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角膜ジストロフィー遺伝子検査(NGSパネル)|ミネルバクリニック

角膜ジストロフィー遺伝子検査(NGSパネル)|ミネルバクリニック

角膜ジストロフィーとは

角膜ジストロフィー(Corneal Dystrophy)は、遺伝子の異常によって角膜に異常な物質が沈着し、角膜が白濁する非炎症性の遺伝性疾患です。角膜は目の最も前面にある透明な組織で、光を網膜に届ける重要な役割を担っています。角膜ジストロフィーでは、この透明であるべき角膜に混濁が生じることで、視力障害をはじめとするさまざまな症状を引き起こします。

本疾患は病変が発生する角膜の層によって、上皮性角膜ジストロフィー、実質性角膜ジストロフィー、内皮性角膜ジストロフィーの3つに大別されます。また、混濁の形態や原因遺伝子によってさらに細かく分類されており、近年の遺伝子解析の進歩により、遺伝子情報に基づく新たな分類も採用されています。

角膜ジストロフィーの特徴は、ほとんどの場合で両眼に発症すること、左右対称的に病変が現れること、そして進行性であることです。発症年齢や症状の程度は疾患のタイプによって異なりますが、多くは思春期から成人期にかけて症状が顕在化します。遺伝性疾患であるため、家族内や親族内に同じ病気の方が存在することも少なくありません。

症状と病態

角膜ジストロフィーの症状は、病変が発生する角膜の層や混濁の程度によって大きく異なります。軽度の場合は無症状で、眼科検診で偶然発見されることもありますが、進行すると日常生活に支障をきたす視力障害を引き起こします。

主要症状

  • 視力低下(角膜混濁による光の透過障害)
  • 羞明(まぶしさ)
  • 眼痛(角膜上皮障害を伴う場合)
  • 異物感・刺激症状
  • 流涙(涙が止まらない)
  • 角膜上皮びらんの繰り返し
  • 角膜の白濁・混濁

角膜の層による分類と特徴

上皮性角膜ジストロフィー

角膜の最も表層にある上皮層に病変が生じるタイプです。再発性角膜上皮びらんを繰り返すことが特徴で、特に起床時に突然の激しい眼痛、充血、流涙を自覚することがあります。上皮基底膜ジストロフィー、マイボーム腺ジストロフィー、ライス・ビュックラーズ角膜ジストロフィーなどが含まれます。

実質性角膜ジストロフィー

角膜の中間層である実質層に異常物質が沈着するタイプで、角膜ジストロフィーの中で最も種類が多く、代表的なものには以下があります:

  • 顆粒状角膜ジストロフィー:角膜中央部に白色顆粒状の混濁が現れます。TGFBI遺伝子変異が原因で、常染色体優性遺伝形式をとります
  • 格子状角膜ジストロフィー:角膜実質に格子状の線状混濁が生じます。アミロイド沈着が原因で、TGFBI遺伝子変異により発症します
  • 斑状角膜ジストロフィー:角膜全体に斑状の混濁が現れ、早期から視力障害が強い傾向があります
  • 膠様滴状角膜ジストロフィー:角膜実質にアミロイドが沈着し、膠様滴状の隆起物が特徴的です。TACSTD2遺伝子変異が原因で、日本では指定難病に指定されています

内皮性角膜ジストロフィー

角膜の最も内側にある内皮層に病変が生じるタイプです。フックス角膜内皮ジストロフィーが代表的で、角膜内皮細胞の機能不全により角膜浮腫を引き起こし、視力低下、眼痛、異物感などの症状が現れます。進行すると水疱性角膜症に至ることもあります。

進行と予後

角膜ジストロフィーは多くが進行性であり、最初は角膜の小さな白濁点から始まり、徐々に混濁の範囲が拡大します。進行速度は疾患のタイプや個人によって異なりますが、数年から数十年かけて緩徐に進行することが一般的です。視力への影響が強い場合は、角膜移植やレーザー治療などの外科的介入が必要になることがあります。

遺伝形式と原因遺伝子

角膜ジストロフィーは遺伝性疾患であり、原因となる遺伝子はさまざまです。遺伝形式も常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝があり、疾患のタイプによって異なります。現在までに多数の原因遺伝子が同定されており、遺伝子情報に基づいた診断が可能になっています。

主な原因遺伝子と疾患

  • TGFBI遺伝子:顆粒状角膜ジストロフィー、格子状角膜ジストロフィー、アベリノ角膜ジストロフィーなど、多くの実質性角膜ジストロフィーの原因遺伝子です。常染色体優性遺伝形式をとります
  • TACSTD2遺伝子:膠様滴状角膜ジストロフィーの原因遺伝子で、常染色体劣性遺伝形式をとります
  • CHST6遺伝子:斑状角膜ジストロフィーの原因遺伝子で、常染色体劣性遺伝形式をとります
  • SLC4A11遺伝子:先天性遺伝性角膜内皮ジストロフィーの原因遺伝子の一つです
  • COL8A2遺伝子:後部多形性角膜ジストロフィーやフックス角膜内皮ジストロフィーに関与します
  • KRT3、KRT12遺伝子:マイボーム腺ジストロフィーの原因遺伝子です
  • TCF4遺伝子:フックス角膜内皮ジストロフィーに関与します

遺伝形式の特徴

常染色体優性(顕性)遺伝

親のどちらか一方が病的変異を持っている場合、子どもに遺伝する確率は50%です。TGFBI遺伝子変異による顆粒状角膜ジストロフィーや格子状角膜ジストロフィーなど、多くの角膜ジストロフィーがこの遺伝形式をとります。

常染色体劣性(潜性)遺伝

両親がともに保因者(キャリア)の場合、子どもが発症する確率は25%、保因者となる確率は50%です。膠様滴状角膜ジストロフィー(TACSTD2遺伝子)や斑状角膜ジストロフィー(CHST6遺伝子)などがこの遺伝形式をとります。

当検査パネルでは、これらの原因遺伝子を含む24遺伝子を対象としています。これにより、角膜ジストロフィーの主要な原因を効率的にスクリーニングし、正確な診断と適切な遺伝カウンセリングを提供することが可能です。

ミネルバクリニックの角膜ジストロフィー遺伝子パネル検査の特徴

「角膜ジストロフィー NGSパネル検査」とは、現在角膜ジストロフィーの原因として報告されている24の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、角膜ジストロフィーに関連する24遺伝子を一度に調べられる「角膜ジストロフィー NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で角膜ジストロフィーの遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、角膜ジストロフィーに関係するとされる24の遺伝子を一度に調べられる「角膜ジストロフィー NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える角膜ジストロフィーの遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「角膜ジストロフィー NGSパネル検査」の場合、24の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から角膜ジストロフィーを疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「角膜ジストロフィー NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な24の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「角膜ジストロフィー NGSパネル検査」では、角膜ジストロフィーに関係するとされる24種類の遺伝子(AGBL1、CHST6、COL17A1、COL8A2、CYP4V2、DCN、GSN、KERA、KRT12、KRT3、LCAT、OVOL2、PAX6、PIKFYVE、PITX2、PRDM5、SLC4A11、TACSTD2、TCF4、TGFBI、UBIAD1、VSX1、ZEB1、ZNF469)をまとめて検査します。

「角膜ジストロフィー NGSパネル検査」は、角膜ジストロフィーの遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【角膜ジストロフィーの個人歴または家族歴のある方】に
「角膜ジストロフィー NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・角膜に混濁・白濁が認められる方
・両眼に対称的な角膜病変がある方
・視力低下が進行している方
・羞明(まぶしさ)を感じる方
・眼痛や異物感がある方
・再発性角膜上皮びらんを繰り返す方
・起床時に突然の激しい眼痛を経験する方
・角膜ジストロフィーの家族歴がある方
・眼科検診で角膜に異常を指摘された方
・角膜移植を検討している、または既に受けられた方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、角膜ジストロフィーの診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な経過観察、治療介入のタイミング、生活上の注意点などを明確にすることができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・疾患の亜型の特定
・予後の予測と長期的な管理計画の立案
・角膜移植やレーザー治療の適応判断
・再発性角膜上皮びらんのリスク評価
・他の眼疾患との鑑別
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は両親がともに保因者であれば子どもが発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

AGBL1, CHST6, COL17A1, COL8A2, CYP4V2, DCN, GSN, KERA, KRT12, KRT3, LCAT, OVOL2, PAX6, PIKFYVE, PITX2, PRDM5, SLC4A11, TACSTD2, TCF4, TGFBI, UBIAD1, VSX1, ZEB1, ZNF469 ( 24遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・AGBL1遺伝子:
ATPグアニリル結合タンパク質様1をコードする遺伝子。

・CHST6遺伝子:
炭水化物硫酸転移酵素6をコードする遺伝子。斑状角膜ジストロフィーの原因遺伝子で、常染色体劣性遺伝形式をとります。ケラタン硫酸の代謝に関与します。

・COL17A1遺伝子:
XVII型コラーゲンα1鎖をコードする遺伝子。

・COL8A2遺伝子:
VIII型コラーゲンα2鎖をコードする遺伝子。後部多形性角膜ジストロフィーやフックス角膜内皮ジストロフィーの原因遺伝子の一つです。

・CYP4V2遺伝子:
シトクロムP450ファミリー4サブファミリーVポリペプチド2をコードする遺伝子。ビーティ角膜ジストロフィーの原因遺伝子です。

・DCN遺伝子:
デコリンをコードする遺伝子。角膜実質の構造維持に関与します。

・GSN遺伝子:
ゲルゾリンをコードする遺伝子。格子状角膜ジストロフィーIII型の原因遺伝子です。

・KERA遺伝子:
ケラトカンをコードする遺伝子。円錐角膜との関連も報告されています。

・KRT12遺伝子:
ケラチン12をコードする遺伝子。マイボーム腺ジストロフィーの原因遺伝子の一つです。角膜上皮の構造維持に重要な役割を果たします。

・KRT3遺伝子:
ケラチン3をコードする遺伝子。マイボーム腺ジストロフィーの原因遺伝子で、角膜上皮の構造に関与します。

・LCAT遺伝子:
レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子。LCAT欠損症に伴う角膜混濁の原因となります。

・OVOL2遺伝子:
OVO様転写因子2をコードする遺伝子。後部多形性角膜ジストロフィーに関与します。

・PAX6遺伝子:
ペアードボックス遺伝子6をコードする遺伝子。眼の発生に重要な役割を果たし、さまざまな角膜異常に関与します。

・PIKFYVE遺伝子:
ホスホイノシチドキナーゼをコードする遺伝子。角膜の水分調節に関与します。

・PITX2遺伝子:
ペアードライク​​ホメオドメイン転写因子2をコードする遺伝子。前眼部形成異常症候群に関与します。

・PRDM5遺伝子:
PRドメイン含有タンパク質5をコードする遺伝子。角膜内皮の発達に関与します。

・SLC4A11遺伝子:
溶質担体ファミリー4メンバー11をコードする遺伝子。先天性遺伝性角膜内皮ジストロフィー(CHED)の原因遺伝子で、角膜内皮細胞の水分調節に重要な役割を果たします。

・TACSTD2遺伝子:
腫瘍関連カルシウムシグナル伝達分子2をコードする遺伝子。膠様滴状角膜ジストロフィーの原因遺伝子で、常染色体劣性遺伝形式をとります。日本では指定難病に指定されています。

・TCF4遺伝子:
転写因子4をコードする遺伝子。フックス角膜内皮ジストロフィーの主要な原因遺伝子の一つです。

・TGFBI遺伝子:
形質転換増殖因子β誘導タンパク質をコードする遺伝子。顆粒状角膜ジストロフィー、格子状角膜ジストロフィー、アベリノ角膜ジストロフィーなど、多くの実質性角膜ジストロフィーの原因遺伝子です。最も頻度の高い角膜ジストロフィーの原因遺伝子として知られています。

・UBIAD1遺伝子:
UbiAプレニルトランスフェラーゼドメイン含有タンパク質1をコードする遺伝子。シュナイダー結晶状角膜ジストロフィーの原因遺伝子です。

・VSX1遺伝子:
視覚システムホメオボックス1をコードする遺伝子。後部多形性角膜ジストロフィーや円錐角膜との関連が報告されています。

・ZEB1遺伝子:
亜鉛フィンガーEボックス結合ホメオボックス1をコードする遺伝子。後部多形性角膜ジストロフィーや角膜内皮ジストロフィーに関与します。

・ZNF469遺伝子:
亜鉛フィンガータンパク質469をコードする遺伝子。脆弱角膜症候群の原因遺伝子です。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、24の原因遺伝子のみを対象としています。角膜ジストロフィーの中には、未だ原因遺伝子が同定されていないものもあります。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
角膜に混濁や白濁が認められる方、視力低下が進行している方、羞明(まぶしさ)を感じる方におすすめします。特に両眼に対称的な角膜病変がある場合や、再発性角膜上皮びらんを繰り返す場合は、角膜ジストロフィーの可能性が高くなります。また、家族に角膜ジストロフィーや角膜移植の既往がある場合も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
角膜ジストロフィーと診断された場合、どのような治療がありますか?
症状が軽度の場合は経過観察となります。視力低下が進行した場合は、エキシマレーザーを用いた治療的表層角膜切除術(PTK)や角膜移植が選択されます。角膜上皮びらんを繰り返す場合は、角膜保護の点眼剤や治療用ソフトコンタクトレンズを使用します。遺伝子検査により原因遺伝子を特定することで、より適切な治療選択と予後予測が可能になります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、両親がともに保因者であれば子どもが発症するリスクは25%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
角膜ジストロフィーの中には、未だ原因遺伝子が同定されていないものもあります。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と眼科検査に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
角膜移植後も遺伝子検査は必要ですか?
はい、角膜移植後でも遺伝子検査は有用です。原因遺伝子が特定されることで、再発リスクの評価や術後管理の最適化が可能になります。また、ご家族への遺伝カウンセリングにも重要な情報となります。
予後はどうですか?
疾患のタイプによって予後は大きく異なります。軽度のものは生涯ほとんど症状が出ない場合もあれば、進行性で角膜移植が必要になるものもあります。遺伝子検査により原因遺伝子を特定することで、より正確な予後予測が可能になり、適切な時期に治療介入を行うことができます。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な24の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら