甲状腺機能低下症・甲状腺ホルモン不応症遺伝子検査|ミネルバクリニック
甲状腺機能低下症とは
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの産生や分泌が不足することにより、身体の代謝が低下する疾患です。特に先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)は、最も一般的な先天性内分泌疾患で、出生児の約3,000~4,000人に1人の割合で発生します。
甲状腺ホルモンは、首にある甲状腺という臓器で作られるホルモンで、子どもにおける脳や身体の発達・成熟、心臓の働き、代謝の調節など、非常に重要な役割を担っています。特に胎児期から新生児期の中枢神経系の発達や身体の発育に欠かすことができないホルモンです。
日本では生後すぐに全ての赤ちゃんに対して新生児マススクリーニング検査を行っており、症状が出る前に早期診断と早期治療を開始できる体制が整っています。早期に甲状腺ホルモンを補う治療を開始すれば、知的障害や発達遅滞などの影響を防ぐことができます。
先天性甲状腺機能低下症の原因
先天性甲状腺機能低下症の原因は多岐にわたります。主な原因は以下の通りです:
甲状腺の形態異常(約85~90%)
- 甲状腺無形成:甲状腺が生まれつきない
- 甲状腺低形成:甲状腺が小さい
- 異所性甲状腺:甲状腺が首の前面(正所)ではなく、舌のねもと(舌根部)など別の場所に存在する
甲状腺ホルモンの合成障害(約10~15%)
甲状腺は正常な大きさと位置にあるものの、甲状腺ホルモンを合成する過程に問題があるため、ホルモンが十分に作られません。遺伝性の場合が多く、複数の遺伝子が関与しています。
中枢性甲状腺機能低下症(約5%)
甲状腺自体には問題がないものの、脳の視床下部や下垂体に障害があり、甲状腺に対して指令を出す甲状腺刺激ホルモン(TSH)や甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)が不足するために起こります。
その他
- 母親のヨウ素(ヨード)過剰摂取
- 母親の抗甲状腺薬の影響
- 母親のバセドウ病による抗体の影響
甲状腺ホルモン不応症とは
甲状腺ホルモン不応症(Resistance to Thyroid Hormone: RTH)は、血液中に甲状腺ホルモンが十分にあるにもかかわらず、身体の臓器や組織が甲状腺ホルモンに適切に反応できない状態です。レフェトフ症候群とも呼ばれる遺伝性疾患で、約4万人に1人の頻度で認められます。
甲状腺ホルモンは、細胞内の核にある甲状腺ホルモン受容体と結合することで、標的遺伝子の発現を調節し、身体のさまざまな機能を制御しています。甲状腺ホルモン受容体にはα型とβ型の2種類があり、甲状腺ホルモン不応症の約85%はβ型受容体(TRβ)の遺伝子変異によって引き起こされます。
甲状腺ホルモン不応症は常染色体優性遺伝形式をとり、約50%の確率で子どもに遺伝しますが、両親にこの病気がなくても突然変異により発症することもあります。指定難病(難病指定80)および小児慢性特定疾病に認定されており、医療費助成を受けることができます。
甲状腺ホルモン不応症の分類
甲状腺ホルモン不応症は、症状の現れ方によって以下のように分類されます:
全身型(Generalized RTH)
最も一般的な型で、身体のほぼすべての組織で甲状腺ホルモンへの反応が低下しています。多くの場合、自覚症状がないか軽度です。
下垂体型(Pituitary RTH)
下垂体での甲状腺ホルモン不応性が強く、末梢組織では比較的正常に反応するため、甲状腺機能亢進症様の症状(動悸、頻脈、体重減少など)が現れることがあります。
症状と病態
先天性甲状腺機能低下症の症状
新生児期では特異的な症状がないことも多く、新生児マススクリーニング検査で発見されることがほとんどです。治療が行われない場合、以下のような症状が徐々に現れます:
- 活動性の低下(嗜眠)、不活発でよく眠る
- 哺乳力低下、食欲の減退
- 新生児黄疸の遷延(黄疸が長引く)
- 便秘
- 体重増加不良
- 筋肉の緊張低下
- 皮膚の乾燥、あまり汗をかかない
- 体温低下、寒がり
- 心拍数の低下
- 臍ヘルニア(でべそ)
- 大泉門・小泉門の拡大
- 舌の腫大、口をいつも開けている
- かすれた泣き声
- 四肢の冷感、浮腫
- クレチン顔貌(眼瞼がはれぼったい、鼻が低い、大きな舌)
長期的な影響
治療が行われない場合や治療開始が遅れた場合、以下のような重篤な影響が生じる可能性があります:
- 中枢神経の発達遅延による知的障害(生後3ヶ月以降に治療開始した場合)
- 成長障害(身長が伸びない、体重が増えない)
- 骨年齢の遅れ
- 運動発達の遅れ
- 難聴
ただし、生後3ヶ月以内、できれば1ヶ月以内に治療を開始すれば、正常な発達を期待できます。
甲状腺ホルモン不応症の症状
甲状腺ホルモン不応症の症状は個人差が大きく、多くの場合は自覚症状がないか軽度です:
- 甲状腺腫(甲状腺の腫大)
- 頻脈(脈が速い):心臓は甲状腺ホルモンに対する反応性が比較的保たれているため
- 注意欠陥多動性障害(ADHD)様の症状(落ち着きがない、集中力がない)
- 学習困難
- 甲状腺ホルモンへの反応が極端に悪い場合:低身長、知能低下
- 女性患者の妊娠時:流産、低出生体重児のリスク上昇
血液検査所見の特徴
甲状腺ホルモン不応症では、以下の特徴的な検査所見が認められます:
- 血中の甲状腺ホルモン(FT3、FT4)が高値
- TSH(甲状腺刺激ホルモン)は正常値または軽度高値
この状態を「不適切TSH分泌症候群(SITSH)」といいます。通常、甲状腺ホルモンが高値の場合、TSHは低下しますが、甲状腺ホルモン不応症では下垂体も甲状腺ホルモンに反応しにくいため、TSHが抑制されません。
ミネルバクリニックの甲状腺機能低下症・甲状腺ホルモン不応症遺伝子パネル検査の特徴
「甲状腺機能低下症・甲状腺ホルモン不応症 NGSパネル検査」とは、現在甲状腺機能低下症と甲状腺ホルモン不応症の原因として報告されている36の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
このパネル検査は、甲状腺の成長・発育に関与する遺伝子、甲状腺ホルモンの産生・合成に関与する遺伝子、下垂体ホルモンの産生に関与する遺伝子、甲状腺ホルモン受容体の遺伝子など、包括的に評価することができます。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、甲状腺機能低下症と甲状腺ホルモン不応症に関連する遺伝子を一度に調べられる「甲状腺機能低下症・甲状腺ホルモン不応症 NGSパネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関で甲状腺疾患の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、甲状腺機能低下症と甲状腺ホルモン不応症に関係するとされる36の遺伝子を一度に調べられる「甲状腺機能低下症・甲状腺ホルモン不応症 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行える甲状腺疾患の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「甲状腺機能低下症・甲状腺ホルモン不応症 NGSパネル検査」の場合、36の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
臨床症状から甲状腺疾患を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「甲状腺機能低下症・甲状腺ホルモン不応症 NGSパネル検査」ならば、甲状腺の発育、ホルモン合成、下垂体機能、ホルモン受容体など、包括的に原因遺伝子を検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「甲状腺機能低下症・甲状腺ホルモン不応症 NGSパネル検査」では、甲状腺機能低下症と甲状腺ホルモン不応症に関係するとされる36種類の遺伝子をまとめて検査します。これらの遺伝子は、甲状腺の成長・発育、甲状腺ホルモンの産生・合成、下垂体ホルモンの産生、甲状腺ホルモン受容体など、多岐にわたります。
「甲状腺機能低下症・甲状腺ホルモン不応症 NGSパネル検査」は、これらの疾患の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【甲状腺機能低下症または甲状腺ホルモン不応症の個人歴または家族歴のある方】に
「甲状腺機能低下症・甲状腺ホルモン不応症 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・新生児マススクリーニング検査で甲状腺機能異常を指摘された方
・甲状腺機能低下症と診断された方で原因が不明な方
・先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)の診断を受けた方
・甲状腺ホルモン不応症が疑われる方(甲状腺ホルモン高値だがTSHが抑制されない)
・成長障害や発達遅滞がある方
・甲状腺腫がある方
・治療抵抗性の甲状腺機能異常がある方
・甲状腺疾患の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、甲状腺疾患の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、予防的治療や定期的なモニタリングを行うことができます。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・甲状腺ホルモン補充療法の最適化
・治療方針の個別化
・成長障害・発達遅滞の予防
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族にも影響がある可能性があります。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。
対象遺伝子
- 詳しくはこちら
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CASR, CDCA8, DUOX2, DUOXA2, FOXA2, FOXE1, GCM2, GLIS3, GNAS, HESX1, IGSF1, IRS4, IYD, LHX3, LHX4, NKX2-1, NKX2-5, OTX2, PAX8, POU1F1, PROP1, SECISBP2, SLC16A2, SLC26A4, SLC26A7, SLC5A5, TBL1X, TG, THRA, THRB, TPO, TRH, TRHR, TSHB, TSHR, TUBB1 ( 36遺伝子 )
主要な遺伝子の詳細:
【甲状腺の発育・発達に関与する遺伝子】
・PAX8遺伝子:
甲状腺の発生と分化に重要な転写因子をコードする遺伝子。PAX8変異により甲状腺低形成や無形成を引き起こす。
・FOXE1遺伝子:
甲状腺の発生、移動、分化に関与する転写因子。変異により甲状腺無形成や異所性甲状腺、口蓋裂などを伴うバンビノ・ザナルディ症候群を引き起こす。
・NKX2-1遺伝子:
甲状腺、肺、脳の発生に関与する転写因子。変異により甲状腺機能低下症、呼吸障害、神経発達障害を伴うブレイン・ラング・サイロイド症候群を引き起こす。
【甲状腺ホルモン合成に関与する遺伝子】
・DUOX2遺伝子:
甲状腺ホルモン合成に必要な過酸化水素を生成する酵素をコードする遺伝子。日本で最も頻度の高い甲状腺ホルモン合成障害の原因遺伝子。一過性または永続性の甲状腺機能低下症を引き起こす。
・DUOXA2遺伝子:
DUOX2の成熟化と細胞膜への輸送に必要なタンパク質をコードする遺伝子。変異によりDUOX2と同様の病態を引き起こす。
・TPO遺伝子:
甲状腺ペルオキシダーゼという酵素をコードする遺伝子。ヨウ素の酸化とチログロブリンへの結合に必須。変異により永続性の甲状腺機能低下症と甲状腺腫を引き起こす。
・TG遺伝子:
チログロブリンという甲状腺ホルモンの前駆体タンパク質をコードする遺伝子。変異により甲状腺機能低下症と甲状腺腫を引き起こす。
・SLC5A5遺伝子(NISまたはナトリウム・ヨウ素共輸送体):
甲状腺細胞にヨウ素を取り込むための輸送体をコードする遺伝子。変異によりヨウ素の取り込み障害を引き起こし、甲状腺機能低下症と甲状腺腫を生じる。
・IYD遺伝子(DEHAL1):
ヨードチロシンからヨウ素を再利用するための脱ヨウ素化酵素をコードする遺伝子。変異によりヨウ素の再利用障害を引き起こし、ヨウ素欠乏性の甲状腺機能低下症を生じる。
【下垂体ホルモン産生に関与する遺伝子】
・TSHB遺伝子:
甲状腺刺激ホルモン(TSH)のβサブユニットをコードする遺伝子。変異により中枢性甲状腺機能低下症を引き起こす。
・TRHR遺伝子:
甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)受容体をコードする遺伝子。変異により中枢性甲状腺機能低下症を引き起こす。
・POU1F1遺伝子:
下垂体の発生と分化に重要な転写因子をコードする遺伝子。変異により複合型下垂体ホルモン欠損症を引き起こし、TSH、成長ホルモン、プロラクチンが欠乏する。
・PROP1遺伝子:
下垂体の発生に関与する転写因子をコードする遺伝子。変異により複合型下垂体ホルモン欠損症を引き起こす。
【甲状腺ホルモン受容体・輸送に関与する遺伝子】
・THRB遺伝子:
甲状腺ホルモン受容体β型をコードする遺伝子。変異により甲状腺ホルモン不応症(RTHβ)を引き起こす。甲状腺ホルモン不応症の約85%がこの遺伝子の変異による。常染色体優性遺伝形式をとる。
・THRA遺伝子:
甲状腺ホルモン受容体α型をコードする遺伝子。変異により甲状腺ホルモン不応症(RTHα)を引き起こす。TRHβとは異なる臨床症状(成長障害、骨成熟遅延、便秘、徐脈など)を呈する。
・SLC16A2遺伝子(MCT8):
甲状腺ホルモンを細胞内に輸送する輸送体をコードする遺伝子。変異によりアラン・ハーンドン・ダドリー症候群を引き起こし、重度の精神運動発達遅滞、筋緊張低下、痙性対麻痺を伴う。X連鎖性遺伝形式をとる。
・SECISBP2遺伝子:
セレノシステイン合成に関与するタンパク質をコードする遺伝子。変異により複数のセレノプロテイン(甲状腺ホルモン活性化酵素を含む)の機能障害を引き起こし、甲状腺機能異常、成長障害、免疫異常などを生じる。
カバレッジ
カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。
≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。
検査の限界
- 詳しくはこちら
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すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
遺伝子特異的な注意事項:
DUOX2遺伝子:現在の検査方法では、高度に相同な遺伝子DUOX1による干渉のため、DUOX2遺伝子(NM_014080.5)のエキソン6~8の変異を確実に検出することができません。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み330,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
- どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
- 新生児マススクリーニング検査で甲状腺機能異常を指摘された方、甲状腺機能低下症と診断されたが原因が不明な方、成長障害や発達遅滞がある方、甲状腺ホルモン不応症が疑われる方(甲状腺ホルモン高値だがTSHが抑制されない)におすすめします。また、甲状腺疾患の家族歴がある場合も検査をご検討ください。
- 検査はどのように行いますか?
- 血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
- 家族も検査を受ける必要がありますか?
- 甲状腺疾患の遺伝形式は原因遺伝子によって異なります。常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹のリスク評価が、常染色体優性遺伝(甲状腺ホルモン不応症など)の場合は約50%の確率で子どもに遺伝する可能性があります。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
- 検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
- この検査では36の遺伝子を対象としていますが、検査で病原性変異が検出されなくても、パネルに含まれていない遺伝子や、検出できないタイプの変異(プロモーター領域の変異など)が原因の可能性があります。主治医と相談して、必要に応じて追加の検査を受けることが重要です。
- 保険は適用されますか?
- 当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み330,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。ただし、診断確定後は、甲状腺ホルモン不応症は指定難病制度により医療費助成を受けられる可能性があります。
- 結果はどのように説明されますか?
- 検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
- 子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
- 甲状腺疾患の遺伝形式は原因遺伝子によって異なります。常染色体劣性遺伝の場合、保因者同士のカップルではお子さんが疾患を発症する確率は25%です。常染色体優性遺伝(甲状腺ホルモン不応症など)の場合は約50%の確率で遺伝します。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
- 先天性甲状腺機能低下症の治療はどのように行われますか?
- 甲状腺ホルモン補充療法(レボチロキシン内服)が基本です。生後1ヶ月以内、できれば生後2週間以内に治療を開始すれば、正常な発達を期待できます。治療は通常生涯にわたって継続されますが、一部の軽症例では一過性の場合もあります。定期的な血液検査でホルモン値をモニタリングし、適切な用量調整を行います。
- 甲状腺ホルモン不応症の治療はどうですか?
- 多くの場合、特別な治療は必要ありません。ただし、脈が速い場合は心房細動のリスクがあるため、β遮断薬などで脈拍を抑える治療を行います。また、ADHDなどの行動面の問題がある場合は、対症療法を行います。甲状腺ホルモン値が極端に高い場合や症状が強い場合は、専門医による個別的な治療が必要です。
- 予後はどうですか?
- 先天性甲状腺機能低下症は、早期診断・早期治療により正常な発達を期待できます。日本では新生児マススクリーニング検査により早期発見が可能で、生後3ヶ月以内に治療を開始すれば予後は良好です。甲状腺ホルモン不応症の多くは無症状または軽症で、通常の生活を送ることができます。定期的なフォローアップが重要です。
- 他の医療機関での検査との違いは何ですか?
- 当院では甲状腺機能低下症と甲状腺ホルモン不応症に関連する36の遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を大幅に短縮できます。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも検査を受けることが可能です。また、遺伝カウンセリングにより結果の解釈や今後の対応についても丁寧にサポートいたします。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
仲田洋美のプロフィールはこちら