ABCC8、ACADM、ACADS、ACADSB、ACADVL、ACAT1、ACAT2、ACSF3、AGL、AKT2、AKT3、ALDOB、ATP7A、CA5A、CPT1A、CPT2、DGUOK、ETFA、ETFB、ETFDH、FBP1、G6PC、GALE、GALK1、GALT、GCK、GLUD1、GYS1、GYS2、HADH、HADHA、HADHB、HK1、HMGCL、HMGCS2、HNF1A、HNF4A、HSD17B10、INSR、KCNJ11、MLYCD、MPI、MPV17、NNT、OXCT1、PC、PCK1、PCK2、PGM1、PHKA2、PHKB、PHKG2、PMM2、PYGL、SLC16A1、SLC22A5、SLC25A20、SLC2A2、SLC37A4、UCP2 (60遺伝子)
各遺伝子の詳細:
【先天性高インスリン血症関連遺伝子】
・ABCC8遺伝子:
ATP感受性カリウムチャネル(KATPチャネル)のSUR1サブユニットをコードする遺伝子。先天性高インスリン血症の最も頻度の高い原因遺伝子で、常染色体劣性遺伝が多く、まれに優性遺伝もあります。劣性遺伝の場合、びまん性と局所性の2つの病型があります。
・KCNJ11遺伝子:
KATPチャネルのKir6.2サブユニットをコードする遺伝子。ABCC8と同様に先天性高インスリン血症の主要な原因で、遺伝形式と病型もABCC8と同じです。
・GLUD1遺伝子:
グルタミン酸脱水素酵素をコードする遺伝子。常染色体優性遺伝で、高アンモニア血症を合併します(HI-HA症候群)。高タンパク食後に低血糖が誘発されやすく、ジアゾキシドに反応することが多いです。
・GCK遺伝子:
グルコキナーゼをコードする遺伝子。常染色体優性遺伝で、インスリン分泌の糖感受性閾値が低下します。巨大児として出生することが多く、ジアゾキシドへの反応は不良です。
・HADH遺伝子:
L-3-ヒドロキシアシルCoA脱水素酵素をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝で、ジアゾキシドに反応することが多いです。
・HNF4A遺伝子:
肝細胞核因子4αをコードする転写因子遺伝子。常染色体優性遺伝で、新生児期に一過性の高インスリン血症を呈し、将来MODY1型糖尿病を発症することがあります。
・HNF1A遺伝子:
肝細胞核因子1αをコードする転写因子遺伝子。HNF4Aと同様の臨床経過を呈し、将来MODY3型糖尿病を発症することがあります。
・UCP2遺伝子:
脱共役タンパク質2をコードする遺伝子。まれな先天性高インスリン血症の原因遺伝子です。
・SLC16A1遺伝子:
モノカルボン酸トランスポーター1(MCT1)をコードする遺伝子。運動誘発性高インスリン血症を引き起こします。
【糖原病関連遺伝子】
・G6PC遺伝子(糖原病Ⅰa型):
グルコース-6-ホスファターゼをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝で、最も重篤な低血糖、肝腫大、乳酸アシドーシスを引き起こします。
・SLC37A4遺伝子(糖原病Ⅰb型):
グルコース-6-リン酸トランスロカーゼをコードする遺伝子。Ⅰa型と同様の症状に加えて、好中球減少と易感染性が特徴的です。
・AGL遺伝子(糖原病Ⅲ型):
グリコーゲン脱分枝酵素をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝で、肝腫大、筋症状、進行性心筋症を呈します。
・GYS1、GYS2遺伝子(糖原病0型):
グリコーゲン合成酵素をコードする遺伝子。GYS2は肝型、GYS1は筋型です。
・PYGL遺伝子(糖原病Ⅵ型):
肝グリコーゲンホスホリラーゼをコードする遺伝子。比較的軽症の肝型糖原病です。
・PHKA2、PHKB、PHKG2遺伝子(糖原病Ⅸ型):
ホスホリラーゼキナーゼの各サブユニットをコードする遺伝子。PHKA2はX連鎖遺伝、他は常染色体遺伝です。
【糖新生・ケトン体代謝関連遺伝子】
・FBP1遺伝子:
フルクトース-1,6-ビスホスファターゼをコードする遺伝子。糖新生の障害により低血糖を引き起こします。
・PC遺伝子:
ピルビン酸カルボキシラーゼをコードする遺伝子。糖新生とクエン酸回路に関与します。
・PCK1、PCK2遺伝子:
ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼをコードする遺伝子。糖新生の律速酵素です。
・HMGCL、HMGCS2遺伝子:
HMG-CoAリアーゼおよび合成酵素をコードし、ケトン体合成に関与します。
・OXCT1遺伝子:
スクシニルCoA:3-ケト酸CoAトランスフェラーゼをコードし、ケトン体利用に関与します。
【脂肪酸酸化異常症関連遺伝子】
・ACADM遺伝子:
中鎖アシルCoA脱水素酵素をコードする遺伝子。最も頻度の高い脂肪酸酸化異常症(MCAD欠損症)の原因遺伝子です。
・ACADS、ACADSB、ACADVL遺伝子:
それぞれ短鎖、短/分枝鎖、超長鎖アシルCoA脱水素酵素をコードする遺伝子です。
・ACAT1、ACAT2、ACSF3遺伝子:
アシルCoAチオラーゼ類をコードする遺伝子です。
・CPT1A、CPT2遺伝子:
カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼをコードし、脂肪酸のミトコンドリア内への輸送に関与します。
・SLC22A5遺伝子:
カルニチントランスポーターをコードし、全身性カルニチン欠乏症の原因遺伝子です。
・SLC25A20遺伝子:
カルニチン-アシルカルニチントランスロカーゼをコードします。
・ETFA、ETFB、ETFDH遺伝子:
電子伝達フラボプロテインをコードし、複合型脂肪酸酸化異常症(グルタル酸尿症Ⅱ型)の原因遺伝子です。
・HADHA、HADHB遺伝子:
ミトコンドリア三頭酵素複合体をコードし、長鎖脂肪酸酸化に関与します。
【その他の遺伝子】
・ALDOB遺伝子:
アルドラーゼBをコードし、遺伝性フルクトース不耐症の原因遺伝子です。
・GALT、GALE、GALK1遺伝子:
ガラクトース代謝酵素をコードし、ガラクトース血症の原因遺伝子です。
・PMM2、MPI、PGM1遺伝子:
糖タンパク質の糖鎖合成に関与する酵素をコードし、先天性グリコシル化異常症の原因遺伝子です。
・DGUOK、MPV17、NNT遺伝子:
ミトコンドリア機能に関与する遺伝子で、ミトコンドリアDNA枯渇症候群の原因遺伝子です。
・INSR遺伝子:
インスリン受容体をコードし、インスリン受容体異常症の原因遺伝子です。
・AKT2、AKT3遺伝子:
インスリンシグナル伝達に関与するセリン/スレオニンキナーゼをコードします。
・ATP7A遺伝子:
銅輸送ATPアーゼをコードし、メンケス病の原因遺伝子です。
・CA5A遺伝子:
炭酸脱水酵素Vαをコードする遺伝子です。
・HK1遺伝子:
ヘキソキナーゼ1をコードする遺伝子です。
・HSD17B10遺伝子:
17β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素10をコードする遺伝子です。
・MLYCD遺伝子:
マロニルCoA脱炭酸酵素をコードする遺伝子です。
・SLC2A2遺伝子:
グルコーストランスポーター2(GLUT2)をコードし、Fanconi-Bickel症候群の原因遺伝子です。