められます。10歳前後でインスリン抵抗性による糖尿病が顕在化し、しばしば黒色表皮腫が認められます
  • 家族性部分性脂肪萎縮症(Dunnigan型など):思春期以降に四肢や体幹の皮下脂肪が減少します。顔面や頸部には脂肪が残存または増加することもあります
  • 後天性全身性脂肪萎縮症(Lawrence症候群):感染症や自己免疫疾患を契機に、全身の脂肪組織が進行性に消失します
  • 後天性部分性脂肪萎縮症(Barraquer-Simons症候群):顔面、頸部、上肢、体幹上部から進行性に脂肪組織が消失しますが、下肢や臀部の脂肪は保たれます

代謝合併症

リポジストロフィーでは、以下の代謝合併症を引き起こしやすく、重症化する場合が多いです:

  • インスリン抵抗性糖尿病:従来の糖尿病治療薬では改善が難しく、重症化して糖尿病性網膜症、腎症、神経障害を引き起こすことがあります
  • 高中性脂肪血症:血中トリグリセリドの著しい上昇により急性膵炎を引き起こすリスクがあります
  • 非アルコール性脂肪肝:進行すると肝硬変、肝癌に至ることがあります
  • 肥大型心筋症:予後に影響する重要な合併症です

進行と予後

適切な治療を行わない場合、糖尿病の合併症や脂肪肝から発症する肝硬変・肝癌、肥大型心筋症が死因となることが多く、平均寿命は30~40歳と言われています。しかし、レプチン補充療法(メトレレプチン)などの治療により、代謝合併症の改善だけでなく予後の改善も期待されています。

遺伝形式と原因遺伝子

リポジストロフィーは遺伝学的に多様性が高く、常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝のいずれの形式でも発症します。現在までに複数の原因遺伝子が同定されており、これらはいずれも脂肪細胞の発生・分化や、脂肪組織における脂質蓄積にかかわる遺伝子です。

先天性全身性脂肪萎縮症の原因遺伝子

常染色体劣性(潜性)遺伝形式をとり、両親は通常、無症候性保因者です:

  • AGPAT2遺伝子:1-アシルグリセロール-3-リン酸O-アシルトランスフェラーゼ2をコードし、脂質合成に関与します
  • BSCL2遺伝子:セイピン(seipin)をコードし、脂肪細胞の分化と脂質滴の形成に重要な役割を果たします
  • CAV1遺伝子:カベオリン-1をコードし、細胞膜の構造と機能に関与します
  • CAVIN1(PTRF)遺伝子:ポリメラーゼIおよび転写放出因子をコードし、カベオラの形成に必須です

家族性部分性脂肪萎縮症の原因遺伝子

常染色体優性(顕性)遺伝形式をとり、しばしば家族内発症が認められます:

  • LMNA遺伝子:ラミンA/Cをコードし、核膜の構造維持に関与します。Dunnigan型部分性脂肪萎縮症の主な原因遺伝子です
  • PPARG遺伝子:ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γをコードし、脂肪細胞の分化に中心的な役割を果たします
  • AKT2遺伝子:プロテインキナーゼBβをコードし、インスリンシグナル伝達に関与します
  • ZMPSTE24遺伝子:亜鉛メタロプロテアーゼをコードし、ラミンAの成熟に関与します
  • CIDEC遺伝子:細胞死誘導DFFα様エフェクターCをコードし、脂質滴の形成に関与します
  • TBC1D4遺伝子:TBC1ドメインファミリーメンバー4をコードし、グルコース取り込みの調節に関与します

当検査パネルでは、これらの原因遺伝子のうち、臨床的に重要な10遺伝子(AGPAT2、AKT2、BSCL2、CAV1、CAVIN1、CIDEC、LMNA、PPARG、TBC1D4、ZMPSTE24)を対象としています。これにより、遺伝性リポジストロフィーの主要な原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。

ミネルバクリニックのリポジストロフィー遺伝子パネル検査の特徴

「リポジストロフィー NGSパネル検査」とは、現在リポジストロフィー(脂肪萎縮症)の原因として報告されている10の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、リポジストロフィーに関連する10遺伝子を一度に調べられる「リポジストロフィー NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関でリポジストロフィーの遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、リポジストロフィーに関係するとされる10の遺伝子を一度に調べられる「リポジストロフィー NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行えるリポジストロフィーの遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「リポジストロフィー NGSパネル検査」の場合、10の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状からリポジストロフィーを疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「リポジストロフィー NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な10の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「リポジストロフィー NGSパネル検査」では、リポジストロフィーに関係するとされる10種類の遺伝子(AGPAT2、AKT2、BSCL2、CAV1、CAVIN1、CIDEC、LMNA、PPARG、TBC1D4、ZMPSTE24)をまとめて検査します。

「リポジストロフィー NGSパネル検査」は、リポジストロフィーの遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【リポジストロフィーの個人歴または家族歴のある方】に
「リポジストロフィー NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・全身または部分的な脂肪組織の減少・消失が認められる方
・食欲が正常またはむしろ増加しているのに体がやせてきた方
・強いインスリン抵抗性を伴う糖尿病の方
・従来の糖尿病治療薬では血糖コントロールが困難な方
・高中性脂肪血症(トリグリセリド血症)がある方
・脂肪肝(非アルコール性脂肪肝)が認められる方
・黒色表皮腫(皮膚の色素沈着)がある方
・女性で月経異常、多毛症、多嚢胞性卵巣を伴う方
・乳幼児期から小児期に発症した全身性の脂肪組織消失がある方
・思春期以降に四肢の脂肪組織減少が認められる方
・リポジストロフィーの家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、リポジストロフィーの診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な食事療法、運動療法、薬物療法、定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・他の代謝疾患との鑑別
・レプチン補充療法(メトレレプチン)の適応判断
・糖尿病に対する適切な治療戦略の立案
・高中性脂肪血症に対する管理
・脂肪肝の進行予防と管理
・急性膵炎のリスク評価と予防
・心筋症などの合併症の早期発見と管理
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

AGPAT2, AKT2, BSCL2, CAV1, CAVIN1, CIDEC, LMNA, PPARG, TBC1D4, ZMPSTE24 ( 10遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・AGPAT2遺伝子:
1-アシルグリセロール-3-リン酸O-アシルトランスフェラーゼ2をコードする遺伝子。脂質合成経路において重要な役割を果たします。常染色体劣性遺伝形式で、先天性全身性脂肪萎縮症(Berardinelli-Seip症候群1型)の原因となります。

・AKT2遺伝子:
プロテインキナーゼBβをコードする遺伝子。インスリンシグナル伝達とグルコース代謝において中心的な役割を果たします。常染色体優性遺伝形式で、家族性部分性脂肪萎縮症と重症インスリン抵抗性を引き起こします。

・BSCL2遺伝子:
セイピン(seipin)をコードする遺伝子。脂肪細胞の分化と脂質滴の形成に重要な役割を果たします。常染色体劣性遺伝形式で先天性全身性脂肪萎縮症(Berardinelli-Seip症候群2型)の原因となります。常染色体優性遺伝形式では上肢優位の筋力低下を伴う運動ニューロパチーを引き起こすこともあります。

・CAV1遺伝子:
カベオリン-1をコードする遺伝子。細胞膜のカベオラ(小窩)の主要構成要素で、脂肪細胞の分化とシグナル伝達に関与します。常染色体優性または劣性遺伝形式で、先天性全身性脂肪萎縮症3型の原因となります。

・CAVIN1(PTRF)遺伝子:
カベオラ関連タンパク質1(ポリメラーゼIおよび転写放出因子)をコードする遺伝子。カベオラの形成に必須で、脂質代謝に重要な役割を果たします。常染色体劣性遺伝形式で、先天性全身性脂肪萎縮症4型と筋ジストロフィーを引き起こします。

・CIDEC遺伝子:
細胞死誘導DFFα様エフェクターC(FSP27とも呼ばれる)をコードする遺伝子。脂質滴の融合と脂肪蓄積に重要な役割を果たします。常染色体劣性遺伝形式で、家族性部分性脂肪萎縮症5型の原因となります。

・LMNA遺伝子:
ラミンA/Cをコードする遺伝子。核膜の構造維持に関与します。常染色体優性遺伝形式で、家族性部分性脂肪萎縮症2型(Dunnigan型)の最も頻度の高い原因遺伝子です。思春期以降に四肢と体幹の皮下脂肪が進行性に減少する一方、顔面や頸部の脂肪は保たれるか増加します。

・PPARG遺伝子:
ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γをコードする遺伝子。脂肪細胞の分化において中心的な役割を果たす転写因子です。常染色体優性遺伝形式で、家族性部分性脂肪萎縮症3型の原因となります。重度のインスリン抵抗性と糖尿病を伴います。

・TBC1D4遺伝子:
TBC1ドメインファミリーメンバー4(AS160とも呼ばれる)をコードする遺伝子。インスリン刺激によるグルコース取り込みの調節に関与します。常染色体劣性遺伝形式で、家族性部分性脂肪萎縮症の原因となり、インスリン抵抗性と糖尿病を引き起こします。

・ZMPSTE24遺伝子:
亜鉛メタロプロテアーゼをコードする遺伝子。ラミンAの成熟過程において、プレラミンAを切断する役割を果たします。常染色体劣性遺伝形式で早老症候群を引き起こしますが、部分性脂肪萎縮症の表現型も呈することがあります。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、10の原因遺伝子のみを対象としています。他の未同定の遺伝子変異や、検査対象外の遺伝子変異によるリポジストロフィーの可能性もあります。また、後天性リポジストロフィー(自己免疫異常、ウイルス感染、薬剤性など)は遺伝子検査では診断できません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
全身または部分的な脂肪組織の減少・消失が認められる方、食欲が正常またはむしろ増加しているのに体がやせてきた方におすすめします。特に、強いインスリン抵抗性を伴う糖尿病で従来の治療薬では血糖コントロールが困難な方、高中性脂肪血症や脂肪肝を伴う方、黒色表皮腫が認められる方は、リポジストロフィーの可能性が高くなります。また、家族に同様の症状がある場合も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
リポジストロフィーと単なるやせとの違いは何ですか?
単なるやせは、エネルギー摂取の低下やエネルギー消費の亢進によるものですが、リポジストロフィーは脂肪組織そのものに問題があり、脂肪細胞が減少・消失する病態です。食欲が正常またはむしろ増加しているのに体がやせてくること、強いインスリン抵抗性を伴う糖尿病や高中性脂肪血症、脂肪肝などの代謝異常を伴うことが特徴的です。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
他の未同定の遺伝子変異や、検査対象外の遺伝子変異によるリポジストロフィーの可能性もあります。また、後天性リポジストロフィー(自己免疫異常、ウイルス感染、薬剤性など)は遺伝子検査では診断できません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできず、臨床症状と画像検査に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
リポジストロフィーの治療はどのように行われますか?
現在のところ脂肪萎縮そのものに対する確立した治療法はありませんが、糖尿病や高中性脂肪血症などの代謝合併症に対する治療が主となります。食事療法、運動療法を基本として、必要に応じて薬物療法を行います。特に、レプチン補充療法(メトレレプチン)が保険適応となっており、インスリン抵抗性の改善、高中性脂肪血症の改善、脂肪肝の改善などに効果が期待できます。
予後はどうですか?
適切な治療を行わない場合、糖尿病の合併症や脂肪肝から発症する肝硬変・肝癌、肥大型心筋症が死因となることが多く、平均寿命は30~40歳と言われています。しかし、レプチン補充療法などの治療により、代謝合併症の改善だけでなく予後の改善も期待されています。早期診断と適切な管理により、生活の質と予後の改善が可能です。
レプチン補充療法とはどのような治療ですか?
レプチン補充療法は、脂肪組織から分泌されるホルモンであるレプチン(メトレレプチン)を皮下注射により補充する治療法です。脂肪萎縮症に伴う高血糖、高中性脂肪血症に対して保険適応となっており、インスリン抵抗性の改善、食欲の抑制、脂肪肝の改善などの効果が期待できます。遺伝子検査により診断が確定することで、この治療の適応判断に役立ちます。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な10の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら