InstagramInstagram

魚鱗癬NGS遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック

魚鱗癬NGS遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック

魚鱗癬とは

魚鱗癬(ぎょりんせん、Ichthyosis)は、皮膚の角質層が異常に厚くなり、全身または一部の皮膚が魚の鱗のように乾燥して剥がれる遺伝性の皮膚疾患です。皮膚のバリア機能や水分保持能力に影響を与え、患者さんの日常生活にさまざまな不便をもたらすことがあります。

本疾患は臨床的にも遺伝学的にも多様性が高く、鱗屑の範囲や程度、紅斑(皮膚の発赤)の有無、発症時期、遺伝形式などが患者さんによって異なります。魚鱗癬は単独で発症することもあれば、他の臓器症状を伴う症候群の一部として発症することもあります。

魚鱗癬は遺伝子異常による皮膚表面角質の形成障害が原因と考えられており、特にケラチン1や10の遺伝子異常に起因することが示唆されています。夏は特に体温調節が難しく、根本的な治療法はまだ見つかっていません。日本においては、厚生労働省の定める小児慢性特定疾病の対象に先天性魚鱗癬が含まれています。伝染性は全くありませんが、外見の印象が強い症状であるため、差別・偏見の問題があります。

症状と病態

魚鱗癬の主な症状は、皮膚の乾燥、うろこ状の角質の蓄積、表皮剥離、紅皮症などです。魚鱗癬にはいくつかの種類があり、症状の出現時期や程度は種類によって異なるほか、皮膚以外の臓器障害を伴う場合もあります。

主要症状

  • 皮膚の乾燥(ドライスキン)
  • うろこ状の角質の蓄積(鱗屑)
  • 皮膚の肥厚(過角化)
  • 紅斑(皮膚の発赤)
  • かゆみ
  • 皮膚の亀裂
  • 水疱形成(一部の型)
  • 体温調節障害

主な病型と特徴

魚鱗癬は病型によって症状が異なります:

  • 尋常性魚鱗癬:最も一般的な型で、常染色体優性遺伝形式をとります。出生時から症状が現れる場合もあれば、幼児期や小児期に徐々に発症することもあります。
  • X連鎖性魚鱗癬:X染色体上の遺伝子変異(STS遺伝子)によって引き起こされる型です。主に男性に発症し、ステロイドスルファターゼの欠損により生じます。
  • 先天性魚鱗癬様紅皮症:出生時から重度の症状を呈する型で、全身の皮膚が赤く硬化する点が特徴です。常染色体劣性遺伝形式をとります。
  • 葉状魚鱗癬:暗褐色の板状鱗屑が特徴的で、紅斑は軽度です。常染色体劣性遺伝形式をとります。
  • 表皮融解性魚鱗癬:皮膚の脆弱性を特徴とするまれな病型です。水疱形成と表皮剥離がみられ、感染症のリスクが高くなります。
  • 道化師様魚鱗癬:最重症型の魚鱗癬で、出生時にすでに全身が厚い板状の角質に覆われています。皮膚の深い亀裂、眼瞼外反、口唇の突出・開口が特徴的です。

魚鱗癬症候群

魚鱗癬に加えて他の臓器症状を伴う症候群もあります:

  • ネザートン症候群:先天性魚鱗癬に毛髪異常(陥入性裂毛症)、アトピー素因を合併します。
  • シェーグレン・ラルソン症候群:先天性魚鱗癬に四肢の痙性麻痺、精神遅滞を合併します。
  • レフサム病:魚鱗癬に網膜色素変性症、末梢神経障害、難聴、小脳失調を合併します。
  • MEDNIK症候群:精神遅滞、腸疾患、難聴、末梢神経障害、魚鱗癬、掌蹠角化症を特徴とします。
  • KID症候群:角膜炎・魚鱗癬・難聴を特徴とする症候群です。

合併症

魚鱗癬では以下のような合併症が生じることがあります:

  • 脱水
  • 感染症(皮膚のバリア機能低下により)
  • 体温調節障害(過熱)
  • 眼瞼外反(重症例)
  • 成長障害(重症例)
  • 聴覚障害(一部の症候群型)

遺伝形式と原因遺伝子

魚鱗癬は遺伝学的に非常に多様性が高く、常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝、X連鎖遺伝のいずれの形式でも発症します。現在までに多数の原因遺伝子が同定されており、各遺伝子は皮膚の角化プロセスやバリア機能の維持に関与しています。

常染色体優性(顕性)遺伝形式

以下の遺伝子が知られています:

  • FLG遺伝子:フィラグリンをコードし、尋常性魚鱗癬の原因となります。最も頻度の高い魚鱗癬です。
  • KRT1、KRT10遺伝子:ケラチンをコードし、表皮融解性魚鱗癬の原因となります。
  • KRT2遺伝子:ケラチン2をコードし、表在性表皮融解性魚鱗癬の原因となります。
  • GJA1、GJB2、GJB3、GJB4、GJB6遺伝子:コネキシンをコードし、KID症候群などの原因となります。

常染色体劣性(潜性)遺伝形式

重症型が多い傾向があります:

  • ABCA12遺伝子:ABCトランスポーターをコードし、道化師様魚鱗癬の原因となります。
  • TGM1遺伝子:トランスグルタミナーゼ1をコードし、葉状魚鱗癬の主要な原因遺伝子です。
  • ALOX12B、ALOXE3遺伝子:リポキシゲナーゼをコードし、常染色体劣性先天性魚鱗癬の原因となります。
  • CYP4F22遺伝子:シトクロムP450をコードし、葉状魚鱗癬の原因となります。
  • SPINK5遺伝子:セリンプロテアーゼインヒビターをコードし、ネザートン症候群の原因となります。
  • ALDH3A2遺伝子:脂肪アルデヒド脱水素酵素をコードし、シェーグレン・ラルソン症候群の原因となります。
  • PHYH、PEX7遺伝子:ペルオキシソーム機能に関与し、レフサム病の原因となります。

X連鎖遺伝形式

  • STS遺伝子:ステロイドスルファターゼをコードし、X連鎖性魚鱗癬(ステロイドスルファターゼ欠損症)の原因となります。男性に発症します。
  • ARSE遺伝子:アリルスルファターゼEをコードします。

当検査パネルでは、これらの原因遺伝子のうち、臨床的に重要な44遺伝子を対象としています。これにより、魚鱗癬の主要な原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。

ミネルバクリニックの魚鱗癬遺伝子パネル検査の特徴

「魚鱗癬 NGSパネル検査」とは、現在魚鱗癬の原因として報告されている44の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、魚鱗癬に関連する44遺伝子を一度に調べられる「魚鱗癬 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で魚鱗癬の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、魚鱗癬に関係するとされる44の遺伝子を一度に調べられる「魚鱗癬 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える魚鱗癬の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「魚鱗癬 NGSパネル検査」の場合、44の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から魚鱗癬を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「魚鱗癬 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な44の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「魚鱗癬 NGSパネル検査」では、魚鱗癬に関係するとされる44種類の遺伝子(ABCA12、ABHD5、ALDH3A2、ALOX12B、ALOXE3、AP1S1、ARSE、CASP14、CERS3、CLDN1、CRYL1、CYP4F22、EBP、ELOVL4、ERCC2、ERCC3、FLG、GJA1、GJB2、GJB3、GJB4、GJB6、GTF2H5、KRT1、KRT10、KRT2、KRT9、LIPN、LOR、MPLKIP、NIPAL4、PEX7、PHYH、PNPLA1、POMP、SLC27A4、SNAP29、SPINK5、ST14、STS、SUMF1、TGM1、TGM5、VPS33B)をまとめて検査します。

「魚鱗癬 NGSパネル検査」は、魚鱗癬の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【魚鱗癬の個人歴または家族歴のある方】に
「魚鱗癬 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・生まれつきまたは幼少期から皮膚が乾燥しやすい方
・全身または一部の皮膚がカサカサしている、またはウロコ状になっている方
・皮膚が厚く硬くなっている方
・出生時に膜様の皮膚(コロジオン児)で生まれた方
・皮膚の発赤(紅斑)を伴う方
・水疱や皮膚剥離がみられる方
・体温調節が困難な方
・魚鱗癬の家族歴がある方
・魚鱗癬に関連する他の症状(毛髪異常、難聴、精神遅滞など)を伴う方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、魚鱗癬の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切なスキンケア、保湿剤の使用、感染予防、合併症のモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・病型の特定と予後予測
・適切なスキンケア方法の立案
・感染症リスクの評価と予防
・体温調節障害への対策
・眼科的合併症の早期発見と管理
・他臓器症状(聴覚障害、神経障害など)のリスク評価
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%、X連鎖遺伝の場合は保因者の女性の息子が発症するリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ABCA12, ABHD5, ALDH3A2, ALOX12B, ALOXE3, AP1S1, ARSE, CASP14, CERS3, CLDN1, CRYL1, CYP4F22, EBP, ELOVL4, ERCC2, ERCC3, FLG, GJA1, GJB2, GJB3, GJB4, GJB6, GTF2H5, KRT1, KRT10, KRT2, KRT9, LIPN, LOR, MPLKIP, NIPAL4, PEX7, PHYH, PNPLA1, POMP, SLC27A4, SNAP29, SPINK5, ST14, STS, SUMF1, TGM1, TGM5, VPS33B ( 44遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・ABCA12遺伝子:
ATP結合カセットトランスポーターA12をコードする遺伝子。道化師様魚鱗癬の原因となる最も重要な遺伝子です。

・ABHD5遺伝子:
α/β加水分解酵素ドメイン含有タンパク質5をコードする遺伝子。ドルフマン・シャナリン症候群(中性脂肪蓄積症)の原因となります。

・ALDH3A2遺伝子:
脂肪アルデヒド脱水素酵素をコードする遺伝子。シェーグレン・ラルソン症候群の原因となります。

・ALOX12B遺伝子:
12-リポキシゲナーゼをコードする遺伝子。常染色体劣性先天性魚鱗癬の原因となります。

・ALOXE3遺伝子:
表皮型リポキシゲナーゼをコードする遺伝子。常染色体劣性先天性魚鱗癬の原因となります。

・AP1S1遺伝子:
アダプタータンパク質複合体1シグマサブユニットをコードする遺伝子。MEDNIK症候群の原因となります。

・ARSE遺伝子:
アリルスルファターゼEをコードする遺伝子。X連鎖性魚鱗癬の一部の原因となります。

・CASP14遺伝子:
カスパーゼ14をコードする遺伝子。皮膚のバリア機能に関与します。

・CERS3遺伝子:
セラミド合成酵素3をコードする遺伝子。常染色体劣性先天性魚鱗癬の原因となります。

・CLDN1遺伝子:
クローディン1をコードする遺伝子。NISCH症候群の原因となります。

・CRYL1遺伝子:
クリスタリンラムダ1をコードする遺伝子。

・CYP4F22遺伝子:
シトクロムP450ファミリー4サブファミリーFメンバー22をコードする遺伝子。葉状魚鱗癬の原因となります。

・EBP遺伝子:
エモパミル結合タンパク質をコードする遺伝子。CHILD症候群やConradi-Hünermann-Happle症候群の原因となります。

・ELOVL4遺伝子:
長鎖脂肪酸伸長酵素4をコードする遺伝子。

・ERCC2遺伝子:
除去修復クロスコンプリメンティング2をコードする遺伝子。Trichothiodystrophyの原因となります。

・ERCC3遺伝子:
除去修復クロスコンプリメンティング3をコードする遺伝子。Trichothiodystrophyの原因となります。

・FLG遺伝子:
フィラグリンをコードする遺伝子。尋常性魚鱗癬の主要な原因遺伝子で、最も頻度が高いです。

・GJA1遺伝子:
コネキシン43をコードする遺伝子。

・GJB2遺伝子:
コネキシン26をコードする遺伝子。KID症候群の原因となります。

・GJB3遺伝子:
コネキシン31をコードする遺伝子。紅斑性角化症の原因となります。

・GJB4遺伝子:
コネキシン30.3をコードする遺伝子。紅斑性角化症の原因となります。

・GJB6遺伝子:
コネキシン30をコードする遺伝子。

・GTF2H5遺伝子:
一般転写因子IIHサブユニット5をコードする遺伝子。Trichothiodystrophyの原因となります。

・KRT1遺伝子:
ケラチン1をコードする遺伝子。表皮融解性魚鱗癬の原因となります。

・KRT10遺伝子:
ケラチン10をコードする遺伝子。表皮融解性魚鱗癬の原因となります。

・KRT2遺伝子:
ケラチン2をコードする遺伝子。表在性表皮融解性魚鱗癬の原因となります。

・KRT9遺伝子:
ケラチン9をコードする遺伝子。掌蹠角化症に関連します。

・LIPN遺伝子:
リパーゼNをコードする遺伝子。

・LOR遺伝子:
ロリクリンをコードする遺伝子。Vohwinkel症候群の原因となります。

・MPLKIP遺伝子:
M期ホスホタンパク質9様タンパク質をコードする遺伝子。

・NIPAL4遺伝子:
NIPA様ドメイン含有タンパク質4をコードする遺伝子。常染色体劣性先天性魚鱗癬の原因となります。

・PEX7遺伝子:
ペルオキシソーム生合成因子7をコードする遺伝子。レフサム病の一部の原因となります。

・PHYH遺伝子:
フィタノイルCoAヒドロキシラーゼをコードする遺伝子。レフサム病の主要な原因遺伝子です。

・PNPLA1遺伝子:
パテンチンライクホスホリパーゼドメイン含有タンパク質1をコードする遺伝子。常染色体劣性先天性魚鱗癬の原因となります。

・POMP遺伝子:
プロテアソーム成熟タンパク質をコードする遺伝子。

・SLC27A4遺伝子:
溶質輸送担体ファミリー27メンバー4をコードする遺伝子。魚鱗癬を伴う無汗性外胚葉異形成症の原因となります。

・SNAP29遺伝子:
シナプトソーム関連タンパク質29をコードする遺伝子。CEDNIK症候群の原因となります。

・SPINK5遺伝子:
セリンプロテアーゼインヒビターカザールタイプ5をコードする遺伝子。ネザートン症候群の原因となります。

・ST14遺伝子:
抑制膜結合型セリンプロテアーゼ14をコードする遺伝子。

・STS遺伝子:
ステロイドスルファターゼをコードする遺伝子。X連鎖性魚鱗癬(ステロイドスルファターゼ欠損症)の原因となります。

・SUMF1遺伝子:
スルファターゼ修飾因子1をコードする遺伝子。多発性スルファターゼ欠損症の原因となります。

・TGM1遺伝子:
トランスグルタミナーゼ1をコードする遺伝子。葉状魚鱗癬の主要な原因遺伝子です。

・TGM5遺伝子:
トランスグルタミナーゼ5をコードする遺伝子。掌蹠角化症と剥離性角化症に関連します。

・VPS33B遺伝子:
液胞タンパク質選別33ホモログBをコードする遺伝子。関節拘縮・腎障害・胆汁うっ滞症候群の原因となります。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、44の原因遺伝子のみを対象としています。魚鱗癬には多数の原因遺伝子が存在し、すべての原因が解明されているわけではありません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
生まれつきまたは幼少期から皮膚が乾燥しやすい方、全身または一部の皮膚がカサカサしている、ウロコ状になっている方におすすめします。特に家族に同様の症状がある場合、出生時にコロジオン児として生まれた場合、水疱や皮膚剥離を伴う場合は検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
魚鱗癬は治りますか?
現在のところ根本的な治療法はありませんが、適切なスキンケアと保湿剤の使用により症状を大幅に改善できます。保湿剤、尿素やα-ヒドロキシ酸含有ローション、レチノイド(重症例)などが使用されます。入浴直後の保湿が重要です。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。X連鎖遺伝の場合、保因者の女性の息子が発症するリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
魚鱗癬には多数の原因遺伝子が存在し、すべての原因が解明されているわけではありません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%、X連鎖遺伝の場合は保因者の女性の息子が発症する確率は50%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
日常生活で気をつけることはありますか?
こまめに保湿し、体温調節に気を配りましょう。入浴直後まだ皮膚が湿っている間に保湿剤を塗布することが重要です。乾燥を避け、適度な湿度を保つことも大切です。感染予防のため、皮膚を清潔に保ち、傷がある場合は適切にケアしてください。
予後はどうですか?
病型によって予後が異なります。尋常性魚鱗癬やX連鎖性魚鱗癬など比較的軽症の型では、適切なスキンケアにより通常の生活を送ることができます。道化師様魚鱗癬などの重症型では、新生児期の管理が重要ですが、近年の医療の進歩により生存率は向上しています。魚鱗癬症候群では、皮膚以外の症状の管理も重要です。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な44の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら