低血糖症・ガラクトース/フルクトース代謝異常遺伝子検査|ミネルバクリニック
低血糖症・ガラクトース/フルクトース代謝異常とは
低血糖症・ガラクトース/フルクトース代謝異常は、糖質の代謝に必要な酵素の先天的な欠損や活性低下により、血糖値の調節が正常に行われない遺伝性の代謝疾患群です。これらの疾患では、特定の糖質を摂取した後に低血糖を引き起こし、重篤な場合には生命に関わる症状を呈することがあります。
本疾患群には、ガラクトース血症(I型、II型、III型)と遺伝性フルクトース不耐症が含まれます。これらは乳糖(ガラクトース)や果糖(フルクトース)などの糖質を適切に代謝できないため、新生児期から乳児期に症状が現れることが多く、早期診断と適切な食事療法が極めて重要です。
ガラクトース血症は新生児マススクリーニングの対象疾患であり、早期発見が可能です。特にガラクトース血症I型(GALT欠損症)は指定難病258として認定されており、未治療の場合は致死的となります。遺伝性フルクトース不耐症も小児慢性特定疾病の対象となっています。これらの疾患は、適切な食事療法により症状をコントロールできますが、生涯にわたる管理が必要です。
主な疾患と症状
低血糖症・ガラクトース/フルクトース代謝異常には、主に以下の疾患が含まれます。それぞれ異なる酵素の欠損により引き起こされ、症状の重症度も異なります。
ガラクトース血症I型(古典型ガラクトース血症)
ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ(GALT)欠損症とも呼ばれ、最も重篤な病型です。
- 新生児期の症状:哺乳開始後、不機嫌、食欲不振、嘔吐、下痢などの消化器症状
- 急性症状:低血糖、黄疸、肝脾腫、肝機能障害、尿細管障害
- 重篤な合併症:敗血症、髄膜炎(ガラクトース高値が大腸菌の発育を促進)
- 長期合併症:白内障、知的障害、言語障害、卵巣機能不全(女性)
- 予後:乳糖除去を行わなければ致死的。早期診断・治療でも慢性期に合併症のリスクあり
ガラクトース血症II型(ガラクトキナーゼ欠損症)
ガラクトキナーゼ(GALK1)の欠損により発症します。I型よりも症状は軽度です。
- 主症状:乳児期の白内障(最も特徴的)
- その他:まれに軽度の黄疸、肝機能異常、けいれん、知能障害
- 予後:白内障以外の長期合併症は比較的少ない
ガラクトース血症III型(ウリジル二リン酸ガラクトース-4-エピメラーゼ欠損症)
ガラクトース-4-エピメラーゼ(GALE)の欠損により発症します。
- 重症度:軽度から重度まで様々
- 症状:白内障、成長・発達の遅れ、知的障害、肝疾患、腎障害
- 末梢型:血液細胞のみで酵素活性が低下する型は治療不要
遺伝性フルクトース不耐症
フルクトース-1,6-二リン酸アルドラーゼB(ALDOB)の活性低下により発症します。
- 急性症状(フルクトース摂取後):腹痛、嘔気、嘔吐、蒼白、冷汗、振戦、低血糖、意識障害、けいれん
- 慢性症状:哺乳不良、食思不振、体重増加不良、発育遅延
- 肝障害:肝腫大、黄疸、肝硬変・肝不全への進展
- 腎障害:尿細管障害、腎不全への進展、ビタミンD抵抗性くる病
- 特徴的所見:甘味を嫌う食癖、齲歯がほとんどない
- 予後:診断不明のまま原因糖質摂取が続けば急速に肝不全へ進行し致死的。早期診断・治療で予後良好
症状発現のタイミング
これらの疾患の症状発現時期は、原因となる糖質を含む食品の摂取開始時期と密接に関連しています:
- ガラクトース血症:母乳や人工乳(乳糖を含む)の哺乳開始後、数日から数週間以内に症状出現
- 遺伝性フルクトース不耐症:離乳食開始時(果物、野菜)や、フルクトース・ショ糖添加の人工乳使用時に症状出現。母乳哺育中は症状なし
遺伝形式と原因遺伝子
低血糖症・ガラクトース/フルクトース代謝異常の疾患群は、すべて常染色体劣性(潜性)遺伝形式をとります。これは、両親がともに変異遺伝子の保因者(キャリア)である場合、子どもが発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%、正常である確率は25%であることを意味します。
ガラクトース代謝経路(Leloir経路)
ガラクトースは、乳糖が小腸で分解されてグルコースとガラクトースになり、体内に吸収された後、肝臓でLeloir経路を経てグルコースに変換されます。この経路には4つの酵素が関与しています:
- GALT遺伝子(9p13):ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼをコード。ガラクトース血症I型(古典型)の原因
- GALK1遺伝子(17q25.1):ガラクトキナーゼをコード。ガラクトース血症II型の原因
- GALE遺伝子(1p36.11):UDP-ガラクトース-4-エピメラーゼをコード。ガラクトース血症III型の原因
- GALM遺伝子:ガラクトースムタロターゼをコード。ガラクトース血症IV型(新型、極めて稀)の原因
フルクトース代謝経路
フルクトースは、フルクトキナーゼによりフルクトース-1-リン酸となり、さらにフルクトース-1,6-二リン酸アルドラーゼ(ALDO)のアイソザイムの一つであるALDO-Bにより代謝されます。
- ALDOB遺伝子(9q22.3):フルクトース-1,6-二リン酸アルドラーゼB(ALDO-B)をコード。遺伝性フルクトース不耐症の原因
有病率
- ガラクトース血症I型:欧米では3万~6万人に1人。日本人では極めて稀
- ガラクトース血症II型:約10万人に1人未満
- ガラクトース血症III型:非常に稀
- 遺伝性フルクトース不耐症:欧米白人で2万~3万人に1人。日本人では極めて稀(1990年までに3家系5例のみ報告)
ミネルバクリニックの低血糖症・ガラクトース/フルクトース代謝異常遺伝子パネル検査の特徴
「低血糖症・ガラクトース/フルクトース代謝異常 NGSパネル検査」とは、現在低血糖症を引き起こすガラクトース血症および遺伝性フルクトース不耐症の原因として報告されている4つの遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、低血糖症・ガラクトース/フルクトース代謝異常に関連する4遺伝子を一度に調べられる「低血糖症・ガラクトース/フルクトース代謝異常 NGSパネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関で糖質代謝異常症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、低血糖症・ガラクトース/フルクトース代謝異常に関係するとされる4つの遺伝子を一度に調べられる「低血糖症・ガラクトース/フルクトース代謝異常 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行える糖質代謝異常症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「低血糖症・ガラクトース/フルクトース代謝異常 NGSパネル検査」の場合、4つの遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
臨床症状から糖質代謝異常症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「低血糖症・ガラクトース/フルクトース代謝異常 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な4つの原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「低血糖症・ガラクトース/フルクトース代謝異常 NGSパネル検査」では、低血糖症を引き起こす糖質代謝異常症に関係するとされる4種類の遺伝子(ALDOB、GALE、GALK1、GALT)をまとめて検査します。
「低血糖症・ガラクトース/フルクトース代謝異常 NGSパネル検査」は、糖質代謝異常症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【低血糖症・ガラクトース血症・遺伝性フルクトース不耐症の個人歴または家族歴のある方】に
「低血糖症・ガラクトース/フルクトース代謝異常 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・新生児マススクリーニングでガラクトース血症陽性と判定された方
・哺乳開始後に嘔吐、下痢、黄疸などの症状が出現した新生児・乳児
・原因不明の低血糖を繰り返す方
・肝腫大、肝機能障害がある方
・白内障が認められる乳幼児
・離乳食(特に果物)開始後に嘔吐や腹痛を繰り返す方
・フルクトースやショ糖を含む食品摂取後に低血糖症状がある方
・甘味を極端に嫌う食癖がある方
・齲歯がほとんどない方
・原因不明の発育遅延がある方
・ガラクトース血症または遺伝性フルクトース不耐症の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、糖質代謝異常症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な食事療法、定期的なモニタリングを行うことができます。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・他の代謝疾患や感染症との鑑別
・適切な食事療法の立案(ガラクトース制限、フルクトース制限など)
・低血糖発作の予防と管理
・肝障害・腎障害のリスク評価と早期介入
・白内障の早期発見と治療
・敗血症・髄膜炎などの重篤な合併症の予防
・長期合併症(知的障害、卵巣機能不全など)のリスク評価
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、常染色体劣性遺伝であるため、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。また、患者さんの子どもは必ず保因者となります。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。
対象遺伝子
- 詳しくはこちら
-
ALDOB, GALE, GALK1, GALT ( 4遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・ALDOB遺伝子(9q22.3):
フルクトース-1,6-二リン酸アルドラーゼB(ALDO-B)をコードする遺伝子。この酵素は肝型アイソザイムであり、フルクトース代謝において、フルクトース-1-リン酸をジヒドロキシアセトンリン酸とグリセルアルデヒドに変換する重要な役割を担っています。ALDOB遺伝子の変異により、遺伝性フルクトース不耐症(HFI)が引き起こされます。フルクトース、ショ糖、ソルビトールを含む食品摂取後に急性低血糖、嘔吐、腹痛などの症状が出現し、慢性的な摂取により肝障害・腎障害が進行します。日本人では極めて稀な疾患ですが、診断されていない軽症例が存在する可能性があります。
・GALT遺伝子(9p13):
ガラクトース-1-リン酸ウリジルトランスフェラーゼ(GALT)をコードする遺伝子。この酵素はガラクトース代謝のLeloir経路において中心的な役割を果たし、ガラクトース-1-リン酸をUDP-ガラクトースに変換します。GALT遺伝子の変異により、ガラクトース血症I型(古典型ガラクトース血症)が引き起こされます。これは最も重篤な病型で、新生児期から哺乳開始後に重篤な症状が出現し、未治療の場合は致死的です。指定難病258として認定されており、新生児マススクリーニングの対象疾患です。早期診断・早期治療により生命予後は改善しますが、長期合併症のリスクがあります。
・GALK1遺伝子(17q25.1):
ガラクトキナーゼ(GALK1)をコードする遺伝子。この酵素はガラクトース代謝の最初のステップで、ガラクトースをガラクトース-1-リン酸に変換します。GALK1遺伝子の変異により、ガラクトース血症II型(ガラクトキナーゼ欠損症)が引き起こされます。I型と比較して症状は軽度で、主な症状は乳児期の白内障です。まれに軽度の黄疸、肝機能異常、けいれん、知能障害を合併することがあります。小児慢性特定疾病の対象疾患です。
・GALE遺伝子(1p36.11):
UDP-ガラクトース-4-エピメラーゼ(GALE)をコードする遺伝子。この酵素はガラクトース代謝において、UDP-ガラクトースとUDP-グルコースの相互変換を触媒します。GALE遺伝子の変異により、ガラクトース血症III型(ウリジル二リン酸ガラクトース-4-エピメラーゼ欠損症)が引き起こされます。重症度は軽度から重度まで様々で、白内障、成長・発達の遅れ、知的障害、肝疾患、腎障害などが見られることがあります。末梢型(血液細胞のみで酵素活性が低下)は治療不要です。小児慢性特定疾病の対象疾患です。
カバレッジ
カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。
≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。
検査の限界
- 詳しくはこちら
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すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
※この検査パネルでは、4つの原因遺伝子のみを対象としています。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、ガラクトース血症IV型(GALM遺伝子変異)は本パネルには含まれていません。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
- どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
- 新生児マススクリーニングでガラクトース血症陽性と判定された方、哺乳開始後に嘔吐・下痢・黄疸が出現した新生児、原因不明の低血糖を繰り返す方、離乳食開始後(特に果物摂取後)に嘔吐や腹痛を繰り返す方におすすめします。また、肝腫大や肝機能障害、白内障が認められる場合、甘味を極端に嫌う食癖がある場合も検査をご検討ください。家族に糖質代謝異常症の方がいる場合も重要です。
- 検査はどのように行いますか?
- 血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
- 新生児マススクリーニングとの違いは何ですか?
- 新生児マススクリーニングは酵素活性やガラクトース濃度を測定する機能的検査であり、ガラクトース血症のスクリーニングに有効です。一方、当院の遺伝子検査は原因遺伝子の変異を直接検出するため、確定診断、病型の特定、保因者診断、家族計画に役立ちます。また、遺伝性フルクトース不耐症は新生児マススクリーニングの対象外ですが、遺伝子検査で診断可能です。
- 家族も検査を受ける必要がありますか?
- これらの疾患は常染色体劣性遺伝であるため、患者さんの兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。患者さんの子どもは必ず保因者となります。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
- 検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
- 本パネル検査は主要な4遺伝子のみを対象としています。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、ガラクトース血症IV型(GALM遺伝子変異)は含まれていません。臨床症状と生化学検査に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
- 保険は適用されますか?
- 当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。ただし、ガラクトース血症I型(GALT欠損症)は指定難病258として、他の病型は小児慢性特定疾病として、診断確定後に医療費助成の対象となる場合があります。
- 結果はどのように説明されますか?
- 検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
- 子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
- 常染色体劣性遺伝であるため、患者さんの子どもは必ず保因者となります。保因者同士のカップルでは、子どもが発症する確率は25%、保因者となる確率は50%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
- 糖質代謝異常症の治療はどのように行われますか?
- 治療の基本は原因糖質の除去または制限を行う食事療法です。ガラクトース血症では乳糖・ガラクトースの除去、遺伝性フルクトース不耐症ではフルクトース・ショ糖・ソルビトールの除去が必要です。適切な食事療法により、多くの症状は改善または予防できますが、生涯にわたる管理が必要です。定期的な生化学検査、発達評価、合併症のモニタリングも重要です。
- 予後はどうですか?
- 早期診断と適切な食事療法により、生命予後は大幅に改善します。ガラクトース血症I型では、早期治療でも長期合併症(知的障害、言語障害、卵巣機能不全など)のリスクがありますが、適切な管理により日常生活を送ることができます。遺伝性フルクトース不耐症では、適切な食事制限により予後良好です。診断が遅れたり、未治療のまま原因糖質摂取が続くと、肝不全などにより致死的となる可能性があります。
- 他の医療機関での検査との違いは何ですか?
- 当院では臨床的に重要な4つの原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
仲田洋美のプロフィールはこちら