肢帯型筋ジストロフィー NGS遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック
肢帯型筋ジストロフィーとは
肢帯型筋ジストロフィー(Limb-Girdle Muscular Dystrophy: LGMD)は、主に肩甲帯(肩周り)と骨盤帯(腰周り)の近位筋(体幹に近い筋肉)が徐々に障害される遺伝性の筋疾患です。進行性の筋力低下と筋萎縮を特徴とし、1歳以降に発症する筋ジストロフィーの総称です。
本疾患は臨床的にも遺伝学的にも多様性が高く、発症年齢、筋力低下の分布パターン、進行速度などが患者さんによって大きく異なります。遺伝形式は常染色体優性(顕性)遺伝と常染色体劣性(潜性)遺伝があり、現在までに30以上の原因遺伝子が同定されています。
肢帯型筋ジストロフィーは、X連鎖性のデュシェンヌ型筋ジストロフィーやベッカー型筋ジストロフィー(ジストロフィン異常症)とは区別される常染色体性の疾患です。有病率は10万人あたり2~10人程度と推定されており、筋ジストロフィーの中で4番目に頻度の高い遺伝性筋疾患です。約60%の症例では、まだ原因となる遺伝子が同定されていませんが、技術の進歩により毎年新たな責任遺伝子が同定されています。
症状と病態
肢帯型筋ジストロフィーの主な症状は、肩甲帯と骨盤帯の近位筋の進行性筋力低下と筋萎縮です。多くの場合、下肢帯(腰周り)の筋力低下が上肢帯よりも強く、歩行異常、転びやすさ、階段昇降困難などが初発症状となることが多いです。
主要症状
- 下肢帯(骨盤帯)の進行性筋力低下(腰周りの筋力低下が特徴的)
- 上肢帯(肩甲帯)の筋力低下(肩周りの筋力低下)
- 歩行異常(よちよち歩き、動揺性歩行)
- 転びやすい
- 階段の昇降困難
- 筋萎縮(筋肉が痩せる)
- 翼状肩甲(肩甲骨が浮き上がる)
- 腰椎前彎(腰が反る)
- 下腿の筋肥大(偽性肥大)を伴うことがある
- 高クレアチンキナーゼ(CK)血症(血清CK値の上昇)
合併症
原因遺伝子によって、特徴的な合併症が認められることがあります:
- 心筋障害:サルコグリカノパチー(LGMD2C~2F/LGMDR3~6)や一部のサブタイプでは拡張型心筋症を合併することがあり、心不全のリスクがあります
- 呼吸障害:症状が進行すると呼吸筋の筋力低下により呼吸不全をきたすことがあります
- 関節拘縮:筋肉の短縮により関節の可動域が制限されることがあります
- 脊柱変形:側弯症などの脊柱の変形を伴うことがあります
- 中枢神経症状:一部のサブタイプ(LGMD2K/LGMDR11、LGMD2M/LGMDR13など)では脳奇形や精神発達遅滞を伴うことがあります
臨床分類
肢帯型筋ジストロフィーは重症度により以下のように分類されることがあります:
- 重症型:デュシェンヌ型筋ジストロフィーに似た症状を示し、小児期に発症し急速に進行します
- 中等症型:ベッカー型筋ジストロフィーに近い症状で、思春期以降に発症し緩徐に進行します
- 軽症型:成人発症で進行が非常に緩徐で、長期間歩行可能な状態を維持できます
進行と予後
疾患の進行速度は原因遺伝子やサブタイプによって大きく異なります。
常染色体劣性遺伝のLGMD:小児期から症状が顕著に現れることが多く、比較的早期に重大な障害が発生することがあります。症状は通常左右対称性の筋力低下を示し、病気の進行は比較的速いことがあります。
常染色体優性遺伝のLGMD:成人期の早期または後期まで症状が明らかにならないことがあります。病気の経過は通常緩慢で、症状の出現時期は個人差が大きいです。
重症例では車椅子が必要となることもありますが、多くの患者さんは適切なリハビリテーションと管理により、長期間にわたって機能的自立を維持できます。
遺伝形式と原因遺伝子
肢帯型筋ジストロフィーは遺伝学的に非常に多様性が高く、常染色体優性(顕性)遺伝と常染色体劣性(潜性)遺伝の両方の形式で発症します。現在までに30以上の原因遺伝子が同定されていますが、約60%の症例では遺伝学的原因が未だ特定されていません。
新しい分類体系(2018年~)
2018年に開発された新しいLGMD分類体系では、優性遺伝を「D」、劣性遺伝を「R」と表し、発見順を数字で表し、罹患タンパク質を列挙します(例:LGMD R1 calpain3-related)。この新しい分類体系により、より正確で包括的な診断と治療の指針が提供されるようになりました。
常染色体優性(顕性)遺伝形式(LGMD D型)
成人期に発症することが多く、比較的緩徐に進行する傾向があります:
- MYOT遺伝子(LGMD1A):ミオティリンをコードし、遠位筋または近位筋の筋力低下で発症します
- LMNA遺伝子(LGMD1B):ラミンA/Cをコードし、心筋障害を高頻度に伴います
- CAV3遺伝子(LGMD1C):カベオリン3をコードし、筋線維の被刺激性亢進(rippling muscle)が特徴的です
- DNAJB6遺伝子(LGMD1D/LGMDD1):シャペロンタンパク質をコードします
常染色体劣性(潜性)遺伝形式(LGMD R型)
小児期から思春期に発症することが多く、比較的重症型が多い傾向があります:
- CAPN3遺伝子(LGMD2A/LGMDR1、カルパイノパチー):カルパイン3をコードし、最も頻度の高い原因遺伝子の一つです。思春期以降に下肢の筋力低下で発症し、高CK血症を伴います
- DYSF遺伝子(LGMD2B/LGMDR2、ジスフェリノパチー):ジスフェリンをコードし、筋膜修復に関与します。成人発症が多く、下腿の腓腹筋萎縮が特徴的です
- SGCA, SGCB, SGCG, SGCD遺伝子(LGMD2C~2F/LGMDR3~6、サルコグリカノパチー):α-, β-, γ-, δ-サルコグリカンをコードします。デュシェンヌ型に似た重症型からベッカー型に近い成人発症型まで様々で、心筋障害や呼吸障害をきたしやすいです
- TCAP遺伝子(LGMD2G/LGMDR7):テレトニンをコードし、翼状肩甲と下腿筋肥大を伴いやすいです
- FKRP遺伝子(LGMD2I/LGMDR9):フクチン関連タンパク質をコードし、心筋障害を伴うことがあります
- ANO5遺伝子(LGMD2L/LGMDR12、アノクタミノパチー):アノクタミン5をコードし、筋膜修復に関与します
当検査パネルでは、これらの原因遺伝子のうち、臨床的に重要な21遺伝子を対象としています。これにより、肢帯型筋ジストロフィーの主要な原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。
ミネルバクリニックの肢帯型筋ジストロフィー遺伝子パネル検査の特徴
「肢帯型筋ジストロフィー NGSパネル検査」とは、現在肢帯型筋ジストロフィーの原因として報告されている21の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、肢帯型筋ジストロフィーに関連する21遺伝子を一度に調べられる「肢帯型筋ジストロフィー NGSパネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関で肢帯型筋ジストロフィーの遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、肢帯型筋ジストロフィーに関係するとされる21の遺伝子を一度に調べられる「肢帯型筋ジストロフィー NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行える肢帯型筋ジストロフィーの遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「肢帯型筋ジストロフィー NGSパネル検査」の場合、21の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
臨床症状から肢帯型筋ジストロフィーを疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「肢帯型筋ジストロフィー NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な21の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「肢帯型筋ジストロフィー NGSパネル検査」では、肢帯型筋ジストロフィーに関係するとされる21種類の遺伝子(ANO5, CAPN3, CAV3, DES, DNAJB6, DYSF, FKRP, FLNC, GAA, HNRNPDL, ISPD, LMNA, MYOT, PNPLA2, SGCA, SGCB, SGCD, SGCG, TCAP, TRIM32, TTN)をまとめて検査します。
「肢帯型筋ジストロフィー NGSパネル検査」は、肢帯型筋ジストロフィーの遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【肢帯型筋ジストロフィーの個人歴または家族歴のある方】に
「肢帯型筋ジストロフィー NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・肩甲帯や骨盤帯の進行性筋力低下がある方
・下肢帯(腰周り)の筋力低下が強い方
・歩行異常(よちよち歩き、動揺性歩行)がある方
・階段の昇降が困難な方
・転びやすい方
・筋萎縮(筋肉が痩せる)が認められる方
・翼状肩甲(肩甲骨が浮き上がる)がある方
・高クレアチンキナーゼ(CK)血症がある方
・筋生検でジストロフィー変化が認められた方
・肢帯型筋ジストロフィーまたは筋ジストロフィーの家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、肢帯型筋ジストロフィーの診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切なリハビリテーション、装具療法、生活習慣の改善、定期的なモニタリングを行うことができます。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・サブタイプの特定による予後予測
・心筋障害や呼吸障害のリスク評価と早期管理
・適切なリハビリテーションプログラムの立案
・関節拘縮予防のための理学療法
・呼吸機能障害のリスク評価と非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)導入の検討
・心機能低下時の心保護治療の適応判断
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。
対象遺伝子
- 詳しくはこちら
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ANO5, CAPN3, CAV3, DES, DNAJB6, DYSF, FKRP, FLNC, GAA, HNRNPDL, ISPD, LMNA, MYOT, PNPLA2, SGCA, SGCB, SGCD, SGCG, TCAP, TRIM32, TTN ( 21遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・ANO5遺伝子(LGMD2L/LGMDR12、アノクタミノパチー):
アノクタミン5をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、筋膜修復に関与します。成人発症が多く、大腿後面筋や下腿筋の障害が特徴的です。
・CAPN3遺伝子(LGMD2A/LGMDR1、カルパイノパチー):
カルパイン3をコードする遺伝子。最も頻度の高い原因遺伝子の一つで、常染色体劣性遺伝形式をとります。思春期以降に下肢の筋力低下で発症し、高CK血症を伴います。心筋障害は比較的少ないですが、進行すると呼吸障害をきたすことがあります。
・CAV3遺伝子(LGMD1C、カベオリノパチー):
カベオリン3をコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、筋線維の被刺激性が亢進し、軽い刺激で筋線維が収縮する現象(rippling muscle disease)が特徴的です。
・DES遺伝子:
デスミンをコードする遺伝子。筋原線維の構造タンパク質で、心筋障害を伴うことがあります。
・DNAJB6遺伝子(LGMD1D/LGMDD1):
シャペロンタンパク質をコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、タンパク質の品質管理に関与します。
・DYSF遺伝子(LGMD2B/LGMDR2、ジスフェリノパチー):
ジスフェリンをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、筋膜修復に関与します。成人発症が多く、下腿の腓腹筋やヒラメ筋の萎縮が特徴的です。大腿では後面筋が前面筋より強く障害されます。
・FKRP遺伝子(LGMD2I/LGMDR9):
フクチン関連タンパク質をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、糖鎖修飾に関与します。心筋障害や呼吸障害を伴うことがあります。
・FLNC遺伝子:
フィラミンCをコードする遺伝子。筋原線維の構造維持に関与し、心筋障害を伴うことがあります。
・GAA遺伝子:
酸性α-グルコシダーゼをコードする遺伝子。ポンペ病(糖原病II型)の原因遺伝子としても知られていますが、遅発型では肢帯型筋力低下を呈することがあります。
・HNRNPDL遺伝子:
RNA結合タンパク質をコードする遺伝子。RNA代謝に関与します。
・ISPD遺伝子:
イソプレノイド合成酵素をコードする遺伝子。糖鎖修飾に関与し、中枢神経症状を伴うことがあります。
・LMNA遺伝子(LGMD1B、ラミノパチー):
ラミンA/Cをコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、核膜の構造維持に関与します。心筋障害(拡張型心筋症、伝導障害)を高頻度に伴い、心臓管理が非常に重要です。
・MYOT遺伝子(LGMD1A):
ミオティリンをコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、Z帯の構造維持に関与します。遠位筋または近位筋の筋力低下で発症し、緩徐に進行します。
・PNPLA2遺伝子:
アディポトリグリセリドリパーゼをコードする遺伝子。脂質代謝に関与し、neutral lipid storage disease with myopathyの原因遺伝子です。
・SGCA, SGCB, SGCD, SGCG遺伝子(LGMD2C~2F/LGMDR3~6、サルコグリカノパチー):
α-, β-, δ-, γ-サルコグリカンをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、ジストロフィン・糖タンパク質複合体の構成成分です。デュシェンヌ型に似た重症型からベッカー型に近い成人発症型まで様々な症状を示します。拡張型心筋症、呼吸障害をきたしやすく、血清CK値は著明に上昇します(正常値の10倍以上)。
・TCAP遺伝子(LGMD2G/LGMDR7):
テレトニンをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、Z帯に存在しtitin をZ帯に固定する役割があります。翼状肩甲と下腿の筋肥大を伴いやすく、下垂足を呈することもあります。
・TRIM32遺伝子:
TRIFパートナータンパク質をコードする遺伝子。ユビキチン化に関与します。
・TTN遺伝子:
タイチンをコードする遺伝子。筋肉の伸縮性に重要な巨大タンパク質で、様々な筋疾患の原因となります。
カバレッジ
カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。
≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。
検査の限界
- 詳しくはこちら
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すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
※この検査パネルでは、21の原因遺伝子のみを対象としています。約60%の肢帯型筋ジストロフィー症例では、既知の遺伝子に変異が見つかりません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
- どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
- 肩甲帯や骨盤帯の進行性筋力低下がある方、特に下肢帯(腰周り)の筋力低下が強く、歩行異常や階段昇降困難がある方におすすめします。高クレアチンキナーゼ(CK)血症がある方、筋生検でジストロフィー変化が認められた方も検査をご検討ください。また、家族に肢帯型筋ジストロフィーや筋ジストロフィーの方がいる場合も検査が推奨されます。
- 検査はどのように行いますか?
- 血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
- デュシェンヌ型筋ジストロフィーやベッカー型筋ジストロフィーとの違いは何ですか?
- デュシェンヌ型・ベッカー型筋ジストロフィーはX連鎖性遺伝で、DMD遺伝子(ジストロフィン遺伝子)の変異が原因です。主に男児に発症します。一方、肢帯型筋ジストロフィーは常染色体性遺伝で、多数の異なる遺伝子の変異が原因となり、男女とも等しく罹患します。発症時期や症状の進行速度も異なります。
- 家族も検査を受ける必要がありますか?
- 遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
- 検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
- 約60%の肢帯型筋ジストロフィー症例では、既知の遺伝子に変異が見つかりません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と筋生検、血清CK値などに基づいた診断と管理が引き続き重要です。
- 保険は適用されますか?
- 当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
- 結果はどのように説明されますか?
- 検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
- 子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
- 遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
- 肢帯型筋ジストロフィーの治療はどのように行われますか?
- 現在のところ根本的な治療法はありませんが、可動性と機能的自立の維持を目標とした治療が行われます。理学療法、作業療法などのリハビリテーション、関節拘縮予防、心筋障害や呼吸障害などの合併症管理が重要です。一部のサブタイプではステロイド投与が有効な場合があります。遺伝子治療などの研究も進められています。
- 予後はどうですか?
- 疾患の進行速度は原因遺伝子やサブタイプによって大きく異なります。常染色体劣性遺伝型は小児期から症状が顕著で比較的進行が速いことがあります。常染色体優性遺伝型は成人期発症で緩慢な進行が多いです。適切なリハビリテーションと合併症管理により、多くの患者さんは長期間にわたって機能的自立を維持できます。心筋障害や呼吸障害のリスクが高いサブタイプでは、これらの合併症が予後に影響します。
- 他の医療機関での検査との違いは何ですか?
- 当院では臨床的に重要な21の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
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