AGL, ALDOA, ALDOB, AMPD1, CPT2, ENO3, EPM2A, FBP1, G6PC, GAA, GBE1, GYG1, GYS1, GYS2, LAMP2, LDHA, NHLRC1, PFKM, PGAM2, PGK1, PGM1, PHKA1, PHKA2, PHKB, PHKG2, PRKAG2, PYGL, PYGM, SLC2A2, SLC37A4 ( 30遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・AGL遺伝子:
グリコーゲン脱分枝酵素をコードする遺伝子。糖原病III型(Cori病)の原因遺伝子で、常染色体劣性遺伝形式をとります。肝筋型(IIIa型)、肝型(IIIb型)などのサブタイプがあり、肝腫大、低血糖、成長とともに進行性の筋症状や心筋症を呈します。
・ALDOA遺伝子:
フルクトース-1,6-ビスリン酸アルドラーゼAをコードする遺伝子。糖原病XII型の原因遺伝子で、溶血性貧血と運動不耐性を特徴とします。
・ALDOB遺伝子:
フルクトース-1,6-ビスリン酸アルドラーゼBをコードする遺伝子。遺伝性フルクトース不耐症の原因遺伝子で、グリコーゲン代謝にも関与します。
・AMPD1遺伝子:
筋型AMP脱アミノ酵素をコードする遺伝子。筋型AMP脱アミノ酵素欠損症の原因で、運動不耐性や筋肉痛を引き起こします。
・CPT2遺伝子:
カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼIIをコードする遺伝子。脂肪酸酸化異常症の原因遺伝子ですが、グリコーゲン代謝にも関連します。
・ENO3遺伝子:
筋型エノラーゼ(β-エノラーゼ)をコードする遺伝子。糖原病XIII型の原因で、運動不耐性とミオグロビン尿を呈します。
・EPM2A遺伝子:
ラフォリンをコードする遺伝子。ラフォラ病(進行性ミオクローヌスてんかん)の原因遺伝子で、異常なグリコーゲン蓄積を伴います。
・FBP1遺伝子:
フルクトース-1,6-ビスホスファターゼをコードする遺伝子。糖新生障害による低血糖を引き起こします。
・G6PC遺伝子:
グルコース-6-ホスファターゼをコードする遺伝子。糖原病Ia型(フォンギルケ病)の原因遺伝子で、最も重症な低血糖を呈する肝型糖原病です。常染色体劣性遺伝形式をとります。
・GAA遺伝子:
酸性α-グルコシダーゼをコードする遺伝子。糖原病II型(ポンペ病)の原因遺伝子で、ライソゾーム内にグリコーゲンが蓄積します。乳児型は重症で、成人型は緩徐進行性です。酵素補充療法が利用可能な唯一の糖原病です。
・GBE1遺伝子:
グリコーゲン分枝酵素をコードする遺伝子。糖原病IV型(アンダーセン病)の原因遺伝子で、進行性肝硬変を呈します。常染色体劣性遺伝形式をとります。
・GYG1遺伝子:
グリコゲニンをコードする遺伝子。グリコーゲン合成の開始に関与し、その欠損は糖原病XV型の原因となります。
・GYS1遺伝子:
筋グリコーゲン合成酵素をコードする遺伝子。糖原病0b型の原因で、運動不耐性や心臓の運動許容能低下を引き起こします。
・GYS2遺伝子:
肝グリコーゲン合成酵素をコードする遺伝子。糖原病0a型の原因で、空腹時のケトン性低血糖と食後の高血糖を呈します。
・LAMP2遺伝子:
ライソゾーム関連膜タンパク質2をコードする遺伝子。ダノン病の原因遺伝子で、心筋症、骨格筋症、精神遅滞を伴います。X連鎖性遺伝形式をとります。
・LDHA遺伝子:
乳酸脱水素酵素Aをコードする遺伝子。糖原病XI型の原因で、運動不耐性と筋硬直を引き起こします。
・NHLRC1遺伝子:
マリンをコードする遺伝子。EPM2Aとともにラフォラ病の原因遺伝子で、進行性ミオクローヌスてんかんを呈します。
・PFKM遺伝子:
筋型ホスホフルクトキナーゼをコードする遺伝子。糖原病VII型(タルイ病)の原因遺伝子で、運動不耐性、筋痙攣、溶血性貧血を呈します。常染色体劣性遺伝形式をとります。
・PGAM2遺伝子:
筋型ホスホグリセリン酸ムターゼをコードする遺伝子。糖原病X型の原因で、運動不耐性とミオグロビン尿を引き起こします。
・PGK1遺伝子:
ホスホグリセリン酸キナーゼをコードする遺伝子。糖原病IX型の原因で、溶血性貧血、運動不耐性、中枢神経症状を呈します。X連鎖性遺伝形式をとります。
・PGM1遺伝子:
ホスホグルコムターゼ1をコードする遺伝子。糖原病XIV型の原因で、肝症状、筋症状、先天性筋無力症候群様症状を呈します。
・PHKA1遺伝子:
ホスホリラーゼキナーゼα1サブユニットをコードする遺伝子。糖原病IXa型の原因で、筋症状を呈します。X連鎖性遺伝形式をとります。
・PHKA2遺伝子:
ホスホリラーゼキナーゼα2サブユニットをコードする遺伝子。糖原病IXa型の最も一般的な原因で、肝腫大と低血糖を呈しますが、比較的症状は軽度です。X連鎖性遺伝形式をとります。
・PHKB遺伝子:
ホスホリラーゼキナーゼβサブユニットをコードする遺伝子。糖原病IXb型の原因で、肝症状と筋症状の両方を呈します。常染色体劣性遺伝形式をとります。
・PHKG2遺伝子:
ホスホリラーゼキナーゼγ2サブユニットをコードする遺伝子。糖原病IXc型の原因で、肝症状を呈します。常染色体劣性遺伝形式をとります。
・PRKAG2遺伝子:
AMP活性化プロテインキナーゼγ2サブユニットをコードする遺伝子。心臓型糖原病の原因で、心筋肥大とWPW症候群を伴います。
・PYGL遺伝子:
肝グリコーゲンホスホリラーゼをコードする遺伝子。糖原病VI型(ハース病)の原因遺伝子で、肝腫大と低血糖を呈しますが、比較的症状は軽度です。常染色体劣性遺伝形式をとります。
・PYGM遺伝子:
筋グリコーゲンホスホリラーゼ(ミオホスホリラーゼ)をコードする遺伝子。糖原病V型(マッカードル病)の原因遺伝子で、運動不耐性と運動後のミオグロビン尿が特徴的です。常染色体劣性遺伝形式をとります。
・SLC2A2遺伝子:
グルコーストランスポーター2(GLUT2)をコードする遺伝子。ファンコニ・ビッケル症候群の原因遺伝子で、肝腎型糖原病様症状を呈します。
・SLC37A4遺伝子:
グルコース-6-リン酸トランスロカーゼをコードする遺伝子。糖原病Ib型の原因遺伝子で、Ia型と臨床的に類似しますが、好中球減少症と易感染性を伴うことが特徴です。常染色体劣性遺伝形式をとります。