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コルネリア・デランゲ症候群NGS遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック

コルネリア・デランゲ症候群NGS遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック

コルネリア・デランゲ症候群とは

コルネリア・デランゲ症候群(Cornelia de Lange Syndrome: CdLS)は、特徴的な顔貌、成長障害、知的障害、四肢の異常を主徴とする先天異常症候群です。1933年にオランダの小児科医コルネリア・カタリーナ・デ・ランゲによって報告されたことから、この名称がつけられました。

本疾患の発症頻度は出生1万人から3万人に1人と推定されており、日本では推計で約4,000人の患者さんがいるとされています。軽度の症例では診断がつかないこともあり、実際にはこれより多い可能性があります。

コルネリア・デランゲ症候群は小児慢性特定疾病および指定難病(先天異常症候群:指定難病310)に認定されており、適切な遺伝学的検査により原因を特定することで、患者さんとご家族にとって重要な医学的情報を提供できます。早期診断により、合併症のリスク管理や適切な支援体制の構築が可能となります。

症状と病態

コルネリア・デランゲ症候群は、軽度から重度まで症状の幅が非常に広い疾患です。重症(古典的)CdLSでは、出生前から続く著しい成長障害、特徴的な顔貌、多毛症、上肢の減形成(乏指症)などが認められます。軽度の場合は、特徴的な顔貌は見られるものの、成長や認知機能、四肢への影響はそれほど深刻ではありません。

特徴的な顔貌

  • 濃い眉毛、両側眉毛癒合(眉毛がつながっている)
  • 長くカールした睫毛
  • 短い鼻梁、上向きの鼻孔
  • 薄い上口唇
  • 長い人中(鼻と上唇の間の溝)
  • 下向きの口角
  • 小顎症
  • 小頭症
  • 低位の耳
  • 歯間空隙の拡大した小さい歯

成長と発達

ほとんどの症例で出生前から成長障害が認められ、生後6か月までに低身長が際立ってきます。生涯を通じて身長・体重が同年齢の5パーセンタイル未満となることが多く、コルネリア・デランゲ症候群専用の成長曲線が作成されています。

知的障害は軽度から重度まで幅広く(IQ:30未満~102、平均53)、個人差が大きい特徴があります。ほとんどの症例で中等度から重度の知的障害が認められ、発達遅滞、特に発話の遅れが顕著です。5歳時点で38%の児が話し始めるとする報告もあります。

行動と認知の特徴

  • 自閉症的傾向
  • 自己破壊的行動
  • 社交不安
  • コミュニケーション能力の制限
  • 注意欠陥多動性障害(ADHD)様の症状

四肢の異常

四肢の異常は、重度の減形成から軽度の指節骨異常まで多岐にわたります:

  • 上肢の形成不全(前腕の完全欠如を含む重度の減形成)
  • 乏指症(指の欠損)、少指症
  • 小さな手(小肢症)
  • 第5指彎指症(小指の湾曲)
  • 短い第1中手骨による母指の近位位置異常
  • 合趾症(足の指がつながっている状態)

その他の身体的特徴

  • 多毛症(濃い頭髪が側頭部、顔、耳、背中、腕に広がる)
  • 哺乳困難、摂食障害(胃食道逆流を伴うことが多い)
  • 難聴(両側性感音難聴、滲出性中耳炎による伝音性難聴)
  • 眼科的異常(屈折異常、特に近視、鼻涙管閉塞、白内障、斜視)
  • 先天性心疾患(心中隔欠損症など)
  • 胃腸機能障害(胃食道逆流、口蓋裂)
  • 泌尿生殖器異常(停留精巣、性器発育不全)
  • 側弯症
  • 呼吸器感染症のリスク増加
  • 先天性腎疾患(尿路感染症を繰り返す)

遺伝形式と原因遺伝子

コルネリア・デランゲ症候群の約60%は、5番染色体短腕(5p13)に存在するNIPBL遺伝子の変異によって引き起こされます。その他、SMC1A、HDAC8、RAD21、SMC3、BRD4遺伝子の変異も原因となります。

NIPBL、RAD21、SMC3遺伝子の変異は常染色体優性遺伝形式をとり、SMC1A、HDAC8遺伝子の変異はX連鎖遺伝形式をとります。ただし、ほとんどの症例は新生突然変異(de novo変異)であり、家族歴のない孤発例です。体細胞モザイクの頻度も高いことが知られています。

ミネルバクリニックのコルネリア・デランゲ症候群遺伝子パネル検査の特徴

「コルネリア・デランゲ症候群NGSパネル検査」とは、現在コルネリア・デランゲ症候群の原因として報告されている5つの遺伝子(HDAC8、NIPBL、RAD21、SMC1A、SMC3)に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、コルネリア・デランゲ症候群に関連する遺伝子を一度に調べられる「コルネリア・デランゲ症候群NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関でコルネリア・デランゲ症候群の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、コルネリア・デランゲ症候群に関係するとされる5つの遺伝子を一度に調べられる「コルネリア・デランゲ症候群NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行えるコルネリア・デランゲ症候群の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「コルネリア・デランゲ症候群NGSパネル検査」の場合、5つの関連遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状からコルネリア・デランゲ症候群を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「コルネリア・デランゲ症候群NGSパネル検査」ならば、主要な5つの原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。体細胞モザイクの検出にも優れた次世代シーケンシング(NGS)を用いるため、より正確な診断が期待できます。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「コルネリア・デランゲ症候群NGSパネル検査」では、コルネリア・デランゲ症候群に関係するとされる5種類の遺伝子(HDAC8、NIPBL、RAD21、SMC1A、SMC3)をまとめて検査します。これらはコルネリア・デランゲ症候群の原因遺伝子として最も重要な遺伝子群です。

「コルネリア・デランゲ症候群NGSパネル検査」は、コルネリア・デランゲ症候群の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【コルネリア・デランゲ症候群の個人歴または家族歴のある方】に
「コルネリア・デランゲ症候群NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・特徴的な顔貌(濃い眉毛、眉毛癒合、長い睫毛、上向きの鼻孔など)がある方
・出生前から続く成長障害がある方
・知的障害や発達遅滞がある方
・四肢の異常(上肢の形成不全、乏指症、小さな手など)がある方
・多毛症が認められる方
・哺乳困難や摂食障害がある方
・自閉症的傾向や自己破壊的行動がある方
・先天性心疾患や胃腸機能障害などの合併症がある方
・コルネリア・デランゲ症候群の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。体細胞モザイクの検出にも対応しており、未培養の線維芽細胞、口腔細胞、膀胱上皮細胞での検査も可能です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、コルネリア・デランゲ症候群の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、合併症の早期発見と予防的管理、定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・合併症(心疾患、消化器疾患、難聴、視力障害など)のリスク評価
・発達支援や療育の最適化
・自閉症的行動や自己破壊的行動への対応
・摂食障害や胃食道逆流の管理
・てんかん発作のモニタリングと治療
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、ほとんどは新生突然変異(de novo変異)ですが、まれに家族性の場合もあります。X連鎖遺伝形式の場合、母親が保因者であれば50%の確率でお子さんに変異が伝わります。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

HDAC8, NIPBL, RAD21, SMC1A, SMC3 ( 5遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・NIPBL遺伝子:
最も頻度が高く、コルネリア・デランゲ症候群の約60%を占める原因遺伝子。コヒーシン複合体の調節タンパク質をコードし、この遺伝子の変異により染色体の構造・組織化、遺伝子発現の調節が障害される。重度の症状を呈することが多い。

・SMC1A遺伝子:
X連鎖遺伝形式をとる原因遺伝子。コヒーシン複合体の構造タンパク質をコードし、約5%の症例で変異が見られる。NIPBL遺伝子変異と比較して、やや軽度の症状を呈することが多い。女性では2つのX染色体のうち1つのみに変異があるため、症状の程度が様々。

・HDAC8遺伝子:
X連鎖遺伝形式をとる原因遺伝子。SMC3の脱アセチル化酵素をコードし、約4~6%の症例で変異が見られる。NIPBL遺伝子変異と同様に重度の知的障害を呈することがあるが、大泉門の閉鎖遅延、両眼開離、歯科的異常などやや異なる特徴を示す。

・RAD21遺伝子:
コヒーシン複合体の構造タンパク質をコードする原因遺伝子。比較的まれで、NIPBL遺伝子変異と比較して軽度の症状を呈することが多い。

・SMC3遺伝子:
コヒーシン複合体の構造タンパク質をコードする原因遺伝子。比較的まれで、NIPBL遺伝子変異と比較して軽度の症状を呈することが多い。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※体細胞モザイク検出のため、未培養線維芽細胞、口腔細胞、膀胱上皮細胞での検査も可能です。

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。

※この検査パネルでは、HDAC8、NIPBL、RAD21、SMC1A、SMC3の5遺伝子を対象としています。BRD4遺伝子など他の原因遺伝子の検査が必要な場合は、別途ご相談ください。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
特徴的な顔貌(濃い眉毛、眉毛癒合、長い睫毛、上向きの鼻孔、薄い上口唇など)がある方、出生前から続く成長障害がある方、知的障害や発達遅滞がある方、四肢の異常(上肢の形成不全、小さな手など)がある方におすすめします。また、コルネリア・デランゲ症候群の家族歴がある場合も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。体細胞モザイクの検出が必要な場合は、線維芽細胞などでの検査も可能です。
家族も検査を受ける必要がありますか?
コルネリア・デランゲ症候群のほとんどは新生突然変異(de novo変異)で、家族歴のない孤発例です。ただし、X連鎖遺伝形式(SMC1A、HDAC8遺伝子変異)の場合、母親が保因者であれば50%の確率でお子さんに変異が伝わります。まれに常染色体優性遺伝形式(NIPBL、RAD21、SMC3遺伝子変異)の家族性症例もあります。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
この検査では主要な5つの遺伝子(HDAC8、NIPBL、RAD21、SMC1A、SMC3)を対象としています。検査で病原性変異が検出されなくても、BRD4遺伝子など他の原因遺伝子の可能性や、検出が困難な変異の可能性があります。主治医と相談して、必要に応じて追加の遺伝子検査や臨床評価を受けることが重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。ただし、診断確定後は小児慢性特定疾病や指定難病制度により医療費助成を受けられる可能性があります。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、合併症のリスク管理などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
ほとんどの症例は新生突然変異で孤発例ですが、まれに家族性の場合があります。X連鎖遺伝形式の場合、保因者の母親から50%の確率でお子さんに変異が伝わります。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
コルネリア・デランゲ症候群の治療はどのように行われますか?
根本的な治療法はまだありませんが、症状に応じた対症療法が行われます。成長ホルモン療法、摂食支援(経管栄養など)、胃食道逆流の治療、心疾患の管理、難聴や視力障害への対応、整形外科的介入、てんかんの薬物療法、発達支援、行動療法などを総合的に行います。早期からの多職種による包括的なケアが重要です。
予後はどうですか?
重症度により予後は様々です。重度の心疾患や消化器疾患がある場合は生命予後に影響しますが、適切な管理により多くの患者さんが成人期に達します。知的障害の程度、合併症の有無、早期からの適切な介入とサポートが生活の質と予後に大きく影響します。定期的なモニタリングと多職種による包括的なケアが必要です。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では主要な5つの原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。体細胞モザイクの検出にも対応した次世代シーケンシング(NGS)を用いており、より正確な診断が期待できます。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも検査を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

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