嚢胞性肺疾患遺伝子検査(NGSパネル)|ミネルバクリニック
嚢胞性肺疾患とは
嚢胞性肺疾患(Cystic Lung Disease)は、肺内に薄い壁(通常2mm未満)に囲まれた空気で満たされた袋状の空洞(嚢胞)が複数形成される疾患群の総称です。肺嚢胞は気道から分離しており、大きさや形が様々で、時間の経過とともに変化する可能性があります。
嚢胞性肺疾患には先天性(遺伝性)のものと後天性のものがあり、原因も多岐にわたります。遺伝性の嚢胞性肺疾患は、特定の遺伝子変異により弾性線維や結合組織の異常が生じることで発症します。症状は無症状のものから、反復性気胸や進行性の呼吸機能障害をきたす重症なものまで様々です。
嚢胞性肺疾患の早期診断は、適切な管理と合併症の予防に非常に重要です。特に反復性気胸を経験した患者さんでは、基礎に遺伝性嚢胞性肺疾患が存在する可能性を考慮する必要があります。有病率は正確には不明ですが、原発性自然気胸の約10%が嚢胞性肺疾患に関連していると推定されています。
主な遺伝性嚢胞性肺疾患
遺伝性嚢胞性肺疾患には、以下のような主要な疾患が含まれます:
Birt-Hogg-Dubé症候群(バート・ホッグ・デュベ症候群)
FLCN遺伝子の変異により発症する常染色体優性遺伝疾患です。皮膚病変(線維毛包腫)、肺嚢胞、腎腫瘍を三徴とします。肺嚢胞は両側性で多発性に認められ、下肺野や縦隔側に優位に分布することが特徴です。自然気胸の発症リスクが非常に高く、患者の約50~80%が生涯に少なくとも1回は気胸を経験します。
結節性硬化症
TSC1またはTSC2遺伝子の変異により発症する常染色体優性遺伝疾患です。全身の過誤腫を特徴とし、脳、皮膚、腎臓、肺など多臓器に症状が現れます。肺病変としてはリンパ脈管筋腫症(LAM)を伴うことがあり、特に若年女性で進行性の呼吸機能障害を呈することがあります。肺嚢胞は両側性で均等に分布し、円形を呈することが特徴です。
α1アンチトリプシン欠損症
SERPINA1遺伝子の変異により発症する常染色体劣性遺伝疾患です。主に肺気腫と肝疾患を引き起こします。喫煙者では若年性肺気腫を発症しやすく、下葉優位の気腫性変化が特徴的です。
皮膚弛緩症(Cutis Laxa)関連疾患
EFEMP2、ELN、FBLN5、LTBP4遺伝子の変異により発症します。皮膚の弛緩と弾力性の喪失を主症状とし、心血管系、骨格系、肺にも異常を伴うことがあります。肺気腫や肺嚢胞を合併し、呼吸機能障害や気胸を生じることがあります。
症状と病態
嚢胞性肺疾患の症状は、疾患の種類、嚢胞の数や大きさ、合併症の有無によって大きく異なります。
主要症状
- 反復性自然気胸(最も重要な症状)
- 進行性の呼吸困難
- 慢性咳嗽
- 胸痛
- 喘鳴
- 乳び胸水(LAMの場合)
- 血痰(稀)
無症状のケース
多くの症例では、肺嚢胞が存在しても長期間無症状のことがあります。胸部X線やCT検査で偶然発見されることも少なくありません。しかし、無症状であっても気胸のリスクは存在するため、適切なモニタリングと生活指導が重要です。
合併症
嚢胞性肺疾患では、以下のような合併症が生じる可能性があります:
- 気胸:嚢胞の破裂により肺が虚脱する状態。反復することが多く、胸腔ドレナージや手術が必要になることがあります
- 呼吸不全:広範な肺嚢胞や肺気腫により、進行性の呼吸機能低下が生じます
- 肺感染症:嚢胞内に感染が生じやすく、難治性の肺炎を引き起こすことがあります
- 血管合併症:一部の疾患では、大血管の拡張や解離などの心血管系合併症を伴います
- 肺高血圧症:進行例では二次性の肺高血圧症を合併することがあります
疾患特異的な症状
各疾患には特徴的な肺外症状があります:
- Birt-Hogg-Dubé症候群:顔面・頸部・上半身の線維毛包腫、腎腫瘍(特に嫌色素性腎細胞癌やオンコサイトーマ)
- 結節性硬化症:てんかん発作、知的障害、顔面血管線維腫、爪周囲線維腫、葉状白斑、腎血管筋脂肪腫、脳腫瘍(上衣下巨細胞性星細胞腫)
- 皮膚弛緩症:皮膚の著明な弛緩と弾力性低下、老人様顔貌、血管の蛇行・拡張、関節過可動性、骨粗鬆症
- α1アンチトリプシン欠損症:肝疾患(新生児肝炎、肝硬変、肝細胞癌)
ミネルバクリニックの嚢胞性肺疾患遺伝子パネル検査の特徴
「嚢胞性肺疾患 NGSパネル検査」とは、現在嚢胞性肺疾患の原因として報告されている8の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、嚢胞性肺疾患に関連する8遺伝子を一度に調べられる「嚢胞性肺疾患 NGSパネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関で嚢胞性肺疾患の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、嚢胞性肺疾患に関係するとされる8の遺伝子を一度に調べられる「嚢胞性肺疾患 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行える嚢胞性肺疾患の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「嚢胞性肺疾患 NGSパネル検査」の場合、8の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
臨床症状から嚢胞性肺疾患を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「嚢胞性肺疾患 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な8の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「嚢胞性肺疾患 NGSパネル検査」では、嚢胞性肺疾患に関係するとされる8種類の遺伝子(EFEMP2、ELN、FBLN5、FLCN、LTBP4、SERPINA1、TSC1、TSC2)をまとめて検査します。
「嚢胞性肺疾患 NGSパネル検査」は、嚢胞性肺疾患の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【嚢胞性肺疾患の個人歴または家族歴のある方】に
「嚢胞性肺疾患 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・反復性自然気胸の既往がある方
・胸部CT検査で多発性肺嚢胞が認められた方
・進行性の呼吸困難がある方
・原因不明の慢性咳嗽がある方
・若年性肺気腫が疑われる方
・顔面の線維毛包腫がある方(Birt-Hogg-Dubé症候群の疑い)
・てんかんや知的障害を伴う肺嚢胞がある方(結節性硬化症の疑い)
・皮膚の著明な弛緩がある方(皮膚弛緩症の疑い)
・嚢胞性肺疾患の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、嚢胞性肺疾患の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な呼吸管理、気胸の予防策、定期的なモニタリングを行うことができます。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・気胸のリスク評価と予防的対策の立案
・呼吸機能の定期的モニタリング計画の策定
・肺外合併症(腎腫瘍、皮膚病変、肝疾患など)のスクリーニング
・適切な生活指導(潜水、飛行機搭乗、激しい運動などの制限)
・気胸発症時の迅速な対応計画
・呼吸リハビリテーションの適応判断
・在宅酸素療法の導入時期の判断
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。
対象遺伝子
- 詳しくはこちら
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EFEMP2, ELN, FBLN5, FLCN, LTBP4, SERPINA1, TSC1, TSC2 ( 8遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・EFEMP2遺伝子(fibulin-4):
フィブリン4(fibulin-4)をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式の皮膚弛緩症1B型(ARCL1B)の原因遺伝子です。弾性線維の形成に重要な役割を果たし、変異により皮膚の弛緩、血管異常、肺気腫、骨折傾向などを引き起こします。
・ELN遺伝子:
エラスチン(elastin)をコードする遺伝子。弾性線維の主要構成成分であり、変異により常染色体優性遺伝形式の皮膚弛緩症や大動脈弁上狭窄症(Williams症候群)を引き起こします。肺気腫や気胸のリスクが高まります。
・FBLN5遺伝子(fibulin-5):
フィブリン5(fibulin-5)をコードする遺伝子。弾性線維の形成に関与し、変異により常染色体劣性(まれに優性)遺伝形式の皮膚弛緩症1A型(ARCL1A)を引き起こします。皮膚弛緩、血管異常、肺気腫を特徴とします。
・FLCN遺伝子:
フォリクリン(folliculin)をコードする遺伝子。Birt-Hogg-Dubé症候群の原因遺伝子で、常染色体優性遺伝形式をとります。腫瘍抑制遺伝子として機能し、変異により線維毛包腫、肺嚢胞、腎腫瘍を生じます。肺嚢胞は両側性で下肺野・縦隔側優位に分布し、気胸のリスクが非常に高いことが特徴です。
・LTBP4遺伝子:
潜在性TGF-β結合タンパク質4(latent TGF-β binding protein 4)をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式の皮膚弛緩症1C型(ARCL1C)の原因遺伝子です。TGF-βシグナル伝達に関与し、変異により皮膚弛緩、肺気腫、横隔膜ヘルニア、憩室症などを引き起こします。
・SERPINA1遺伝子:
α1アンチトリプシン(alpha-1 antitrypsin)をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式のα1アンチトリプシン欠損症の原因遺伝子です。プロテアーゼ阻害因子として機能し、変異により肺組織の破壊が進行し、若年性肺気腫(特に下葉優位)や肝疾患を引き起こします。喫煙により症状が著明に悪化します。
・TSC1遺伝子:
ハマルチン(hamartin)をコードする遺伝子。結節性硬化症の原因遺伝子の一つで、常染色体優性遺伝形式をとります。TSC2とともに細胞増殖を制御するmTOR経路を調節します。変異により全身の過誤腫、てんかん、知的障害、顔面血管線維腫、腎血管筋脂肪腫、肺リンパ脈管筋腫症(LAM)などを生じます。
・TSC2遺伝子:
チュベリン(tuberin)をコードする遺伝子。結節性硬化症の原因遺伝子の一つで、常染色体優性遺伝形式をとります。TSC1と複合体を形成してmTOR経路を制御します。TSC2変異はTSC1変異よりも症状が重い傾向があります。変異により全身の過誤腫、神経症状、腎病変、肺病変などを生じます。
カバレッジ
カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。
≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。
検査の限界
- 詳しくはこちら
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すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
※この検査パネルでは、8の原因遺伝子のみを対象としています。嚢胞性肺疾患の原因は多岐にわたり、他の遺伝子や非遺伝性の要因も関与することがあります。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
- どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
- 反復性自然気胸の既往がある方、胸部CT検査で多発性肺嚢胞が認められた方、原因不明の進行性呼吸困難がある方におすすめします。また、顔面の線維毛包腫、てんかんや知的障害を伴う場合、皮膚の著明な弛緩がある場合も、遺伝性嚢胞性肺疾患の可能性を考慮して検査をご検討ください。家族に同様の症状がある場合も重要な手がかりとなります。
- 検査はどのように行いますか?
- 血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
- 気胸を繰り返すのですが、この検査は必要ですか?
- 反復性自然気胸の約10%は遺伝性嚢胞性肺疾患が原因とされています。特に、若年での発症、家族歴がある場合、CTで多発性肺嚢胞が認められる場合は、遺伝子検査により原因が判明する可能性が高くなります。原因遺伝子が特定できれば、適切な管理方針の決定や家族のリスク評価に役立ちます。
- Birt-Hogg-Dubé症候群と診断されましたが、家族も検査を受ける必要がありますか?
- Birt-Hogg-Dubé症候群は常染色体優性遺伝疾患であり、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。また、ご両親や兄弟姉妹も変異を持っている可能性があります。早期診断により、気胸の予防的対策や腎腫瘍の定期的スクリーニングなど、適切な管理が可能になります。
- 結節性硬化症と言われましたが、肺の症状はまだありません。検査は必要ですか?
- 結節性硬化症患者の約30~40%、特に女性でリンパ脈管筋腫症(LAM)を合併する可能性があります。早期に遺伝子診断を行うことで、将来の肺病変のリスク評価や定期的なモニタリング計画を立てることができます。また、家族計画や遺伝カウンセリングにも重要な情報となります。
- 検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
- この検査パネルは主要な8つの原因遺伝子を対象としていますが、嚢胞性肺疾患の原因は他にも多数存在します。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と画像所見に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
- 保険は適用されますか?
- 当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
- 結果はどのように説明されますか?
- 検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
- 子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
- 遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝(Birt-Hogg-Dubé症候群、結節性硬化症など)の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝(α1アンチトリプシン欠損症、一部の皮膚弛緩症など)の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
- 嚢胞性肺疾患の治療はどのように行われますか?
- 治療は原因疾患や症状によって異なります。気胸に対しては胸腔ドレナージや外科的治療(胸腔鏡下手術など)、進行性呼吸不全に対しては在宅酸素療法や呼吸リハビリテーション、結節性硬化症ではmTOR阻害薬(エベロリムス)による薬物療法などが行われます。また、定期的な画像検査による経過観察、生活指導(禁煙、潜水や激しい運動の制限など)も重要です。
- 予後はどうですか?
- 予後は疾患の種類、重症度、合併症の有無によって大きく異なります。Birt-Hogg-Dubé症候群は適切な管理により比較的良好な予後が期待できますが、反復性気胸のリスクは高いです。結節性硬化症では神経症状の重症度が予後に大きく影響します。α1アンチトリプシン欠損症は喫煙により予後が著しく悪化するため、禁煙が極めて重要です。早期診断と適切な管理により、多くの患者さんで生活の質を維持できます。
- 他の医療機関での検査との違いは何ですか?
- 当院では臨床的に重要な8の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
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