ACAD9, APTX, ATP5F1E, ATPAF2, BCS1L, COQ2, COQ8A, COQ9, COX10, COX15, COX6B1, DARS2, DGUOK, DLAT, DLD, DNM1L, ETFA, ETFB, ETFDH, ETHE1, FBP1, FH, FOXRED1, G6PC, GFM1, GYS2, ISCU, LRPPRC, MRPS16, MRPS22, NDUFA11, NDUFAF1, NDUFAF3, NDUFAF4, NDUFAF5, NDUFAF6, NDUFS1, NDUFS2, NDUFS3, NDUFS4, NDUFS6, NDUFS7, NDUFS8, NDUFV1, PC, PDHA1, PDHB, PDHX, PDP1, PDSS1, PDSS2, PLPBP, POLG, PUS1, RRM2B, SCO2, SLC25A3, SLC25A4, SUCLA2, SUCLG1, SURF1, TAZ, TK2, TMEM70, TRMU, TSFM, TUFM, TYMP, UQCRB, YARS2 ( 70遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
【ピルビン酸代謝関連遺伝子】
・PC遺伝子:
ピルビン酸カルボキシラーゼをコードする遺伝子。糖新生の重要な酵素で、欠損すると重症の乳酸アシドーシス、ケトアシドーシス、高アンモニア血症を引き起こします。
・PDHA1遺伝子:
ピルビン酸脱水素酵素複合体E1αサブユニットをコードする遺伝子。X連鎖遺伝形式で、PDHC欠損症の約60%を占める最も頻度の高い原因遺伝子です。
・PDHB遺伝子:
ピルビン酸脱水素酵素複合体E1βサブユニットをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式です。
・DLAT遺伝子:
ピルビン酸脱水素酵素複合体E2サブユニット(ジヒドロリポイルアセチルトランスフェラーゼ)をコードする遺伝子。
・DLD遺伝子:
ピルビン酸脱水素酵素複合体E3サブユニット(ジヒドロリポアミド脱水素酵素)をコードする遺伝子。PDHCだけでなく、α-ケトグルタル酸脱水素酵素や分枝鎖α-ケト酸脱水素酵素の共通成分でもあります。
・PDHX遺伝子:
ピルビン酸脱水素酵素複合体のX成分(E3結合タンパク質)をコードする遺伝子。
・PDP1遺伝子:
ピルビン酸脱水素酵素ホスファターゼ触媒サブユニット1をコードする遺伝子。PDHCの脱リン酸化による活性化に関与します。
【ミトコンドリア呼吸鎖複合体I関連遺伝子】
・NDUFS1, NDUFS2, NDUFS3, NDUFS4, NDUFS6, NDUFS7, NDUFS8遺伝子:
ミトコンドリア呼吸鎖複合体I(NADHデヒドロゲナーゼ)のコアサブユニットをコードする遺伝子群。これらの変異はリー症候群やリー様症候群の原因となります。
・NDUFV1遺伝子:
ミトコンドリア呼吸鎖複合体Iのフラビンモノヌクレオチド結合サブユニットをコードする遺伝子。
・NDUFA11遺伝子:
ミトコンドリア呼吸鎖複合体Iの副サブユニットをコードする遺伝子。
・NDUFAF1, NDUFAF3, NDUFAF4, NDUFAF5, NDUFAF6遺伝子:
ミトコンドリア呼吸鎖複合体Iの組み立て因子をコードする遺伝子群。
・FOXRED1遺伝子:
ミトコンドリア呼吸鎖複合体Iの組み立てに関与するFAD依存性酸化還元酵素をコードする遺伝子。
・ACAD9遺伝子:
アシルCoA脱水素酵素ファミリーメンバー9をコードする遺伝子。脂肪酸β酸化だけでなく、複合体Iの組み立てにも関与します。
【ミトコンドリア呼吸鎖複合体III関連遺伝子】
・BCS1L遺伝子:
ミトコンドリア呼吸鎖複合体III(ユビキノール-チトクロムc還元酵素)の組み立て因子をコードする遺伝子。GRACILE症候群の原因遺伝子としても知られています。
・UQCRB遺伝子:
ミトコンドリア呼吸鎖複合体IIIのサブユニットVIIをコードする遺伝子。
【ミトコンドリア呼吸鎖複合体IV関連遺伝子】
・SURF1遺伝子:
ミトコンドリア呼吸鎖複合体IV(チトクロムc酸化酵素)の組み立て因子をコードする遺伝子。リー症候群の主要な原因遺伝子の一つです。
・SCO2遺伝子:
チトクロムc酸化酵素の銅シャペロンをコードする遺伝子。複合体IVの組み立てに必須です。
・COX10遺伝子:
ヘムAファルネシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子。複合体IVのヘムA合成に関与します。
・COX15遺伝子:
ヘムA合成酵素をコードする遺伝子。複合体IVの組み立てに関与します。
・COX6B1遺伝子:
チトクロムc酸化酵素サブユニット6B1をコードする遺伝子。
【ミトコンドリアATP合成酵素(複合体V)関連遺伝子】
・ATP5F1E遺伝子:
ミトコンドリアATP合成酵素F1εサブユニットをコードする遺伝子。
・TMEM70遺伝子:
ミトコンドリアATP合成酵素の組み立て因子をコードする遺伝子。新生児期発症の重症型ATP合成酵素欠損症の主要な原因です。
・ATPAF2遺伝子:
ミトコンドリアATP合成酵素の組み立て因子2をコードする遺伝子。
【コエンザイムQ10生合成関連遺伝子】
・COQ2遺伝子:
コエンザイムQ10生合成のパラヒドロキシベンゾエート-ポリプレニルトランスフェラーゼをコードする遺伝子。
・COQ8A(ADCK3)遺伝子:
コエンザイムQ10生合成に関与するATPaseドメイン含有キナーゼをコードする遺伝子。小脳性運動失調を特徴とします。
・COQ9遺伝子:
コエンザイムQ10生合成タンパク質9をコードする遺伝子。
・PDSS1遺伝子:
デカプレニルジホスフェート合成酵素サブユニット1をコードする遺伝子。コエンザイムQ10のイソプレノイド側鎖合成に関与します。
・PDSS2遺伝子:
デカプレニルジホスフェート合成酵素サブユニット2をコードする遺伝子。
【TCA回路関連遺伝子】
・SUCLA2遺伝子:
コハク酸-CoAリガーゼADPフォーミングβサブユニットをコードする遺伝子。TCA回路の酵素で、リー様症候群の原因となります。
・SUCLG1遺伝子:
コハク酸-CoAリガーゼGDPフォーミングαサブユニットをコードする遺伝子。
・FH遺伝子:
フマラーゼをコードする遺伝子。TCA回路の酵素で、欠損すると重症の乳酸アシドーシスを引き起こします。
【ミトコンドリアDNA維持関連遺伝子】
・POLG遺伝子:
ミトコンドリアDNAポリメラーゼγ触媒サブユニットをコードする遺伝子。ミトコンドリアDNA枯渇症候群やアルパース症候群の原因となります。
・TK2遺伝子:
チミジンキナーゼ2をコードする遺伝子。ミトコンドリアDNA枯渇症候群(筋型)の原因です。
・DGUOK遺伝子:
デオキシグアノシンキナーゼをコードする遺伝子。ミトコンドリアDNA枯渇症候群(肝脳型)の原因です。
・RRM2B遺伝子:
リボヌクレオチド還元酵素制御サブユニットM2Bをコードする遺伝子。ミトコンドリアDNA枯渇症候群の原因となります。
・TYMP遺伝子:
チミジンホスホリラーゼをコードする遺伝子。ミトコンドリア神経消化管脳筋症(MNGIE)の原因です。
【ミトコンドリアタンパク質翻訳関連遺伝子】
・GFM1遺伝子:
ミトコンドリア翻訳伸長因子G1をコードする遺伝子。
・TSFM遺伝子:
ミトコンドリア翻訳伸長因子Tsをコードする遺伝子。
・TUFM遺伝子:
ミトコンドリア翻訳伸長因子Tuをコードする遺伝子。
・DARS2遺伝子:
ミトコンドリアアスパラギルtRNA合成酵素をコードする遺伝子。白質脳症を伴う乳酸アシドーシスの原因となります。
・YARS2遺伝子:
ミトコンドリアチロシルtRNA合成酵素をコードする遺伝子。
・TRMU遺伝子:
ミトコンドリアtRNA修飾酵素をコードする遺伝子。
・PUS1遺伝子:
tRNAシュードウリジン合成酵素1をコードする遺伝子。ミトコンドリア筋症、乳酸アシドーシス、鉄芽球性貧血(MLASA)症候群の原因となります。
・MRPS16遺伝子:
ミトコンドリアリボソーム小サブユニットタンパク質S16をコードする遺伝子。
・MRPS22遺伝子:
ミトコンドリアリボソーム小サブユニットタンパク質S22をコードする遺伝子。
【その他のミトコンドリア機能関連遺伝子】
・LRPPRC遺伝子:
ロイシンリッチペントラトリコペプチドリピート含有タンパク質をコードする遺伝子。フレンチカナダ人に多いリー症候群の原因です。
・TAZ遺伝子:
タファジンをコードする遺伝子。バース症候群(カルジオリピン代謝異常による拡張型心筋症)の原因です。X連鎖遺伝形式です。
・DNM1L遺伝子:
ダイナミン関連タンパク質1(Drp1)をコードする遺伝子。ミトコンドリアの分裂に関与し、欠損すると致死的な脳症を引き起こします。
・SLC25A3遺伝子:
ミトコンドリアリン酸キャリアーをコードする遺伝子。
・SLC25A4遺伝子:
ミトコンドリアADP/ATPトランスロカーゼ1をコードする遺伝子。進行性外眼筋麻痺の原因となります。
【脂肪酸β酸化・電子伝達関連遺伝子】
・ETFA遺伝子:
電子伝達フラボタンパク質αサブユニットをコードする遺伝子。複合型アシルCoA脱水素酵素欠損症(MADD)の原因です。
・ETFB遺伝子:
電子伝達フラボタンパク質βサブユニットをコードする遺伝子。
・ETFDH遺伝子:
電子伝達フラボタンパク質-ユビキノン酸化還元酵素をコードする遺伝子。
・ETHE1遺伝子:
硫黄ジオキシゲナーゼをコードする遺伝子。エチルマロン酸性脳症の原因です。
【その他の代謝関連遺伝子】
・FBP1遺伝子:
フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ1をコードする遺伝子。糖新生の律速酵素で、欠損すると低血糖と乳酸アシドーシスを引き起こします。
・G6PC遺伝子:
グルコース-6-ホスファターゼをコードする遺伝子。糖原病1a型(フォンギールケ病)の原因です。
・GYS2遺伝子:
肝型グリコーゲン合成酵素をコードする遺伝子。糖原病0型の原因です。
・ISCU遺伝子:
鉄硫黄クラスター組み立て酵素をコードする遺伝子。ミオパチーと運動不耐性を特徴とします。
・PLPBP(旧称PROSC)遺伝子:
ピリドキサール5′-リン酸結合タンパク質をコードする遺伝子。ビタミンB6代謝異常症の原因です。
・APTX遺伝子:
アプラタキシンをコードする遺伝子。DNA修復に関与し、欠損すると早発性小脳性運動失調とコエンザイムQ10欠乏を伴います。