ABHD12, AFG3L2, ALS2, ANO10, APTX, ATL1, C19orf12, CACNA1A, CACNB4, CCDC88C, CLCN2, CYP27A1, CYP7B1, DNMT1, EEF2, EIF2B1, EIF2B2, EIF2B3, EIF2B4, EIF2B5, ELOVL4, ELOVL5, FGF14, FMR1, FXN, GFAP, ITM2B, ITPR1, KCNC3, KCND3, KIF5A, NOL3, NOTCH3, PDYN, PEX7, PHYH, POLG, PRKCG, RORA, RRM2B, SETX, SLC1A3, SPAST, SPG11, SPG7, STUB1, SYNE1, SYT14, TGM6, TMEM240, TTBK2, TTPA, TUBB4A, TWNK, TYMP, VAMP1, WASHC5 ( 57遺伝子 )
主要遺伝子の詳細:
・CACNA1A遺伝子:
P/Q型電位依存性カルシウムチャネルをコードする遺伝子。SCA6の原因遺伝子であり、発作性運動失調2型(EA2)や片麻痺性片頭痛1型の原因遺伝子でもあります。小脳プルキンエ細胞に高発現しています。
・FXN遺伝子:
フラタキシンをコードする遺伝子。フリードライヒ運動失調症(FRDA)の原因遺伝子です。最も頻度の高い変異はGAA三塩基リピート伸長ですが、本検査では塩基配列の変化と欠失・重複のみを検出します。リピート伸長の検出には別途専用の検査が必要です。
・FMR1遺伝子:
FMRP(fragile X mental retardation protein)をコードする遺伝子。CGGリピートのプレミューテーション領域での伸長により、脆弱X関連振戦/運動失調症候群(FXTAS)を引き起こします。本検査では塩基配列の変化のみを検出します。
・PRKCG遺伝子:
プロテインキナーゼCγをコードする遺伝子。SCA14の原因遺伝子です。純粋小脳型の運動失調を呈します。
・ITPR1遺伝子:
イノシトール1,4,5-三リン酸受容体1型をコードする遺伝子。SCA15/16/29の原因遺伝子です。小脳プルキンエ細胞に発現しています。
・TTPA遺伝子:
α-トコフェロール転送タンパク質をコードする遺伝子。ビタミンE欠乏性運動失調症(AVED)の原因遺伝子で、ビタミンE補充療法により治療可能な数少ない遺伝性運動失調症の一つです。
・APTX遺伝子:
アプラタキシンをコードする遺伝子。眼球運動失行を伴う運動失調症1型(AOA1)の原因遺伝子です。常染色体劣性遺伝形式をとります。
・SETX遺伝子:
セナタキシンをコードする遺伝子。眼球運動失行を伴う運動失調症2型(AOA2)の原因遺伝子です。DNA/RNA代謝に関与します。
・POLG遺伝子:
ミトコンドリアDNAポリメラーゼγをコードする遺伝子。常染色体優性または劣性遺伝形式で、運動失調、ミオパチー、末梢神経障害、外眼筋麻痺など多彩な症状を呈します。
・AFG3L2遺伝子:
ミトコンドリアマトリックスのメタロプロテアーゼをコードする遺伝子。SCA28の原因遺伝子です。
・SYNE1遺伝子:
ニュースペクトリンをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝性小脳失調症(ARCA1/SCAR8)の原因遺伝子です。純粋小脳型の運動失調を呈します。
・STUB1遺伝子:
CHIP(C-terminus of Hsc70-interacting protein)をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、若年発症の運動失調と認知機能障害を呈します(SCAR16)。
・KCNA1遺伝子(KCNC3遺伝子として記載):
電位依存性カリウムチャネルをコードする遺伝子。発作性運動失調1型(EA1)の原因遺伝子で、短時間の運動失調発作とミオキミアを特徴とします。
・SPAST、ATL1、REEP1遺伝子:
痙性対麻痺の原因遺伝子ですが、運動失調を合併することがあります。
その他の重要遺伝子:
ANO10(SCAR10)、TGM6(SCA35)、ELOVL4(SCA34)、ELOVL5(SCA38)、CCDC88C(SCA40)、TMEM240(SCA21)、FGF14(SCA27)など、比較的稀な病型の原因遺伝子も含まれています。
注意:本パネル検査に含まれるFXN遺伝子とFMR1遺伝子については、リピート伸長が主な病因となる場合が多いですが、本検査ではリピート伸長は検出できません。これらの遺伝子のリピート伸長が疑われる場合は、専用のリピート伸長検査が必要です。