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肝内胆汁うっ滞症遺伝子検査(NGSパネル)|ミネルバクリニック

肝内胆汁うっ滞症遺伝子検査(NGSパネル)|ミネルバクリニック

肝内胆汁うっ滞症とは

肝内胆汁うっ滞症(Intrahepatic Cholestasis)は、肝臓で作られる胆汁が肝臓内で正常に流れず、肝細胞内に蓄積してしまう状態を指します。胆汁は脂肪の消化・吸収や老廃物の排出に重要な役割を果たす消化液ですが、この流れが障害されることで、黄疸、激しい痒み、肝機能障害などの症状が現れます。

肝内胆汁うっ滞症には、遺伝性のものと後天性のものがあります。遺伝性の代表的な疾患として「進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(Progressive Familial Intrahepatic Cholestasis: PFIC)」があり、乳児期から慢性的な胆汁うっ滞を呈する指定難病です。また、成人では妊娠性肝内胆汁うっ滞症(ICP)や原因不明の慢性胆汁うっ滞症が含まれます。

進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)は、肝細胞から胆管への胆汁の排泄に関わる遺伝子の変異により発症します。日本では約100人程度の患者さんがいると推定されており、小児慢性特定疾病および指定難病(難病338)に指定されています。世界では5万人に1人の発症率とされる稀な疾患です。

症状と病態

肝内胆汁うっ滞症の主な症状は、胆汁が肝臓内に蓄積することで引き起こされます。進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)では、乳児期から症状が現れ、適切な治療がなければ肝硬変へと進行します。

主要症状

  • 遷延性黄疸(生後2週間以降も続く黄疸、皮膚や白眼が黄色くなる)
  • 白色便・灰白色便(胆汁が腸管に届かないため便の色が薄い)
  • 激しい痒み(掻痒感)- 患者さんのQOLを著しく低下させる
  • 肝脾腫(肝臓・脾臓の腫大)
  • 体重増加不良・発育不良
  • 低身長
  • 脂溶性ビタミン欠乏(ビタミンA、D、E、K)
  • 肝機能障害の進行

血液検査所見

肝内胆汁うっ滞症の診断において、血液検査は重要な役割を果たします:

  • 直接ビリルビン(抱合型ビリルビン)の上昇:胆汁うっ滞により排泄できないビリルビンが血中に蓄積します
  • 総胆汁酸の著明な上昇:胆汁酸も肝臓から排出できず血中濃度が高まります
  • AST・ALT(肝逸脱酵素)の上昇:肝細胞障害を反映します
  • γ-GTP値:PFIC1型・2型では正常〜軽度上昇にとどまる(これが診断の重要なポイント)。PFIC3型では高値を示す
  • 血清コレステロール:PFIC1型・2型では上昇しないことが多い

PFICの病型による特徴

原因遺伝子によって、症状や経過に違いがあります:

  • PFIC1型(ATP8B1遺伝子変異):肝臓以外にも症状が現れます。下痢、膵炎、難聴などの肝外症状を伴うことがあります。また、特異的な手指の形態(stubby fingers)が見られることもあります。肝移植後も肝外症状は持続し、グラフト肝が脂肪肝になることがあります
  • PFIC2型(ABCB11遺伝子変異):症状は肝臓に限局しますが、PFIC1型と比べて肝不全への進行が早く、若年期に肝細胞癌を発症することがあります。肝組織では巨細胞性肝炎が特徴的です
  • PFIC3型(ABCB4遺伝子変異):日本人では極めて稀です。乳児期発症から成人発症まで様々で、γ-GTP値が高値となります。胆汁中のリン脂質が不足し、胆汁酸の毒性により胆管上皮が障害されます

関連疾患

良性反復性肝内胆汁うっ滞症(BRIC):PFICの軽症型で、同じ遺伝子変異(ATP8B1またはABCB11)により発症します。間欠的に胆汁うっ滞の発作を繰り返しますが、数週間から数ヶ月で自然に改善し、進行性の肝障害は起こしません。ただし、発作時の強い痒みによりQOLが低下することがあります。

妊娠性肝内胆汁うっ滞症(ICP):ABCB4、ABCB11、ATP8B1遺伝子のヘテロ接合変異を持つ女性が、妊娠を契機に胆汁うっ滞を発症することがあります。母体の強い痒みや、胎児の早産・死産のリスクが高まります。

進行と予後

適切な治療が行われない場合、胆汁うっ滞による肝障害が持続し、肝臓は徐々に線維化して肝硬変へと進行します。最終的には肝不全に至り、肝移植が必要となります。PFIC2型では、若年期に肝細胞癌を発症するリスクがあるため、定期的なモニタリングが重要です。

遺伝形式と原因遺伝子

進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)は常染色体劣性(潜性)遺伝形式をとる遺伝性疾患です。両親がともに保因者(変異を1つずつ持つが発症しない)の場合、子どもが発症する確率は25%、保因者となる確率は50%、変異を持たない確率は25%です。

現在までに、PFICの原因として12型(PFIC1〜PFIC12)までの遺伝子変異が報告されています。いずれも肝細胞から胆汁を排泄する機能に関わる遺伝子の変異です。

主要な原因遺伝子

当検査パネルでは、臨床的に重要な5つの遺伝子を対象としています:

  • ATP8B1遺伝子(PFIC1型):染色体18q21に位置し、FIC1(familial intrahepatic cholestasis 1)タンパク質をコードします。FIC1はリン脂質フリッパーゼ(アミノリン脂質輸送体)として機能し、肝細胞、小腸、腎臓、膵臓、内耳などで発現しています。FIC1の異常により、核内受容体FXRの発現が低下し、その結果、胆汁酸トランスポーターBSEPの発現も低下して胆汁分泌が障害されます
  • ABCB11遺伝子(PFIC2型):染色体2q24に位置し、BSEP(bile salt export pump:胆汁酸排出ポンプ)タンパク質をコードします。BSEPは肝細胞の毛細胆管膜に発現し、一次胆汁酸を毛細胆管腔に分泌させます。BSEPの異常により、肝細胞から胆汁酸を排泄できず、肝細胞内に胆汁酸が蓄積し、巨細胞性肝炎や胆汁うっ滞を引き起こします
  • ABCB4遺伝子(PFIC3型):染色体7q21に位置し、MDR3(multi drug resistance 3 P-glycoprotein)タンパク質をコードします。MDR3は肝細胞の毛細胆管膜に発現し、リン脂質(ホスファチジルコリン)を胆汁中に分泌します。MDR3の異常により、胆汁中のリン脂質が不足し、胆汁酸とのミセル形成ができなくなります。その結果、胆汁酸の界面活性作用により胆管上皮や肝細胞が障害されます
  • EPHX1遺伝子:微小体エポキシド加水分解酵素(microsomal epoxide hydrolase)をコードします。異物代謝や胆汁酸代謝に関与する酵素で、その変異は胆汁うっ滞のリスク因子となることが報告されています
  • UGT1A1遺伝子:UDP-グルクロン酸転移酵素1A1をコードします。ビリルビンの抱合(グルクロン酸抱合)に関与する酵素で、この遺伝子の変異はジルベール症候群やクリグラー・ナジャー症候群の原因となります。胆汁うっ滞症候群においても、ビリルビン代謝の異常に関連します

当検査パネルでは、これらの原因遺伝子のうち、臨床的に重要な5遺伝子を対象としています。これにより、肝内胆汁うっ滞症の主要な原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。

ミネルバクリニックの肝内胆汁うっ滞症遺伝子パネル検査の特徴

「肝内胆汁うっ滞症 NGSパネル検査」とは、現在肝内胆汁うっ滞症の原因として報告されている5の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、肝内胆汁うっ滞症に関連する5遺伝子を一度に調べられる「肝内胆汁うっ滞症 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で肝内胆汁うっ滞症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、肝内胆汁うっ滞症に関係するとされる5の遺伝子を一度に調べられる「肝内胆汁うっ滞症 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える肝内胆汁うっ滞症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「肝内胆汁うっ滞症 NGSパネル検査」の場合、5の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から肝内胆汁うっ滞症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「肝内胆汁うっ滞症 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な5の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「肝内胆汁うっ滞症 NGSパネル検査」では、肝内胆汁うっ滞症に関係するとされる5種類の遺伝子(ABCB11、ABCB4、ATP8B1、EPHX1、UGT1A1)をまとめて検査します。

「肝内胆汁うっ滞症 NGSパネル検査」は、肝内胆汁うっ滞症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【肝内胆汁うっ滞症の個人歴または家族歴のある方】に
「肝内胆汁うっ滞症 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・生後2週間以降も続く黄疸がある乳児
・白色便・灰白色便が認められる乳児
・激しい痒み(掻痒感)がある方
・肝脾腫が認められる方
・体重増加不良・発育不良がある乳幼児
・血液検査で直接ビリルビン・総胆汁酸・AST/ALTが高値だがγ-GTPが正常〜軽度上昇の方
・原因不明の慢性胆汁うっ滞がある方
・妊娠時に胆汁うっ滞を発症した方(妊娠性肝内胆汁うっ滞症)
・肝内胆汁うっ滞症またはPFICの家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、肝内胆汁うっ滞症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な薬物療法、脂溶性ビタミン補充、栄養管理、定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・PFICの病型(1型、2型、3型)の特定
・他の胆汁うっ滞性疾患との鑑別
・適切な薬物療法(ウルソデオキシコール酸、フェノバルビタール、リファンピシンなど)の選択
・脂溶性ビタミン(A、D、E、K)補充の適応判断
・肝細胞癌発症リスクの評価(PFIC2型)
・肝移植の適応やタイミングの判断
・外胆汁瘻造設術の適応判断
・肝外症状(下痢、膵炎、難聴など)のリスク評価(PFIC1型)
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、常染色体劣性遺伝形式のため、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。両親はともに保因者であり、患者さんの子どもは全員保因者となります。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ABCB11, ABCB4, ATP8B1, EPHX1, UGT1A1 ( 5遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・ABCB11遺伝子(PFIC2型):
染色体2q24に位置し、BSEP(bile salt export pump:胆汁酸排出ポンプ)タンパク質をコードします。BSEPは肝細胞の毛細胆管膜に発現し、ATP依存的に一次胆汁酸を毛細胆管腔に分泌させる主要なトランスポーターです。この遺伝子の変異により、肝細胞から胆汁酸を排泄できず、肝細胞内に胆汁酸が蓄積し、巨細胞性肝炎や胆汁うっ滞を引き起こします。PFIC2型は症状が肝臓に限局しますが、肝不全への進行が早く、若年期に肝細胞癌を発症するリスクがあります。また、BSEP機能を阻害する薬剤による薬物性肝障害のリスク因子となることも知られています。

・ABCB4遺伝子(PFIC3型):
染色体7q21に位置し、MDR3(multi drug resistance 3 P-glycoprotein)タンパク質をコードします。MDR3は肝細胞の毛細胆管膜に発現し、リン脂質(特にホスファチジルコリン)を胆汁中に分泌するフリッパーゼとして機能します。この遺伝子の変異により、胆汁中のリン脂質が著しく不足し、胆汁酸とのミセル形成ができなくなります。その結果、胆汁酸の界面活性作用により胆管上皮や肝細胞が直接障害されます。PFIC3型では他の型と異なりγ-GTP値が高値となります。また、ABCB4遺伝子変異は妊娠性肝内胆汁うっ滞症(ICP)や低リン脂質関連胆石症の原因としても知られています。

・ATP8B1遺伝子(PFIC1型):
染色体18q21に位置し、FIC1(familial intrahepatic cholestasis 1)タンパク質をコードします。FIC1はtype IV P-type ATPase subfamilyに属し、アミノリン脂質フリッパーゼ(aminophospholipid flippase)として機能します。細胞膜の内側から外側へホスファチジルセリンやホスファチジルエタノールアミンを輸送し、膜の非対称性を維持します。FIC1は肝臓のほか、腎臓、小腸、膵臓、内耳(蝸牛有毛細胞)、膀胱、胃など多くの臓器で発現しています。FIC1の異常により、核内受容体FXR(Farnesoid X receptor)の発現が低下し、その結果、胆汁酸トランスポーターBSEPの発現も低下して胆汁分泌が障害されます。PFIC1型では肝外症状として下痢、膵炎、難聴などを合併することがあります。肝移植後も肝外症状は持続し、グラフト肝が脂肪肝になることがあり、術後の管理に注意が必要です。

・EPHX1遺伝子:
染色体1q42.12に位置し、微小体エポキシド加水分解酵素(microsomal epoxide hydrolase:mEH)をコードします。この酵素は肝臓の小胞体に局在し、エポキシド化合物を加水分解してジヒドロジオールに変換する第II相代謝酵素です。主に異物代謝(薬物や環境毒素の解毒)に関与しますが、胆汁酸代謝やステロイド代謝にも関連します。EPHX1遺伝子の多型は、酵素活性の個人差を生み出し、薬物性肝障害、胆汁うっ滞、胆石症などのリスク因子となることが報告されています。特に、低活性型のバリアントを持つ個人では、胆汁うっ滞のリスクが高まる可能性が示唆されています。

・UGT1A1遺伝子:
染色体2q37に位置し、UDP-グルクロン酸転移酵素1A1(UDP-glucuronosyltransferase 1A1)をコードします。この酵素は肝臓の小胞体に局在し、ビリルビンを水溶性のグルクロン酸抱合ビリルビンに変換します。この反応により、ビリルビンは胆汁中に排泄可能となります。UGT1A1遺伝子の変異は、その重症度によって異なる疾患を引き起こします。完全な酵素欠損はクリグラー・ナジャー症候群1型(重症、新生児期に核黄疸のリスク)、部分的な酵素欠損はクリグラー・ナジャー症候群2型(中等症)、軽度の酵素活性低下はジルベール症候群(良性、間欠的な軽度黄疸)の原因となります。また、UGT1A1遺伝子多型は新生児黄疸の遷延や、胆汁うっ滞症候群におけるビリルビン代謝異常の修飾因子としても重要です。特に*28アレル(プロモーター領域のTA反復配列の増加)は日本人の約10-15%に認められ、軽度の高ビリルビン血症と関連します。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、5の原因遺伝子のみを対象としています。現在までに報告されているPFIC6型〜PFIC12型の原因遺伝子(SLC51A、USP53、KLF12、ZFYVE19、MYO5B、SEMA7A、VPS33B)は含まれていません。また、先天性胆汁酸代謝異常症やシトリン欠損症など、胆汁うっ滞を呈する他の遺伝性疾患の原因遺伝子も対象外です。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
生後2週間以降も黄疸が続く乳児、白色便や灰白色便が認められる乳児、激しい痒みがある方におすすめします。血液検査で直接ビリルビン・総胆汁酸・AST/ALTが高値だが、γ-GTPが正常〜軽度上昇にとどまる場合は、PFIC1型または2型の可能性が高くなります。また、家族に同様の症状がある場合も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。乳児の場合は、採血が困難なことが多いため、頬粘膜スワブでの検査をお勧めします。
PFIC1型、2型、3型の違いは何ですか?
PFIC1型(ATP8B1遺伝子変異)は肝外症状(下痢、膵炎、難聴など)を伴うことがあり、肝移植後も肝外症状は持続します。PFIC2型(ABCB11遺伝子変異)は症状が肝臓に限局しますが、肝不全への進行が早く、若年期に肝細胞癌を発症するリスクがあります。PFIC3型(ABCB4遺伝子変異)は日本人では極めて稀で、γ-GTP値が高値となることが特徴です。当検査により原因遺伝子を特定することで、病型に応じた適切な管理が可能になります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
常染色体劣性遺伝形式のため、患者さんの兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。両親はともに保因者であり、患者さんの子どもは全員保因者となります。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
この検査パネルでは5つの主要な遺伝子のみを対象としており、PFIC6型〜PFIC12型の原因遺伝子や、先天性胆汁酸代謝異常症など他の疾患の遺伝子は含まれていません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と血液検査、肝生検などに基づいた診断と管理が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。ただし、PFICは小児慢性特定疾病および指定難病に指定されており、診断確定後は医療費助成制度を利用できる可能性があります。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、病型、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
常染色体劣性遺伝形式のため、患者さんの子どもは全員保因者となりますが、パートナーが保因者でない限り、子どもが発症することはありません。ただし、パートナーも保因者の場合は、子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
肝内胆汁うっ滞症の治療はどのように行われますか?
治療は対症療法が中心となります。ウルソデオキシコール酸、フェノバルビタール、リファンピシンなどの利胆剤、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の補充、MCTミルクによる栄養管理などが行われます。掻痒感の軽減や病気の進行を遅らせる目的で外胆汁瘻造設術が行われることもあります。保存的治療が無効で肝硬変に進行した場合は、肝移植が必要となります。
予後はどうですか?
適切な治療が行われない場合、肝硬変へと進行し、最終的には肝移植が必要となります。PFIC2型では若年期に肝細胞癌を発症するリスクがあるため、定期的なモニタリングが重要です。肝移植後の予後は比較的良好ですが、PFIC1型では肝移植後も肝外症状(下痢、脂肪肝など)が持続するため、術後も継続的な管理が必要です。
良性反復性肝内胆汁うっ滞症(BRIC)とPFICの違いは何ですか?
BRICはPFICの軽症型で、同じ遺伝子変異(ATP8B1またはABCB11)により発症します。BRICでは間欠的に胆汁うっ滞の発作を繰り返しますが、数週間から数ヶ月で自然に改善し、進行性の肝障害は起こしません。一方、PFICは持続的な胆汁うっ滞により肝硬変へと進行します。遺伝子検査だけでは両者を区別できないため、臨床経過と肝組織所見による判定が重要です。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な5の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら