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カテコラミン誘発性多形性心室頻拍(CPVT)遺伝子検査|ミネルバクリニック

カテコラミン誘発性多形性心室頻拍(CPVT)遺伝子検査|ミネルバクリニック

カテコラミン誘発性多形性心室頻拍(CPVT)とは

カテコラミン誘発性多形性心室頻拍(CPVT)は、運動や感情的ストレスによって誘発される遺伝性不整脈疾患です。この疾患では、心臓の電気的安定性が損なわれ、アドレナリンなどのカテコラミンの放出により危険な不整脈が引き起こされます。

CPVTは、主に筋小胞体におけるカルシウム調節に関わる遺伝子の変異により発症します。心筋細胞内でのカルシウム制御が異常になることで、特に運動中や興奮時に二方向性心室頻拍や多形性心室頻拍が出現し、心室細動に移行して突然死を引き起こす可能性があります。症状は通常小児期に始まり、早期診断により適切な治療や予防策を講じることが重要です。

CPVTは若年者における運動中の突然死の重要な原因の一つとして知られています。安静時の心電図は正常であることが多いため、運動負荷試験や遺伝学的検査が診断に不可欠です。適切な遺伝学的検査により原因を特定することで、患者さんとご家族にとって重要な医学的情報を提供し、リスク管理に役立てることができます。

症状と病態

CPVTの症状には、運動時や興奮時の動悸、立ちくらみ、めまい、失神(気絶)があります。重症例では心停止や突然死のリスクもあります。症状の多くは運動中または感情的ストレス時に現れます。

カテコラミン誘発性多形性心室頻拍に関連する主な病態には以下があります:

  • 運動時や興奮時の二方向性心室頻拍
  • 多形性心室頻拍から心室細動への進展
  • 心筋細胞内カルシウム制御の異常
  • 遅延後脱分極の発生
  • 運動や情動ストレスによる症状の誘発
  • 突然心臓死のリスク(未治療の場合約30%が心停止を経験)

CPVTは通常7~12歳で最初の症状が現れますが、40歳までに初めて症状が出る例も報告されています。安静時の心電図は正常であることが多く、約20%の患者さんで軽度の徐脈が見られる程度です。運動負荷試験では心拍数の上昇に伴い、心室性期外収縮が増加し、二方向性や多形性心室頻拍へと進展する特徴的なパターンが観察されます。家族歴がある場合や、原因不明の運動中の失神、若年での突然死の家族歴がある場合は、遺伝的要因を強く疑う必要があります。

ミネルバクリニックのカテコラミン誘発性多形性心室頻拍遺伝子パネル検査の特徴

「カテコラミン誘発性多形性心室頻拍遺伝子パネル検査」とは、現在遺伝性CPVTに関係があると報告されている9つの遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、遺伝性CPVTに関連する遺伝子を一度に調べられる「カテコラミン誘発性多形性心室頻拍遺伝子パネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で遺伝性CPVTの遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、遺伝性CPVTに関係するとされる9つの遺伝子を一度に調べられる「カテコラミン誘発性多形性心室頻拍遺伝子パネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える遺伝性CPVTの遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「カテコラミン誘発性多形性心室頻拍遺伝子パネル検査」の場合、遺伝性CPVTに関係する9つの遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

家族歴や症状から特定の遺伝性不整脈を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「カテコラミン誘発性多形性心室頻拍遺伝子パネル検査」ならば、現在遺伝性CPVTに関係すると報告されている9つの遺伝子を網羅的に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「カテコラミン誘発性多形性心室頻拍遺伝子パネル検査」では、遺伝性CPVTに関係するとされる9種類の遺伝子をまとめて検査します。このパネルでは、心筋細胞内のカルシウム制御に関わる遺伝子を中心に、CPVTに関連する遺伝子を評価できます。

「カテコラミン誘発性多形性心室頻拍遺伝子パネル検査」は、遺伝性CPVTの遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を最大限に高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【遺伝性CPVTの個人歴または家族歴のある方】に
「カテコラミン誘発性多形性心室頻拍遺伝子パネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・運動中または興奮時に失神の既往がある方
・運動中または感情的ストレス時の動悸やめまいがある方
・運動負荷試験で二方向性または多形性心室頻拍が誘発される方
・原因不明の心室不整脈がある方
・小児期からの失神や発作の既往がある方
・CPVTと診断された方、またはその疑いがある方
・運動中の突然死や若年での心臓性突然死の家族歴がある方
・原因不明の心停止から蘇生された方
・スポーツ選手で運動時の心臓関連症状がある方
・将来子どもを持つことを考えている方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、CPVTの診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、予防的治療や生活習慣の改善、定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・生活習慣の改善指導(特に激しい競技スポーツや高強度運動の制限)
・ベータ遮断薬による予防的治療
・カルシウムチャネル拮抗薬の使用
・フレカイニドなどの抗不整脈薬治療
・植込み型除細動器(ICD)の適応判断
・左心交感神経切除術(sympathectomy)の適応判断
・定期的なモニタリングと早期介入
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、近親者(両親・兄弟姉妹・子ども)のリスクも50%と高くなります。CPVTは小児期から症状が現れる疾患であるため、小児期からのスクリーニングが推奨される場合もあります。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ANK2, CALM1, CALM2, CALM3, CASQ2, KCNJ2, KCNQ1, RYR2, TRDN ( 9遺伝子 )

※RYR2遺伝子の変異がCPVT症例の約50~60%を占め、CASQ2遺伝子の変異は劣性遺伝形式のCPVTの原因となります。その他のカルモジュリン関連遺伝子(CALM1、CALM2、CALM3)やトリアジン遺伝子(TRDN)も重要な役割を果たします。

カバレッジ

カバレッジについての説明は別ページをご覧ください。
≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

なお、CPVTと診断された患者さんの約25%では、既知の遺伝子に病原性変異が同定されません。この場合でも臨床的にCPVTと診断される可能性があり、適切な治療と管理が必要です。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
運動中や感情的ストレス時の失神、めまい、立ちくらみ、動悸などの症状がある方におすすめします。特に小児期から思春期にこれらの症状が現れた場合や、運動中の突然死や原因不明の失神の家族歴がある場合は検査をご検討ください。症状がなくても家族にCPVTの方がいる場合は、早期の検査が重要です。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
家族も検査を受ける必要がありますか?
患者さんで病原性変異が見つかった場合、近親者(両親・兄弟姉妹・子ども)のリスクは50%になります。CPVTは小児期から症状が現れ、突然心臓死のリスクがある疾患のため、無症状の家族成員も含めて小児期からのスクリーニングが推奨されます。ご家族の検査により、そのリスクを明らかにし、一次予防を行うことが重要です。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
検査で病原性変異が検出されなくても、臨床的にCPVTと診断される場合があります(約25%の患者さんで既知遺伝子に変異が見つかりません)。症状がある場合は、運動負荷試験などの臨床検査結果に基づいて、主治医と相談して引き続き適切な治療や経過観察を受けることが重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、予防策、治療選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝性CPVTは50%の確率で親から子に受け継がれる可能性があります(RYR2変異の場合は常染色体優性遺伝)。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
RYR2遺伝子とは何ですか?
RYR2遺伝子はリアノジン受容体2型をコードする遺伝子で、心筋細胞の筋小胞体におけるカルシウム放出を制御しています。この遺伝子の変異はCPVT症例の約50~60%を占め、最も頻度の高い原因遺伝子です。RYR2変異により心筋細胞内のカルシウム制御が異常になり、運動時や興奮時に不整脈が誘発されます。
運動制限は必要ですか?
CPVTと診断された場合、または遺伝子変異が見つかった場合は、激しい競技スポーツや高強度の運動を制限することが強く推奨されます。運動が不整脈を誘発し、突然死のリスクを高める可能性があるため、主治医と相談して個々の状況に応じた適切な運動レベルを決定することが重要です。カフェインの摂取制限も推奨される場合があります。
ベータ遮断薬とはどのような薬ですか?
ベータ遮断薬は、アドレナリンの作用を抑制することで心拍数を下げ、不整脈の発生を予防する薬剤です。CPVTの治療において最も重要な薬物療法で、症状の軽減や突然死の予防に効果があります。症例によってはカルシウムチャネル拮抗薬やフレカイニドなどの抗不整脈薬が追加されることもあります。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では9遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を大幅に短縮できます。RYR2やCASQ2などの主要な遺伝子を含む包括的な検査により、CPVTの遺伝的原因を見つける可能性を最大限に高めます。また、オンライン診療にも対応しており、遠方の方でも受診しやすい体制を整えています。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら