InstagramInstagram

ジュベール症候群・メッケル症候群 NGS遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック

ジュベール症候群・メッケル症候群 NGS遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック

ジュベール症候群とは

ジュベール症候群(Joubert Syndrome: JS)は、1969年にカナダのマリー・ジュベール医師により初めて報告された遺伝性神経疾患です。小脳虫部の低形成・欠損を特徴とし、精神運動発達遅滞、筋緊張低下、呼吸異常、眼球運動失行などの多彩な症状を呈します。

最も特徴的な所見は、頭部MRI検査で認められる「臼歯徴候(molar tooth sign)」です。これは小脳虫部の低形成と脳幹部の形態異常により、臼歯(奥歯)のような特有の画像所見が現れるもので、診断に重要な役割を果たします。

ジュベール症候群は、現在では単独の疾患ではなく、疾患スペクトラムとして捉えられています。純粋に神経症状のみを呈する古典型ジュベール症候群から、網膜変性、腎疾患、肝線維症などの多臓器病変を伴うジュベール症候群関連疾患(JSRD)まで、幅広い臨床像を示します。推定発生頻度は80,000人から100,000人に1人の間とされていますが、実際にはこれより高い可能性があります。日本では指定難病177として認定されています。

メッケル症候群とは

メッケル症候群(メッケル・グルーバー症候群:Meckel-Gruber Syndrome: MKS)は、1822年にヨハン・フリードリヒ・メッケルにより詳細に記述された重篤な常染色体劣性遺伝性発達障害です。嚢胞性腎疾患、後頭部脳瘤(後頭脳小頭症)、肝線維症を3主徴とし、多指症も高頻度に合併します。

メッケル症候群は、一次繊毛の機能障害により初期胚形成期に発症し、通常は出生前・周産期致死性です。症状の重篤さから、多くの症例で胎児期に診断され、新生児期に呼吸不全などで死亡することが多いため、最も重症な繊毛病の一つとされています。

興味深いことに、ジュベール症候群とメッケル症候群は、多くの原因遺伝子を共有しており、同一遺伝子の異なる変異が異なる臨床表現型を引き起こします。一般的に、より重度の機能喪失型変異ではメッケル症候群となり、ミスセンス変異などの軽度な変異ではジュベール症候群となる傾向があります。これらは疾患スペクトラムの両端に位置し、同一家系内でメッケル症候群の胎児とジュベール症候群の小児が認められることもあります。

症状と病態

ジュベール症候群の主要症状

ジュベール症候群は、3つの主要所見により診断されます:

  • 臼歯徴候(molar tooth sign):頭部MRIで認められる特徴的画像所見。小脳虫部の低形成・欠損と、上小脳脚の延長・水平走行、第四脳室の拡大により形成されます
  • 精神運動発達遅滞:運動発達と知的発達の遅れ。重症度は個人差が大きく、軽度から最重度まで様々です
  • 筋緊張低下:特に乳児期に顕著で、運動失調へと移行することがあります

ジュベール症候群のその他の症状

  • 呼吸異常:頻呼吸と無呼吸が交互に現れる異常呼吸パターン。乳児期に生命を脅かすことがあります
  • 眼球運動異常:眼球運動失行(意図的に眼球を動かせない)、追視困難、眼振など
  • 視覚障害:網膜変性、網膜コロボーマ、視神経低形成などにより視力障害を来します
  • 腎疾患:ネフロン癆(若年性ネフロン癆)、多発性嚢胞腎などによる進行性腎機能障害。小児期に腎不全に至ることがあります
  • 肝疾患:先天性肝線維症、胆管増生による肝線維症。門脈圧亢進症を来すことがあります
  • 多指症:軸後性多指症(小指側の余剰指)が最も多く見られます
  • 顔面症候:側頭骨間距離の狭小化、長い顔、高い眉毛、眼瞼下垂、目立つ鼻梁と上向きの鼻孔、三角形の口、下顎前突

メッケル症候群の主要症状

メッケル症候群は、以下の3主徴により定義されます:

  • 嚢胞性腎疾患:腎臓に多数の嚢胞が形成され、重度の腎機能障害を引き起こします。腎臓は拡大し、正常な腎実質は残存しないことが多いです
  • 中枢神経系の奇形:後頭部脳瘤(後頭脳小頭症)が最も多く、小脳虫部低形成を伴うこともあります
  • 肝線維症:胆管板奇形により胆管増生と肝線維症を来します

メッケル症候群のその他の症状

  • 多指症:軸後性多指症が高頻度に認められます
  • 口唇口蓋裂
  • 心疾患:心房中隔欠損、心室中隔欠損などの先天性心疾患
  • 性器の異常:停留精巣、陰茎の低形成、両性器異常など
  • 肺低形成:肺の発達不全により呼吸不全を来します

進行と予後

ジュベール症候群:呼吸異常は乳児期に生命を脅かすことがありますが、年齢とともに改善する傾向があります。予後は合併症により大きく異なり、純粋に神経症状のみの場合はリハビリテーションにより生活の質が向上しますが、腎不全や肝線維症を伴う場合は生命予後が悪化します。有馬症候群では早期に腎障害が進行し、遅くとも小児期には腎不全となることが多いです。

メッケル症候群:通常は出生前・周産期致死性です。重篤な腎機能障害、中枢神経系奇形、肺低形成により、胎児期に死亡するか、新生児期早期に呼吸不全や多臓器不全で死亡します。

遺伝形式と原因遺伝子

ジュベール症候群およびメッケル症候群は、いずれも常染色体劣性(潜性)遺伝形式をとる繊毛病(ciliopathy)です。繊毛は細胞表面に存在する毛状の構造物で、シグナル伝達や細胞間コミュニケーションに重要な役割を果たします。

常染色体劣性(潜性)遺伝とは

常染色体劣性遺伝では、父親と母親がそれぞれ原因となる遺伝子変異を1つずつ持っている場合(保因者)、子どもが発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%、変異を持たないリスクは25%です。保因者自身は通常、症状を示しません。

同じ家族内で複数の子どもが発症することがあり、特に血族婚(いとこ婚など)の頻度が高い地域や集団では発症頻度が高くなる傾向があります。

原因遺伝子

現在までに、ジュベール症候群とメッケル症候群を合わせて40以上の原因遺伝子が同定されています。これらの遺伝子の多くは一次繊毛の構造維持、繊毛形成、繊毛内シグナル伝達に関与しています。

両疾患で共通する主要な原因遺伝子には、以下のようなものがあります:

  • CEP290遺伝子:有馬症候群の主要原因遺伝子。日本人集団では特定の変異(c.6012-12T>A)が高頻度に認められます
  • TMEM67遺伝子:肝病変を伴うジュベール症候群の約70%を占めます。眼コロボーマを呈する症例の53%で変異が認められます
  • CC2D2A遺伝子:ジュベール症候群とメッケル症候群の両方の原因となります
  • MKS1遺伝子:メッケル症候群の命名の由来となった最初の原因遺伝子の一つ。重度の機能喪失型変異ではメッケル症候群となり、部分的に機能を保持する変異ではジュベール症候群となります
  • RPGRIP1L遺伝子:メッケル症候群の原因遺伝子としても重要です
  • NPHP1遺伝子:ネフロン癆の主要原因遺伝子で、腎疾患を伴うジュベール症候群で認められます

遺伝子型と表現型の相関

同一の遺伝子でも、変異の種類により異なる臨床表現型を示すことが知られています:

  • 転写終止やヌルバリアントなどの重度の機能喪失型変異では、致死性のメッケル症候群となる傾向があります
  • ミスセンス変異などの軽度の変異では、ジュベール症候群となる傾向があります
  • TMEM67変異は肝線維化のリスクが高く、NPHP1、RPGRIP1L、TMEM237変異は腎疾患のリスクが高いことが報告されています

ミネルバクリニックのジュベール症候群・メッケル症候群遺伝子パネル検査の特徴

「ジュベール症候群・メッケル症候群 NGSパネル検査」とは、現在ジュベール症候群およびメッケル症候群の原因として報告されている43の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、ジュベール症候群およびメッケル症候群に関連する43遺伝子を一度に調べられる「ジュベール症候群・メッケル症候群 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関でジュベール症候群やメッケル症候群の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、ジュベール症候群・メッケル症候群に関係するとされる43の遺伝子を一度に調べられる「ジュベール症候群・メッケル症候群 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行えるジュベール症候群やメッケル症候群の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「ジュベール症候群・メッケル症候群 NGSパネル検査」の場合、43の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状からジュベール症候群やメッケル症候群を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「ジュベール症候群・メッケル症候群 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な43の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・重複 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「ジュベール症候群・メッケル症候群 NGSパネル検査」では、ジュベール症候群およびメッケル症候群に関係するとされる43種類の遺伝子(AHI1、ARL13B、ARL3、ARMC9、B9D1、B9D2、C2CD3、CC2D2A、CEP104、CEP120、CEP290、CEP41、CEP55、CPLANE1、CSPP1、FAM149B1、IFT172、INPP5E、KIAA0556、KIAA0586、KIAA0753、KIF14、KIF7、MKS1、NPHP1、NPHP3、OFD1、PDE6D、PIBF1、RPGRIP1L、SUFU、TCTN1、TCTN2、TCTN3、TMEM107、TMEM138、TMEM216、TMEM231、TMEM237、TMEM67、TTC21B、TXNDC15、ZNF423)をまとめて検査します。

「ジュベール症候群・メッケル症候群 NGSパネル検査」は、ジュベール症候群・メッケル症候群の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【ジュベール症候群またはメッケル症候群の個人歴または家族歴のある方】に
「ジュベール症候群・メッケル症候群 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

ジュベール症候群を疑う症状:
・頭部MRIで臼歯徴候(molar tooth sign)が認められる方
・小脳虫部の低形成・欠損がある方
・精神運動発達遅滞がある方
・筋緊張低下がある方(特に乳児期)
・呼吸異常(頻呼吸と無呼吸の交互出現)がある方
・眼球運動異常(眼球運動失行、眼振など)がある方
・視覚障害(網膜変性、網膜コロボーマなど)がある方
・進行性腎機能障害がある方
・肝線維症がある方
・多指症がある方
・ジュベール症候群または有馬症候群の家族歴がある方

メッケル症候群を疑う所見(主に出生前診断):
・後頭部脳瘤(後頭脳小頭症)がある胎児
・嚢胞性腎疾患が認められる胎児
・多指症がある胎児
・肝線維症の所見がある胎児
・メッケル症候群の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、ジュベール症候群またはメッケル症候群の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な早期介入、定期的なモニタリング、合併症の早期発見・治療を行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・他の神経疾患や繊毛病との鑑別
・適切なリハビリテーションプログラムの立案
・呼吸機能障害のリスク評価と管理
・視覚障害への早期対応と補助療法
・腎機能障害のモニタリングと早期介入(透析、腎移植の準備)
・肝機能障害のモニタリングと管理
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、常染色体劣性遺伝のため、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。また、患者さんのパートナーが保因者である場合、子どもが発症するリスクは50%となります。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

AHI1, ARL13B, ARL3, ARMC9, B9D1, B9D2, C2CD3, CC2D2A, CEP104, CEP120, CEP290, CEP41, CEP55, CPLANE1, CSPP1, FAM149B1, IFT172, INPP5E, KIAA0556, KIAA0586, KIAA0753, KIF14, KIF7, MKS1, NPHP1, NPHP3, OFD1, PDE6D, PIBF1, RPGRIP1L, SUFU, TCTN1, TCTN2, TCTN3, TMEM107, TMEM138, TMEM216, TMEM231, TMEM237, TMEM67, TTC21B, TXNDC15, ZNF423 ( 43遺伝子 )

各遺伝子の機能分類:
・繊毛形成・構造維持に関与する遺伝子:
AHI1、ARL13B、ARL3、B9D1、B9D2、CEP290、CPLANE1、IFT172、INPP5E、RPGRIP1L、TCTN1、TCTN2、TCTN3、TMEM67、TTC21B など

・中心小体・基底小体に関与する遺伝子:
CEP104、CEP120、CEP290、CEP41、CEP55、CSPP1など

・繊毛内シグナル伝達に関与する遺伝子:
KIF7、SUFU、PDE6D、ZNF423など

・主要な原因遺伝子の詳細:

CEP290遺伝子:
中心小体タンパク質290をコードし、繊毛形成と維持に重要な役割を果たします。有馬症候群の主要原因遺伝子で、日本人集団では特定の変異(c.6012-12T>A)が高頻度に認められます。

TMEM67遺伝子:
膜貫通タンパク質67をコードします。肝病変を伴うジュベール症候群の約70%を占め、眼コロボーマを呈する症例の53%で変異が認められます。

CC2D2A遺伝子:
繊毛形成に関与するタンパク質をコードします。ジュベール症候群とメッケル症候群の両方の原因となります。フランス系カナダ人集団では高頻度に認められます。

MKS1遺伝子:
メッケル症候群1型の原因遺伝子で、繊毛基底体に局在するタンパク質をコードします。重度の機能喪失型変異ではメッケル症候群となり、部分的に機能を保持する変異ではジュベール症候群となります。

RPGRIP1L遺伝子:
RPGRIP1様タンパク質をコードし、繊毛基底体での移行帯形成に関与します。メッケル症候群およびジュベール症候群の両方の原因となります。

NPHP1遺伝子:
ネフロシスチン1をコードし、ネフロン癆の主要原因遺伝子です。腎疾患を伴うジュベール症候群で認められ、比較的軽度の虫部低形成を示すことが特徴です。フランス系カナダ人集団では創始者変異が知られています。

CPLANE1遺伝子:
繊毛形成に重要な複合体の構成要素をコードします。フランス系カナダ人集団では最も頻度の高い原因遺伝子の一つで、創始者変異が知られています。

TMEM216遺伝子:
膜貫通タンパク質216をコードし、繊毛の構造維持とシグナル伝達に関与します。ジュベール症候群2型(JBTS2)およびメッケル症候群2型(MKS2)の原因となります。

TMEM231遺伝子:
膜貫通タンパク質231をコードします。Hedgehogシグナル伝達に関与し、ジュベール症候群とメッケル症候群の両方の原因となります。

OFD1遺伝子:
口-顔-指症候群1型の原因遺伝子で、X連鎖遺伝形式をとります。女性では口-顔-指症候群1型を呈し、男性では胎生致死となることが多いですが、軽度の変異では男性でもジュベール症候群を呈することがあります。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、43の原因遺伝子のみを対象としています。ジュベール症候群およびメッケル症候群では、現在も新たな原因遺伝子が報告されており、検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と画像所見に基づいた診断が引き続き重要です。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
頭部MRIで臼歯徴候(molar tooth sign)が認められる方、小脳虫部の低形成・欠損がある方、精神運動発達遅滞がある方、乳児期の呼吸異常(頻呼吸と無呼吸の交互出現)がある方、眼球運動異常がある方などにおすすめします。また、進行性腎機能障害、肝線維症、視覚障害、多指症などの合併がある場合も検査をご検討ください。胎児期に後頭部脳瘤、嚢胞性腎疾患、多指症などが認められる場合はメッケル症候群の可能性があります。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
ジュベール症候群とメッケル症候群の違いは何ですか?
ジュベール症候群は生存可能な疾患で、神経症状を主体とし、多臓器病変を伴うことがあります。一方、メッケル症候群は重篤な多臓器病変を伴い、通常は出生前・周産期致死性です。興味深いことに、両疾患は多くの原因遺伝子を共有しており、同一遺伝子の異なる変異が異なる重症度を引き起こします。一般的に、より重度の機能喪失型変異ではメッケル症候群となり、軽度な変異ではジュベール症候群となる傾向があります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
常染色体劣性遺伝のため、患者さんの兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。また、患者さん自身が将来子どもを持つ場合、パートナーが保因者であれば子どもが発症するリスクは50%となります。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。特に血族婚を考えている場合は、保因者診断が重要です。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
ジュベール症候群およびメッケル症候群では、現在も新たな原因遺伝子が報告されています。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と画像所見(特に臼歯徴候)に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、合併症のリスク、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
常染色体劣性遺伝のため、患者さんの子どもは全員保因者となります。パートナーが保因者である場合、子どもが発症する確率は50%、保因者となる確率は50%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
ジュベール症候群の治療はどのように行われますか?
現在のところ根本的な治療法はありませんが、症状に対する対症療法が行われます。乳児期の呼吸異常には呼吸刺激剤や酸素補給、重症例では人工呼吸管理が必要となることがあります。リハビリテーション(理学療法、作業療法、言語療法)、視覚障害への対応、腎機能障害の管理(透析、腎移植)、肝機能障害の管理などが重要です。早期からの療育支援も必要です。
予後はどうですか?
ジュベール症候群の予後は合併症により大きく異なります。純粋に神経症状のみの場合はリハビリテーションにより生活の質が向上しますが、腎不全や肝線維症を伴う場合は生命予後が悪化します。呼吸異常は年齢とともに改善する傾向があります。有馬症候群では早期に腎障害が進行し、小児期に腎不全に至ることが多いです。メッケル症候群は通常、出生前・周産期致死性です。
有馬症候群とは何ですか?
有馬症候群は1971年に有馬正高医師により報告された、ジュベール症候群関連疾患の中でも重症型です。乳児期早期より重度の精神運動発達遅滞、視覚障害、進行性腎機能障害、眼瞼下垂様顔貌を特徴とし、小脳虫部欠損と脳幹部の形態異常を伴います。日本人集団ではCEP290遺伝子の特定の変異(c.6012-12T>A)が高頻度に認められます。腎機能障害が早期に進行し、小児期には腎不全に至ることが多く、腎透析や腎移植が必要となります。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な43の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら