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家族性血球貪食性リンパ組織球症(fHLH)遺伝子検査|ミネルバクリニック

家族性血球貪食性リンパ組織球症(fHLH)遺伝子検査|ミネルバクリニック

家族性血球貪食性リンパ組織球症とは

家族性血球貪食性リンパ組織球症(Familial Hemophagocytic Lymphohistiocytosis: fHLH)は、免疫細胞の過剰な活性化により生命を脅かす重篤な症状を引き起こす遺伝性疾患です。本来、体を守るべきTリンパ球やマクロファージなどの免疫細胞が制御不能に活性化し、大量の炎症性サイトカインを産生することで、多臓器障害を引き起こします。

家族性血球貪食性リンパ組織球症は常染色体劣性遺伝形式をとり、両親がともに保因者の場合、子どもが発症する確率は25%です。発症頻度は約1/50,000人と推定されており、稀な疾患ですが、早期診断と適切な治療が生命予後を大きく左右します。

家族性血球貪食性リンパ組織球症は、血球貪食症候群(HPS)または血球貪食性リンパ組織球症(HLH)の一次性(遺伝性)の形態です。二次性HLHは感染症、悪性腫瘍、自己免疫疾患などに続発して発症しますが、家族性HLHは遺伝子変異が原因で、通常は乳児期から幼児期に発症します。治療を行わない場合、発症後数ヶ月以内に死亡する極めて予後不良の疾患です。

症状と病態

家族性血球貪食性リンパ組織球症の症状は、通常、乳児期から幼児期にかけて現れますが、思春期や成人期に発症する症例も報告されています。多くの場合、ウイルス感染などを契機に免疫細胞が過剰に活性化し、急速に病状が進行します。

主要症状

  • 持続する高熱(38℃以上の発熱が続く)
  • 肝臓・脾臓の腫大(肝脾腫)
  • 血球減少症(貧血、血小板減少、白血球減少)
  • 出血傾向(皮下出血、鼻出血、消化管出血など)
  • 黄疸(皮膚や眼球が黄色くなる)
  • リンパ節腫脹
  • 神経症状(けいれん、意識障害、麻痺など)
  • 皮疹
  • 呼吸困難

病態のメカニズム

家族性血球貪食性リンパ組織球症の患者さんでは、細胞傷害性T細胞やナチュラルキラー(NK)細胞の細胞傷害機能に異常があります。正常な免疫機能では、これらの細胞が感染細胞やウイルスに感染した細胞を排除した後、適切に免疫反応が終息します。しかし、fHLHでは細胞傷害機能の障害により、活性化した免疫細胞や感染細胞を適切に除去できず、免疫反応が持続・増幅してしまいます。

その結果、以下のような病態が生じます:

  • サイトカインストーム:過剰に活性化した免疫細胞から大量の炎症性サイトカイン(インターフェロン-γ、TNF-α、IL-6など)が放出されます
  • 血球貪食:活性化したマクロファージが正常な血球(赤血球、白血球、血小板)を貪食し、骨髄、脾臓、リンパ節などに蓄積します
  • 多臓器障害:持続する炎症により、肝臓、脾臓、脳、肺などの臓器が障害されます
  • 凝固異常:播種性血管内凝固症候群(DIC)を合併し、重篤な出血や血栓症を引き起こします

診断基準

家族性血球貪食性リンパ組織球症の診断には、国際的に用いられているHLH-2004診断基準が使用されます。以下の8項目のうち5項目以上を満たす、または分子遺伝学的診断が確定した場合に診断されます:

  • 発熱(38℃以上が7日間以上持続)
  • 脾腫
  • 血球減少症(2系統以上:ヘモグロビン<9 g/dL、血小板<100,000/μL、好中球<1,000/μL)
  • 高トリグリセリド血症(≥265 mg/dL)および/または低フィブリノーゲン血症(≤150 mg/dL)
  • 骨髄、脾臓、リンパ節における血球貪食像
  • NK細胞活性の低下または欠如
  • 高フェリチン血症(≥500 μg/L)
  • 可溶性IL-2受容体(sCD25)の上昇(≥2,400 U/mL)

特に乳幼児期の発症例、家族歴がある症例、または遺伝学的検査で病原性変異が同定された症例では、家族性HLHの可能性が高くなります。

進行と予後

家族性血球貪食性リンパ組織球症は急速に進行し、治療を行わない場合、発症から数週間から数ヶ月で多臓器不全により死亡します。しかし、早期診断と適切な治療により予後は大きく改善されています。

現在の標準治療は、化学療法(エトポシド、シクロスポリン、デキサメタゾン)による免疫抑制と、根治を目指した造血幹細胞移植です。造血幹細胞移植により長期生存が可能となり、多くの患者さんが治癒を目指すことができます。

遺伝形式と原因遺伝子

家族性血球貪食性リンパ組織球症は常染色体劣性遺伝形式をとります。つまり、両親がともに変異遺伝子の保因者(キャリア)である場合、子どもが発症する確率は25%、保因者となる確率は50%、両方の正常な遺伝子を受け継ぐ確率は25%です。保因者は通常症状を示しません。

現在までに、細胞傷害性顆粒の産生、輸送、分泌に関与する複数の遺伝子が原因遺伝子として同定されています。これらの遺伝子異常により、NK細胞やT細胞の細胞傷害機能が障害され、免疫反応の適切な終息ができなくなります。

主要な原因遺伝子

  • PRF1遺伝子(FHL2型):パーフォリンをコードする遺伝子。パーフォリンは標的細胞の細胞膜に孔を形成するタンパク質で、細胞傷害において重要な役割を果たします。PRF1遺伝子変異は家族性HLHの約30~50%を占め、最も頻度の高い原因です
  • UNC13D遺伝子(FHL3型):Munc13-4タンパク質をコードする遺伝子。細胞傷害性顆粒の細胞膜への融合に必要で、顆粒の分泌に重要な役割を果たします。家族性HLHの約25~30%を占めます
  • STX11遺伝子(FHL4型):シンタキシン11をコードする遺伝子。細胞傷害性顆粒の膜融合機構に関与します。家族性HLHの約10~20%を占めます
  • STXBP2遺伝子(FHL5型):Munc18-2タンパク質をコードする遺伝子。シンタキシン11と結合して顆粒分泌を制御します。比較的稀なタイプです

関連疾患の原因遺伝子

家族性HLHと類似した症状を呈する関連疾患の遺伝子も検査パネルに含まれています:

  • SH2D1A遺伝子:X連鎖性リンパ増殖症候群1型(XLP1)の原因遺伝子。エプスタイン・バーウイルス(EBV)感染により重症化し、HLH様症状を呈します
  • XIAP遺伝子:X連鎖性リンパ増殖症候群2型(XLP2)の原因遺伝子。アポトーシス阻害タンパク質をコードし、変異により免疫調節異常を引き起こします
  • RAB27A遺伝子:グリセリ症候群2型の原因遺伝子。部分白皮症とHLH様症状を呈します
  • RHOG遺伝子:免疫調節に関与する遺伝子で、HLH関連症状と関連があります

遺伝カウンセリングの重要性

家族性HLHは常染色体劣性遺伝であるため、患者さんの兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。また、患者さんの子どもは全員が保因者となります。保因者同士が結婚した場合、その子どもが発症するリスクは25%となります。

遺伝子検査により原因遺伝子が特定された家族では、血縁者の保因者診断、出生前診断、着床前診断などの選択肢があります。遺伝カウンセリングを通じて、これらの選択肢について十分に理解し、家族計画を立てることが重要です。

ミネルバクリニックの家族性血球貪食性リンパ組織球症遺伝子パネル検査の特徴

「家族性血球貪食性リンパ組織球症 NGSパネル検査」とは、現在家族性血球貪食性リンパ組織球症および関連疾患の原因として報告されている8つの遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、家族性血球貪食性リンパ組織球症に関連する8遺伝子を一度に調べられる「家族性血球貪食性リンパ組織球症 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で家族性血球貪食性リンパ組織球症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、家族性血球貪食性リンパ組織球症に関係するとされる8つの遺伝子を一度に調べられる「家族性血球貪食性リンパ組織球症 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える家族性血球貪食性リンパ組織球症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「家族性血球貪食性リンパ組織球症 NGSパネル検査」の場合、8つの遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から家族性血球貪食性リンパ組織球症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「家族性血球貪食性リンパ組織球症 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な8つの原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「家族性血球貪食性リンパ組織球症 NGSパネル検査」では、家族性血球貪食性リンパ組織球症および関連疾患に関係するとされる8種類の遺伝子(PRF1、RAB27A、RHOG、SH2D1A、STX11、STXBP2、UNC13D、XIAP)をまとめて検査します。

「家族性血球貪食性リンパ組織球症 NGSパネル検査」は、家族性血球貪食性リンパ組織球症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【家族性血球貪食性リンパ組織球症の個人歴または家族歴のある方】に
「家族性血球貪食性リンパ組織球症 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・持続する原因不明の高熱がある乳幼児
・肝臓・脾臓の腫大(肝脾腫)が認められる方
・原因不明の血球減少症(貧血、血小板減少、白血球減少)がある方
・出血傾向(皮下出血、鼻出血など)がある方
・高フェリチン血症が認められる方
・NK細胞活性の低下が認められる方
・神経症状(けいれん、意識障害)を伴う方
・HLH-2004診断基準を満たす、または疑われる方
・家族性血球貪食性リンパ組織球症の家族歴がある方
・兄弟姉妹がfHLHを発症した家族の方
・X連鎖性リンパ増殖症候群やグリセリ症候群が疑われる方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。体細胞モザイクの検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、家族性血球貪食性リンパ組織球症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。特に、早期診断により適切な免疫化学療法の開始や造血幹細胞移植の準備を速やかに行うことができ、生命予後の改善につながります。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・二次性HLHとの鑑別
・適切な治療法(免疫化学療法、造血幹細胞移植)の選択
・造血幹細胞移植のドナー選択(HLA適合度の確認)
・治療反応性の予測
・疾患の重症度評価
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供(兄弟姉妹のリスク評価)
・保因者診断による家族計画のサポート
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、常染色体劣性遺伝形式であるため、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。X連鎖性リンパ増殖症候群の場合は、男性のみが発症し、母親が保因者の場合、男児が発症するリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

PRF1, RAB27A, RHOG, SH2D1A, STX11, STXBP2, UNC13D, XIAP ( 8遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・PRF1遺伝子(Perforin 1):
パーフォリンをコードする遺伝子。パーフォリンは細胞傷害性T細胞やNK細胞が標的細胞を破壊する際に細胞膜に孔を形成するタンパク質です。PRF1遺伝子の変異は家族性HLH2型(FHL2)の原因となり、最も頻度の高い原因遺伝子です(家族性HLHの約30~50%)。常染色体劣性遺伝形式をとります。

・RAB27A遺伝子:
Rab27Aタンパク質をコードする遺伝子。細胞内の小胞輸送に関与し、メラノソームや細胞傷害性顆粒の輸送に重要な役割を果たします。RAB27A遺伝子の変異はグリセリ症候群2型の原因となり、部分白皮症(銀髪)とHLH様症状を呈します。常染色体劣性遺伝形式をとります。

・RHOG遺伝子:
Rhoファミリー低分子量Gタンパク質の一つをコードする遺伝子。免疫細胞の機能調節に関与し、HLH関連症状と関連があります。

・SH2D1A遺伝子(SH2 Domain Containing 1A):
SLAMアソシエイテッドプロテイン(SAP)をコードする遺伝子。T細胞とB細胞の相互作用を制御し、NK細胞とT細胞の細胞傷害機能に重要です。SH2D1A遺伝子の変異はX連鎖性リンパ増殖症候群1型(XLP1)の原因となり、エプスタイン・バーウイルス(EBV)感染により重症化し、HLH様症状、低γグロブリン血症、悪性リンパ腫を引き起こします。X連鎖遺伝形式のため、主に男性が発症します。

・STX11遺伝子(Syntaxin 11):
シンタキシン11をコードする遺伝子。細胞傷害性顆粒の細胞膜への融合に必要なSNAREタンパク質の一つで、顆粒の分泌機構に重要な役割を果たします。STX11遺伝子の変異は家族性HLH4型(FHL4)の原因となり、家族性HLHの約10~20%を占めます。常染色体劣性遺伝形式をとります。

・STXBP2遺伝子(Syntaxin Binding Protein 2):
Munc18-2タンパク質をコードする遺伝子。シンタキシン11と結合し、細胞傷害性顆粒の膜融合を制御します。STXBP2遺伝子の変異は家族性HLH5型(FHL5)の原因となります。比較的稀なタイプで、常染色体劣性遺伝形式をとります。出血傾向を伴うことがあります。

・UNC13D遺伝子(Unc-13 Homolog D):
Munc13-4タンパク質をコードする遺伝子。細胞傷害性顆粒のプライミング(分泌準備状態)に必要で、顆粒と細胞膜の融合を促進します。UNC13D遺伝子の変異は家族性HLH3型(FHL3)の原因となり、家族性HLHの約25~30%を占め、PRF1に次いで頻度の高い原因遺伝子です。常染色体劣性遺伝形式をとります。

・XIAP遺伝子(X-linked Inhibitor of Apoptosis Protein):
アポトーシス阻害タンパク質をコードする遺伝子。細胞死の調節に関与し、免疫細胞の恒常性維持に重要です。XIAP遺伝子の変異はX連鎖性リンパ増殖症候群2型(XLP2)の原因となり、HLH様症状、炎症性腸疾患、脾腫などを引き起こします。X連鎖遺伝形式のため、主に男性が発症します。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、8つの主要な原因遺伝子のみを対象としています。家族性HLHの一部の症例では、これらの既知の遺伝子に変異が見つからないことがあります。また、二次性HLH(感染症、悪性腫瘍、自己免疫疾患に続発するHLH)は遺伝子変異が原因ではないため、この検査では検出できません。検査で病原性変異が検出されなくても、臨床的にHLHが疑われる場合は、適切な治療と管理が必要です。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
持続する原因不明の高熱、肝臓・脾臓の腫大、血球減少症(貧血、血小板減少、白血球減少)、出血傾向、高フェリチン血症などが認められる場合に検査をご検討ください。特に乳幼児期にこれらの症状が現れた場合、または家族にfHLHの発症者がいる場合は、早期の遺伝子検査が重要です。HLH-2004診断基準を満たす、または疑われる方にもおすすめします。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。乳幼児の場合は、採血が困難なことがあるため、頬粘膜スワブでの検査も選択肢となります。
家族性HLHと二次性HLHの違いは何ですか?
家族性HLH(一次性HLH)は遺伝子変異が原因で発症し、通常は乳幼児期に症状が現れます。二次性HLHは感染症、悪性腫瘍、自己免疫疾患などに続発して発症し、すべての年齢層で見られます。臨床症状は類似していますが、遺伝子検査により家族性HLHを診断することができます。家族性HLHの場合、根治のためには造血幹細胞移植が必要となります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
常染色体劣性遺伝形式のため、患者さんの兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。X連鎖性リンパ増殖症候群の場合は、男性のみが発症し、母親が保因者の場合、男児が発症するリスクは50%です。ご家族の検査により、発症リスクや保因者であるかどうかを判定でき、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
この検査パネルでは8つの主要な原因遺伝子のみを対象としています。一部の家族性HLH症例では、これらの既知の遺伝子に変異が見つからないことがあります。また、臨床的にHLHが疑われる場合でも、二次性HLH(感染症、悪性腫瘍、自己免疫疾患に続発)である可能性があり、この場合は遺伝子変異が検出されません。検査結果にかかわらず、臨床症状に基づいた適切な診断と治療が重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢(免疫化学療法、造血幹細胞移植など)について、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。家族性HLHの診断が確定した場合、適切な専門医療機関への紹介も行います。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
常染色体劣性遺伝の場合、患者さんの子どもは全員が保因者となります。保因者同士のカップルでは、子どもが発症する確率は25%です。X連鎖性の場合、患者さんが男性の場合、娘は全員が保因者となり、息子は全員が非保因者となります。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
家族性血球貪食性リンパ組織球症の治療はどのように行われますか?
家族性HLHの標準治療は、化学療法(エトポシド、シクロスポリン、デキサメタゾン)による免疫抑制と、根治を目指した造血幹細胞移植です。早期診断と適切な治療により、長期生存が可能となります。治療は小児血液専門医が担当し、専門医療機関での治療が推奨されます。
予後はどうですか?
治療を行わない場合、発症から数週間から数ヶ月で多臓器不全により死亡する極めて予後不良の疾患です。しかし、早期診断と適切な治療(免疫化学療法と造血幹細胞移植)により予後は大きく改善されており、多くの患者さんが長期生存を達成できるようになっています。早期診断が予後改善の鍵となります。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な8つの原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら