内臓錯位症・完全内臓逆位 遺伝子検査|ミネルバクリニック
内臓錯位症・完全内臓逆位とは
内臓錯位症(ヘテロタキシー)は、胎児期における左右軸形成の異常により、内臓器官が正常とは異なる位置に配置される先天性疾患です。心臓、肺、肝臓、脾臓、腸管などの内臓器官の配置が左右で対称的でないという特徴があります。
完全内臓逆位(サイタスインバース)は、すべての内臓器官が正常とは左右逆の配置となる状態で、心臓が右側、肝臓が左側に位置するなど、体内器官が鏡像のような配置を示します。これらの疾患は遺伝的要因が関与することが知られており、適切な遺伝学的検査により原因を特定することが重要です。
内臓錯位症・完全内臓逆位は、単独で発症する場合もあれば、先天性心疾患や他の先天異常と合併することもあります。早期診断により適切な治療計画を立てることができ、患者さんとご家族にとって重要な医学的情報を提供できます。
症状と病態
内臓錯位症・完全内臓逆位の症状は、内臓器官の配置異常の程度や合併症により様々です。主な症状には、皮膚の青味(チアノーゼ)、呼吸困難、頻呼吸、体重増加不良、反復する感染症などがあります。
内臓錯位症・完全内臓逆位に関連する主な病態には以下があります:
- 先天性心疾患(心房中隔欠損症、心室中隔欠損症など)
- 肺血管異常
- 脾臓の異常(無脾症、多脾症)
- 腸回転異常
- 胆道閉鎖症
- 原発性線毛機能不全症候群
これらの疾患では、心血管系の異常が生命に関わることが多く、早期からの専門的な管理が必要となります。また、感染に対する抵抗力の低下や、消化器系の異常による栄養吸収障害なども見られることがあります。
ミネルバクリニックの内臓錯位症・完全内臓逆位遺伝子パネル検査の特徴
「内臓錯位症・完全内臓逆位遺伝子パネル検査」とは、現在内臓錯位症・完全内臓逆位に関係があると報告されている22の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、内臓錯位症・完全内臓逆位に関連する遺伝子を一度に調べられる「内臓錯位症・完全内臓逆位遺伝子パネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関で内臓錯位症・完全内臓逆位の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、内臓錯位症・完全内臓逆位に関係するとされる22の遺伝子を一度に調べられる「内臓錯位症・完全内臓逆位遺伝子パネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行える内臓錯位症・完全内臓逆位の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「内臓錯位症・完全内臓逆位遺伝子パネル検査」の場合、内臓錯位症・完全内臓逆位に関係する22の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
家族歴や症状から特定の内臓錯位症・完全内臓逆位を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「内臓錯位症・完全内臓逆位遺伝子パネル検査」ならば、現在内臓錯位症・完全内臓逆位に関係すると報告されている22の遺伝子を網羅的に検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「内臓錯位症・完全内臓逆位遺伝子パネル検査」では、内臓錯位症・完全内臓逆位に関係するとされる22種類の遺伝子をまとめて検査します。このパネルでは、内臓錯位症、完全内臓逆位、原発性線毛機能不全症候群などを含む、内臓配置異常の幅広いカテゴリーを評価できます。
「内臓錯位症・完全内臓逆位遺伝子パネル検査」は、内臓錯位症・完全内臓逆位の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を最大限に高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【内臓錯位症・完全内臓逆位の個人歴または家族歴のある方】に
「内臓錯位症・完全内臓逆位遺伝子パネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・内臓錯位症または完全内臓逆位の診断を受けた方
・先天性心疾患と内臓配置異常がある方
・脾臓の異常(無脾症、多脾症)がある方
・腸回転異常や胆道閉鎖症がある方
・反復する呼吸器感染症がある方
・原発性線毛機能不全症候群が疑われる方
・家族内で内臓配置異常がある方
・将来子どもを持つことを考えている方で、リスク評価を希望される方
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、内臓錯位症・完全内臓逆位の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、予防的治療や合併症の早期発見、適切なモニタリングを行うことができます。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・心血管系の異常に対する修正手術の検討
・感染予防のための薬物療法や予防接種
・栄養管理や消化器系のサポート
・呼吸器機能の改善治療
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、近親者(両親・兄弟姉妹・子ども)のリスクも50%と高くなります。一部の疾患では小児期からのスクリーニングが推奨される場合もあるため、家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。
対象遺伝子
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ACVR2B, CCDC39, CCDC40, CFAP53, DNAAF1, DNAAF2, DNAAF3, DNAH11, DNAH5, DNAI1, DNAI2, DNAL1, FOXH1, GDF1, INVS, LEFTY2, MMP21, NKX2-5, NME8, NODAL, PKD1L1, ZIC3 ( 22遺伝子 )
カバレッジ
カバレッジについての説明は別ページをご覧ください。
≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜ぬぐい液の場合は、遠方の方でもクリニックへお越しにならずに検査が可能です。(オンライン診療)
その場合は、オンライン診療(ビデオスルーでの診療のことをいいます)で遺伝カウンセリングをしたのち、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検査の限界
- 詳しくはこちら
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すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
遺伝子固有の注意事項:ZIC3遺伝子については、現在の検査方法では三塩基反復伸長は評価していません。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
- どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
- 皮膚の青味(チアノーゼ)、呼吸困難、頻呼吸、体重増加不良、反復する感染症などの症状がある方、または内臓配置異常、先天性心疾患の診断を受けた方におすすめします。症状がなくても家族歴がある場合は検査をご検討ください。
- 検査はどのように行いますか?
- 血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
- 家族も検査を受ける必要がありますか?
- 患者さんで病原性変異が見つかった場合、近親者(両親・兄弟姉妹・子ども)のリスクは50%になります。一部の疾患では小児期からのスクリーニングが推奨されるため、ご家族の検査により、そのリスクを明らかにすることが重要です。
- 検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
- 検査で病原性変異が検出されなくても、症状がある場合は他の原因や遺伝子が関与している可能性があります。主治医と相談して、引き続き適切な経過観察や治療を受けることが重要です。
- 保険は適用されますか?
- 当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
- 結果はどのように説明されますか?
- 検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、予防策、治療選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
- 子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
- 内臓錯位症・完全内臓逆位は50%の確率で親から子に受け継がれる可能性があります。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
- 原発性線毛機能不全症候群とは何ですか?
- 細胞の線毛が正常に機能しないことで起こる疾患で、内臓配置異常、慢性呼吸器感染症、男性不妊などを特徴とします。CCDC39、CCDC40、DNAH5、DNAI1などの遺伝子変異が原因となることがあり、当検査でも評価しています。
- 他の医療機関での検査との違いは何ですか?
- 当院では22遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を大幅に短縮できます。また、高い精度を保証する検査体制により、信頼性の高い結果を提供しています。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
仲田洋美のプロフィールはこちら