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カルタゲナー症候群/内臓錯位症候群 慢性呼吸器感染症遺伝子検査|ミネルバクリニック

カルタゲナー症候群/内臓錯位症候群 慢性呼吸器感染症遺伝子検査|ミネルバクリニック

カルタゲナー症候群/内臓錯位症候群とは

カルタゲナー症候群は、線毛機能不全症候群(Primary Ciliary Dyskinesia: PCD)または原発性線毛運動不全症とも呼ばれる遺伝性疾患の一つです。体内に存在する微細な線毛の運動機能が先天的に障害されることで、慢性的な呼吸器感染症を繰り返す疾患です。線毛機能不全症候群の約50%で内臓逆位を伴い、内臓逆位、気管支拡張症、慢性副鼻腔炎の3つを伴う場合を特にカルタゲナー症候群と呼びます。

内臓錯位症候群(Heterotaxy syndrome)は、胎児期における胸腹部臓器の左右軸決定の障害により、各臓器の位置に異常が生じる先天性疾患です。内臓が左右対称になる病態で、無脾症候群(右側相同)や多脾症候群(左側相同)を含みます。複雑な先天性心疾患を高頻度に合併します。

線毛機能不全症候群は2024年4月から日本の指定難病(告示番号340)に指定されており、約2万人に1人の発症率とされています。線毛は気管・気管支、鼻副鼻腔、耳管、中耳、卵管などの粘膜を覆い、体内に入り込んだ細菌やウイルスなどの病原体を体外に排出する重要な役割を担っています。この線毛の機能が障害されると、病原体の排除能力が低下し、上・下気道の感染症が生じやすくなります。

症状と病態

カルタゲナー症候群/内臓錯位症候群の症状は、線毛機能障害による呼吸器系の問題と、内臓配置異常に関連する症状に大別されます。

線毛機能不全による主要症状

  • 原因不明の新生児呼吸困難
  • 生後早期から始まる鼻炎
  • 難治性の慢性湿性咳嗽(痰を伴う咳)
  • 難治性の慢性副鼻腔炎
  • 進行性の気管支拡張症
  • 反復性の呼吸器感染症(肺炎など)
  • 滲出性中耳炎の遷延による難聴
  • 嗅覚異常

内臓配置異常と合併症

線毛機能不全症候群の約50%で完全内臓逆位を認めます。内臓逆位とは、内臓の一部または全部が鏡に映したように左右反対の位置に配置される状態です。心臓が右側にある場合は右胸心と呼ばれます。

内臓錯位症候群では、以下のような合併症が認められます:

  • 心臓血管系異常:複雑先天性心疾患(単心室、共通房室弁、肺動脈閉鎖・狭窄、総肺静脈還流異常など)
  • 消化器系異常:腸回転異常症、十二指腸閉鎖・狭窄、胆道閉鎖
  • 脾臓異常:無脾症(右側相同)または多脾症(左側相同)
  • 免疫機能低下:無脾症では重症感染症のリスクが高い

生殖機能への影響

線毛は生殖器にも存在するため、不妊症の原因となることがあります:

  • 男性不妊:精子の運動機能障害または精巣輸出管を覆う線毛運動の障害により、自然妊娠が困難になることがあります(顕微受精により妊娠率は向上します)
  • 女性不妊:卵管線毛の運動障害による不妊も報告されています

進行と予後

早期に診断されず適切な管理がなされない場合、進行性の気管支拡張症により重症化し、重症例では肺移植が必要となることがあります。小児期から適切な呼吸管理と感染予防を行うことで、多くの患者さんは比較的良好な予後が期待できます。しかし、複雑心疾患を合併する内臓錯位症候群の場合は、心疾患の重症度により予後が大きく左右されます。

遺伝形式と原因遺伝子

カルタゲナー症候群を含む線毛機能不全症候群は、主に常染色体劣性(潜性)遺伝の形式をとります。線毛の構造や運動を制御するさまざまな遺伝子の変異が関与しています。

線毛機能不全の原因遺伝子

線毛は複雑な構造を持つ細胞小器官で、有効打と回復打の反復によって粘液を外へ向かって移動させます。線毛の主要構造であるダイニンアーム(外腕、内腕)や中心微小管などの異常により、線毛運動が障害されます。

  • DNAH5遺伝子:外腕ダイニン重鎖をコードし、線毛運動機能不全症の最も頻度の高い原因遺伝子の一つです
  • DNAI1遺伝子:外腕ダイニン中間鎖をコードします
  • DNAH11遺伝子:外腕ダイニン重鎖をコードします
  • DNAI2遺伝子:外腕ダイニン中間鎖をコードします
  • CCDC39、CCDC40遺伝子:線毛の軸糸構造に関与するタンパク質をコードします
  • DNAAF1、DNAAF2、DNAAF3遺伝子:ダイニンアーム構築因子をコードし、線毛の組み立てに必要です
  • DNAL1遺伝子:ダイニン軽鎖をコードします
  • NME8遺伝子:細胞内での線毛形成に関与します

遺伝形式

常染色体劣性遺伝の場合、両親がそれぞれ変異を持つ保因者で、子どもが発症するリスクは25%です。保因者となるリスクは50%です。家族歴のない孤発例も多く認められます。

当検査パネルでは、これらの原因遺伝子のうち、臨床的に重要な11遺伝子を対象としています。これにより、線毛機能不全症候群の主要な原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。

ミネルバクリニックのカルタゲナー症候群/内臓錯位症候群遺伝子パネル検査の特徴

「カルタゲナー症候群/内臓錯位症候群 慢性呼吸器感染症 NGSパネル検査」とは、現在カルタゲナー症候群・線毛機能不全症候群の原因として報告されている11の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、カルタゲナー症候群/内臓錯位症候群に関連する11遺伝子を一度に調べられる「カルタゲナー症候群/内臓錯位症候群 慢性呼吸器感染症 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関でカルタゲナー症候群の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、カルタゲナー症候群/内臓錯位症候群に関係するとされる11の遺伝子を一度に調べられる「カルタゲナー症候群/内臓錯位症候群 慢性呼吸器感染症 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行えるカルタゲナー症候群の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「カルタゲナー症候群/内臓錯位症候群 慢性呼吸器感染症 NGSパネル検査」の場合、11の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状からカルタゲナー症候群を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「カルタゲナー症候群/内臓錯位症候群 慢性呼吸器感染症 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な11の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「カルタゲナー症候群/内臓錯位症候群 慢性呼吸器感染症 NGSパネル検査」では、カルタゲナー症候群・線毛機能不全症候群に関係するとされる11種類の遺伝子(CCDC39、CCDC40、DNAAF1、DNAAF2、DNAAF3、DNAH11、DNAH5、DNAI1、DNAI2、DNAL1、NME8)をまとめて検査します。

「カルタゲナー症候群/内臓錯位症候群 慢性呼吸器感染症 NGSパネル検査」は、線毛機能不全症候群の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【カルタゲナー症候群・線毛機能不全症候群・内臓錯位症候群の個人歴または家族歴のある方】に
「カルタゲナー症候群/内臓錯位症候群 慢性呼吸器感染症 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・幼小児期から慢性的な呼吸器感染症を繰り返す方
・難治性の慢性副鼻腔炎がある方
・気管支拡張症と診断された方
・滲出性中耳炎が遷延し難聴がある方
・原因不明の新生児呼吸困難があった方
・内臓逆位(完全または部分的)が認められる方
・心臓が右側にある(右胸心)方
・無脾症または多脾症と診断された方
・複雑先天性心疾患を伴う内臓配置異常がある方
・不妊症で精子運動機能障害が認められる男性
・カルタゲナー症候群または線毛機能不全症候群の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、カルタゲナー症候群・線毛機能不全症候群・内臓錯位症候群の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な呼吸管理、感染予防、定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・早期からの適切な呼吸管理と感染予防
・胸部理学療法の早期開始による気管支拡張症の進行抑制
・去痰薬、気管支拡張薬、必要に応じた抗菌薬の適切な使用
・中耳炎の適切な治療による難聴の予防
・無脾症の場合の予防的抗菌薬投与と重症感染症の予防
・合併する先天性心疾患の早期発見と適切な治療計画
・不妊症の原因特定と生殖補助医療の適応判断
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、常染色体劣性遺伝の形式をとることが多いため、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

CCDC39, CCDC40, DNAAF1, DNAAF2, DNAAF3, DNAH11, DNAH5, DNAI1, DNAI2, DNAL1, NME8 ( 11遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・CCDC39遺伝子:
コイルドコイルドメイン含有タンパク質39をコードする遺伝子。線毛の軸糸構造に関与し、特にN-DRCとよばれる構造体の形成に重要です。変異により線毛運動が著しく障害されます。

・CCDC40遺伝子:
コイルドコイルドメイン含有タンパク質40をコードする遺伝子。CCDC39と同様に、線毛の軸糸構造に関与し、線毛の協調的な運動に必要です。

・DNAAF1遺伝子(LRRC50):
ダイニンアーム構築因子1をコードする遺伝子。線毛内へのダイニンアームの輸送と組み立てに必要で、外腕および内腕ダイニンの両方の構築に関与します。

・DNAAF2遺伝子(KTU):
ダイニンアーム構築因子2をコードする遺伝子。細胞質内でのダイニンアームの構築に必須の因子です。変異により外腕・内腕ダイニンが欠損します。

・DNAAF3遺伝子(PF22):
ダイニンアーム構築因子3をコードする遺伝子。ダイニンアームの組み立てと安定化に関与します。

・DNAH11遺伝子:
ダイニン軸糸重鎖11をコードする遺伝子。外腕ダイニンの重鎖成分で、線毛の運動に必須です。変異により外腕ダイニンの部分的欠損が生じることがあります。

・DNAH5遺伝子:
ダイニン軸糸重鎖5をコードする遺伝子。外腕ダイニンの主要な重鎖成分で、線毛機能不全症候群の最も頻度の高い原因遺伝子の一つです。変異により外腕ダイニンが完全に欠損することが多いです。

・DNAI1遺伝子:
ダイニン軸糸中間鎖1をコードする遺伝子。外腕ダイニンの中間鎖成分で、ダイニンアームの安定化に重要です。DNAH5に次いで頻度の高い原因遺伝子です。

・DNAI2遺伝子:
ダイニン軸糸中間鎖2をコードする遺伝子。外腕ダイニンの中間鎖成分で、DNAI1と同様の機能を持ちます。

・DNAL1遺伝子:
ダイニン軸糸軽鎖1をコードする遺伝子。外腕ダイニンの軽鎖成分で、ダイニンアームの機能に寄与します。

・NME8遺伝子(TXNDC3):
ヌクレオシド二リン酸キナーゼ8をコードする遺伝子。細胞内での線毛形成、特に基底小体の複製と線毛の組み立てに関与します。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、11の原因遺伝子のみを対象としています。線毛機能不全症候群には多数の原因遺伝子が報告されており、この検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状や電気顕微鏡による線毛構造の評価など、他の診断方法と合わせて総合的に判断する必要があります。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
幼小児期から慢性的な呼吸器感染症(副鼻腔炎、気管支炎、肺炎)を繰り返す方、難治性の慢性副鼻腔炎がある方、気管支拡張症と診断された方におすすめします。特に、内臓逆位や右胸心が認められる場合はカルタゲナー症候群の可能性が高くなります。また、家族に同様の症状がある場合も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
カルタゲナー症候群と線毛機能不全症候群の違いは何ですか?
線毛機能不全症候群は、線毛の機能障害により慢性呼吸器感染症を繰り返す疾患の総称です。このうち、内臓逆位、気管支拡張症、慢性副鼻腔炎の3つを伴う場合を特にカルタゲナー症候群と呼びます。線毛機能不全症候群の約50%で内臓逆位を伴います。
家族も検査を受ける必要がありますか?
常染色体劣性遺伝の場合、両親がそれぞれ変異を持つ保因者で、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。将来の家族計画のためにも、ご家族の検査をお勧めします。保因者同士のカップルでは、子どもが発症するリスクは25%です。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
この検査パネルでは11の主要な原因遺伝子を対象としていますが、線毛機能不全症候群には他にも多数の原因遺伝子が報告されています。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
常染色体劣性遺伝の場合、保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%、保因者となる確率は50%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
カルタゲナー症候群の治療はどのように行われますか?
現在のところ根本的な治療法はありませんが、症状に対する対症療法が重要です。胸部理学療法を毎日継続し、去痰薬、気管支拡張薬、必要に応じて抗菌薬を使用します。早期から適切な管理を行うことで、気管支拡張症や呼吸不全への進展を遅らせることができます。
予後はどうですか?
早期に診断され適切な管理が行われれば、多くの患者さんは比較的良好な予後が期待できます。しかし、診断が遅れたり適切な管理がなされない場合は、進行性の気管支拡張症により重症化し、重症例では肺移植が必要となることがあります。内臓錯位症候群で複雑心疾患を合併する場合は、心疾患の重症度により予後が大きく左右されます。
不妊症との関連はありますか?
線毛は生殖器にも存在するため、男性では精子の運動機能障害により不妊症の原因となることがあります。女性では卵管線毛の運動障害による不妊も報告されています。遺伝子検査により原因が特定できれば、顕微受精などの生殖補助医療の適応を判断できます。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な11の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら