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肥大型心筋症NGSパネル検査|ミネルバクリニック

肥大型心筋症NGSパネル検査|ミネルバクリニック

肥大型心筋症(HCM)とは

肥大型心筋症(HCM)は、心臓の壁、特に心室中隔が肥厚する遺伝性心疾患です。この肥厚により心臓からの血液の送り出しが困難になり、心臓合併症のリスクが高まります。

HCMの患者さんの多くは無症状ですが、息切れ、不整脈、めまい、運動時の失神、胸痛などの症状が現れることもあります。無症状の患者さんであっても、遺伝子診断により心合併症を発症するリスクを明らかにし、適切な医学的管理を計画することが重要です。

HCMは遺伝性疾患として家族内での発症が見られることが多く、早期診断により適切な治療や予防策を講じることが重要です。このパネルには、HCMに関連する遺伝子のほか、類似した症状を呈する可能性のある他の心筋症や、ファブリー病やRAS症候群など、HCMを特徴として含む症候群性疾患に関連する遺伝子も含まれています。

症状と病態

HCMの症状には、息切れ、胸痛、不整脈、めまい、運動時の失神、疲労感などがあります。重症例では心不全や突然心臓死のリスクもあります。

肥大型心筋症に関連する主な病態には以下があります:

  • 心室壁(特に心室中隔)の肥厚
  • 左室流出路狭窄
  • 拡張機能障害
  • 不整脈(心房細動、心室頻拍など)
  • 心筋虚血
  • 僧帽弁逆流
  • 心不全
  • 突然心臓死のリスク

HCMは進行性の疾患で、初期には無症状のこともありますが、時間とともに症状が現れたり悪化したりすることがあります。また、運動が症状の誘因となることが多く、特に激しい運動中や運動後に症状が生じやすい傾向があります。家族歴がある場合や、原因不明の失神、若年での突然死の家族歴がある場合は、遺伝的要因を強く疑う必要があります。

ミネルバクリニックの肥大型心筋症遺伝子パネル検査の特徴

「肥大型心筋症NGSパネル検査」とは、現在遺伝性HCMに関係があると報告されている86の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、遺伝性HCMに関連する遺伝子を一度に調べられる「肥大型心筋症NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で遺伝性HCMの遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、遺伝性HCMに関係するとされる86の遺伝子を一度に調べられる「肥大型心筋症NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える遺伝性HCMの遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「肥大型心筋症NGSパネル検査」の場合、遺伝性HCMに関係する86の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

家族歴や症状から特定の遺伝性心筋症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「肥大型心筋症NGSパネル検査」ならば、現在遺伝性HCMに関係すると報告されている86の遺伝子を網羅的に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「肥大型心筋症NGSパネル検査」では、遺伝性HCMに関係するとされる86種類の遺伝子をまとめて検査します。このパネルには、HCMに関連する遺伝子のほか、類似した症状を呈する可能性のある他の心筋症や、ファブリー病やRAS症候群など、HCMを特徴として含む症候群性疾患に関連する遺伝子も含まれています。

「肥大型心筋症NGSパネル検査」は、遺伝性HCMの遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を最大限に高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【遺伝性HCMの個人歴または家族歴のある方】に
「肥大型心筋症NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・HCMと診断された方、またはその疑いがある方
・心エコーや心電図で心室壁肥厚を指摘された方
・息切れ、胸痛、不整脈、疲労感などの症状がある方
・運動時のめまいや失神の既往がある方
・心不全と診断された方
・HCMや突然心臓死の家族歴がある方
・若年での突然死の家族歴がある方
・スポーツ選手で心臓関連の症状がある方
・無症状でもHCMの家族歴があり、リスク評価を希望される方
・将来子どもを持つことを考えている方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、HCMの診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、予防的治療や生活習慣の改善、定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・関連する追加症状のリスクの特定
・食事や運動を含む生活習慣の改善指導
・心筋弛緩薬、心拍数コントロール薬、抗不整脈薬などの薬物療法
・外科的心筋切除術の適応判断
・経皮的中隔心筋焼灼術の適応判断
・植込み型除細動器(ICD)などのデバイス治療の適応判断
・心臓移植の適応判断
・定期的なモニタリングと早期介入
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・関連するリソースやサポートへの接続
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、近親者(両親・兄弟姉妹・子ども)のリスクも50%と高くなります。一部の疾患では小児期からのスクリーニングが推奨される場合もあるため、家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

A2ML1, ABCC9, ACADVL, ACTC1, ACTN2, AGL, ANKRD1, BAG3, BRAF, CACNA1C, CALR3, CAV3, CBL, CPT2, CRYAB, CSRP3, CTF1, DES, DMD, DSC2, DSG2, DSP, DTNA, ELAC2, EMD, FHL1, FKTN, FLNC, FXN, GAA, GATA4, GATAD1, GLA, HRAS, ILK, JPH2, JUP, KRAS, LAMA4, LAMP2, LDB3, LMNA, MAP2K1, MAP2K2, MTO1, MYBPC3, MYH6, MYH7, MYL2, MYL3, MYLK2, MYOM1, MYOZ2, MYPN, NEBL, NEXN, NF1, NRAS, PDLIM3, PKP2, PLN, PRKAG2, PTPN11, RAF1, RASA1, RBM20, RIT1, RRAS, RYR2, SCN5A, SGCD, SHOC2, SOS1, SOS2, SPRED1, TAZ, TCAP, TMEM43, TMPO, TNNC1, TNNI3, TNNT2, TPM1, TTN, TTR, VCL ( 86遺伝子 )

遺伝子特記事項

FXN遺伝子について

FXN遺伝子において疾患と最も一般的に関連する変異は、GAA三塩基リピート配列の伸長です。この検査では、特に上記で指摘されていない限り、この遺伝子における配列変異およびコピー数変化のみが検査されます。患者の臨床症状がこの遺伝子に関連する疾患に特異的である場合、リピート伸長検査が必要になることがあります。

カバレッジ

カバレッジについての説明は別ページをご覧ください。
≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
息切れ、胸痛、不整脈、めまい、運動時の失神、疲労感などの症状がある方におすすめします。症状がなくてもHCMや突然心臓死の家族歴がある場合は検査をご検討ください。特にスポーツ選手で心臓関連の症状がある方や、心エコーや心電図で心室壁肥厚を指摘された方は早期の検査が重要です。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
家族も検査を受ける必要がありますか?
患者さんで病原性変異が見つかった場合、近親者(両親・兄弟姉妹・子ども)のリスクは50%になります。HCMは突然心臓死のリスクがある疾患のため、小児期からのスクリーニングが推奨される場合もあります。ご家族の検査により、そのリスクを明らかにすることが重要です。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
検査で病原性変異が検出されなくても、症状がある場合は他の原因や遺伝子が関与している可能性があります。主治医と相談して、引き続き適切な経過観察や治療を受けることが重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、予防策、治療選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝性HCMは50%の確率で親から子に受け継がれる可能性があります。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
心室壁肥厚とは何ですか?
心室壁肥厚とは、心臓の筋肉(特に心室中隔)が異常に厚くなる状態です。HCMではこの肥厚により心臓からの血液の送り出しが困難になり、不整脈や突然心臓死のリスクが高まります。
運動制限は必要ですか?
HCMと診断された場合、または遺伝子変異が見つかった場合は、激しい競技スポーツや持久運動を制限することが推奨されます。運動が症状の誘因となることが多いため、主治医と相談して適切な運動レベルを決定することが重要です。
ファブリー病やRAS症候群とはどのような関係がありますか?
ファブリー病やRAS症候群は、HCMを特徴の一つとして含む症候群性疾患です。当検査パネルには、これらの疾患に関連する遺伝子も含まれており、HCMの背景にある原因を包括的に評価することができます。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では86遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を大幅に短縮できます。HCMに関連する遺伝子だけでなく、類似症状を呈する他の心筋症や症候群性疾患の遺伝子も含む包括的な検査により、HCMの遺伝的原因を見つける可能性を最大限に高めます。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら