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斑状網膜(白点状眼底)NGS遺伝子検査|ミネルバクリニック

斑状網膜(白点状眼底)NGS遺伝子検査|ミネルバクリニック

斑状網膜(白点状眼底)とは

斑状網膜(Flecked Retina)は、網膜の眼底検査で白色~黄色の斑点状病変が多数認められることを特徴とする一群の遺伝性網膜疾患の総称です。これらの病変は網膜色素上皮レベルに存在し、血管や視神経の異常を伴わないか、あっても軽度であることが特徴です。

斑状網膜を呈する疾患には、眼底白点症(fundus albipunctatus)、黄色斑眼底(fundus flavimaculatus)、家族性ドルーゼン、良性家族性斑状網膜、網膜色素変性の一部などが含まれます。これらの疾患は、視力障害の程度、夜盲の有無、進行速度などにおいて大きな違いがあります。

斑状網膜を呈する疾患群は臨床的にも遺伝学的にも非常に多様性が高く、常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝、X連鎖遺伝のいずれの遺伝形式もみられます。また、同じ遺伝子の変異でも、変異の種類や位置により症状の重症度が大きく異なることがあります。そのため、遺伝子検査による正確な診断は、予後予測や治療方針の決定、遺伝カウンセリングにおいて極めて重要です。

症状と病態

斑状網膜を呈する疾患の症状は、原因遺伝子や疾患のタイプによって大きく異なります。無症状で偶然発見される良性のものから、進行性の視力障害をきたす重症型まで幅広いスペクトラムがあります。

主要症状

  • 網膜の白色~黄色の多発性斑点状病変
  • 夜盲(暗いところで見えにくい)
  • 視力低下(中心視力の障害)
  • 視野狭窄(見える範囲が狭くなる)
  • 羞明(まぶしさを感じやすい)
  • 色覚異常
  • 暗順応の遅延(明るいところから暗いところへ移動したときの見えにくさ)

疾患タイプによる特徴

斑状網膜を呈する主な疾患とその特徴は以下の通りです:

  • 眼底白点症(Fundus Albipunctatus):網膜全体に黄白色の小さな斑点が散在し、黄斑部は比較的保たれます。幼少期からの夜盲が特徴的で、暗順応が著しく遅延しますが、十分な時間(2~3時間)暗順応すれば視機能はある程度回復します。視力は比較的良好に保たれることが多いですが、一部の症例では黄斑変性を合併し視力低下を来すことがあります。
  • 黄色斑眼底(Fundus Flavimaculatus):スターガルト病(若年性黄斑変性症)の一病型で、網膜全体に魚尾状の黄白色斑点が広く分布します。黄斑部の変性により、若年期から中心視力の低下をきたします。進行性で、最終的には高度の視力障害に至ることがあります。
  • 良性家族性斑状網膜(Benign Familial Fleck Retina):網膜周辺部に多数の黄白色斑点が認められますが、黄斑部は保たれます。視力は正常で、網膜電図(ERG)も正常、夜盲などの自覚症状もありません。予後良好な疾患です。
  • 脈絡膜欠損症(Choroideremia):X連鎖劣性遺伝で、男性に発症します。進行性の網膜色素上皮・脈絡膜萎縮を特徴とし、幼少期の夜盲から始まり、徐々に周辺視野が狭窄し、中年期以降に中心視力も低下します。最終的には失明に至ることが多い疾患です。

進行と予後

疾患の進行速度と予後は原因遺伝子によって大きく異なります。良性家族性斑状網膜のように生涯にわたって視機能が保たれるものから、スターガルト病や脈絡膜欠損症のように進行性に視力が低下し、最終的には高度視力障害や失明に至るものまであります。そのため、遺伝子診断による正確な疾患分類は、予後予測と患者への適切な情報提供のために極めて重要です。

遺伝形式と原因遺伝子

斑状網膜を呈する疾患は遺伝学的に極めて多様性が高く、常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝、X連鎖遺伝のいずれの形式でも発症します。現在までに14以上の原因遺伝子が同定されており、それぞれの遺伝子が網膜の異なる機能に関与しています。

常染色体劣性(潜性)遺伝形式

最も頻度の高い遺伝形式で、以下の遺伝子が知られています:

  • ABCA4遺伝子:ATP結合カセットトランスポーターをコードし、スターガルト病(若年性黄斑変性症)および黄色斑眼底の最も頻度の高い原因遺伝子です。視細胞外節でのレチナールの輸送に関与し、変異によりリポフスチンが網膜色素上皮に蓄積します。
  • RDH5遺伝子:11-シス-レチノール脱水素酵素をコードし、眼底白点症の主要な原因遺伝子です。視サイクルにおいて重要な役割を果たし、変異により暗順応の著しい遅延をきたします。
  • RLBP1遺伝子:細胞内レチンアルデヒド結合タンパク質をコードし、眼底白点症や網膜色素変性の原因となります。視サイクルに関与し、変異により夜盲をきたします。
  • PLA2G5遺伝子:グループVホスホリパーゼA2をコードし、良性家族性斑状網膜の原因遺伝子です。脂質代謝に関与しますが、変異があっても視機能は正常に保たれます。
  • CYP4V2遺伝子:シトクロムP450をコードし、ビエッティ結晶様網膜症の原因遺伝子です。脂質代謝異常により、角膜や網膜に結晶様沈着物が認められます。
  • LRAT遺伝子:レシチン:レチノールアシルトランスフェラーゼをコードし、レーベル先天黒内障や網膜色素変性の原因となります。ビタミンAの代謝に関与します。
  • VPS13B遺伝子:液胞タンパク質選別関連タンパク質をコードし、コーエン症候群の原因遺伝子です。網膜変性を含む多臓器障害を呈します。

常染色体優性(顕性)遺伝形式

比較的稀ですが、以下の遺伝子が知られています:

  • PRPH2(RDS)遺伝子:ペリフェリンをコードし、網膜色素変性、黄斑ジストロフィー、パターン状網膜ジストロフィーなど多彩な表現型を呈します。視細胞外節の構造維持に重要です。
  • EFEMP1遺伝子:細胞外マトリックスタンパク質をコードし、ドルーゼン様黄斑ジストロフィー(マラッティア・レベンティネーゼ)の原因となります。
  • ELOVL4遺伝子:脂肪酸伸長酵素をコードし、スターガルト様黄斑ジストロフィーの原因となります。長鎖脂肪酸の合成に関与します。
  • PROM1遺伝子:プロミニン1をコードし、黄斑ジストロフィーや網膜色素変性の原因となります。幹細胞マーカーとしても知られています。
  • RHO遺伝子:ロドプシン(視物質)をコードし、網膜色素変性の最も頻度の高い原因遺伝子の一つです。桿体視細胞の光受容に必須のタンパク質です。

X連鎖遺伝形式

  • CHM遺伝子:Rabエスコートプロテイン1をコードし、脈絡膜欠損症の原因遺伝子です。男性で発症し、進行性の網膜色素上皮・脈絡膜萎縮により、最終的に失明に至ることが多い疾患です。
  • RS1遺伝子:レチノスキシンをコードし、若年性網膜分離症の原因遺伝子です。男性で発症し、網膜の分離により視力低下をきたします。

当検査パネルでは、これらの原因遺伝子のうち、臨床的に重要な14遺伝子を対象としています。これにより、斑状網膜を呈する主要な遺伝性疾患を効率的にスクリーニングすることが可能です。

ミネルバクリニックの斑状網膜(白点状眼底)遺伝子パネル検査の特徴

「斑状網膜(白点状眼底)NGSパネル検査」とは、現在斑状網膜の原因として報告されている14の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、斑状網膜に関連する14遺伝子を一度に調べられる「斑状網膜(白点状眼底)NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で斑状網膜の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、斑状網膜に関係するとされる14の遺伝子を一度に調べられる「斑状網膜(白点状眼底)NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える斑状網膜の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「斑状網膜(白点状眼底)NGSパネル検査」の場合、14の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から斑状網膜を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「斑状網膜(白点状眼底)NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な14の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「斑状網膜(白点状眼底)NGSパネル検査」では、斑状網膜に関係するとされる14種類の遺伝子(ABCA4、CHM、CYP4V2、EFEMP1、ELOVL4、LRAT、PLA2G5、PROM1、PRPH2、RDH5、RHO、RLBP1、RS1、VPS13B)をまとめて検査します。

「斑状網膜(白点状眼底)NGSパネル検査」は、斑状網膜の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【斑状網膜または関連疾患の個人歴または家族歴のある方】に
「斑状網膜(白点状眼底)NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・眼底検査で網膜に多数の白色~黄色の斑点が認められた方
・夜盲(暗いところで見えにくい)がある方
・若年期からの視力低下がある方
・暗順応の遅延(明るいところから暗いところへ移動したときの見えにくさ)がある方
・スターガルト病、眼底白点症、脈絡膜欠損症などの診断または疑いがある方
・黄斑変性が認められる方
・視野狭窄がある方
・羞明(まぶしさ)を感じやすい方
・斑状網膜または関連疾患の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、斑状網膜の正確な診断確定や、疾患の予後予測、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、定期的な眼科検査、視覚補助具の使用、生活環境の調整、遮光眼鏡の使用などの適切な管理を行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・疾患の予後予測(進行性か非進行性か、視力予後など)
・他の網膜疾患との鑑別
・定期的な眼科検査の計画立案
・視覚補助具(拡大鏡、弱視眼鏡など)の適応判断
・遮光眼鏡による眩しさ対策
・生活環境の調整(照明の工夫など)
・疾患特異的な治療法の選択肢評価
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%、X連鎖遺伝の場合は男性の子どもが発症するリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ABCA4, CHM, CYP4V2, EFEMP1, ELOVL4, LRAT, PLA2G5, PROM1, PRPH2, RDH5, RHO, RLBP1, RS1, VPS13B ( 14遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・ABCA4遺伝子:
ATP結合カセットトランスポーターA4をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、スターガルト病(若年性黄斑変性症)および黄色斑眼底の最も頻度の高い原因遺伝子です。視細胞外節におけるall-trans-レチナールの輸送に関与し、変異により網膜色素上皮にリポフスチンが異常蓄積します。これにより黄斑部を中心とした網膜変性をきたし、若年期からの中心視力低下、視野狭窄を呈します。

・CHM遺伝子:
Rabエスコートプロテイン1(REP-1)をコードする遺伝子。X連鎖劣性遺伝形式で、脈絡膜欠損症の原因遺伝子です。男性に発症し、幼少期からの夜盲、進行性の周辺視野狭窄、中年期以降の中心視力低下を呈します。網膜色素上皮、脈絡膜、光受容細胞が進行性に萎縮し、最終的に失明に至ることが多い疾患です。女性保因者は通常無症状ですが、眼底検査で網膜色素上皮の色素斑を認めることがあります。

・CYP4V2遺伝子:
シトクロムP450ファミリー4サブファミリーVメンバー2をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、ビエッティ結晶様網膜症の原因遺伝子です。脂質代謝異常により、角膜輪部や網膜に結晶様の沈着物が多発し、進行性の網膜変性をきたします。夜盲、視野狭窄、視力低下を呈します。

・EFEMP1遺伝子:
EGF含有フィブリン様細胞外マトリックスタンパク質1をコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、ドルーゼン様黄斑ジストロフィー(マラッティア・レベンティネーゼ)の原因遺伝子です。早期からブルッフ膜にドルーゼン様の沈着物が多発し、黄斑部の変性により視力低下をきたします。

・ELOVL4遺伝子:
脂肪酸伸長酵素4をコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、スターガルト様黄斑ジストロフィーの原因遺伝子です。長鎖脂肪酸の合成に関与し、変異により黄斑部に黄白色の斑点が出現し、若年期からの視力低下をきたします。

・LRAT遺伝子:
レシチン:レチノールアシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、レーベル先天黒内障や網膜色素変性の原因遺伝子です。ビタミンAの代謝に関与し、変異により重度の視力障害をきたします。

・PLA2G5遺伝子:
グループVホスホリパーゼA2をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、良性家族性斑状網膜の原因遺伝子です。脂質代謝に関与しますが、変異があっても視機能は正常に保たれ、予後良好です。網膜周辺部に多数の黄白色斑点が認められますが、黄斑部は保たれ、自覚症状はありません。

・PROM1遺伝子:
プロミニン1をコードする遺伝子。常染色体優性または劣性遺伝形式で、黄斑ジストロフィーや網膜色素変性の原因遺伝子です。光受容細胞の外節膜に局在し、視細胞の構造維持に重要です。

・PRPH2(RDS)遺伝子:
ペリフェリン/RDSをコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、網膜色素変性、黄斑ジストロフィー、パターン状網膜ジストロフィーなど多彩な表現型を呈します。視細胞外節の円板膜の構造維持に必須のタンパク質であり、変異により光受容細胞の機能障害をきたします。

・RDH5遺伝子:
11-シス-レチノール脱水素酵素をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、眼底白点症の主要な原因遺伝子です。視サイクルにおいて11-シス-レチナールの再生に重要な役割を果たし、変異により暗順応が著しく遅延します。幼少期からの夜盲が特徴的ですが、十分な時間(2~3時間)暗順応すれば視機能は回復します。視力は比較的良好に保たれることが多いですが、一部の症例では黄斑変性を合併します。

・RHO遺伝子:
ロドプシン(視物質)をコードする遺伝子。常染色体優性または劣性遺伝形式で、網膜色素変性の最も頻度の高い原因遺伝子の一つです。桿体視細胞の光受容に必須のタンパク質であり、変異により夜盲、視野狭窄、視力低下をきたします。

・RLBP1遺伝子:
細胞内レチンアルデヒド結合タンパク質をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、眼底白点症、白点状網膜炎、網膜色素変性の原因遺伝子です。視サイクルにおいて11-シス-レチナールの輸送に関与し、変異により夜盲、視野狭窄をきたします。

・RS1遺伝子:
レチノスキシンをコードする遺伝子。X連鎖劣性遺伝形式で、若年性網膜分離症の原因遺伝子です。男性に発症し、網膜内層の分離により黄斑部に車軸状の分離腔が形成され、視力低下をきたします。網膜周辺部にも分離腔が認められることがあり、網膜剥離のリスクが高まります。

・VPS13B遺伝子:
液胞タンパク質選別関連タンパク質13Bをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、コーエン症候群の原因遺伝子です。網膜変性による視力障害に加えて、知的障害、低身長、顔貌異常、好中球減少症などの多臓器障害を呈する症候群です。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、14の原因遺伝子のみを対象としています。斑状網膜を呈する疾患は遺伝学的に非常に多様であり、まだ同定されていない原因遺伝子も存在する可能性があります。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
眼底検査で網膜に多数の白色~黄色の斑点が認められた方、夜盲(暗いところで見えにくい)がある方、若年期からの視力低下がある方におすすめします。また、暗順応の遅延(明るいところから暗いところへ移動したときの見えにくさ)がある方、スターガルト病、眼底白点症、脈絡膜欠損症などの診断または疑いがある方も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
斑状網膜にはどのような疾患が含まれますか?
斑状網膜には、眼底白点症(fundus albipunctatus)、スターガルト病(若年性黄斑変性症)、黄色斑眼底(fundus flavimaculatus)、脈絡膜欠損症(choroideremia)、良性家族性斑状網膜、若年性網膜分離症など、複数の遺伝性網膜疾患が含まれます。これらは視力予後が大きく異なるため、遺伝子検査による正確な診断が重要です。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。X連鎖遺伝の場合、男性のお子さんが発症するリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
斑状網膜を呈する疾患は遺伝学的に非常に多様であり、まだ同定されていない原因遺伝子も存在する可能性があります。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と眼底検査、電気生理学的検査に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%、X連鎖遺伝の場合は男性の子どもが発症する確率は50%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
斑状網膜の治療はどのように行われますか?
現在のところ多くの疾患で根本的な治療法はありませんが、疾患によっては治療法の研究が進んでいます。視覚補助具(拡大鏡、弱視眼鏡)の使用、遮光眼鏡による羞明対策、生活環境の調整(照明の工夫)、定期的な眼科検査などが重要です。眼底白点症の一部では高用量9-cis-β-カロテンの投与により視機能の改善が報告されています。
予後はどうですか?
疾患の予後は原因遺伝子によって大きく異なります。良性家族性斑状網膜のように生涯にわたって視機能が正常に保たれるものから、スターガルト病や脈絡膜欠損症のように進行性に視力が低下し、高度視力障害や失明に至るものまであります。そのため、遺伝子診断による正確な疾患分類は、予後予測と患者への適切な情報提供のために極めて重要です。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な14の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら