遠位型遺伝性ミオパチー遺伝子検査(NGSパネル)|ミネルバクリニック
遠位型遺伝性ミオパチーとは
遠位型遺伝性ミオパチー(Distal Hereditary Myopathy)は、主に四肢の遠位部(手足の先端部分)の筋肉が徐々に障害される遺伝性の筋疾患です。進行性の筋力低下と筋萎縮を特徴とし、様々な遺伝子変異によって引き起こされます。
本疾患は臨床的にも遺伝学的にも多様性が高く、発症年齢、筋力低下の分布パターン、進行速度などが患者さんによって異なります。遺伝形式は常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝のいずれの形式もあり、現在までに複数の原因遺伝子が同定されています。
遠位型遺伝性ミオパチーは、筋肉自体が障害される筋疾患(ミオパチー)であり、神経が障害される神経疾患とは区別されます。筋ジストロフィーの一種として分類されることもあり、日本では「遠位型筋ジストロフィー」とも呼ばれます。有病率は地域や民族によって異なりますが、比較的稀な疾患です。
症状と病態
遠位型遺伝性ミオパチーの主な症状は、四肢遠位部の進行性の筋力低下と筋萎縮です。多くの場合、下肢の筋力低下が上肢よりも強く、足の筋肉の筋力低下が初発症状となることが多いです。
主要症状
- 四肢遠位部の進行性筋力低下(特に下肢優位)
- 足関節の底屈・背屈筋力低下(つま先立ちやつま先を上げにくい)
- 手指の巧緻運動障害(細かい作業が困難)
- 筋萎縮(手足の筋肉が痩せる)
- 歩行障害(つまずきやすい、階段昇降困難)
- 筋肉痛や筋痙攣を伴うことがある
- 深部腱反射の低下または消失
感覚障害について
遠位型遺伝性ミオパチーでは、基本的に感覚障害は伴いません。これは筋肉自体の疾患であり、感覚神経は保たれているためです。この点が、感覚障害を伴う末梢神経障害との重要な鑑別点となります。
原因遺伝子による特徴
原因遺伝子によって、特徴的な症状パターンが認められることがあります:
- GNE遺伝子変異(GNEミオパチー):日本人に多く、前脛骨筋が比較的保たれることが特徴です。大腿四頭筋も後期まで保たれる傾向があります
- DYSF遺伝子変異(三好型ミオパチー):下腿後面の筋肉(腓腹筋)から始まることが多く、つま先立ちが困難になります
- MYH7遺伝子変異:遠位型だけでなく、近位筋にも症状が及ぶことがあります
- TTN遺伝子変異:遠位型から始まることもありますが、症状の分布は多様です
- CAV3、DES、CRYAB遺伝子変異:筋肉の構造タンパク質の異常により、様々なパターンの筋力低下を呈します
進行と予後
疾患の進行速度は原因遺伝子や患者さんによって大きく異なります。多くの症例では緩徐進行性で、発症から数十年かけて徐々に症状が進行します。一般的に下肢から始まり、その後上肢に症状が広がることがあります。進行すると近位筋(体幹に近い筋肉)にも症状が及ぶ場合があります。重症例では車椅子が必要となることもありますが、多くの患者さんは補助具を使用しながら歩行可能な状態を維持できます。
遺伝形式と原因遺伝子
遠位型遺伝性ミオパチーは遺伝学的に多様性が高く、常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝のいずれの形式でも発症します。現在までに複数の原因遺伝子が同定されており、それぞれ異なる筋肉のタンパク質や機能に関与しています。
常染色体優性(顕性)遺伝形式
比較的頻度の高い遺伝形式で、以下の遺伝子が知られています:
- MYH7遺伝子:ミオシン重鎖をコードし、筋収縮に重要な役割を果たします
- FLNC遺伝子:フィラミンCをコードし、筋線維の構造維持に関与します
- TTN遺伝子:タイチンという巨大なタンパク質をコードし、筋肉の弾性に関与します
- CAV3遺伝子:カベオリン3をコードし、筋細胞膜の構造に関与します
- DES遺伝子:デスミンをコードし、筋線維の中間径フィラメントを構成します
- CRYAB遺伝子:αB-クリスタリンをコードし、シャペロンタンパク質として機能します
- LDB3遺伝子:ザスポパチーとして知られ、筋肉のZ線構造に関与します
- VCP遺伝子:バロシン含有タンパク質をコードし、細胞内のタンパク質分解に関与します
- MATR3遺伝子:マトリン3をコードし、核内のRNA処理に関与します
常染色体劣性(潜性)遺伝形式
日本人に多いタイプを含む、以下の遺伝子が知られています:
- GNE遺伝子:UDP-N-アセチルグルコサミン2-エピメラーゼ/N-アセチルマンノサミンキナーゼをコードし、シアル酸合成に関与します。日本人に多いGNEミオパチーの原因遺伝子です
- DYSF遺伝子:ジスフェルリンをコードし、筋細胞膜の修復に関与します。三好型ミオパチーの原因遺伝子です
- ANO5遺伝子:アノクタミン5をコードし、カルシウム依存性クロライドチャネルとして機能します
- TCAP遺伝子:テレソニンをコードし、筋肉のZ線構造に関与します
X連鎖遺伝形式
- FHL1遺伝子:Four and a half LIMドメインタンパク質1をコードし、筋分化や代謝に関与します
当検査パネルでは、これらの原因遺伝子のうち、臨床的に重要な14遺伝子を対象としています。これにより、遠位型遺伝性ミオパチーの主要な原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。
ミネルバクリニックの遠位型遺伝性ミオパチー遺伝子パネル検査の特徴
「遠位型遺伝性ミオパチー NGSパネル検査」とは、現在遠位型遺伝性ミオパチーの原因として報告されている14の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、遠位型遺伝性ミオパチーに関連する14遺伝子を一度に調べられる「遠位型遺伝性ミオパチー NGSパネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関で遠位型遺伝性ミオパチーの遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、遠位型遺伝性ミオパチーに関係するとされる14の遺伝子を一度に調べられる「遠位型遺伝性ミオパチー NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行える遠位型遺伝性ミオパチーの遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「遠位型遺伝性ミオパチー NGSパネル検査」の場合、14の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
臨床症状から遠位型遺伝性ミオパチーを疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「遠位型遺伝性ミオパチー NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な14の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「遠位型遺伝性ミオパチー NGSパネル検査」では、遠位型遺伝性ミオパチーに関係するとされる14種類の遺伝子(ANO5、CAV3、CRYAB、DES、DYSF、FHL1、FLNC、GNE、LDB3、MATR3、MYH7、TCAP、TTN、VCP)をまとめて検査します。
「遠位型遺伝性ミオパチー NGSパネル検査」は、遠位型遺伝性ミオパチーの遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【遠位型遺伝性ミオパチーの個人歴または家族歴のある方】に
「遠位型遺伝性ミオパチー NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・四肢遠位部の進行性筋力低下がある方
・下肢の筋力低下が上肢より強い方
・足関節の底屈・背屈困難(つま先立ちやつま先が上がりにくい)がある方
・手指の巧緻運動障害がある方
・筋萎縮(手足の筋肉が痩せる)が認められる方
・血清CK(クレアチンキナーゼ)値の上昇がある方
・筋生検で筋原性変化が認められる方
・感覚障害がない方
・遠位型遺伝性ミオパチーまたは筋ジストロフィーの家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、遠位型遺伝性ミオパチーの診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切なリハビリテーション、生活習慣の改善、定期的なモニタリングを行うことができます。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・他の神経筋疾患との鑑別
・適切なリハビリテーションプログラムの立案
・呼吸機能障害や心機能障害のリスク評価と管理
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。
対象遺伝子
- 詳しくはこちら
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ANO5, CAV3, CRYAB, DES, DYSF, FHL1, FLNC, GNE, LDB3, MATR3, MYH7, TCAP, TTN, VCP ( 14遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・ANO5遺伝子:
アノクタミン5をコードする遺伝子。カルシウム依存性クロライドチャネルとして機能し、筋細胞膜の修復に関与します。常染色体劣性遺伝形式で、大腿四頭筋型の筋ジストロフィーや遠位型ミオパチーの原因となります。
・CAV3遺伝子:
カベオリン3をコードする遺伝子。筋細胞膜の構造維持に関与し、常染色体優性遺伝形式をとります。カベオリノパチーとして知られ、肢帯型筋ジストロフィーや遠位型ミオパチーの原因となります。
・CRYAB遺伝子:
αB-クリスタリンをコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、シャペロンタンパク質として機能し、タンパク質の品質管理に関与します。ミオフィブリラーミオパチーの原因となることもあります。
・DES遺伝子:
デスミンをコードする遺伝子。常染色体優性または劣性遺伝形式で、筋線維の中間径フィラメントを構成します。デスミノパチーとして知られ、心筋症を伴うことがあります。
・DYSF遺伝子:
ジスフェルリンをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、筋細胞膜の修復に関与します。三好型ミオパチー(下腿後面から始まる遠位型)や肢帯型筋ジストロフィー2B型の原因となります。
・FHL1遺伝子:
Four and a half LIMドメインタンパク質1をコードする遺伝子。X連鎖遺伝形式で、筋分化や代謝に関与します。X連鎖ミオパチーの原因となります。
・FLNC遺伝子:
フィラミンCをコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、筋線維の構造維持に関与します。遠位型ミオパチーや心筋症の原因となります。
・GNE遺伝子:
UDP-N-アセチルグルコサミン2-エピメラーゼ/N-アセチルマンノサミンキナーゼをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、シアル酸合成に関与します。GNEミオパチー(遠位型ミオパチー、非ジストロフィー性三好型ミオパチー)の原因となり、日本人に多い疾患です。
・LDB3遺伝子:
ザスポパチンをコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、筋肉のZ線構造に関与します。ザスポパチー(ミオフィブリラーミオパチーの一型)の原因となります。
・MATR3遺伝子:
マトリン3をコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、核内のRNA処理に関与します。遠位型ミオパチーや筋萎縮性側索硬化症の原因となることがあります。
・MYH7遺伝子:
βミオシン重鎖をコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、筋収縮に重要な役割を果たします。遠位型ミオパチー、肢帯型筋ジストロフィー、肥大型心筋症など多様な表現型を示します。
・TCAP遺伝子:
テレソニンをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、筋肉のZ線構造に関与します。肢帯型筋ジストロフィー2G型や遠位型ミオパチーの原因となります。
・TTN遺伝子:
タイチンという巨大なタンパク質をコードする遺伝子。常染色体優性または劣性遺伝形式で、筋肉の弾性と構造維持に関与します。遠位型ミオパチー、肢帯型筋ジストロフィー、心筋症など多様な表現型を示します。
・VCP遺伝子:
バロシン含有タンパク質をコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式で、細胞内のタンパク質分解に関与します。封入体ミオパチー、パジェット病、前頭側頭型認知症(IBMPFD)を伴うことがあります。
カバレッジ
カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。
≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。
検査の限界
- 詳しくはこちら
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すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
※この検査パネルでは、14の原因遺伝子のみを対象としています。すべての遠位型遺伝性ミオパチー症例で原因遺伝子が見つかるわけではありません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
- どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
- 四肢遠位部の進行性筋力低下がある方、特に足のつま先立ちが困難になった、手指の細かい作業が困難になった方におすすめします。血清CK値の上昇がある場合や、筋生検で筋原性変化が認められる場合は、遠位型遺伝性ミオパチーの可能性が高くなります。また、家族に同様の症状がある場合も検査をご検討ください。
- 検査はどのように行いますか?
- 血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
- 遠位型遺伝性ミオパチーと遠位型遺伝性運動ニューロパチーの違いは何ですか?
- 遠位型遺伝性ミオパチーは筋肉自体が障害される筋疾患であるのに対し、遠位型遺伝性運動ニューロパチーは運動神経が障害される神経疾患です。臨床症状は似ていますが、筋電図や筋生検で区別することができます。当検査により原因遺伝子を特定することで、より正確な診断が可能になります。
- 家族も検査を受ける必要がありますか?
- 遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
- 検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
- すべての遠位型遺伝性ミオパチー症例で原因遺伝子が見つかるわけではありません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と筋生検などの検査に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
- 保険は適用されますか?
- 当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
- 結果はどのように説明されますか?
- 検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
- 子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
- 遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
- 遠位型遺伝性ミオパチーの治療はどのように行われますか?
- 現在のところ根本的な治療法はありませんが、理学療法、作業療法などのリハビリテーション、装具療法、必要に応じて整形外科的治療などが行われます。GNEミオパチーに対しては、シアル酸補充療法が研究されています。適切な管理により、多くの患者さんは日常生活を維持できます。
- 予後はどうですか?
- 疾患の進行速度は原因遺伝子や個人によって大きく異なります。多くの症例では緩徐進行性で、適切なリハビリテーションにより、長期間にわたって歩行可能な状態を維持できることが多いです。一部の遺伝子変異では心筋症や呼吸筋障害を合併することがあるため、定期的なモニタリングが重要です。
- 他の医療機関での検査との違いは何ですか?
- 当院では臨床的に重要な14の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
仲田洋美のプロフィールはこちら