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低ゴナドトロピン性性腺機能低下症関連遺伝子検査|ミネルバクリニック

低ゴナドトロピン性性腺機能低下症関連遺伝子検査|ミネルバクリニック

低ゴナドトロピン性性腺機能低下症とは

低ゴナドトロピン性性腺機能低下症(Hypogonadotropic Hypogonadism: HH)は、視床下部または下垂体の機能障害により、性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン:LHおよびFSH)の分泌が低下し、その結果として性腺(精巣または卵巣)の機能が低下する疾患です。思春期の発来不全や不妊の原因となる重要な内分泌疾患であり、適切な診断と治療により改善が期待できます。

本疾患は、視床下部からのゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の分泌不全、または下垂体からのLH・FSHの分泌不全によって起こります。先天性の場合と後天性の場合があり、先天性の症例では遺伝子変異が原因となることが多く、現在までに30以上の原因遺伝子が同定されています。

低ゴナドトロピン性性腺機能低下症は、嗅覚障害を伴うカルマン症候群(Kallmann syndrome)と、嗅覚が正常な特発性低ゴナドトロピン性性腺機能低下症(normosmic idiopathic hypogonadotropic hypogonadism)に分類されます。発症頻度は約1-10万人に1-10人と推定されており、男性に多い傾向があります。

症状と病態

低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の主な症状は、思春期の発来不全または不完全な性的発達です。発症年齢や症状の程度は原因遺伝子や個人によって異なりますが、適切な診断と治療により生殖能力の獲得や症状の改善が期待できます。

主要症状

  • 思春期遅発(男性:15歳までに二次性徴が認められない、女性:14歳までに乳房発達が認められない)
  • 男性:精巣容量の低下(4ml未満)、陰茎発育不全、声変わりの欠如、ひげ・体毛の欠如
  • 女性:乳房発育不全、無月経、子宮・卵巣の発育不全
  • 不妊(精子形成不全または排卵障害)
  • 性欲低下
  • 骨密度低下(骨粗鬆症のリスク増加)
  • 筋力低下、筋肉量減少
  • 類宦官体型(手足が長く、身長が高い傾向)

カルマン症候群の特徴

カルマン症候群では、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症に加えて嗅覚障害(無嗅症または低嗅症)を認めます。これは、GnRHニューロンと嗅神経が胎生期に同じ嗅板から発生し、共に視床下部に移動するため、この移動過程の障害により両者が同時に影響を受けるためです。

  • 嗅覚障害:無嗅症(匂いを全く感じない)または低嗅症(匂いを感じにくい)
  • 腎臓の形成異常:片側腎無形成、馬蹄腎など
  • 口唇口蓋裂
  • 難聴
  • 鏡像運動:片手の運動に伴って反対側の手も同様に動いてしまう現象
  • 骨格異常:短指症、合指症など
  • 歯の形成不全

病態生理

正常な思春期の発来には、視床下部からのGnRHの規則的な拍動性分泌が必要です。GnRHが下垂体を刺激することでLHとFSHが分泌され、これらが性腺(精巣または卵巣)を刺激して性ホルモン(テストステロンまたはエストロゲン)の分泌と配偶子(精子または卵子)の産生が促されます。

低ゴナドトロピン性性腺機能低下症では、この経路のいずれかの段階で障害が生じるため、性ホルモンの分泌不全と不妊が起こります。早期に診断し適切な治療を開始することで、二次性徴の誘導や生殖能力の獲得が可能です。

診断と検査所見

診断には以下の検査が重要です:

  • 血中LH・FSH測定:低値または正常低値を示す
  • 血中性ホルモン測定:テストステロン(男性)またはエストラジオール(女性)が低値
  • GnRH負荷試験:GnRH投与後のLH・FSH反応を評価
  • 頭部MRI:下垂体や視床下部の器質的異常の有無を確認、カルマン症候群では嗅球・嗅溝の低形成または欠損を認める
  • 嗅覚検査:カルマン症候群の診断に重要
  • 骨年齢検査:思春期年齢での骨年齢遅延を確認

遺伝形式と原因遺伝子

低ゴナドトロピン性性腺機能低下症は遺伝学的に非常に多様性が高く、X連鎖遺伝、常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝のいずれの形式でも発症します。現在までに30以上の原因遺伝子が同定されていますが、約60%の症例では遺伝学的原因が未だ特定されていません。

X連鎖遺伝形式

カルマン症候群の約5-10%を占め、主に男性に発症します:

  • ANOS1遺伝子(旧称KAL1):アノスミン-1をコードする遺伝子。X連鎖性カルマン症候群の最も頻度の高い原因です。GnRHニューロンと嗅神経の移動に必要な細胞接着分子の産生に関与します。腎無形成を高頻度で合併します。

常染色体優性(顕性)遺伝形式

比較的頻度の高い遺伝形式です:

  • FGFR1遺伝子:線維芽細胞増殖因子受容体1をコードする遺伝子。カルマン症候群および特発性低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の両方の原因となります。口唇口蓋裂や骨格異常を伴うことがあります。
  • FGF8遺伝子:線維芽細胞増殖因子8をコードする遺伝子。FGFR1のリガンドとして機能します。
  • PROKR2遺伝子:プロキネティシン受容体2をコードする遺伝子。GnRHニューロンの移動と発達に重要です。
  • CHD7遺伝子:クロモドメインヘリカーゼDNA結合タンパク質7をコードする遺伝子。CHARGE症候群の原因遺伝子でもあり、カルマン症候群でも変異が見つかることがあります。難聴や心奇形を伴うことがあります。

常染色体劣性(潜性)遺伝形式

比較的稀ですが、重症型が多い傾向があります:

  • GNRHR遺伝子:GnRH受容体をコードする遺伝子。下垂体でのGnRH受容に障害が生じます。嗅覚は正常です。
  • KISS1R遺伝子:キスペプチン受容体(GPR54)をコードする遺伝子。GnRH分泌の調節に重要です。
  • TAC3遺伝子:ニューロキニンBをコードする遺伝子。GnRH分泌の調節に関与します。
  • TACR3遺伝子:ニューロキニンB受容体をコードする遺伝子。TAC3と同様にGnRH分泌の調節に関与します。
  • GNRH1遺伝子:GnRH自体をコードする遺伝子。非常に稀ですが、完全なGnRH欠損を引き起こします。

その他の重要な遺伝子

  • NR0B1遺伝子(DAX1):副腎低形成先天性無症候性肺胞蛋白症の原因遺伝子。X連鎖遺伝形式で、副腎不全を伴う低ゴナドトロピン性性腺機能低下症を引き起こします。
  • NSMF遺伝子(NMDA受容体シナプス化因子):カルマン症候群の原因遺伝子の一つ。
  • KISS1遺伝子:キスペプチンをコードする遺伝子。KISS1R遺伝子の変異と同様に、GnRH分泌の調節障害を引き起こします。

当検査パネルでは、これらの原因遺伝子のうち、臨床的に重要な13遺伝子を対象としています。これにより、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の主要な遺伝的原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。

ミネルバクリニックの低ゴナドトロピン性性腺機能低下症遺伝子パネル検査の特徴

「低ゴナドトロピン性性腺機能低下症 NGSパネル検査」とは、現在低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の原因として報告されている13の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症に関連する13遺伝子を一度に調べられる「低ゴナドトロピン性性腺機能低下症 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症に関係するとされる13の遺伝子を一度に調べられる「低ゴナドトロピン性性腺機能低下症 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「低ゴナドトロピン性性腺機能低下症 NGSパネル検査」の場合、13の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から低ゴナドトロピン性性腺機能低下症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「低ゴナドトロピン性性腺機能低下症 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な13の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「低ゴナドトロピン性性腺機能低下症 NGSパネル検査」では、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症に関係するとされる13種類の遺伝子(ANOS1、CHD7、FGF8、FGFR1、GNRH1、GNRHR、KISS1、KISS1R、NR0B1、NSMF、PROKR2、TAC3、TACR3)をまとめて検査します。

「低ゴナドトロピン性性腺機能低下症 NGSパネル検査」は、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の個人歴または家族歴のある方】に
「低ゴナドトロピン性性腺機能低下症 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・男性:15歳になっても二次性徴(精巣発育、陰茎成長、声変わり、ひげ)が認められない方
・女性:14歳になっても二次性徴(乳房発達)が認められない方
・二次性徴が始まったが不完全または途中で停止した方
・不妊でホルモン検査により低ゴナドトロピン性性腺機能低下症が疑われる方
・嗅覚障害(無嗅症または低嗅症)を伴う思春期遅発の方
・カルマン症候群を疑う症状(嗅覚障害、腎奇形、口唇口蓋裂など)のある方
・低ゴナドトロピン性性腺機能低下症またはカルマン症候群の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切なホルモン補充療法、生殖補助医療、骨密度管理、定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・他の内分泌疾患や染色体異常との鑑別
・適切なホルモン補充療法の選択と開始時期の決定
・生殖能力獲得のための治療法(ゴナドトロピン療法)の適応判断
・骨密度低下のリスク評価と骨粗鬆症予防
・カルマン症候群に伴う合併症(腎奇形、難聴など)の早期発見
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。X連鎖遺伝の場合は男性の子どもが50%の確率で発症し、常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ANOS1, CHD7, FGF8, FGFR1, GNRH1, GNRHR, KISS1, KISS1R, NR0B1, NSMF, PROKR2, TAC3, TACR3 ( 13遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・ANOS1遺伝子(旧称KAL1):
アノスミン-1をコードする遺伝子。X連鎖性カルマン症候群の最も頻度の高い原因です。GnRHニューロンと嗅神経の視床下部への移動に必要な細胞接着分子の産生に関与します。変異により嗅覚障害と低ゴナドトロピン性性腺機能低下症を引き起こします。腎無形成を高頻度で合併します。

・CHD7遺伝子:
クロモドメインヘリカーゼDNA結合タンパク質7をコードする遺伝子。CHARGE症候群(Coloboma, Heart defects, Atresia choanae, Retardation of growth and development, Genital abnormalities, Ear abnormalities)の原因遺伝子であり、カルマン症候群や特発性低ゴナドトロピン性性腺機能低下症でも変異が見つかることがあります。常染色体優性遺伝形式で、難聴や心奇形を伴うことがあります。

・FGF8遺伝子:
線維芽細胞増殖因子8をコードする遺伝子。FGFR1のリガンドとして機能し、GnRHニューロンの発生と移動に重要な役割を果たします。常染色体優性または劣性遺伝形式をとります。

・FGFR1遺伝子:
線維芽細胞増殖因子受容体1をコードする遺伝子。カルマン症候群および特発性低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の両方の原因となります。常染色体優性遺伝形式で、口唇口蓋裂や骨格異常を伴うことがあります。カルマン症候群の約10%を占めます。

・GNRH1遺伝子:
ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)自体をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、非常に稀ですが、完全なGnRH欠損を引き起こします。嗅覚は正常です。

・GNRHR遺伝子:
GnRH受容体をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、下垂体でのGnRH受容に障害が生じます。特発性低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の比較的頻度の高い原因で、嗅覚は正常です。

・KISS1遺伝子:
キスペプチンをコードする遺伝子。視床下部でGnRHニューロンを刺激してGnRH分泌を促進します。変異により思春期遅発と低ゴナドトロピン性性腺機能低下症を引き起こします。

・KISS1R遺伝子(GPR54):
キスペプチン受容体をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、GnRH分泌の調節に重要です。変異によりキスペプチンシグナルが伝達されず、GnRH分泌不全を引き起こします。

・NR0B1遺伝子(DAX1):
核内受容体ファミリーに属する転写因子をコードする遺伝子。X連鎖遺伝形式で、副腎低形成先天性無症候性肺胞蛋白症の原因遺伝子です。副腎不全を伴う低ゴナドトロピン性性腺機能低下症を引き起こします。

・NSMF遺伝子:
NMDA受容体シナプス化因子をコードする遺伝子。GnRHニューロンの移動と発達に関与し、カルマン症候群の原因遺伝子の一つです。

・PROKR2遺伝子:
プロキネティシン受容体2をコードする遺伝子。常染色体優性または劣性遺伝形式で、GnRHニューロンの移動と発達に重要です。カルマン症候群および特発性低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の両方の原因となります。

・TAC3遺伝子:
ニューロキニンB(NKB)をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、視床下部でGnRH分泌の調節に関与します。変異により特発性低ゴナドトロピン性性腺機能低下症を引き起こします。嗅覚は正常です。

・TACR3遺伝子:
ニューロキニンB受容体(NK3R)をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、TAC3と同様にGnRH分泌の調節に関与します。変異により特発性低ゴナドトロピン性性腺機能低下症を引き起こします。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、13の原因遺伝子のみを対象としています。約60%の低ゴナドトロピン性性腺機能低下症症例では、既知の遺伝子に変異が見つかりません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、オリゴジェニック遺伝(複数の遺伝子変異の組み合わせによる発症)も報告されており、1つの遺伝子変異のみでは発症しない場合もあります。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
男性で15歳、女性で14歳になっても思春期が始まらない場合や、思春期が始まったものの不完全な場合は検査をご検討ください。また、不妊でホルモン検査により低ゴナドトロピン性性腺機能低下症が疑われる方、嗅覚障害を伴う思春期遅発の方(カルマン症候群の可能性)、家族に同様の症状がある場合も検査をおすすめします。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
カルマン症候群と特発性低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の違いは何ですか?
両者とも低ゴナドトロピン性性腺機能低下症ですが、カルマン症候群では嗅覚障害(無嗅症または低嗅症)を伴うことが特徴です。また、カルマン症候群では腎奇形、口唇口蓋裂、難聴などの合併症を認めることがあります。当検査により原因遺伝子を特定することで、より正確な診断と合併症の早期発見が可能になります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。X連鎖遺伝の場合、男性の子どもが50%の確率で発症します。常染色体優性遺伝の場合、子どもが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
約60%の低ゴナドトロピン性性腺機能低下症症例では、既知の遺伝子に変異が見つかりません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状とホルモン検査に基づいた診断と治療が引き続き重要です。また、まだ発見されていない原因遺伝子が存在する可能性もあります。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。X連鎖遺伝の場合は男性の子どもが50%の確率で発症し、常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
低ゴナドトロピン性性腺機能低下症の治療はどのように行われますか?
治療の目的により異なります。二次性徴の誘導が目的の場合は、男性にはテストステロン補充療法、女性にはエストロゲン・プロゲステロン補充療法を行います。生殖能力の獲得が目的の場合は、ゴナドトロピン療法(hCG・FSH療法)またはGnRHパルス療法を行います。適切な治療により、多くの患者さんで二次性徴の誘導や生殖能力の獲得が可能です。
予後はどうですか?
早期に診断し適切な治療を開始することで、正常な二次性徴の発達と生殖能力の獲得が期待できます。約10-20%の患者さんでは、治療により自然なホルモン分泌が回復することもあります(可逆性低ゴナドトロピン性性腺機能低下症)。長期的には骨密度管理や心血管リスクの管理が重要です。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な13の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら