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低カリウム性・高カリウム性周期性四肢麻痺 遺伝子検査(NGSパネル)|ミネルバクリニック

低カリウム性・高カリウム性周期性四肢麻痺 遺伝子検査(NGSパネル)|ミネルバクリニック

周期性四肢麻痺とは

周期性四肢麻痺(Periodic Paralysis)は、発作性に四肢(手足)の筋力低下や麻痺を繰り返す遺伝性疾患の総称です。一過性の弛緩性麻痺発作が特徴で、発作は数時間から数日続きますが、発作間欠期には筋力が正常に戻ることが多い疾患です。

病名から一定周期で発作が起こるような誤解を与えますが、実際には発作間隔は不規則です。四肢や体幹の骨格筋に麻痺をきたしますが、呼吸筋麻痺をきたすことは極めて稀です。血清カリウム濃度の異常により心電図の変化をみることは多いですが、一部の例外を除いて心機能に異常をきたすことは稀です。

周期性四肢麻痺は、発作時の血清カリウム値により、低カリウム性周期性四肢麻痺(Hypokalemic Periodic Paralysis)と高カリウム性周期性四肢麻痺(Hyperkalemic Periodic Paralysis)に大別されます。骨格筋のイオンチャネル(カルシウムチャネル、ナトリウムチャネル、カリウムチャネル)の遺伝子異常が原因で、筋肉の興奮性が変化することで発作が生じます。遺伝形式によって、家族性(遺伝性)と二次性(非家族性)に分類されます。

症状と病態

周期性四肢麻痺の主な症状は、発作性の四肢筋力低下・麻痺です。典型的な発作では、随意的収縮のみならず、腱反射も電気刺激による収縮も消失するか減弱します。発作は意識清明のまま起こり、感覚障害や膀胱直腸障害を伴いません。

低カリウム性周期性四肢麻痺の特徴

  • 発作時の血清カリウム値が著明に低下(通常3.0mEq/L以下)
  • 発作持続は数時間から1日程度(高カリウム性より長い)
  • 発作は夜間から早朝に出現することが多い
  • 初発年齢は思春期頃(5~20歳が多い)
  • 誘発因子:激しい運動後の休息、高炭水化物食、ストレス
  • 下肢から始まり、進行すると上肢にも及ぶ
  • 顔面・嚥下・呼吸筋は通常障害されない
  • ミオトニア(筋強直)は通常認めない

高カリウム性周期性四肢麻痺の特徴

  • 発作時の血清カリウム値が高値(5.0mEq/L以上)または正常範囲内
  • 発作持続は数十分から数時間程度(低カリウム性より短い)
  • 初発年齢は小児期(低カリウム性より早い)
  • 誘発因子:寒冷、運動後の安静、空腹、カリウム摂取
  • 発作の程度は低カリウム性より軽い傾向
  • 下肢のみの限局性筋力低下から完全四肢麻痺まで様々
  • ミオトニア(筋強直)を臨床的または電気生理学的に認めることが多い
  • 顔面筋の筋力低下を伴うことがある

Andersen-Tawil症候群

周期性四肢麻痺の特殊なタイプとして、Andersen-Tawil症候群があります。この疾患は以下の3徴が特徴です:

  • 周期性四肢麻痺:発作時の血清カリウム値は低下、正常、上昇のいずれもあり一定しない
  • 心室性不整脈:QT延長症候群、心室性頻拍、心室性二段脈など。突然死のリスクがある
  • 骨格奇形:低身長、両眼隔離、広鼻根、下顎低形成、舟状頭、口蓋裂、低耳介、側彎、彎曲指など

※3徴が揃わない不全型も多く存在します。

発作間欠期の症状

発作間欠期には筋力低下を認めないことが多いですが、進行性・持続性の筋力低下を示す例が存在します。特に高カリウム性では、発作間欠期にも軽度の筋力低下が残ることがあります。血清クレアチンキナーゼ(CK)値の上昇は認めないことが多いです。

進行と予後

発作頻度は毎日から生涯に数回まで、個人によって大きく異なります。多くの症例では適切な治療と発作予防により日常生活を維持できますが、重症例では車椅子が必要となることもあります。Andersen-Tawil症候群では突然死のリスクがあるため、心電図モニタリングが重要です。

遺伝形式と原因遺伝子

周期性四肢麻痺は遺伝学的に多様性があり、主に常染色体優性(顕性)遺伝形式をとりますが、孤発例も存在します。骨格筋のイオンチャネルの遺伝子異常が原因で、筋細胞膜の興奮性が変化することで発作が生じます。

低カリウム性周期性四肢麻痺の原因遺伝子

低カリウム性周期性四肢麻痺の約60~70%で遺伝子異常が同定されています:

  • CACNA1S遺伝子(約55~70%):骨格筋型カルシウムチャネルαサブユニット(Cav1.1)をコードする遺伝子。1番染色体(1q32.1)に位置。エクソン11と30の変異が多い(p.Arg528His、p.Arg1239His、p.Arg1239Gly、p.Arg528Gly)
  • SCN4A遺伝子(約10~20%):骨格筋型ナトリウムチャネルαサブユニット(Nav1.4)をコードする遺伝子。17番染色体(17q23.3)に位置。エクソン12と18の変異が多い(p.Arg669His、p.Arg672Cys/Gly/His/Ser)

高カリウム性周期性四肢麻痺の原因遺伝子

高カリウム性周期性四肢麻痺はほぼすべてSCN4A遺伝子の変異が原因です:

  • SCN4A遺伝子:骨格筋型ナトリウムチャネルαサブユニット(Nav1.4)をコードする遺伝子。代表的変異としてp.Thr704Met、p.Met1592Valなどがある

Andersen-Tawil症候群の原因遺伝子

  • KCNJ2遺伝子(約60%):内向き整流カリウムチャネル(Kir2.1)をコードする遺伝子。17番染色体(17q23.1-q24.2)に位置
  • KCNJ5遺伝子(稀):内向き整流カリウムチャネル(Kir3.4)をコードする遺伝子

その他の関連遺伝子

  • ATP1A2遺伝子:Na+/K+-ATPaseのα2サブユニットをコードする遺伝子
  • CA2遺伝子:炭酸脱水酵素IIをコードする遺伝子
  • CLCN1遺伝子:骨格筋塩素イオンチャネルをコードする遺伝子
  • RYR1遺伝子:リアノジン受容体1をコードする遺伝子。悪性高熱症との関連もある
  • SLC12A3遺伝子:ナトリウム-塩素共輸送体をコードする遺伝子

当検査パネルでは、これらの原因遺伝子のうち、臨床的に重要な8遺伝子(ATP1A2、CA2、CACNA1S、CLCN1、KCNJ2、RYR1、SCN4A、SLC12A3)を対象としています。これにより、低カリウム性・高カリウム性周期性四肢麻痺およびAndersen-Tawil症候群の主要な原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。

遺伝形式

ほとんどの症例で常染色体優性(顕性)遺伝形式をとり、親から子への伝達確率は50%です。ただし、両親に遺伝子変異がないにもかかわらず発症する新生突然変異の症例も存在します。

ミネルバクリニックの低カリウム性・高カリウム性周期性四肢麻痺遺伝子パネル検査の特徴

「低カリウム性・高カリウム性周期性四肢麻痺 NGSパネル検査」とは、現在周期性四肢麻痺の原因として報告されている8の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、周期性四肢麻痺に関連する8遺伝子を一度に調べられる「低カリウム性・高カリウム性周期性四肢麻痺 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で周期性四肢麻痺の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、周期性四肢麻痺に関係するとされる8の遺伝子を一度に調べられる「低カリウム性・高カリウム性周期性四肢麻痺 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える周期性四肢麻痺の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「低カリウム性・高カリウム性周期性四肢麻痺 NGSパネル検査」の場合、8の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から周期性四肢麻痺を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「低カリウム性・高カリウム性周期性四肢麻痺 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な8の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「低カリウム性・高カリウム性周期性四肢麻痺 NGSパネル検査」では、周期性四肢麻痺に関係するとされる8種類の遺伝子(ATP1A2、CA2、CACNA1S、CLCN1、KCNJ2、RYR1、SCN4A、SLC12A3)をまとめて検査します。

「低カリウム性・高カリウム性周期性四肢麻痺 NGSパネル検査」は、周期性四肢麻痺の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【周期性四肢麻痺の個人歴または家族歴のある方】に
「低カリウム性・高カリウム性周期性四肢麻痺 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・発作性の四肢筋力低下・麻痺を繰り返す方
・発作時に血清カリウム値の異常(低値または高値)が認められる方
・夜間から早朝に筋力低下発作が起こる方
・運動後の休息、高炭水化物食、寒冷などで発作が誘発される方
・発作は数時間から数日続くが、発作間欠期には正常に戻る方
・顔面・嚥下・呼吸筋は通常障害されない方
・感覚障害や膀胱直腸障害を伴わない方
・ミオトニア(筋強直)を伴う、または伴わない方
・QT延長などの心電図異常や骨格奇形を伴う方(Andersen-Tawil症候群の疑い)
・周期性四肢麻痺の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、周期性四肢麻痺の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な発作予防、生活習慣の改善、定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・低カリウム性と高カリウム性の鑑別
・Andersen-Tawil症候群の診断と心臓モニタリングの必要性評価
・二次性(甲状腺機能亢進症など)との鑑別
・適切な発作予防策の立案(食事、運動、薬物療法)
・発作誘発因子の特定と回避
・カリウム値の適切な管理
・心電図モニタリングの必要性評価
・悪性高熱症のリスク評価(RYR1変異の場合)
・全身麻酔時の注意事項の把握
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ATP1A2, CA2, CACNA1S, CLCN1, KCNJ2, RYR1, SCN4A, SLC12A3 ( 8遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・ATP1A2遺伝子:
Na+/K+-ATPaseのα2サブユニットをコードする遺伝子。1番染色体(1q23.2)に位置。ナトリウムとカリウムの細胞内外への輸送に関与し、神経・筋細胞の興奮性を調節します。片頭痛や周期性四肢麻痺との関連が報告されています。

・CA2遺伝子:
炭酸脱水酵素II(Carbonic Anhydrase II)をコードする遺伝子。8番染色体(8q21.2)に位置。二酸化炭素と水の可逆的な水和反応を触媒し、体内のpH調節に重要な役割を果たします。

・CACNA1S遺伝子:
骨格筋型電位依存性カルシウムチャネルのα1サブユニット(Cav1.1)をコードする遺伝子。1番染色体(1q32.1)に位置。骨格筋の興奮収縮連関に必須で、低カリウム性周期性四肢麻痺の最も頻度の高い原因遺伝子です。エクソン11と30の変異(p.Arg528His、p.Arg1239His、p.Arg1239Gly、p.Arg528Gly)が約55~70%の症例で認められます。悪性高熱症の原因遺伝子の一つでもあります。

・CLCN1遺伝子:
骨格筋塩素イオンチャネル(ClC-1)をコードする遺伝子。7番染色体(7q35)に位置。筋細胞膜の静止電位の維持に重要で、変異により先天性ミオトニーを引き起こします。周期性四肢麻痺との関連も報告されています。

・KCNJ2遺伝子:
内向き整流カリウムチャネルKir2.1をコードする遺伝子。17番染色体(17q24.3)に位置。Andersen-Tawil症候群の主要な原因遺伝子で、約60%の症例で変異が認められます。周期性四肢麻痺、QT延長症候群、骨格奇形の3徴を呈します。突然死のリスクがあるため、心電図モニタリングが重要です。

・RYR1遺伝子:
リアノジン受容体1(Ryanodine Receptor 1)をコードする遺伝子。19番染色体(19q13.2)に位置。筋小胞体からのカルシウム放出を制御し、筋収縮に必須です。悪性高熱症の主要な原因遺伝子であり、全身麻酔時に注意が必要です。周期性四肢麻痺との関連も報告されています。

・SCN4A遺伝子:
骨格筋型電位依存性ナトリウムチャネルのαサブユニット(Nav1.4)をコードする遺伝子。17番染色体(17q23.3)に位置。筋細胞の活動電位の発生に必須です。高カリウム性周期性四肢麻痺のほぼすべての原因であり、低カリウム性周期性四肢麻痺の約10~20%の原因でもあります。代表的変異として、低カリウム性ではp.Arg669His、p.Arg672Cys/Gly/His/Ser(エクソン12、18)、高カリウム性ではp.Thr704Met、p.Met1592Valなどがあります。

・SLC12A3遺伝子:
ナトリウム-塩素共輸送体(NCC)をコードする遺伝子。16番染色体(16q13)に位置。腎臓の遠位尿細管でナトリウムと塩素の再吸収を調節し、体液量と血圧の維持に重要です。Gitelman症候群の原因遺伝子であり、低カリウム血症を引き起こすことがあります。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、8の原因遺伝子のみを対象としています。臨床的に周期性四肢麻痺と診断される症例の約20~40%では、既知の遺伝子に変異が見つかりません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、二次性周期性四肢麻痺(甲状腺機能亢進症、腎不全、アジソン病など)との鑑別には、内分泌学的検査や腎機能検査などの追加検査が必要です。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
発作性の四肢筋力低下・麻痺を繰り返す方、発作時に血清カリウム値の異常が認められる方におすすめします。夜間から早朝に筋力低下が起こる、運動後の休息や高炭水化物食で発作が誘発される、寒冷や空腹で発作が起こるなどの特徴があれば、周期性四肢麻痺の可能性が高くなります。また、QT延長などの心電図異常や骨格奇形を伴う場合は、Andersen-Tawil症候群の可能性もあります。家族に同様の症状がある場合も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
低カリウム性と高カリウム性の違いは何ですか?
低カリウム性は発作時に血清カリウム値が低下し、高炭水化物食や運動後の休息で誘発されやすく、発作は数時間から1日程度続きます。高カリウム性は発作時に血清カリウム値が高値または正常で、寒冷や空腹で誘発されやすく、発作は数十分から数時間と短い傾向があります。当検査により原因遺伝子を特定することで、より正確な診断と適切な治療が可能になります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
周期性四肢麻痺は常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。また、無症状の保因者を早期に発見することで、発作予防や適切な生活指導が可能になります。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
約20~40%の周期性四肢麻痺症例では、既知の遺伝子に変異が見つかりません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、二次性周期性四肢麻痺(甲状腺機能亢進症など)の可能性もあるため、内分泌学的検査などの追加検査が必要な場合があります。臨床症状と血液検査に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
Andersen-Tawil症候群とは何ですか?
Andersen-Tawil症候群は、周期性四肢麻痺、QT延長などの心室性不整脈、骨格奇形の3徴を特徴とする疾患です。KCNJ2遺伝子の変異が原因で、突然死のリスクがあるため定期的な心電図モニタリングが重要です。3徴が揃わない不全型も多く存在します。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
周期性四肢麻痺の治療はどのように行われますか?
発作時にはカリウム値の補正を行います。低カリウム性ではカリウム製剤の投与、高カリウム性では炭水化物摂取やβ2刺激薬の使用などが行われます。発作予防には、発作誘発因子の回避、適切な食事療法(低カリウム性では高カリウム食、高カリウム性では低カリウム食)、必要に応じてアセタゾラミドなどの予防薬を投与します。
予後はどうですか?
適切な治療と発作予防により、多くの患者さんは日常生活を維持できます。発作頻度は個人によって大きく異なりますが、年齢とともに発作頻度が減少する傾向があります。ただし、Andersen-Tawil症候群では心室性不整脈による突然死のリスクがあるため、定期的な心電図モニタリングが重要です。また、CACNA1SやRYR1遺伝子の変異がある場合、悪性高熱症のリスクがあるため全身麻酔時に注意が必要です。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な8の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら