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早期発症運動失調症遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

早期発症運動失調症遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

早期発症運動失調症とは

早期発症運動失調症(Early-Onset Ataxia)は、主に18歳未満で発症する遺伝性の運動失調症の総称です。運動失調症とは、小脳を中心とした神経系の障害により、歩行時のふらつき、手足や眼球運動の協調運動障害、構音障害(呂律が回らない)などの症状を呈する疾患群です。

早期発症運動失調症は、臨床的にも遺伝学的にも非常に多様性が高く、発症年齢、症状の進行パターン、随伴症状などが患者さんによって大きく異なります。遺伝形式は常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝、X連鎖遺伝のいずれの形式もあり、現在までに多数の原因遺伝子が同定されています。

早期発症運動失調症には、遺伝性脊髄小脳変性症(SCA)、フリードライヒ運動失調症、毛細血管拡張性運動失調症、発作性運動失調症など、様々な病型が含まれます。小児期または青年期に発症する場合、家族歴の有無にかかわらず、遺伝学的な原因が関与している可能性が高いため、包括的な遺伝子検査が診断と管理に重要な役割を果たします。

症状と病態

早期発症運動失調症の主な症状は、進行性の運動失調(協調運動障害)です。多くの場合、歩行時のふらつきが最初の症状として現れ、その後徐々に手足の協調運動障害や構音障害などが加わってきます。

主要症状

  • 歩行失調(歩行時のふらつき、開脚歩行)
  • 四肢の協調運動障害(手足の動きがぎこちない)
  • 構音障害(呂律が回らない、言葉が不明瞭)
  • 眼球運動障害(眼振、衝動性眼球運動の異常)
  • 体幹失調(座位や立位でのバランス不良)
  • 筋緊張低下(筋肉の張りが弱い)
  • 深部腱反射の異常(亢進または低下・消失)
  • 測定障害(目標物に手を伸ばす際の距離感の誤り)

病型による特徴的症状

原因遺伝子や病型によって、特徴的な症状パターンが認められることがあります:

  • フリードライヒ運動失調症(Friedreich Ataxia):最も頻度の高い常染色体劣性遺伝性運動失調症。5~15歳頃に発症し、深部感覚障害、末梢神経障害、心筋症、糖尿病、脊柱側弯症などを合併します
  • 毛細血管拡張性運動失調症(Ataxia Telangiectasia):2~3歳頃から運動失調が出現し、眼球結膜や顔面の毛細血管拡張、免疫不全、悪性腫瘍の高頻度発生、放射線高感受性などを特徴とします
  • 発作性運動失調症(Episodic Ataxia):発作的に運動失調が出現し、発作間欠期には症状が軽快または消失します。ストレスや運動などが誘因となることがあります
  • 眼球運動失行と低アルブミン血症を伴う早発型失調症(EAOH/AOA1):病初期に眼球運動失行がみられ、失調症状が緩徐に進行し、末梢神経障害、低アルブミン血症を示します
  • 脊髄小脳失調症(SCA):多様な病型があり、小脳症状に加えて、錐体路症状、パーキンソニズム、末梢神経障害、認知機能障害などを合併することがあります

随伴症状

運動失調症状以外にも、以下のような症状を伴うことがあります:

  • 錐体路徴候(筋力低下、痙性、病的反射)
  • 末梢神経障害(感覚障害、筋萎縮)
  • 認知機能障害
  • てんかん発作
  • 心筋症、不整脈などの心臓合併症
  • 内分泌異常(糖尿病、性腺機能低下など)
  • 骨格変形(脊柱側弯症、凹足など)
  • 眼科的異常(視神経萎縮、網膜色素変性など)

進行と予後

疾患の進行速度は病型や原因遺伝子によって大きく異なります。多くの症例では緩徐進行性ですが、一部の病型では急速に進行することもあります。フリードライヒ運動失調症では、発症から約10年で車椅子が必要となることが多く、心臓合併症が生命予後を左右します。一方、一部の脊髄小脳失調症では、数十年かけて緩徐に進行する場合もあります。

遺伝形式と原因遺伝子

早期発症運動失調症は遺伝学的に非常に多様性が高く、常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝、X連鎖遺伝、ミトコンドリア遺伝のいずれの形式でも発症します。遺伝形式や原因遺伝子によって、発症年齢、症状の進行パターン、随伴症状などが異なります。

常染色体劣性(潜性)遺伝形式

早期発症運動失調症では、常染色体劣性遺伝形式が比較的多く認められます:

  • FXN遺伝子(フリードライヒ運動失調症):最も頻度の高い遺伝性運動失調症で、フラタキシンというタンパク質の産生低下により発症します。GAA三塩基反復配列の異常伸長が原因となることが多く、リピート伸長検査が必要です
  • ATM遺伝子(毛細血管拡張性運動失調症):DNA修復に関与する遺伝子の異常により、運動失調、免疫不全、悪性腫瘍易罹患性などを呈します
  • APTX遺伝子(EAOH/AOA1):DNA修復に関与し、眼球運動失行と低アルブミン血症を伴う早発型失調症の原因となります
  • SETX遺伝子(AOA2):DNA/RNA代謝に関与し、眼球運動失行を伴う運動失調症2型の原因となります

常染色体優性(顕性)遺伝形式

脊髄小脳失調症(SCA)の多くは常染色体優性遺伝形式をとります:

  • SCA1、2、3、6、7など:多くは三塩基反復配列(CAGリピート)の異常伸長が原因となり、リピート長が長いほど発症年齢が若く、症状が重症化する傾向があります。これらの診断にはリピート伸長検査が必要です
  • CACNA1A遺伝子:SCA6の原因遺伝子で、比較的緩徐に進行する純粋小脳型の運動失調を呈します。また、発作性運動失調症2型(EA2)の原因遺伝子でもあります
  • KCNA1遺伝子:発作性運動失調症1型(EA1)の原因遺伝子で、短時間の発作性運動失調とミオキミア(筋波動)を特徴とします

X連鎖遺伝形式

  • OPHN1遺伝子:X連鎖性小脳低形成の原因遺伝子で、小脳低形成、知的障害を伴います

注意:当検査パネルは、134遺伝子の塩基配列変異(点変異、小規模な欠失・挿入)を検出しますが、三塩基反復配列の異常伸長(リピート伸長)は検出できません。SCA1、2、3、6、7やフリードライヒ運動失調症などのリピート伸長疾患が疑われる場合は、別途リピート伸長検査が必要です。当院では、単一遺伝子のリピート検査(220,000円)および複数遺伝子のリピート検査(385,000円)も実施しております。

ミネルバクリニックの早期発症運動失調症遺伝子パネル検査の特徴

「早期発症運動失調症 NGSパネル検査」とは、現在早期発症運動失調症の原因として報告されている134の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、早期発症運動失調症に関連する134遺伝子を一度に調べられる「早期発症運動失調症 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で早期発症運動失調症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、早期発症運動失調症に関係するとされる134の遺伝子を一度に調べられる「早期発症運動失調症 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える早期発症運動失調症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「早期発症運動失調症 NGSパネル検査」の場合、134の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から早期発症運動失調症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「早期発症運動失調症 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な134の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「早期発症運動失調症 NGSパネル検査」では、早期発症運動失調症に関係するとされる134種類の遺伝子をまとめて検査します。

「早期発症運動失調症 NGSパネル検査」は、早期発症運動失調症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

重要:この検査パネルは塩基配列の変異(点変異、小規模な欠失・挿入)を検出しますが、三塩基反復配列の異常伸長(リピート伸長)は含まれません。FXN遺伝子(フリードライヒ運動失調症)やSCA1、2、3、6、7などの診断には、別途リピート伸長検査が必要です。

どんな人が受けたらいいの?

【18歳未満で運動失調症状が出現した方、または早期発症運動失調症の家族歴のある方】に
「早期発症運動失調症 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・18歳未満で歩行時のふらつきが出現した方
・手足の協調運動障害がある方
・呂律が回らない、言葉が不明瞭になった方
・眼球運動の異常(眼振など)がある方
・深部腱反射の異常がある方
・小脳萎縮がMRIで認められる方
・早期発症運動失調症または脊髄小脳変性症の家族歴がある方
・フリードライヒ運動失調症が疑われるが、FXNリピート伸長検査が陰性だった方
・毛細血管拡張、免疫不全、悪性腫瘍易罹患性などを伴う運動失調症の方
・発作性に運動失調症状が出現する方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、早期発症運動失調症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切なリハビリテーション、定期的なモニタリング、合併症の早期発見・治療を行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・他の神経疾患との鑑別
・適切なリハビリテーションプログラムの立案
・合併症(心筋症、糖尿病、免疫不全など)のリスク評価と早期発見
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・病型特異的な治療法(フリードライヒ運動失調症に対するオマベロキソロンなど)の適応判断
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ABCB7, ABHD12, ACO2, AFG3L2, AHI1, ALDH5A1, ALS2, ANO10, APTX, ARL13B, ATCAY, ATL1, ATM, ATP8A2, B9D1, BBS1, BBS12, BSCL2, C12orf65, C19orf12, CA8, CAMTA1, CC2D2A, CEP290, CEP41, CLCN2, CLN5, CLPP, COQ2, COQ6, COQ8A, COQ9, COX20, CPLANE1, CSTB, CWF19L1, CYP27A1, CYP7B1, DNAJC19, EIF2B1, EIF2B2, EIF2B3, EIF2B4, EIF2B5, FA2H, FBXL4, FGF14, FLVCR1, FXN, GALC, GBA2, GFAP, GJC2, GOSR2, GRID2, GRM1, GSS, HEPACAM, INPP5E, ITPR1, KCNA1, KCNC3, KCND3, KCNJ10, KIF1A, KIF1C, KIF5A, KIF7, LAMA1, MLC1, MRE11, MTPAP, NDUFS1, NDUFS7, OFD1, OPA1, OPA3, OPHN1, PAX6, PDSS1, PDSS2, PEX10, PEX7, PHYH, PLP1, PNKD, PNKP, PNPLA6, POLG, POLR3A, POLR3B, PRKCG, PRRT2, RORA, RPGRIP1L, RRM2B, RUBCN, SACS, SETX, SIL1, SLC16A2, SLC1A3, SLC2A1, SLC52A2, SLC52A3, SLC9A6, SNX14, SPAST, SPG11, SPR, SPTBN2, STUB1, TCTN1, TCTN2, TCTN3, TDP1, TGM6, TMEM216, TMEM231, TMEM237, TMEM240, TMEM67, TPP1, TTPA, TUBB4A, TWNK, TYMP, VAMP1, VLDLR, WDR73, WDR81, WFS1, WWOX, ZNF423 ( 134遺伝子 )

重要な注意事項:
FXN遺伝子に関して:フリードライヒ運動失調症の最も一般的な原因は、FXN遺伝子におけるGAA三塩基反復配列の異常伸長です。この検査パネルでは、FXN遺伝子の塩基配列変異および欠失・重複のみを検出し、リピート伸長は検出されません。フリードライヒ運動失調症が疑われる場合は、別途リピート伸長検査が必要です。

主要な遺伝子の詳細:

・FXN遺伝子(フリードライヒ運動失調症):
フラタキシンをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝。最も頻度の高い遺伝性運動失調症で、5~15歳頃に発症します。深部感覚障害、末梢神経障害、心筋症、糖尿病、脊柱側弯症などを合併します。※GAA三塩基反復配列の異常伸長が最も多い原因であり、リピート伸長検査が必要です。

・ATM遺伝子(毛細血管拡張性運動失調症):
ATMタンパク質(DNA修復に関与)をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝。2~3歳頃から運動失調が出現し、眼球結膜や顔面の毛細血管拡張、免疫不全、悪性腫瘍の高頻度発生、放射線高感受性などを特徴とします。

・APTX遺伝子(EAOH/AOA1):
アプラタキシンをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝。眼球運動失行と低アルブミン血症を伴う早発型失調症の原因となります。DNA修復に関与します。

・SETX遺伝子(AOA2):
セナタキシンをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝。眼球運動失行を伴う運動失調症2型の原因となります。DNA/RNA代謝に関与します。

・CACNA1A遺伝子(SCA6、EA2):
P/Q型電位依存性カルシウムチャネルをコードする遺伝子。常染色体優性遺伝。SCA6(比較的緩徐に進行する純粋小脳型の運動失調)および発作性運動失調症2型(EA2)の原因となります。※SCA6はCAGリピート伸長が原因であり、リピート伸長検査が必要です。

・KCNA1遺伝子(EA1):
電位依存性カリウムチャネルKV1.1をコードする遺伝子。常染色体優性遺伝。発作性運動失調症1型(EA1)の原因となります。短時間の発作性運動失調とミオキミア(筋波動)を特徴とします。

・PRKCG遺伝子(SCA14):
プロテインキナーゼCγをコードする遺伝子。常染色体優性遺伝。純粋小脳型の運動失調を呈します。

・ITPR1遺伝子(SCA15/16):
イノシトール1,4,5-三リン酸受容体をコードする遺伝子。常染色体優性遺伝。純粋小脳型または軽度の錐体外路症状を伴う運動失調を呈します。

・SACS遺伝子(ARSACS):
サクシンをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝。シャルルボワ・サグネ型痙性運動失調症の原因となります。

・POLG遺伝子:
ミトコンドリアDNAポリメラーゼγをコードする遺伝子。ミトコンドリア機能に関与し、多様な表現型を呈します。

・OPHN1遺伝子:
オリゴフレニン1をコードする遺伝子。X連鎖遺伝。X連鎖性小脳低形成の原因となり、小脳低形成、知的障害を伴います。

その他の遺伝子については、各種神経変性疾患、代謝異常、ミトコンドリア機能異常、ペルオキシソーム機能異常などに関与する遺伝子が含まれています。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(三塩基またはヘキサ塩基リピート)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

重要:FXN遺伝子の最も一般的な変異であるGAA三塩基反復配列の異常伸長は、この検査では検出されません。フリードライヒ運動失調症が疑われる場合は、別途FXNリピート伸長検査が必要です。同様に、SCA1、2、3、6、7などの三塩基反復配列の異常伸長による脊髄小脳失調症も、この検査では検出されません。これらが疑われる場合は、別途リピート伸長検査が必要です。

※この検査パネルでは、134の原因遺伝子のみを対象としています。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

※リピート伸長検査について:
単一遺伝子のリピート検査:220,000円(税込)
複数遺伝子のリピート検査:385,000円(税込)
リピート伸長検査が必要な場合は、診察時にご相談ください。

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
18歳未満で歩行時のふらつき、手足の協調運動障害、呂律が回らないなどの症状が出現した方におすすめします。また、小脳萎縮がMRIで認められる場合や、早期発症運動失調症の家族歴がある場合も検査をご検討ください。発作性に症状が出現する場合や、毛細血管拡張、免疫不全などを伴う場合も対象となります。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
この検査でフリードライヒ運動失調症は診断できますか?
この検査パネルでは、FXN遺伝子の塩基配列変異(点変異、小規模な欠失・挿入)は検出できますが、最も一般的な原因であるGAA三塩基反復配列の異常伸長は検出できません。フリードライヒ運動失調症が疑われる場合は、別途FXNリピート伸長検査(単一遺伝子リピート検査:220,000円)が必要です。診察時にご相談ください。
脊髄小脳失調症(SCA)は診断できますか?
この検査パネルでは、SCA関連遺伝子の塩基配列変異は検出できますが、SCA1、2、3、6、7などのCAG三塩基反復配列の異常伸長は検出できません。これらの病型が疑われる場合は、別途リピート伸長検査が必要です。複数遺伝子のリピート検査(385,000円)をご検討ください。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。特にリピート伸長疾患が疑われる場合は、別途リピート伸長検査をご検討ください。臨床症状と画像検査に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。リピート伸長検査が必要な場合は、別途費用がかかります。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
早期発症運動失調症の治療はどのように行われますか?
多くの病型では根本的な治療法はありませんが、理学療法、作業療法、言語療法などのリハビリテーションが重要です。フリードライヒ運動失調症に対してはオマベロキソロン(Skyclarys)という治療薬が承認されており、進行を遅らせる効果が示されています。また、心筋症、糖尿病などの合併症に対する治療も重要です。
予後はどうですか?
疾患の進行速度は病型によって大きく異なります。フリードライヒ運動失調症では発症から約10年で車椅子が必要となることが多く、心臓合併症が生命予後を左右します。一方、一部の脊髄小脳失調症では、数十年かけて緩徐に進行する場合もあります。適切なリハビリテーションと合併症管理により、生活の質を維持することが重要です。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な134の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら