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性分化疾患(DSD)遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

性分化疾患(DSD)とは

性分化疾患(Disorders/Differences of Sex Development: DSD)は、染色体、性腺、または解剖学的性の発達が非典型的である先天的な状態を指す医学用語です。性染色体に基づき精巣や卵巣が発育し、男女それぞれに特徴的な内性器や外性器が造られる過程(性分化)において、何らかのトラブルが生じた状態の総称です。

性分化疾患は単一の疾患ではなく、原因も病態も大きく異なる多数の疾患を含む広範な疾患群です。外性器の形状、性腺の状態、ホルモン分泌、染色体構成など、様々なレベルでの非典型性が含まれます。

性分化疾患は、出生時に外性器の形態から性別判定が困難な場合に気づかれることが多いですが、思春期における二次性徴の欠如や異常、不妊症の精査などで発見されることもあります。厚生労働省の研究班は、諸外国の文献データからおよそ4,500人に1人と推定していますが、正確な患者数は明らかになっていません。

かつては「半陰陽」や「インターセックス」といった用語が使用されていましたが、差別的な表現であるとして現在では使われなくなってきています。2006年の国際会議(シカゴコンセンサス)において、専門家や当事者団体が集まり、「性分化疾患(DSD)」という統一された医学用語が採択されました。

性分化疾患と性別違和(性同一性障害)は別のものです。性分化疾患は、からだの性の発達に関わる医学的な状態を指すもので、こころの性のあり方(性自認)そのものを指す用語ではありません。ただし、性分化疾患をお持ちの方の一部が性別違和を経験されることはあります。

なお、性分化疾患の診療については、日本小児内分泌学会をはじめとする関連学会により「性分化疾患(DSD)の診療ガイドライン(2025年版)」が2025年3月に公開されており、当院の遺伝カウンセリングもこれを踏まえて行っています。

性分化疾患の分類

性分化疾患は、シカゴコンセンサスに基づき、染色体構成によって大きく以下の3つに分類されます。

性染色体DSD

性染色体の数や構造の異常が原因となる疾患群です。主な疾患として以下があります:

  • ターナー症候群(45,X および構造異常・モザイク):卵巣の発育不全、低身長などを伴う
  • クラインフェルター症候群(47,XXY):精巣機能低下、思春期以降の造精機能障害などを伴う
  • 混合性性腺異形成症(45,X/46,XY など):高度の尿道下裂と片側の停留精巣を認めることが多い
  • 卵精巣性DSDを来しうるキメラ(46,XX/46,XY)

46,XY性分化疾患

染色体は男性型(46,XY)であるにもかかわらず、精巣の発育や男性ホルモンの産生・作用に問題がある疾患群です。主な疾患として以下があります:

  • アンドロゲン不応症:アンドロゲン受容体の機能異常により男性ホルモンが作用せず、完全型では外性器が女性型となる
  • 5α-還元酵素2型欠損症:テストステロンから、より作用の強いジヒドロテストステロン(DHT)への変換が障害される
  • 性腺形成不全(精巣形成不全):精巣が正常に発育しない
  • 精巣退行症候群:胎児期に精巣が形成されたのちに退縮する
  • アンドロゲン合成酵素の欠損症(17β-HSD3欠損症など)

46,XX性分化疾患

染色体は女性型(46,XX)である疾患群です。過剰な男性ホルモンの影響による男性化のほか、性腺の分化そのものの異常も含まれます。

  • 先天性副腎過形成症:副腎からの過剰な男性ホルモン産生により外性器が男性化する。21-水酸化酵素欠損症が最も多い
  • 卵精巣性DSD:同一個体が卵巣組織と精巣組織の両方を持つ
  • 46,XX精巣性DSD:SRY遺伝子の転座などにより、46,XXでありながら精巣が形成される
  • 卵巣形成不全(性腺形成不全):卵巣の発育や機能の異常

先天性副腎過形成症のうち塩喪失型は、新生児期に副腎不全(低血糖・脱水・ショック)を来しうる緊急性の高い病態です。外性器の非典型性に気づかれた新生児では、遺伝子検査の結果を待つことなく、小児内分泌科での速やかな評価と治療が優先されます。本検査は急性期の診療に代わるものではありません。

症状と病態

性分化疾患の症状は、疾患の種類や重症度によって大きく異なりますが、主に以下のような特徴が認められます。

新生児期の症状

  • 外性器の非典型性(ambiguous genitalia):典型的な男性または女性の外性器の特徴と一致しない
  • 陰核肥大または小陰茎
  • 尿道下裂:尿道口が正常な位置にない
  • 停留精巣:精巣が陰嚢内に下降していない
  • 陰唇の癒合
  • 陰嚢の二分化

小児期・思春期の症状

新生児期には気づかれず、後年になって以下のような症状で発見されることがあります:

  • 思春期の遅延または欠如
  • 予期せぬ二次性徴(女児の過度な男性化徴候、声変わりなど)
  • 原発性無月経(初経が来ない)
  • 鼠径ヘルニアの手術時に予期しない性腺が発見される
  • 思春期以降の多毛など、アンドロゲン過剰を示唆する所見

成人期の症状

  • 不妊症
  • 月経異常
  • 性腺腫瘍のリスク増加(特定の疾患において)
  • 骨密度の低下
  • 性ホルモン不足に伴う症状

心理社会的な側面

性分化疾患は身体的な問題だけでなく、以下のような心理社会的な影響も及ぼす可能性があります。診療にあたっては、本人・ご家族の心理的サポートが不可欠です。

  • 自尊感情や身体イメージに関する悩み
  • 性自認や性別違和に関する悩み(一部の方)
  • 周囲への説明や情報開示の難しさ
  • ご家族の受け止めと家族関係への影響

ミネルバクリニックの性分化疾患遺伝子パネル検査の特徴

「性分化疾患NGSパネル検査」とは、現在性分化疾患の原因として報告されている200の遺伝子に病的変異があるかどうかを、一度に調べる検査方法です。

単一遺伝子検査を順に行う方法では、A遺伝子を調べて異常がなければ次にB遺伝子を調べる、というように検査を繰り返す必要があり、そのたびに時間と費用がかかります。性分化疾患は原因遺伝子が多岐にわたるため、臨床所見だけで原因遺伝子を1つに絞り込むことが難しい場面が少なくありません。

当院では、性分化疾患に関連する200遺伝子を同時に解析できる次世代シーケンサー(NGS)パネル検査を採用し、臨床遺伝専門医による検査前後の遺伝カウンセリングと合わせてご提供しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.200遺伝子を一度に解析

臨床症状から特定の疾患を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、その1遺伝子以外に変異があるかどうかまでは分かりません。

本検査では、性腺の発生、ホルモンの合成と作用、内性器・外性器の形成といった性分化の各段階に関わる遺伝子群を包括的に解析します。これにより、複雑な病態の解明や、治療・管理方針の検討に役立つ情報が得られる可能性があります。

2.結果が出るまで2〜3週間

本検査の標準的な所要期間は2〜3週間です。至急オプションをご利用いただくと、約7日短縮されます。

3.オンライン診療に対応

唾液・口腔粘膜擦過組織による検査であれば、オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行ったうえで、検体をご郵送いただく形で完結します。遠方にお住まいの方でもお受けいただけます。

オプション

塩基配列(シークエンス) (料金に含まれる)
欠失・重複解析(Del/Dup) (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of uncertain significance)とは、病的意義がまだ明らかでない変異のことを指します。(無料)

検査内容

「性分化疾患NGSパネル検査」では、性分化疾患に関係するとされる200種類の遺伝子をまとめて検査します。これらの遺伝子は、性染色体の機能、性腺の発育、ホルモン合成と作用、内性器・外性器の形成など、性分化の様々な段階に関わっています。

本検査は、性分化疾患の遺伝学的な原因を明らかにできる可能性を高めると同時に、現在および将来的な診療に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【性分化疾患の個人歴または家族歴のある方】に
「性分化疾患NGSパネル検査」をご検討いただけます。

この検査は以下のような方に適しています:
・出生時に外性器が非典型的で性別判定が困難であった方
・尿道下裂や停留精巣などの外性器異常がある方
・思春期が遅延している、または二次性徴が欠如している方
・予期しない男性化徴候がある方
・原発性無月経(初経が来ない)の方
・不妊症で精査が必要な方
・性腺形成不全が疑われる方
・家族に性分化疾患の方がいる場合
・性染色体の数的・構造的異常が判明しており、詳細な遺伝学的検査を希望される方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝学的な原因が判明すると、性分化疾患の診断確定や、治療・管理方針の検討に役立ちます。また、将来的なリスクが明らかになった場合には、定期的なモニタリングを計画することができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・性腺機能の評価とホルモン補充療法の適応判断
・性腺腫瘍リスクの評価と、それに応じた経過観察方針の検討
・法律上の性(社会的性)の決定にあたっての医学的情報の提供
・外科的治療(外性器形成術など)の方針検討にあたっての情報提供
・生殖能力の評価と将来の妊孕性温存の検討
・二次性徴の管理
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連するリソースや患者支援団体へのご案内
・より個別化された治療と症状管理
・ご家族のリスクに関する情報提供
・家族計画のための選択肢の提供

患者さんで病的変異が同定された場合、遺伝形式によって兄弟姉妹や次世代のリスクは異なります。ご家族の検査を行うことでそのリスクを明らかにできる場合があり、遺伝カウンセリングの中でご提案します。

対象遺伝子

詳しくはこちら

AKR1C2, AKR1C4, AMH, AMHR2, ANOS1, AR, ARL6, ARX, ATF3, ATRX, B3GLCT, BBIP1, BBS1, BBS10, BBS12, BBS2, BBS4, BBS5, BBS7, BBS9, BCOR, BMP15, BMP4, BMP7, C8orf37, CBX2, CCNQ, CDKN1C, CEP41, CHD4, CHD7, CKAP2L, CLPP, CREBBP, CTU2, CUL7, CYB5A, CYP11A1, CYP11B1, CYP17A1, CYP19A1, CYP21A2, DCAF17, DHCR24, DHCR7, DHH, DHX37, DMRT1, DMRT2, DVL1, DVL3, DYNC2H1, EFNB1, ERCC3, ERCC6, ERCC8, ESCO2, ESR1, ESR2, EVC, EVC2, FAT4, FBXL4, FEZF1, FGD1, FGF10, FGF17, FGF8, FGFR1, FGFR2, FGFR3, FIG4, FIGLA, FLNA, FOXL2, FRAS1, FREM2, FSHB, FSHR, GATA4, GLI3, GNRH1, GNRHR, GPC3, GRIP1, H6PD, HARS2, HCCS, HESX1, HHAT, HNF1B, HOXA13, HOXA4, HOXB6, HS6ST1, HSD17B3, HSD17B4, HSD3B2, ICK, IL17RD, INSL3, IRF6, KAT6B, KISS1, KISS1R, LARS2, LHB, LHCGR, LHX1, LHX3, LHX4, LMNA, LZTFL1, MAMLD1, MAP3K1, MBTPS2, MCM9, MED12, MID1, MKKS, MKRN3, MKS1, MSH5, MYRF, NEK1, NOBOX, NR0B1, NR2F2, NR3C1, NR5A1, NSDHL, NSMF, OPHN1, ORC1, PCNT, PDE4D, PEX1, PHF6, PITX2, POF1B, POLR3A, POLR3B, POR, PROK2, PROKR2, PROP1, PSMC3IP, PTDSS1, PTPN11, RAB23, RAB3GAP2, RBBP8, RIPK4, RNF216, ROR2, RSPO1, SALL1, SAMD9, SDCCAG8, SEMA3A, SETBP1, SGPL1, SHBG, SOHLH1, SOS1, SOX10, SOX2, SOX3, SOX9, SPECC1L, SPRY4, SRD5A2, SRY, STAG3, STAR, TAC3, TACR3, TALDO1, TMEM70, TOE1, TP63, TRAIP, TRIM32, TSPYL1, TTC8, TWIST2, TWNK, UBR1, VAMP7, WDPCP, WDR11, WDR35, WDR60, WNT4, WNT5A, WNT7A, WT1, WWOX, ZEB2, ZFPM2 ( 200遺伝子 )

これらの遺伝子は以下のような性分化の過程に関与しています:
・性腺の発生・分化に関わる遺伝子:SRY, SOX9, WT1, NR5A1, DMRT1, DHH, WNT4, RSPO1, FOXL2 など
・ステロイドホルモン合成に関わる遺伝子:CYP11A1, CYP17A1, CYP19A1, CYP21A2, HSD17B3, HSD3B2, SRD5A2, STAR, POR など
・ホルモン作用に関わる遺伝子:AR, ESR1, ESR2, NR3C1, AMH, AMHR2 など
・外性器・内性器の形成に関わる遺伝子:HOXA13, FGF8, WNT5A, BMP4, MAMLD1 など
・視床下部・下垂体—性腺系に関わる遺伝子:GNRH1, GNRHR, FSHB, FSHR, LHB, LHCGR, ANOS1, KISS1R など
・症候群性の疾患に関わる遺伝子:CHD7(CHARGE症候群), WT1(デニス・ドラッシュ症候群、フレイジャー症候群), DHCR7(スミス・レムリ・オピッツ症候群)など

※HOXA13遺伝子とSOX3遺伝子:現在の検査方法では、これらの遺伝子における三塩基反復配列の伸長は評価していません。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査において対象領域のDNA配列をどれだけ十分な回数読み取れているかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど変異検出の信頼性が高くなります。

≥99% at 20x
本検査では、検査対象領域の99%以上を、20回以上の読み取り深度で解析します。

検体

血液(EDTAチューブ4mL×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(ご要望により採取キットを提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術とバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病的変異アレルを同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認およびカバレッジ基準を満たすためにサンガー法が使用されます。オーダーされた場合、欠失/重複分析は、1つの遺伝子全体(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンにわたる大きさ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査で日常的に検出されるものではありません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、リピート伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※性分化疾患はきわめて多様な病態を含むため、本パネル検査で病的変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、染色体の数的・構造的異常(ターナー症候群、クラインフェルター症候群、45,X/46,XYモザイクなど)は本検査では評価できないため、染色体検査(G分染法など)が別途必要です。必要に応じて、追加の検査や専門医による総合的な評価をご案内します。

結果が出るまでの期間

2〜3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
出生時に外性器が非典型的で性別判定が困難であった方、尿道下裂や停留精巣などの外性器異常がある方、思春期が遅延している方、予期しない男性化徴候がある方、原発性無月経の方、不妊症で精査が必要な方などにご検討いただけます。また、性分化疾患の家族歴がある場合もご相談ください。なお新生児期に外性器の非典型性を認める場合は、先天性副腎過形成症など緊急性の高い病態を含むため、まず小児内分泌科での評価を受けてください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(EDTAチューブ4mL×2本)、抽出DNA、頬粘膜スワブ、唾液のいずれかで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
家族も検査を受ける必要がありますか?
性分化疾患の遺伝形式は疾患によって異なり、常染色体潜性(劣性)遺伝、常染色体顕性(優性)遺伝、X連鎖遺伝など様々なパターンがあります。患者さんで病的変異が同定された場合、遺伝カウンセリングにおいてご家族のリスク評価を行い、必要に応じて家族検査をご提案します。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
この検査では200の遺伝子を対象としていますが、性分化疾患の原因はこれらの遺伝子に限られません。検査で病的変異が検出されなくても、他の遺伝子や、本検査では評価できない染色体の数的・構造的異常などが関与している可能性があります。主治医とご相談のうえ、必要に応じて追加の検査や専門医による評価を受けることが重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。なお、先天性副腎過形成症やターナー症候群など一部の疾患は小児慢性特定疾病に指定されており、診断確定後の治療について医療費助成を受けられる場合があります。ただし助成の対象は指定医療機関での治療であり、本検査の費用は対象外です。対象年齢や申請方法は自治体の窓口にご確認ください。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療選択肢(ホルモン補充療法や外科的治療を含む)などについて、臨床遺伝専門医が分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
性分化疾患の遺伝形式は疾患によって異なります。検査結果により、お子さんへの遺伝リスクや生殖能力についての情報が得られる場合があります。出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
性分化疾患の治療はどのように行われますか?
治療は疾患の種類と重症度、患者さんの年齢やご希望によって異なります。ホルモン補充療法、外科的治療(外性器形成術、性腺摘出術など)、心理社会的サポートなどが含まれます。法律上の性の決定に関しては、医学的情報、ご本人やご家族の意向、心理社会的要因などを総合的に考慮し、小児内分泌科・泌尿器科・外科・精神科・遺伝診療部門などによる集学的チーム医療により検討されます。
予後はどうですか?
多くの性分化疾患では、適切な治療とサポートにより通常の社会生活を送ることができます。ただし、性腺形成不全を伴う一部の疾患では性腺腫瘍のリスクが上昇するため、定期的なモニタリングが必要です。また先天性副腎過形成症では生涯にわたるホルモン補充管理が必要になります。早期診断と適切な管理により、予後の改善が期待できます。
法律上の性別はどのように決められますか?
新生児期に性別決定が必要な場合、染色体検査、ホルモン検査、画像検査、遺伝子検査などを速やかに行い、小児内分泌科、泌尿器科、外科、精神科、遺伝診療部門などの専門家による集学的チームで評価します。医学的情報、将来の生殖能力、外科的治療の可能性、心理社会的要因などを総合的に考慮し、ご家族と十分に話し合って決定します。出生届は戸籍法により出生後14日以内の提出が必要ですが、性分化疾患などですぐに性別を決められない場合は、医師の診断書を添えることで14日以降でも受理されます。氏名・性別を記載せずに提出することも可能ですが、後日の届出には「追完」の記録が戸籍上に残るため、事前に医療機関や自治体の窓口にご相談ください。
この検査だけで診断は確定しますか?
いいえ。本検査は診断の一部を担うものであり、単独で診断が確定するわけではありません。性分化疾患の診断は、身体所見、内分泌学的検査、画像検査、染色体検査、遺伝学的検査を組み合わせ、総合的に行われます。当院では臨床遺伝専門医が検査前後の遺伝カウンセリングを担当し、必要に応じて専門診療科への紹介を行います。

参考文献・情報源

仲田洋美 医師(臨床遺伝専門医)

この記事の監修・執筆者:仲田 洋美

(臨床遺伝専門医/がん薬物療法専門医/総合内科専門医)

ミネルバクリニック院長。1995年に医師免許を取得後、 臨床遺伝学・内科学・腫瘍学を軸に診療を続けてきました。 のべ10万人以上のご家族の意思決定と向き合ってきた臨床遺伝専門医です。

出生前診断(NIPT・確定検査・遺伝カウンセリング)においては、 検査結果の数値そのものだけでなく、 「結果をどう受け止め、どう生きるか」までを医療の責任と捉え、 一貫した遺伝カウンセリングと医学的支援を行っています。

ハイティーンの時期にベルギーで過ごし、 日本人として異文化の中で生活した経験があります。 価値観や宗教観、医療への向き合い方が国や文化によって異なることを体感しました。 この経験は現在の診療においても、 「医学的に正しいこと」と「その人にとって受け止められること」の両立を考える姿勢の基盤となっています。

また、初めての妊娠・出産で一卵性双生児を妊娠し、 36週6日で一人を死産した経験があります。 その出来事は、妊娠・出産が女性の心身に与える影響の大きさ、 そして「トラウマ」となり得る体験の重みを深く考える契機となりました。 現在は、女性を妊娠・出産のトラウマから守る医療を使命の一つとし、 出生前診断や遺伝カウンセリングに取り組んでいます。

出生前診断は単なる検査ではなく、 家族の未来に関わる重要な意思決定です。 年齢や統計だけで判断するのではなく、 医学的根拠と心理的支援の両面から、 ご家族が後悔の少ない選択をできるよう伴走することを大切にしています。

日本人類遺伝学会認定 臨床遺伝専門医/日本内科学会認定 総合内科専門医/ 日本臨床腫瘍学会認定 がん薬物療法専門医。 2025年には APAC地域における出生前検査分野のリーダーとして国際的評価を受け、 複数の海外メディア・専門誌で特集掲載されました。