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ドラベ症候群NGS遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック

ドラベ症候群NGS遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック

ドラベ症候群とは

ドラベ症候群(Dravet syndrome)は、1歳未満で発症する重症の小児てんかん症候群です。以前は「乳児重症ミオクロニーてんかん」と呼ばれていましたが、ミオクロニー発作を伴わない症例も多く、成人期まで続くことから、1989年に最初に報告したフランスのシャーロット・ドラベ医師の名前を冠してドラベ症候群と名付けられました。

本疾患は、発熱や入浴による体温上昇で誘発されやすいけいれん発作を特徴とし、発作は重積(5分以上継続)や群発(1日に何度も繰り返す)しやすい特徴があります。多くの患者さんは一般的な抗てんかん薬では発作がコントロールできず、1歳を過ぎると発達遅滞や運動失調が出現します。

ドラベ症候群は指定難病140番に登録されている希少疾患で、発症頻度は2〜4万人に1人と推定されています。日本国内には約3,000人の患者さんがいると考えられていますが、診断されていない患者さんも含めると、実際にはもう少し多いと推測されています。約75〜80%の症例でSCN1A遺伝子(ナトリウムチャネル遺伝子)の異常が認められます。

症状と病態

ドラベ症候群の主な症状は、1歳未満で起こる発熱や体温上昇に伴うけいれん発作です。最初の発作は全身または片側のけいれん発作として現れ、しばしば30分以上続くけいれん重積となります。

主要症状

  • 1歳未満での発熱時の全身または半身けいれん発作
  • 入浴や予防接種後の発熱で誘発される発作
  • けいれん重積(5分以上続く発作)が起こりやすい
  • 群発発作(1日に何度も発作を繰り返す)
  • 光過敏性(光の点滅や特定の図形で発作が誘発される)
  • 1歳以降のミオクロニー発作(体の一部がピクッと動く短い発作)
  • 非定型欠神発作(ぼーっとして意識が遠のく発作)
  • 焦点性発作(体の一部のけいれん)
  • 発達遅滞(1歳頃から発達の遅れが目立つ)
  • 運動失調(歩行が不安定、手先が不器用)
  • 中等度以上の知的障害

発作の特徴

ドラベ症候群の発作には以下のような特徴があります:

  • 体温上昇による誘発:38℃台の発熱、入浴中や入浴後、予防接種後などに発作が起こりやすい
  • 発作の長時間化:通常の熱性けいれんと異なり、5分以上続く重積発作となることが多い
  • 多様な発作型:年齢とともに全身けいれん以外にも、ミオクロニー発作、欠神発作、焦点性発作など多様な発作型が出現
  • 薬剤抵抗性:一般的な抗てんかん薬では発作がコントロールできないことが多い
  • 特定の薬剤で悪化:カルバマゼピン(テグレトール)、ラモトリギン(ラミクタール)、フェニトイン(アレビアチン)などで発作が悪化することが知られている

発達と運動機能

発症時までは正常に発達していた児が、1歳を過ぎる頃から発達の遅れが目立つようになります:

  • 言語発達の遅れ
  • 知的障害(中等度以上が多い)
  • 運動失調(バランスが悪い、しゃがみ歩行)
  • 手先の不器用さ
  • 多動性や衝動性などの行動障害
  • 自閉症スペクトラム障害様の症状を呈することもある

予後と合併症

ドラベ症候群の死亡率は一般的なてんかんよりも高く、約15〜20%と報告されています。最も多い死因はてんかん患者における原因不明の突然死(SUDEP)で、特に6歳前後の睡眠中に起こることが多いとされています。その他、けいれん重積に伴う急性脳症、溺水、事故なども死因として報告されています。

適切な抗てんかん薬による治療と、日常生活での注意(入浴時の監視、体温管理など)により、多くの患者さんは成人期まで生存可能です。近年、新規抗てんかん薬の登場により発作コントロールが改善され、予後も向上してきています。

遺伝形式と原因遺伝子

ドラベ症候群は主に遺伝子の新生変異(de novo mutation)により発症し、ほとんどの症例(約95%)では両親は遺伝子変異を持っていません。つまり、家族歴がない孤発例がほとんどです。

遺伝形式

ドラベ症候群の原因遺伝子変異が両親のいずれかに認められる場合、常染色体優性(顕性)遺伝形式をとります。この場合、子どもが同じ遺伝子変異を受け継ぐ確率は50%です。ただし、遺伝子変異を受け継いでも症状の重さは異なる場合があります。

常染色体優性(顕性)遺伝とは:
片方の親から受け継いだ1つの遺伝子変異だけで発症する遺伝形式です。変異を持つ親から子どもへ変異が伝わる確率は50%です。ドラベ症候群の場合、ほとんどは新生変異(両親は変異を持たず、お子さんの代で初めて変異が生じる)ですが、まれに親から受け継がれることもあります。

原因遺伝子

ドラベ症候群の約75〜80%の症例でSCN1A遺伝子の異常が認められます。その他、まれにSCN1B、SCN2A、GABRG2などの遺伝子変異も報告されています。

  • SCN1A遺伝子:最も頻度の高い原因遺伝子(75〜80%)。電位依存性ナトリウムチャネルNaV1.1をコードしており、この遺伝子の機能低下により神経細胞の興奮性が異常になり、難治性てんかんを発症すると考えられています
  • SCN1B遺伝子:ナトリウムチャネルのβサブユニットをコードする遺伝子(まれ)
  • SCN2A遺伝子:電位依存性ナトリウムチャネルNaV1.2をコードする遺伝子(まれ)
  • GABRG2遺伝子:GABAタイプA受容体のγ2サブユニットをコードする遺伝子(まれ)

遺伝カウンセリングの重要性

ドラベ症候群患者さんのご家族に対しては、以下の点について遺伝カウンセリングが重要です:

  • ほとんどの症例は新生変異であり、両親に遺伝子変異がない場合、次子が同じ病気を発症するリスクは一般集団と変わらない
  • まれに両親のいずれかが性腺モザイク(精子や卵子の一部にのみ変異がある)の場合、次子の発症リスクが一般より少し高くなる可能性がある
  • 患者さん本人が将来子どもを持つ場合、50%の確率で遺伝子変異が子どもに伝わる可能性がある
  • SCN1A遺伝子変異は、ドラベ症候群よりも軽症の熱性けいれんプラス(GEFS+)の原因となることもあり、同じ変異でも症状の重さが異なる場合がある

ミネルバクリニックのドラベ症候群遺伝子パネル検査の特徴

「ドラベ症候群 NGSパネル検査」とは、現在ドラベ症候群の原因として報告されている11の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、ドラベ症候群に関連する11遺伝子を一度に調べられる「ドラベ症候群 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関でドラベ症候群の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、ドラベ症候群に関係するとされる11の遺伝子を一度に調べられる「ドラベ症候群 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行えるドラベ症候群の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「ドラベ症候群 NGSパネル検査」の場合、11の遺伝子を、2〜3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状からドラベ症候群を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「ドラベ症候群 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な11の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・重複 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「ドラベ症候群 NGSパネル検査」では、ドラベ症候群に関係するとされる11種類の遺伝子(CHD2、GABRA1、GABRG2、HCN1、PCDH19、SCN1A、SCN1B、SCN2A、SCN9A、STX1B、STXBP1)をまとめて検査します。

「ドラベ症候群 NGSパネル検査」は、ドラベ症候群の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【ドラベ症候群の個人歴または家族歴のある方】に
「ドラベ症候群 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・1歳未満で発熱時のけいれん発作を繰り返した方
・けいれん重積(5分以上続く発作)を起こしたことがある方
・入浴や予防接種後の発熱で発作が誘発される方
・38℃台の発熱で繰り返しけいれん発作を起こす方
・全身または半身のけいれん発作がある方
・光の点滅や特定の図形で発作が誘発される方
・ミオクロニー発作や欠神発作がある方
・1歳頃から発達の遅れが目立つようになった方
・一般的な抗てんかん薬で発作がコントロールできない方
・カルバマゼピンやラモトリギンで発作が悪化した経験がある方
・ドラベ症候群または類似のてんかんの家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、ドラベ症候群の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な抗てんかん薬の選択、悪化させる薬剤の回避、発作予防のための生活指導、定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・他のてんかん症候群との鑑別
・適切な抗てんかん薬の選択(バルプロ酸、クロバザム、スチリペントール、フェンフルラミンなど)
・悪化させる薬剤の回避(カルバマゼピン、ラモトリギン、フェニトインなど)
・ケトン食などの食事療法の適応判断
・発作予防のための生活指導(体温管理、入浴時の注意など)
・突然死(SUDEP)のリスク評価と予防策
・発達支援や療育の早期開始
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、ほとんどは新生変異ですが、まれに親から受け継がれることもあります。親が保因者の場合、子どもが発症するリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

CHD2, GABRA1, GABRG2, HCN1, PCDH19, SCN1A, SCN1B, SCN2A, SCN9A, STX1B, STXBP1 ( 11遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・CHD2遺伝子:
クロマチンリモデリング酵素CHD2をコードする遺伝子。CHD2遺伝子変異は、ドラベ症候群の他、ミオクロニー失立てんかんなどの原因となることがあります。

・GABRA1遺伝子:
GABAタイプA受容体のα1サブユニットをコードする遺伝子。GABA(γ-アミノ酪酸)は抑制性神経伝達物質で、この遺伝子の変異により神経の興奮抑制が不十分になります。

・GABRG2遺伝子:
GABAタイプA受容体のγ2サブユニットをコードする遺伝子。この遺伝子変異はドラベ症候群の他、熱性けいれんプラス(GEFS+)の原因ともなります。

・HCN1遺伝子:
過分極活性化環状ヌクレオチド依存性チャネル1をコードする遺伝子。神経細胞の興奮性調節に関与します。

・PCDH19遺伝子:
プロトカドヘリン19をコードする遺伝子。X染色体上に位置し、PCDH19関連症候群の原因となります。女児に発症し、ドラベ症候群と類似した症状を呈しますが、経過や有効な治療が異なるため鑑別が重要です。

・SCN1A遺伝子:
電位依存性ナトリウムチャネルNaV1.1のαサブユニットをコードする遺伝子。ドラベ症候群の最も頻度の高い原因遺伝子で、約75〜80%の症例で変異が認められます。この遺伝子の機能低下により、抑制性神経細胞(GABAニューロン)の興奮性が低下し、脳全体の興奮性が亢進すると考えられています。

・SCN1B遺伝子:
電位依存性ナトリウムチャネルのβ1サブユニットをコードする遺伝子。ナトリウムチャネルの機能調節に関与します。

・SCN2A遺伝子:
電位依存性ナトリウムチャネルNaV1.2のαサブユニットをコードする遺伝子。SCN1Aと同様にナトリウムチャネルをコードしますが、ドラベ症候群での変異頻度は低く、むしろ他のてんかん性脳症の原因となることが多い遺伝子です。

・SCN9A遺伝子:
電位依存性ナトリウムチャネルNaV1.7のαサブユニットをコードする遺伝子。主に末梢神経系で発現し、痛覚伝達に関与します。

・STX1B遺伝子:
シンタキシン1Bをコードする遺伝子。神経伝達物質の放出に関与するタンパク質です。

・STXBP1遺伝子:
シンタキシン結合タンパク質1をコードする遺伝子。神経伝達物質の放出機構に関与し、この遺伝子変異は早期乳児てんかん性脳症の原因となることがあります。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、11の原因遺伝子のみを対象としています。約20〜25%のドラベ症候群症例では、SCN1A遺伝子を含む既知の遺伝子に変異が見つかりません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と経過に基づいた診断が重要です。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
1歳未満で発熱時のけいれん発作を繰り返す方、特に5分以上続くけいれん重積を起こしたことがある方におすすめします。入浴や予防接種後の発熱で発作が誘発される、38℃台の発熱で繰り返しけいれんを起こす、光の点滅や特定の図形で発作が誘発される、1歳頃から発達の遅れが目立つようになった方は、ドラベ症候群の可能性があります。また、家族に同様の症状がある場合も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
熱性けいれんとの違いは何ですか?
通常の熱性けいれんは5分以内に自然に止まり、後遺症を残しませんが、ドラベ症候群では5分以上続くけいれん重積となることが多く、1歳を過ぎると発熱がなくても発作が起こるようになり、発達遅滞も出現します。また、一般的な抗てんかん薬では発作がコントロールできないことが特徴です。
家族も検査を受ける必要がありますか?
ドラベ症候群の約95%は新生変異(両親は変異を持たない)ですが、まれに親から受け継がれることもあります。患者さんで病原性変異が同定された場合、ご両親の検査により新生変異か遺伝性かを確認できます。親が保因者の場合、次子の発症リスクは50%となるため、家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
約20〜25%のドラベ症候群症例では、既知の遺伝子に変異が見つかりません。検査で病原性変異が検出されなくても、臨床症状と経過に基づいてドラベ症候群と診断されることがあります。遺伝子検査は診断の補助であり、臨床診断が最も重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。なお、一部の医療機関ではSCN1A遺伝子単独検査が保険適用で実施可能ですが、当院のパネル検査では11遺伝子を同時に検査できる利点があります。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
ほとんどの症例は新生変異ですが、まれに親から受け継がれる場合があります。患者さん本人が将来子どもを持つ場合、50%の確率で遺伝子変異が子どもに伝わる可能性があります。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
ドラベ症候群の治療はどのように行われますか?
抗てんかん薬による治療が中心です。バルプロ酸、クロバザム、臭化物、スチリペントール、トピラマート、フェンフルラミンなどを組み合わせて使用します。カルバマゼピン、ラモトリギン、フェニトインは発作を悪化させることが知られており避ける必要があります。また、ケトン食などの食事療法も効果的です。発作予防のために、体温管理、入浴時の注意、予防接種時のダイアップ使用などの生活指導も重要です。
予後はどうですか?
ドラベ症候群の死亡率は約15〜20%と報告されており、一般的なてんかんより高いです。最も多い死因はてんかん患者における原因不明の突然死(SUDEP)で、特に6歳前後の睡眠中に起こることが多いとされています。しかし、適切な治療と管理により、多くの患者さんは成人期まで生存可能です。近年、新規抗てんかん薬の登場により発作コントロールが改善され、予後も向上してきています。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な11の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら