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頭蓋骨縫合早期癒合症(狭頭症)NGS遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

頭蓋骨縫合早期癒合症(狭頭症)NGS遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

頭蓋骨縫合早期癒合症とは

頭蓋骨縫合早期癒合症(craniosynostosis)は、頭蓋骨の縫合が通常よりも早期に癒合してしまうことで、頭蓋骨の成長が妨げられ、頭蓋変形や頭蓋内圧亢進などを引き起こす先天性疾患です。「狭頭症」とも呼ばれます。

赤ちゃんの頭蓋骨は、脳の急速な成長に対応できるよう、複数の骨片に分かれています。これらの骨片のつなぎ目を「頭蓋縫合」といい、通常は2歳頃までの急激な脳の成長に伴って頭蓋が拡張します。しかし、この縫合が早期に癒合してしまうと、その部分では頭蓋骨の拡大が起こらず、頭蓋骨の形がいびつになります。また、脳が成長するスペースが不足することで、頭蓋内圧が上昇し、脳の発達に影響を与える可能性があります。

頭蓋骨縫合早期癒合症は、1/2,000~2,500出生に1人の割合で発生する比較的稀な疾患です。頭蓋のみに変形が見られる「非症候群性」が全体の約60%を占め、頭蓋以外(顔面や手足)の異常を伴う「症候群性」が約40%を占めます。早期癒合する縫合の位置や数によって、それぞれ特徴的な頭蓋形態を呈します。

症状と病態

頭蓋骨縫合早期癒合症の主な症状は、早期癒合する縫合の位置によって異なる特徴的な頭蓋変形です。縫合は癒合した部分に対して垂直方向の成長が制限されるため、他の方向に代償的に成長し、特有の頭蓋形態となります。

頭蓋変形のタイプ

  • 舟状頭蓋(長頭蓋):矢状縫合が早期癒合することで発症。頭が前後に長く、左右に狭い形状となります。最も頻度が高く、全体の約50%を占めます。
  • 三角頭蓋:前頭縫合(メトピック縫合)が早期癒合することで発症。額が三角形に尖った形状となります。2番目に多いタイプです。
  • 短頭蓋:両側の冠状縫合が早期癒合することで発症。頭が前後に短く、左右に広い形状となります。
  • 斜頭蓋:片側の冠状縫合または片側の人字縫合が早期癒合することで発症。頭が左右非対称となります。
  • 尖頭蓋(塔状頭蓋):複数の縫合が早期癒合することで発症。頭が縦に高く伸びた形状となります。
  • クローバーリーフ頭蓋:複数の縫合が早期癒合することで発症。頭がクローバーの葉のような形状となり、重症型です。

頭蓋内圧亢進の症状

小児では成長に伴って脳の容積が増大していきますが、頭蓋骨縫合早期癒合症では頭蓋が十分に拡張できず、頭蓋内圧が上昇することがあります。特に複数の縫合が癒合している場合や症候群性の場合に頭蓋内圧亢進のリスクが高くなります。

  • 大泉門の膨隆(柔らかい部分が盛り上がる)
  • 頭囲が小さい、または大泉門の早期閉鎖
  • 頭痛
  • 嘔吐
  • 視力低下、視神経乳頭浮腫
  • 易刺激性(機嫌が悪い)
  • 哺乳不良
  • 発達遅延
  • けいれん

発症時期と症状の特徴

症状は発症時期によって異なります。新生児期や乳児期では、著しい頭蓋変形や頭囲が小さいことが問題となり、乳幼児健診で発見されることが多いです。幼児期では、頭蓋変形のほかに発達障害が現れることがあります。幼児期後半以降に発症すると、頭蓋変形は目立たず、慢性の頭蓋内圧亢進による頭痛や発達障害が起こることがあります。

症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症

症候群性では、頭蓋変形に加えて、顔面の低形成、眼球突出、手足の異常(合指症、多指症など)、呼吸障害などを伴います。代表的な症候群には以下のようなものがあります:

  • クルーゾン症候群:頭蓋変形、眼球突出、上顎骨低形成(中顔面の後退)が特徴。手足の異常は伴いません。FGFR2遺伝子変異が原因です。
  • アペール症候群:頭蓋変形と合指症が特徴。上顎骨の低形成、高口蓋、口蓋裂などを合併し、発達遅延を伴うことが多い重症型です。FGFR2遺伝子変異が原因です。
  • ファイファー症候群:頭蓋変形と母指・母趾の変形が特徴。タイプにより重症度が異なり、水頭症を合併することがあります。FGFR1またはFGFR2遺伝子変異が原因です。
  • セーテル・コーツェン症候群:頭蓋変形、眼間開離(目が離れている)、眼瞼下垂、手指の異常が特徴。TWIST1またはFGFR2遺伝子変異が原因です。
  • ミュンケ症候群:冠状縫合早期癒合、難聴、手足の異常が特徴。FGFR3遺伝子変異が原因です。

合併症

頭蓋骨縫合早期癒合症では、以下のような合併症のリスクがあります:

  • 水頭症
  • 脳梁形成不全
  • キアリ奇形
  • けいれん
  • 視力障害
  • 呼吸障害(上気道狭窄)
  • 咬合不全
  • 発達遅延、学習障害

遺伝形式と原因遺伝子

頭蓋骨縫合早期癒合症の原因は、非症候群性と症候群性で異なります。

非症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症

頭蓋のみに変形が見られる非症候群性は、全体の約60%を占めます。原因の多くは不明で、特発性(遺伝との関連が薄い)であることがほとんどです。しかし、一部の症例では遺伝子変異が同定されており、常染色体優性遺伝形式をとることもあります。

症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症

症候群性は全体の約40%を占め、多くが常染色体優性遺伝形式をとります。線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)ファミリーの遺伝子変異が主な原因として同定されています。

主要な原因遺伝子

  • FGFR1, FGFR2, FGFR3遺伝子:線維芽細胞増殖因子受容体をコードする遺伝子。クルーゾン症候群、アペール症候群、ファイファー症候群、ミュンケ症候群などの原因となります。
  • TWIST1遺伝子:転写因子をコードする遺伝子。セーテル・コーツェン症候群の原因となります。
  • TCF12遺伝子:転写因子をコードする遺伝子。冠状縫合早期癒合症の原因となります。
  • ERF遺伝子:転写抑制因子をコードする遺伝子。非症候群性および症候群性の原因となります。
  • MSX2遺伝子:転写因子をコードする遺伝子。頭蓋骨形成に関与します。

その他、当検査パネルでは、ALX1、ALX4、BMP4、EFNB1、IHH、RUNX2、SKI、ZEB2、ZIC1など、頭蓋骨や顔面の発生・分化に関与する遺伝子を含む62遺伝子を対象としています。

ミネルバクリニックの頭蓋骨縫合早期癒合症遺伝子パネル検査の特徴

「頭蓋骨縫合早期癒合症 NGSパネル検査」とは、現在頭蓋骨縫合早期癒合症の原因として報告されている62の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、頭蓋骨縫合早期癒合症に関連する62遺伝子を一度に調べられる「頭蓋骨縫合早期癒合症 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で頭蓋骨縫合早期癒合症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、頭蓋骨縫合早期癒合症に関係するとされる62の遺伝子を一度に調べられる「頭蓋骨縫合早期癒合症 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える頭蓋骨縫合早期癒合症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「頭蓋骨縫合早期癒合症 NGSパネル検査」の場合、62の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から頭蓋骨縫合早期癒合症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「頭蓋骨縫合早期癒合症 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な62の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「頭蓋骨縫合早期癒合症 NGSパネル検査」では、頭蓋骨縫合早期癒合症に関係するとされる62種類の遺伝子(ABCC9、ALPL、ALX1、ALX4、BMP4、CCBE1、CD96、CDC45、CEP120、CHST3、COLEC11、CYP26B1、EFNB1、ERF、ESCO2、FAM20C、FBN1、FGF3、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FREM1、GLI3、GPC3、IFT122、IFT140、IFT43、IGF1R、IHH、IL11RA、IMPAD1、IRX5、JAG1、KAT6A、LMX1B、MASP1、MEGF8、MSX2、OSTM1、P4HB、PHEX、POR、RAB23、RECQL4、RUNX2、SCARF2、SEC24D、SH3PXD2B、SKI、SOX6、SPECC1L、STAT3、TCF12、TCOF1、TGFBR1、TGFBR2、TMCO1、TWIST1、WDR19、WDR35、ZEB2、ZIC1)をまとめて検査します。

「頭蓋骨縫合早期癒合症 NGSパネル検査」は、頭蓋骨縫合早期癒合症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【頭蓋骨縫合早期癒合症の個人歴または家族歴のある方】に
「頭蓋骨縫合早期癒合症 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・特徴的な頭蓋変形(舟状頭蓋、三角頭蓋、短頭蓋、斜頭蓋など)がある方
・頭囲が小さい、または大泉門が早期に閉鎖した方
・頭蓋内圧亢進の症状(大泉門の膨隆、嘔吐、視力低下など)がある方
・顔面の低形成、眼球突出がある方
・手足の異常(合指症、多指症など)を伴う方
・症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症(クルーゾン症候群、アペール症候群など)が疑われる方
・頭蓋骨縫合早期癒合症の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、頭蓋骨縫合早期癒合症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な手術時期の決定、頭蓋内圧のモニタリング、合併症の早期発見と治療を行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・非症候群性と症候群性の鑑別
・適切な手術時期と方法の決定
・頭蓋内圧亢進のリスク評価と管理
・水頭症、キアリ奇形などの合併症の早期発見
・視力障害、呼吸障害などのリスク評価
・発達遅延のリスク評価と早期介入
・疾患の予後予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ABCC9, ALPL, ALX1, ALX4, BMP4, CCBE1, CD96, CDC45, CEP120, CHST3, COLEC11, CYP26B1, EFNB1, ERF, ESCO2, FAM20C, FBN1, FGF3, FGFR1, FGFR2, FGFR3, FREM1, GLI3, GPC3, IFT122, IFT140, IFT43, IGF1R, IHH, IL11RA, IMPAD1, IRX5, JAG1, KAT6A, LMX1B, MASP1, MEGF8, MSX2, OSTM1, P4HB, PHEX, POR, RAB23, RECQL4, RUNX2, SCARF2, SEC24D, SH3PXD2B, SKI, SOX6, SPECC1L, STAT3, TCF12, TCOF1, TGFBR1, TGFBR2, TMCO1, TWIST1, WDR19, WDR35, ZEB2, ZIC1 ( 62遺伝子 )

主要な遺伝子の詳細:

・FGFR1遺伝子:
線維芽細胞増殖因子受容体1をコードする遺伝子。ファイファー症候群、Jackson-Weiss症候群の原因となります。骨・軟骨の発生に重要な役割を果たします。

・FGFR2遺伝子:
線維芽細胞増殖因子受容体2をコードする遺伝子。クルーゾン症候群、アペール症候群、ファイファー症候群、Jackson-Weiss症候群、Beare-Stevenson症候群の原因となります。最も頻度の高い原因遺伝子の一つです。

・FGFR3遺伝子:
線維芽細胞増殖因子受容体3をコードする遺伝子。ミュンケ症候群の原因となります。Pro250Arg変異が最も多く、難聴を伴うことが特徴です。

・TWIST1遺伝子:
塩基性ヘリックス・ループ・ヘリックス(bHLH)転写因子をコードする遺伝子。セーテル・コーツェン症候群の原因となります。頭蓋神経堤細胞の発生に重要な役割を果たします。

・TCF12遺伝子:
転写因子12をコードする遺伝子。冠状縫合早期癒合症の原因となります。神経系と骨格系の発生に関与します。

・ERF遺伝子:
ETS2抑制因子をコードする遺伝子。ERF関連頭蓋縫合早期癒合症の原因となります。非症候群性および症候群性の両方に関連します。

・MSX2遺伝子:
ホメオボックス転写因子をコードする遺伝子。頭蓋骨の発生と骨化に重要な役割を果たします。

・ALX1遺伝子:
ホメオボックス転写因子をコードする遺伝子。前頭鼻形成不全症候群の原因となります。

・ALX4遺伝子:
ホメオボックス転写因子をコードする遺伝子。頭蓋変形に関与します。

・EFNB1遺伝子:
エフリンB1をコードする遺伝子。X連鎖遺伝形式で、頭蓋前鼻骨異形成症の原因となります。

・IHH遺伝子:
インディアンヘッジホッグをコードする遺伝子。軟骨・骨の発生に関与します。

・RUNX2遺伝子:
ランクス関連転写因子2をコードする遺伝子。鎖骨頭蓋異形成症の原因となります。骨芽細胞の分化に必須の転写因子です。
※IL11RAおよびRUNX2遺伝子については、現在の検査方法ではリピート伸長の評価は行いません。

・SKI遺伝子:
Skiがん遺伝子をコードする遺伝子。シュプリンツェン・ゴールドバーグ症候群に関連します。

・ZEB2遺伝子:
ジンクフィンガーE-box結合ホメオボックス2をコードする遺伝子。Mowat-Wilson症候群の原因となります。

・ZIC1遺伝子:
ジンクフィンガー転写因子をコードする遺伝子。頭蓋変形、前頭縫合早期癒合に関与します。

その他、ALPL、BMP4、CCBE1、CDC45、CEP120、CHST3、COLEC11、CYP26B1、ESCO2、FAM20C、FBN1、FGF3、FREM1、GLI3、GPC3、IFT122、IFT140、IFT43、IGF1R、IMPAD1、IRX5、JAG1、KAT6A、LMX1B、MASP1、MEGF8、OSTM1、P4HB、PHEX、POR、RAB23、RECQL4、SCARF2、SEC24D、SH3PXD2B、SOX6、SPECC1L、STAT3、TCOF1、TGFBR1、TGFBR2、TMCO1、WDR19、WDR35など、頭蓋骨・顔面の発生、骨化、軟骨形成、細胞分化などに関与する遺伝子が含まれます。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

遺伝子特有の注意事項:
・IL11RA遺伝子:現在の検査方法では、この遺伝子のリピート伸長の評価は行いません。
・RUNX2遺伝子:現在の検査方法では、この遺伝子の三塩基リピート伸長の評価は行いません。

※この検査パネルでは、62の原因遺伝子のみを対象としています。頭蓋骨縫合早期癒合症の約60~80%は非症候群性で原因不明であり、検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床診断が最も重要です。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
特徴的な頭蓋変形(舟状頭蓋、三角頭蓋、短頭蓋、斜頭蓋など)がある方、頭囲が小さい方、大泉門が早期に閉鎖した方、頭蓋内圧亢進の症状(大泉門の膨隆、頭痛、嘔吐、視力低下など)がある方におすすめします。また、顔面の低形成、眼球突出、手足の異常を伴う症候群性が疑われる方や、家族に頭蓋骨縫合早期癒合症の方がいる場合も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
非症候群性と症候群性の違いは何ですか?
非症候群性は頭蓋のみに変形が見られるタイプで、全体の約60%を占めます。原因の多くは不明です。症候群性は頭蓋変形に加えて、顔面の低形成、手足の異常などを伴うタイプで、約40%を占めます。症候群性では遺伝子変異が同定されることが多く、FGFR1、FGFR2、FGFR3、TWIST1などの遺伝子変異が原因となります。当検査により原因遺伝子を特定することで、より正確な診断と管理が可能になります。
赤ちゃんの頭の形が気になりますが、寝ぐせとの違いは?
頭蓋骨縫合早期癒合症は特徴的な頭蓋変形を示しますが、寝ぐせ(位置的頭蓋変形)と区別が困難な場合があります。寝ぐせの場合は向き癖の反対側が平らになり、頭蓋縫合の隆起はありません。頭蓋骨縫合早期癒合症では、癒合した縫合部に隆起(ridge)が触れることがあります。鑑別にはレントゲンや3D-CTが有効です。気になる場合は早めに専門医を受診してください。
治療はどのように行われますか?
頭蓋骨縫合早期癒合症の治療は手術が主体です。手術の目的は、頭蓋内容積を拡大することによる脳の発達障害の予防と、頭蓋変形の改善です。脳の発達障害を予防するためには、1歳前に手術を受けることが望ましいとされています。単一縫合の早期癒合では、ほとんどの場合1回の手術で良好な結果が得られますが、複数の縫合の早期癒合では、2~3回の手術が必要となる場合があります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症の多くは常染色体優性遺伝形式をとり、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。非症候群性の多くは孤発例(遺伝との関連が薄い)ですが、一部の症例では家族性に発症することもあります。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
非症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症の約60~80%は原因不明です。検査で病原性変異が検出されなくても、臨床的に頭蓋骨縫合早期癒合症と診断されている場合は、適切な治療と管理が必要です。臨床症状と画像検査に基づいた診断が最も重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症の多くは常染色体優性遺伝形式をとり、子どもが発症する確率は50%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
予後はどうですか?
単一縫合の非症候群性頭蓋骨縫合早期癒合症で適切な時期に手術を受けた場合、予後は一般的に良好です。症候群性の場合は、合併症の種類や重症度によって予後が異なります。頭蓋内圧亢進を放置すると、IQの低下など脳の機能障害を起こす可能性があるため、早期発見・早期治療が重要です。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な62の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら