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グリコーゲン貯蔵病(糖原病)NGS遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック

グリコーゲン貯蔵病(糖原病)NGS遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック

グリコーゲン貯蔵病(糖原病)とは

グリコーゲン貯蔵病(Glycogen Storage Disease: GSD)は、糖原病とも呼ばれ、グリコーゲンの合成または分解に関わる酵素の先天的異常により、肝臓、筋肉、腎臓、心臓などの組織にグリコーゲンが異常に蓄積する遺伝性代謝疾患です。グリコーゲンはブドウ糖(グルコース)が多数つながった物質で、体内でエネルギー源として蓄えられています。

本疾患は欠損する酵素の種類により多くの病型(0型からXV型まで)に分類され、それぞれ異なる遺伝子変異が原因となります。主な症状としては低血糖、肝腫大(肝臓の腫れ)、成長障害、筋力低下などがあり、病型によって症状の出現時期や重症度が大きく異なります。

グリコーゲン貯蔵病は、日本では指定難病として「肝型糖原病」と「筋型糖原病」に分類されています。肝型糖原病には主にI、III、IV、VI、IX型が含まれ、筋型糖原病にはII、V、VII型などが含まれます。累積発生頻度はおよそ25,000人に1人と推定されており、比較的稀な疾患ですが、適切な診断と管理により予後を大きく改善することができます。

症状と病態

グリコーゲン貯蔵病の症状は、障害される酵素の種類と主に影響を受ける臓器によって大きく異なります。大きく分けて「肝型」「筋型」「肝筋型(混合型)」に分類され、それぞれ特徴的な症状を示します。

肝型糖原病の主要症状

  • 空腹時の低血糖(短時間の空腹でも発症)
  • 肝腫大(肝臓の腫れによる腹部膨満)
  • 成長障害・低身長
  • 人形様顔貌(丸顔で頬がふくよか)
  • 高脂血症・高コレステロール血症
  • 高尿酸血症・痛風
  • 乳酸アシドーシス(血液の酸性化)
  • 出血傾向(鼻出血など)

筋型糖原病の主要症状

  • 運動不耐性(運動により筋肉痛が生じやすい)
  • 筋力低下
  • 筋硬直・筋痙攣
  • 運動後のミオグロビン尿(赤褐色の尿)
  • 易疲労性
  • 心筋症(一部の病型)
  • 呼吸筋障害(重症例)

主要病型の特徴

代表的な病型の特徴を以下に示します:

  • I型(フォンギルケ病):最も重症な低血糖を呈する肝型糖原病。肝腫大、成長障害が顕著で、乳酸アシドーシス、高尿酸血症、高脂血症を伴います。Ib型では好中球減少症と易感染性も認められます
  • II型(ポンペ病):ライソゾーム内にグリコーゲンが蓄積する全身型。乳児型は重症で心筋症や呼吸筋障害により生命予後不良。成人型は緩徐進行性の筋力低下が特徴です
  • III型(コリ病):肝筋型で、I型より症状は軽度ですが、成長とともに進行性の筋症状や心筋症を呈することがあります
  • IV型(アンダーセン病):進行性肝硬変を呈し、5歳までに肝硬変が進行する重症型です
  • V型(マッカードル病):筋型で、運動不耐性と運動後のミオグロビン尿が特徴的です
  • VI型(ハース病)およびIX型:比較的症状が軽く、年齢とともに症状が改善する傾向があります
  • VII型(タルイ病):筋型で、V型と類似した運動不耐性と溶血性貧血を伴います

長期合併症

適切な治療を受けない場合、以下のような長期合併症が生じる可能性があります:

  • 肝腺腫(一部は悪性化のリスク)
  • 肝硬変・肝不全
  • 腎機能障害・腎不全
  • 肺高血圧
  • 骨粗鬆症
  • 二次性徴遅延
  • 多嚢胞性卵巣
  • 膵炎
  • 低血糖による脳障害・発達遅滞

治療と予後

現在のところ根本的な治療法はありませんが、適切な管理により生活の質を大きく改善できます。治療の中心は食事療法で、低血糖予防のための頻回食事摂取、非加熱コーンスターチの投与、夜間持続栄養補給などが行われます。II型(ポンペ病)に対しては酵素補充療法が利用可能です。

適切な血糖コントロールにより、肝腫大、成長障害、鼻出血などの症状は改善されます。多くの患者さんは成人期まで生存し、適切な管理のもとで日常生活を送ることができます。

遺伝形式と原因遺伝子

グリコーゲン貯蔵病は、VIII/IX型の一部(X連鎖性)を除き、ほとんどの病型が常染色体劣性(潜性)遺伝形式をとります。これは、両親がそれぞれ1つずつ変異遺伝子を保有している場合(保因者)、子どもが発症する確率が25%、保因者となる確率が50%、正常である確率が25%となることを意味します。

常染色体劣性(潜性)遺伝の特徴

  • 両親はともに保因者(ヘテロ接合体)で通常無症状
  • 同胞(兄弟姉妹)が受胎時に罹患する確率は25%
  • 同胞が無症候性保因者となる確率は50%
  • 同胞が罹患せず保因者ともならない確率は25%
  • 男女差なく発症

X連鎖性遺伝(VIII/IX型の一部)

PHKA2遺伝子変異による糖原病IX型の一部はX連鎖性遺伝形式をとります。この場合、主に男性が発症し、女性は保因者となります。

主要病型と原因遺伝子

  • 0型:GYS1(筋型)、GYS2(肝型)遺伝子変異
  • I型:G6PC(Ia型)、SLC37A4(Ib型)遺伝子変異
  • II型:GAA遺伝子変異
  • III型:AGL遺伝子変異
  • IV型:GBE1遺伝子変異
  • V型:PYGM遺伝子変異
  • VI型:PYGL遺伝子変異
  • VII型:PFKM遺伝子変異
  • IX型:PHKA1、PHKA2、PHKB、PHKG2遺伝子変異

当検査パネルでは、これらの原因遺伝子を含む30遺伝子を対象としています。これにより、グリコーゲン貯蔵病の主要な病型を効率的にスクリーニングすることが可能です。

ミネルバクリニックのグリコーゲン貯蔵病(糖原病)遺伝子パネル検査の特徴

「グリコーゲン貯蔵病(糖原病)NGSパネル検査」とは、現在グリコーゲン貯蔵病の原因として報告されている30の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、グリコーゲン貯蔵病に関連する30遺伝子を一度に調べられる「グリコーゲン貯蔵病(糖原病)NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関でグリコーゲン貯蔵病の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、グリコーゲン貯蔵病に関係するとされる30の遺伝子を一度に調べられる「グリコーゲン貯蔵病(糖原病)NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行えるグリコーゲン貯蔵病の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「グリコーゲン貯蔵病(糖原病)NGSパネル検査」の場合、30の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状からグリコーゲン貯蔵病を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「グリコーゲン貯蔵病(糖原病)NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な30の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「グリコーゲン貯蔵病(糖原病)NGSパネル検査」では、グリコーゲン貯蔵病に関係するとされる30種類の遺伝子(AGL、ALDOA、ALDOB、AMPD1、CPT2、ENO3、EPM2A、FBP1、G6PC、GAA、GBE1、GYG1、GYS1、GYS2、LAMP2、LDHA、NHLRC1、PFKM、PGAM2、PGK1、PGM1、PHKA1、PHKA2、PHKB、PHKG2、PRKAG2、PYGL、PYGM、SLC2A2、SLC37A4)をまとめて検査します。

「グリコーゲン貯蔵病(糖原病)NGSパネル検査」は、グリコーゲン貯蔵病の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【グリコーゲン貯蔵病(糖原病)の個人歴または家族歴のある方】に
「グリコーゲン貯蔵病(糖原病)NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・反復する低血糖発作がある方
・肝腫大(肝臓の腫れ)が認められる方
・成長障害・低身長がある方
・人形様顔貌(丸顔で頬がふくよか)の方
・高脂血症・高尿酸血症がある方
・運動不耐性(運動により筋肉痛が生じやすい)のある方
・筋力低下がある方
・運動後のミオグロビン尿(赤褐色の尿)がある方
・心筋症がある方
・グリコーゲン貯蔵病または糖原病の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、グリコーゲン貯蔵病の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な食事療法、薬物療法、定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・病型の特定による適切な治療方針の決定
・低血糖予防のための食事療法の最適化
・コーンスターチ療法の適応判断
・酵素補充療法の適応判断(II型の場合)
・肝腺腫・肝硬変などの合併症の早期発見
・腎機能障害のリスク評価と管理
・心筋症のリスク評価と管理
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体劣性遺伝の場合は同胞(兄弟姉妹)が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

AGL, ALDOA, ALDOB, AMPD1, CPT2, ENO3, EPM2A, FBP1, G6PC, GAA, GBE1, GYG1, GYS1, GYS2, LAMP2, LDHA, NHLRC1, PFKM, PGAM2, PGK1, PGM1, PHKA1, PHKA2, PHKB, PHKG2, PRKAG2, PYGL, PYGM, SLC2A2, SLC37A4 ( 30遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・AGL遺伝子:
グリコーゲン脱分枝酵素をコードする遺伝子。糖原病III型(Cori病)の原因遺伝子で、常染色体劣性遺伝形式をとります。肝筋型(IIIa型)、肝型(IIIb型)などのサブタイプがあり、肝腫大、低血糖、成長とともに進行性の筋症状や心筋症を呈します。

・ALDOA遺伝子:
フルクトース-1,6-ビスリン酸アルドラーゼAをコードする遺伝子。糖原病XII型の原因遺伝子で、溶血性貧血と運動不耐性を特徴とします。

・ALDOB遺伝子:
フルクトース-1,6-ビスリン酸アルドラーゼBをコードする遺伝子。遺伝性フルクトース不耐症の原因遺伝子で、グリコーゲン代謝にも関与します。

・AMPD1遺伝子:
筋型AMP脱アミノ酵素をコードする遺伝子。筋型AMP脱アミノ酵素欠損症の原因で、運動不耐性や筋肉痛を引き起こします。

・CPT2遺伝子:
カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼIIをコードする遺伝子。脂肪酸酸化異常症の原因遺伝子ですが、グリコーゲン代謝にも関連します。

・ENO3遺伝子:
筋型エノラーゼ(β-エノラーゼ)をコードする遺伝子。糖原病XIII型の原因で、運動不耐性とミオグロビン尿を呈します。

・EPM2A遺伝子:
ラフォリンをコードする遺伝子。ラフォラ病(進行性ミオクローヌスてんかん)の原因遺伝子で、異常なグリコーゲン蓄積を伴います。

・FBP1遺伝子:
フルクトース-1,6-ビスホスファターゼをコードする遺伝子。糖新生障害による低血糖を引き起こします。

・G6PC遺伝子:
グルコース-6-ホスファターゼをコードする遺伝子。糖原病Ia型(フォンギルケ病)の原因遺伝子で、最も重症な低血糖を呈する肝型糖原病です。常染色体劣性遺伝形式をとります。

・GAA遺伝子:
酸性α-グルコシダーゼをコードする遺伝子。糖原病II型(ポンペ病)の原因遺伝子で、ライソゾーム内にグリコーゲンが蓄積します。乳児型は重症で、成人型は緩徐進行性です。酵素補充療法が利用可能な唯一の糖原病です。

・GBE1遺伝子:
グリコーゲン分枝酵素をコードする遺伝子。糖原病IV型(アンダーセン病)の原因遺伝子で、進行性肝硬変を呈します。常染色体劣性遺伝形式をとります。

・GYG1遺伝子:
グリコゲニンをコードする遺伝子。グリコーゲン合成の開始に関与し、その欠損は糖原病XV型の原因となります。

・GYS1遺伝子:
筋グリコーゲン合成酵素をコードする遺伝子。糖原病0b型の原因で、運動不耐性や心臓の運動許容能低下を引き起こします。

・GYS2遺伝子:
肝グリコーゲン合成酵素をコードする遺伝子。糖原病0a型の原因で、空腹時のケトン性低血糖と食後の高血糖を呈します。

・LAMP2遺伝子:
ライソゾーム関連膜タンパク質2をコードする遺伝子。ダノン病の原因遺伝子で、心筋症、骨格筋症、精神遅滞を伴います。X連鎖性遺伝形式をとります。

・LDHA遺伝子:
乳酸脱水素酵素Aをコードする遺伝子。糖原病XI型の原因で、運動不耐性と筋硬直を引き起こします。

・NHLRC1遺伝子:
マリンをコードする遺伝子。EPM2Aとともにラフォラ病の原因遺伝子で、進行性ミオクローヌスてんかんを呈します。

・PFKM遺伝子:
筋型ホスホフルクトキナーゼをコードする遺伝子。糖原病VII型(タルイ病)の原因遺伝子で、運動不耐性、筋痙攣、溶血性貧血を呈します。常染色体劣性遺伝形式をとります。

・PGAM2遺伝子:
筋型ホスホグリセリン酸ムターゼをコードする遺伝子。糖原病X型の原因で、運動不耐性とミオグロビン尿を引き起こします。

・PGK1遺伝子:
ホスホグリセリン酸キナーゼをコードする遺伝子。糖原病IX型の原因で、溶血性貧血、運動不耐性、中枢神経症状を呈します。X連鎖性遺伝形式をとります。

・PGM1遺伝子:
ホスホグルコムターゼ1をコードする遺伝子。糖原病XIV型の原因で、肝症状、筋症状、先天性筋無力症候群様症状を呈します。

・PHKA1遺伝子:
ホスホリラーゼキナーゼα1サブユニットをコードする遺伝子。糖原病IXa型の原因で、筋症状を呈します。X連鎖性遺伝形式をとります。

・PHKA2遺伝子:
ホスホリラーゼキナーゼα2サブユニットをコードする遺伝子。糖原病IXa型の最も一般的な原因で、肝腫大と低血糖を呈しますが、比較的症状は軽度です。X連鎖性遺伝形式をとります。

・PHKB遺伝子:
ホスホリラーゼキナーゼβサブユニットをコードする遺伝子。糖原病IXb型の原因で、肝症状と筋症状の両方を呈します。常染色体劣性遺伝形式をとります。

・PHKG2遺伝子:
ホスホリラーゼキナーゼγ2サブユニットをコードする遺伝子。糖原病IXc型の原因で、肝症状を呈します。常染色体劣性遺伝形式をとります。

・PRKAG2遺伝子:
AMP活性化プロテインキナーゼγ2サブユニットをコードする遺伝子。心臓型糖原病の原因で、心筋肥大とWPW症候群を伴います。

・PYGL遺伝子:
肝グリコーゲンホスホリラーゼをコードする遺伝子。糖原病VI型(ハース病)の原因遺伝子で、肝腫大と低血糖を呈しますが、比較的症状は軽度です。常染色体劣性遺伝形式をとります。

・PYGM遺伝子:
筋グリコーゲンホスホリラーゼ(ミオホスホリラーゼ)をコードする遺伝子。糖原病V型(マッカードル病)の原因遺伝子で、運動不耐性と運動後のミオグロビン尿が特徴的です。常染色体劣性遺伝形式をとります。

・SLC2A2遺伝子:
グルコーストランスポーター2(GLUT2)をコードする遺伝子。ファンコニ・ビッケル症候群の原因遺伝子で、肝腎型糖原病様症状を呈します。

・SLC37A4遺伝子:
グルコース-6-リン酸トランスロカーゼをコードする遺伝子。糖原病Ib型の原因遺伝子で、Ia型と臨床的に類似しますが、好中球減少症と易感染性を伴うことが特徴です。常染色体劣性遺伝形式をとります。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
反復する低血糖発作、肝腫大(肝臓の腫れ)、成長障害、運動不耐性(運動により筋肉痛が生じやすい)などの症状がある方におすすめします。また、人形様顔貌、高脂血症、高尿酸血症、運動後のミオグロビン尿(赤褐色の尿)などが認められる場合も検査をご検討ください。家族に同様の症状やグリコーゲン貯蔵病の診断を受けた方がいる場合も重要です。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
肝型と筋型の違いは何ですか?
肝型糖原病は主に肝臓が障害され、低血糖、肝腫大、成長障害が主な症状です。筋型糖原病は主に筋肉が障害され、運動不耐性、筋力低下、運動後のミオグロビン尿が主な症状です。一部の病型(III型など)は肝臓と筋肉の両方が障害される肝筋型です。当検査により原因遺伝子を特定することで、病型の診断が可能になります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
グリコーゲン貯蔵病のほとんどの病型は常染色体劣性遺伝形式をとります。患者さんの同胞(兄弟姉妹)が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご両親は通常無症状の保因者です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
当検査パネルでは30の主要な原因遺伝子を対象としていますが、まれな遺伝子変異や未知の遺伝子が原因の場合は検出できない可能性があります。検査で病原性変異が検出されなくても、臨床症状と生化学検査に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
治療法はありますか?
病型により治療法が異なります。肝型糖原病では低血糖予防のための頻回食事摂取、非加熱コーンスターチの投与、夜間持続栄養補給などの食事療法が中心です。II型(ポンペ病)に対しては酵素補充療法が利用可能です。筋型糖原病では運動制限や症状に応じた管理が行われます。適切な治療により生活の質を大きく改善できます。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
常染色体劣性遺伝の場合、保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
予後はどうですか?
病型によって予後は大きく異なります。適切な血糖コントロールにより、肝型糖原病の多くの患者さんは成人期まで生存し、日常生活を送ることができます。II型乳児型は重症ですが、酵素補充療法により予後が改善しています。定期的なモニタリングにより、肝腺腫、肝硬変、腎機能障害などの合併症を早期発見し、適切に管理することが重要です。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な30の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら