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Cardiofaciocutaneous Syndrome 1 – 遺伝子疾患情報 | 症状・原因・診断基準

Noonan症候群7型 – 遺伝子疾患情報 | 症状・原因・診断基準

疾患概要

NOONAN SYNDROME 7; NS7
Noonan syndrome 7 Noonan症候群7型 613706 AD 3 

Noonan症候群7型(NS7)は、染色体7q34に位置するBRAF遺伝子のヘテロ接合性変異によって引き起こされる遺伝性の発達障害です。BRAF遺伝子は、RAS/MAPK(Mitogen-Activated Protein Kinase)シグナル伝達経路における重要な構成要素であるセリン/スレオニンキナーゼをコードしており、細胞の増殖、分化、アポトーシスの調節に重要な役割を果たしています。

RAS/MAPK経路は、細胞外からの成長因子シグナルを細胞内に伝達し、遺伝子発現の調節を通じて細胞の運命を決定します。BRAF遺伝子の変異により、この経路の異常活性化が生じることで、発生過程における細胞の正常な分化や器官形成が阻害され、Noonan症候群7型の特徴的な症状が現れます。

Noonan症候群は、特徴的な顔貌、低身長、心血管系異常、および様々な程度の認知障害を特徴とする遺伝性疾患群です。現在までに16の異なる遺伝子型が同定されており、それぞれ異なる遺伝子変異によって引き起こされます。NS7は、BRAF遺伝子変異による比較的稀なタイプであり、全Noonan症候群症例の約1.9%を占めるとされています。

BRAF遺伝子の変異は、Noonan症候群7型以外にも、心顔皮膚症候群(Cardiofaciocutaneous syndrome; CFCS)やLEOPARD症候群3型(LEOPARD syndrome 3; LPRD3)の原因でもあり、これらは対立遺伝子疾患(allelic disorders)として知られています。同一遺伝子の異なる変異が複数の表現型を引き起こすことは、BRAF蛋白質の機能ドメインや変異の性質によって細胞への影響が異なることを示しています。

最近の研究により、BRAF変異によるNoonan症候群では、変異の位置と種類によって臨床的重症度が異なることが明らかになっています。特に、キナーゼドメインの変異は、調節ドメインの変異と比較してより重篤な表現型を示すことが報告されています。

NS7の診断と管理において重要なことは、早期診断による適切な医学的管理です。心血管系異常のスクリーニング、成長発達の評価、認知機能の評価など、包括的なアプローチが患者の予後改善に寄与します。また、高齢父親由来のde novo変異のリスク評価も重要な側面となります。

疾患の別名

OMIM ID: 613706

主要疾患名:
NOONAN SYNDROME 7; NS7

別名・同義語:

  • Noonan syndrome 7
  • NS7
  • BRAF-related Noonan syndrome
  • Noonan症候群7型
  • BRAF関連Noonan症候群

これらの別名は、疾患の分類体系や原因遺伝子に基づいて使用されています。現在は国際的にNS7(Noonan症候群7型)として統一された命名法が採用されています。

遺伝的不均一性

Noonan症候群は遺伝的に極めて不均一な疾患群であり、現在までに16の異なる遺伝子型が同定されています。主要なものを以下に示します:

  • NS1 (163950): PTPN11遺伝子変異(最も頻度の高いタイプ)
  • NS2 (605275): LZTR1遺伝子変異
  • NS3 (609942): KRAS遺伝子変異
  • NS4 (610733): SOS1遺伝子変異
  • NS5 (611553): RAF1遺伝子変異
  • NS6 (613224): NRAS遺伝子変異
  • NS7 (613706): BRAF遺伝子変異
  • NS8 (615355): RIT1遺伝子変異
  • NS9 (616559): SOS2遺伝子変異
  • NS10 (616564): LZTR1遺伝子変異(常染色体劣性)
  • NS11 (618499): MYST4遺伝子変異
  • NS12 (618624): RRAS2遺伝子変異
  • NS13 (619087): RASA2遺伝子変異
  • NS14 (619745): MAP3K8遺伝子変異
  • NS15 (619876): MAPK1遺伝子変異
  • NS16 (620174): SPRY1遺伝子変異

これらの遺伝子は、主にRAS/MAPK経路の構成要素であり、それぞれ異なる臨床的特徴を示すことがあります。BRAF変異によるNS7は、全Noonan症候群症例の約1.9%を占めています。

臨床的特徴

Noonan症候群7型は、BRAF遺伝子変異により引き起こされる多系統にわたる発達障害であり、特徴的な顔貌、成長障害、心血管系異常、骨格異常、および認知機能障害を呈します。

新生児期・乳児期の特徴

新生児期から出生後成長不良が認められ、哺乳困難や体重増加不良が見られることがあります。筋緊張低下(hypotonia)により、運動発達の遅延が生じることがあります。新生児期における適切な栄養管理と発達支援が重要です。

特徴的な顔貌

NS7の顔貌は、以下の特徴的な所見を呈します:

  • 長頭症(dolichocephaly)
  • 前額部の突出(prominent forehead)
  • 眼間開離(hypertelorism)
  • 下垂した眼瞼
  • 低位耳介と肥厚した耳輪(low-set ears with thickened helices)
  • 鼻梁の陥凹
  • 短い首

Sarkozy et al.の研究では、これらの顔貌所見がBRAF変異患者で一貫して観察されることが報告されています。

成長と発達の異常

低身長は最も一般的な所見の一つであり、成長ホルモンの分泌不全や軟骨の発達異常が関与していると考えられています。認知機能については、軽度から中等度の知的障害または学習困難が見られることがあります。言語発達の遅延も報告されており、早期の言語療法介入が有効とされています。

心血管系異常

先天性心疾患は約40%の症例で認められ、以下のような病型が見られます:

  • 肺動脈弁狭窄(pulmonary stenosis)- 最も頻度の高い心疾患
  • 心房中隔欠損(atrial septal defect)
  • 僧帽弁逸脱
  • 肥大型心筋症(稀)

定期的な心エコー検査による経過観察が必要であり、重篤な場合は外科的介入が検討されます。

骨格系異常

骨格異常として以下が見られることがあります:

  • 胸郭の変形(鳩胸または漏斗胸)
  • 脊椎側弯症
  • 関節の可動域制限
  • 手指の奇形
  • 骨年齢の遅延

皮膚異常

約60%の症例で色素沈着病変が認められます。これらは以下のような特徴を示します:

  • カフェオレ斑様の色素沈着
  • 多発性の小色素斑
  • 毛髪の巻き毛または粗剛毛

最近の研究では、BRAF変異による色素沈着異常は、メラノサイトにおけるMAPK経路の異常活性化によるものと考えられています。

その他の合併症

  • 停留精巣(男性例)
  • 腎泌尿器系異常
  • 血液学的異常(血小板減少、出血傾向)
  • 免疫機能異常
  • 悪性腫瘍のリスク増加(長期的な観察が必要)

NS7の臨床症状は個人差が大きく、同じ家族内でも表現型に変動が見られることがあります。早期診断と多職種連携による包括的な医療管理により、患者の生活の質向上と合併症の予防が可能となります。

分子遺伝学

Noonan症候群7型の分子遺伝学的基盤は、BRAF遺伝子の機能的変異に起因しています。BRAF遺伝子は766アミノ酸からなるセリン/スレオニンキナーゼをコードし、RAS/MAPK経路において重要な役割を果たしています。

BRAF遺伝子の構造と機能

BRAF蛋白質は以下の主要なドメインから構成されています:

  • N末端の調節ドメイン(RAS結合ドメイン、システインリッチドメイン)
  • ヒンジ領域
  • C末端のキナーゼドメイン

正常なBRAF蛋白質は、上流のRASからのシグナルを受けて活性化され、下流のMEK-ERK経路を介して細胞の増殖と分化を調節します。

NS7における変異の特徴

Sarkozy et al. (2009)により、Noonan症候群270例中5例(1.9%)でBRAF遺伝子の4種類の異なるde novo変異が同定されました:

  • p.Thr241Pro(164757.0022)
  • p.Leu245Phe(164757.0023)
  • p.Asp594Gly(164757.0025)
  • p.Gly596Val(164757.0026)

これらの変異は主にキナーゼドメインに位置し、BRAF蛋白質の自己阻害機構を破綻させることで恒常的な活性化を引き起こします。

分子病態メカニズム

BRAF変異によるNS7の病態は、以下のメカニズムで説明されます:

1. キナーゼ活性の異常増加:
変異BRAFは、RASからの上流シグナルなしに恒常的に活性化状態となり、MEK-ERK経路を過剰に刺激します。これにより、細胞の増殖・分化制御が異常になります。

2. 発生期の細胞運命決定異常:
胎生期における神経冠細胞の移動と分化、心血管系の発生、骨格系の形成において、適切なシグナル伝達が阻害されることで、多器官にわたる奇形が生じます。

3. 成長因子応答の異常:
成長ホルモンやIGF-1などの成長因子に対する細胞応答が変化し、成長障害の原因となります。

遺伝子型と表現型の相関

最近の研究では、BRAF変異の位置と種類により臨床症状の重症度が異なることが示されています:

  • キナーゼドメイン変異:より重篤な心疾患と認知障害を示す傾向
  • 調節ドメイン変異:比較的軽症の表現型
  • 活性化ループ変異:悪性腫瘍のリスクが高い可能性

対立遺伝子疾患との関係

BRAF遺伝子の異なる変異により、以下の疾患が引き起こされます:

  • Noonan症候群7型:中等度の機能獲得変異
  • 心顔皮膚症候群(CFCS):より強い機能獲得変異
  • LEOPARD症候群3型:機能欠失変異(ドミナントネガティブ効果)

診断的検査への応用

分子遺伝学的診断では、BRAF遺伝子全体の配列解析が行われます。特に以下の手法が用いられます:

  • Sanger配列解析
  • 次世代シーケンサー(NGS)パネル解析
  • 全エクソーム解析(WES)
  • 機能解析(in vitro キナーゼアッセイ)

これらの研究成果により、NS7の正確な診断と遺伝カウンセリングが可能となり、将来的には標的治療法の開発にも貢献することが期待されています。

遺伝形式

Noonan症候群7型(NS7)は常染色体優性遺伝形式を示します。しかし、臨床的に観察される症例の大部分は、両親に変異が認められない新規変異(de novo変異)によって発症しています。

Sarkozy et al. (2009)により報告された5例のNS7患者すべてにおいて、BRAF遺伝子の変異はde novo変異として確認されました。これは、NS7の大部分が散発例(孤発例)であることを示しています。

de novo変異のメカニズム

de novo変異の発生には以下の要因が関与しています:

  • 父親の年齢効果:高齢父親(35歳以上)において、精子形成過程でのDNA複製エラーにより変異率が増加
  • 変異ホットスポット:BRAF遺伝子の特定の配列モチーフにおける変異の起こりやすさ
  • DNA修復機構の限界:精子形成における長期の減数分裂過程での修復エラー

遺伝カウンセリングにおける考慮事項

NS7の遺伝カウンセリングでは以下の点が重要です:

孤発例の場合:

  • 両親の再発リスクは一般的に低い(1%未満)
  • 患者本人の子供への遺伝リスクは50%
  • 生殖細胞モザイクの可能性(稀だが考慮が必要)

家族性症例の場合:

  • 常染色体優性遺伝により、各子供への遺伝確率は50%
  • 浸透率はほぼ100%だが、表現型の可変性あり
  • 性別による重症度の差はほとんどない

出生前診断と着床前診断

家族歴がある場合や高リスク妊娠においては、以下の選択肢があります:

遺伝カウンセリングでは、疾患の自然歴、利用可能な治療選択肢、患者・家族の価値観を考慮した意思決定支援が重要です。

診断基準

Noonan症候群7型の診断は、臨床的特徴、家族歴、および分子遺伝学的検査の組み合わせによって行われます。確定診断にはBRAF遺伝子変異の同定が必要です。

臨床診断基準

Noonan症候群の臨床診断には、以下の主要および副次的基準が用いられます:

主要基準:

  • 特徴的顔貌(長頭症、前額部突出、眼間開離、低位耳介)
  • 先天性心疾患(特に肺動脈弁狭窄、心房中隔欠損)
  • 低身長(-2SD以下)
  • 胸郭異常(鳩胸、漏斗胸)
  • Noonan症候群の家族歴

副次的基準:

  • 軽度の認知障害または学習困難
  • 停留精巣(男性)
  • 血液学的異常(血小板減少、凝固異常)
  • リンパ系異常(リンパ浮腫、リンパ管異形成)
  • 腎泌尿器系異常
  • 色素沈着異常

NS7特異的な診断の手がかり

BRAF変異によるNS7に特徴的な所見として以下があります:

  • 色素沈着病変の高頻度(約60%の症例)
  • 新生児期からの顕著な成長障害
  • 筋緊張低下の持続
  • 比較的軽度の心疾患

鑑別診断

NS7は以下の疾患との鑑別が重要です:

他のNoonan症候群サブタイプ:

  • NS1(PTPN11変異):最も頻度が高く、より重篤な心疾患
  • NS4(SOS1変異):軽度の認知障害、心筋症の頻度が高い
  • NS5(RAF1変異):肥大型心筋症、成長遅延が顕著

BRAF関連の対立遺伝子疾患:

  • 心顔皮膚症候群(CFCS):より重篤な認知障害、皮膚異常
  • LEOPARD症候群3型:レンチゴ、心伝導異常、難聴

その他の鑑別疾患:

  • Turner症候群(女性のみ)
  • Williams-Beuren症候群
  • Costello症候群

分子遺伝学的診断

確定診断には以下の検査が用いられます:

第一選択:

  • Noonan症候群関連遺伝子パネル解析(BRAF遺伝子を含む)
  • 全エクソーム解析(WES)

補完的検査:

  • BRAF遺伝子単独の配列解析
  • 機能解析(キナーゼ活性測定)
  • コピー数変異解析(CNV解析)

診断アルゴリズム

NS7の診断は以下の手順で進められます:

  1. 臨床症状の詳細な評価
  2. 家族歴の聴取
  3. 心エコー検査、心電図による心疾患の評価
  4. 成長発達の評価
  5. 分子遺伝学的検査
  6. 必要に応じて追加的な画像検査・機能検査

早期診断により、適切な医学的管理と遺伝カウンセリングが可能となり、患者と家族の予後改善に寄与します。

治療と管理

Noonan症候群7型の治療は、症状に応じた包括的で多職種連携によるアプローチが必要です。現在のところ根本的な治療法は存在せず、各症状に対する対症療法と支持療法が治療の中心となります。

心血管系の管理

心疾患は生命予後に直結する重要な合併症であり、以下の管理が必要です:

肺動脈弁狭窄の治療:

  • 軽度:定期的な心エコー検査による経過観察
  • 中等度から重度:バルーン弁形成術または外科的弁置換術
  • 心内膜炎予防のための抗生剤予防投与(必要時)

心房中隔欠損の管理:

  • 自然閉鎖の可能性があるため乳幼児期は経過観察
  • 閉鎖しない場合はカテーテル閉鎖術または外科的修復
  • 右心負荷の評価と管理

心筋症への対応:

  • 肥大型心筋症の場合:β遮断薬、カルシウム拮抗薬
  • 不整脈のモニタリングと治療
  • 運動制限の指導

成長障害の治療

成長ホルモン治療が有効な場合があります:

発達・教育支援

認知機能障害や学習困難に対しては以下の支援が重要です:

  • 早期療育プログラムへの参加
  • 言語療法、作業療法、理学療法
  • 特別支援教育の利用
  • 心理カウンセリングやソーシャルスキルトレーニング
  • 個別教育計画(IEP)の策定

血液学的異常の管理

血小板減少や凝固異常に対しては:

  • 定期的な血液検査によるモニタリング
  • 重度の血小板減少症:血小板輸血、ステロイド治療
  • 出血傾向:外傷予防、抜歯前の止血管理
  • 手術前の凝固機能評価

その他の症状に対する治療

整形外科的管理:

  • 側弯症:装具療法、理学療法、重度例では脊椎固定術
  • 胸郭変形:呼吸機能の評価と必要に応じた外科的治療
  • 関節拘縮:理学療法、作業療法

泌尿器科的管理:

  • 停留精巣:外科的精巣固定術(orchiopexy)
  • 腎泌尿器奇形:画像検査による評価と適切な治療

皮膚科的管理:

  • 色素沈着病変:レーザー治療(美容的適応)
  • 皮膚の脆弱性:外傷予防の指導
  • 悪性腫瘍のスクリーニング(長期フォローアップ)

新規治療法の研究

RAS/MAPK経路を標的とした治療法の研究が進んでいます:

  • MEK阻害薬:臨床試験での有効性が報告されており、将来的な治療選択肢として期待
  • BRAF阻害薬:特定の変異タイプに対する選択的治療
  • 分子標的薬:個別化医療に向けた治療戦略の開発

定期フォローアップ

包括的な長期管理には以下の定期検査が必要です:

  • 心エコー検査(年1-2回)
  • 成長発達の評価(3-6ヶ月毎)
  • 血液検査(3-6ヶ月毎)
  • 認知機能・学習能力の評価(年1回)
  • 整形外科的評価(年1回)
  • 眼科検査、聴力検査(年1回)
  • 悪性腫瘍スクリーニング(成人期以降)

予後

Noonan症候群7型の予後は、合併する症状の重症度と適切な医学的管理によって大きく左右されます。早期診断と包括的な治療により、多くの患者で良好な生活の質が期待できます。

生命予後

NS7の生命予後は、主に心血管系合併症によって決定されます:

  • 軽度の心疾患:適切な管理により正常に近い寿命が期待できる
  • 重篤な心疾患:外科的治療により予後改善が可能
  • 心筋症:進行性の場合は注意深い管理が必要
  • 長期追跡研究では、BRAF変異患者の生存率は比較的良好とされています

発達・認知機能の予後

認知機能については個人差が大きいものの、多くの場合で改善が期待できます:

  • 軽度の知的障害:適切な教育支援により社会適応が可能
  • 学習困難:早期介入により学習能力の向上が期待
  • 運動発達:理学療法により機能改善が可能
  • 言語発達:言語療法により改善する例が多い

成長発達の予後

成長障害については治療により改善が期待できます:

  • 成長ホルモン治療:最終身長の改善効果
  • 栄養管理:適切な体重増加と発育の促進
  • 思春期発来:多くの場合正常な思春期発来
  • 最終身長は正常範囲下限から軽度低身長となることが多い

生殖能力と次世代への影響

成人期における生殖能力については:

  • 男性:停留精巣の適切な治療により妊孕性の改善
  • 女性:多くの場合正常な生殖能力
  • 妊娠・出産:心疾患がある場合は専門的な周産期管理が必要
  • 遺伝:子供への遺伝確率は50%(常染色体優性遺伝)

社会適応と生活の質

適切な支援により多くの患者で良好な社会適応が可能です:

  • 教育:特別支援を受けながら普通学校への通学が可能
  • 就労:認知機能に応じた就労支援により就職が可能
  • 独立生活:多くの場合で自立した生活が可能
  • 結婚・家庭:適切な遺伝カウンセリングにより家族形成が可能

長期的な健康問題

成人期以降に注意すべき健康問題として:

  • 悪性腫瘍リスク:BRAF変異患者では軽度のがんリスク増加が報告されており、定期的なスクリーニングが推奨
  • 心血管疾患:成人期における心機能の経時的変化の監視
  • 骨密度:骨粗鬆症のリスク評価と予防
  • 内分泌異常:甲状腺機能、糖代謝の長期観察

予後改善のための要因

良好な予後を得るために重要な要因:

  • 早期診断:新生児期・乳児期での適切な診断
  • 包括的医療管理:多職種チームによる継続的なケア
  • 家族サポート:家族の理解と協力
  • 社会資源の活用:利用可能な支援制度の活用
  • 定期フォローアップ:継続的な医学的観察

近年の医療技術の進歩と理解の深化により、NS7患者の予後は着実に改善しています。分子標的治療の臨床応用も期待されており、将来的にはさらなる予後改善が見込まれます。

高齢父親と遺伝子変異のリスクについて

Noonan症候群7型のようなde novo変異による疾患は、父親の年齢が高くなるにつれてリスクが増加することが知られています。35歳以上の父親では、精子形成過程でのDNA複製エラーにより、新規変異の発生率が上昇します。

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参考文献

プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら

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