遺伝性鉄芽球性貧血遺伝子検査(NGSパネル)|ミネルバクリニック
遺伝性鉄芽球性貧血とは
遺伝性鉄芽球性貧血(Congenital/Hereditary Sideroblastic Anemia)は、骨髄における環状鉄芽球の出現を特徴とする遺伝性の貧血です。ミトコンドリアでの鉄代謝に異常が生じることで発症する難治性貧血で、鉄が十分にあるにもかかわらず、それを利用してヘモグロビンを合成することができません。
環状鉄芽球とは、核周囲にミトコンドリアに鉄が異常に蓄積した赤芽球(赤血球の前駆細胞)のことで、この疾患の診断において最も重要な所見です。遺伝性鉄芽球性貧血は後天性のものと区別され、主に若年期に発症し、遺伝性であることが特徴です。
遺伝性鉄芽球性貧血は指定難病286に指定されている希少疾患です。発症頻度は明確にはわかっていませんが、骨髄異形成症候群に伴う後天性鉄芽球性貧血に比べて非常に稀な疾患です。ヘム合成不全、鉄-硫黄クラスター形成不全、ミトコンドリアの機能異常などにより発症し、病型によって重症度や発症年齢が大きく異なります。
症状と病態
遺伝性鉄芽球性貧血の主な症状は貧血に伴うものですが、原因遺伝子によって症状の重症度や合併症が異なります。貧血は通常、小球性低色素性(赤血球が小さく、色が薄い)ですが、正球性のこともあります。
主要症状
- 貧血症状(疲労感、倦怠感、息切れ、動悸)
- 顔色不良、蒼白
- 易疲労性
- 筋力低下
- 鉄過剰に伴う症状(肝障害、心機能障害、膵外分泌障害、糖尿病)
- 脾腫(脾臓の腫大)
- 皮膚の色素沈着過剰
- 発育障害(小児期発症例)
病型による特徴
遺伝性鉄芽球性貧血は原因遺伝子の機能の多様性から、貧血以外に神経・筋など他の臓器症状を伴う症候性と、貧血のみの非症候性に分類されます:
- X連鎖性鉄芽球性貧血(XLSA):最も頻度が高く、ALAS2遺伝子変異によるものです。主に男性に発症し、小球性低色素性貧血が特徴です。約半数の患者でビタミンB6(ピリドキシン)投与が有効です
- 鉄芽球性貧血2型(SLC25A38遺伝子変異):常染色体劣性遺伝で、重症の小球性低色素性貧血を呈します
- チアミン反応性巨赤芽球性貧血(TRMA):SLC19A2遺伝子変異により、巨赤芽球性貧血、糖尿病、感音性難聴を三徴とする疾患です。ビタミンB1(チアミン)投与が有効です
- Pearson-marrow-pancreas症候群(PMPS):ミトコンドリアDNA欠失により、鉄芽球性貧血、膵外分泌不全、乳酸アシドーシスを呈する重症型です
- SIFD症候群:TRNT1遺伝子変異により、鉄芽球性貧血、免疫不全、周期性発熱、発育障害を呈します
- 筋症合併型:YARS2遺伝子変異では、ミオパチー(筋疾患)や乳酸アシドーシスを合併することがあります
鉄過剰の影響
遺伝性鉄芽球性貧血では、鉄の利用障害により体内に鉄が過剰に蓄積します。長期的な鉄過剰は以下のような臓器障害を引き起こします:
- 肝障害:肝臓への鉄沈着により肝硬変に進行することがあります
- 心機能障害:心筋への鉄沈着により心不全や不整脈を生じます
- 内分泌障害:膵臓への鉄沈着により糖尿病を発症することがあります
- 性腺機能低下:性ホルモンの分泌低下を来すことがあります
進行と予後
疾患の重症度と予後は原因遺伝子によって大きく異なります。X連鎖性鉄芽球性貧血は比較的軽症で、ビタミンB6投与により貧血が改善する症例も多く、適切な管理により長期生存が可能です。一方、乳児期発症の重症型(Pearson症候群など)は予後不良のこともあります。輸血依存性の若年患者では、同種造血幹細胞移植が治療選択肢となります。
遺伝形式と原因遺伝子
遺伝性鉄芽球性貧血は遺伝学的に多様性が高く、X連鎖遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝、ミトコンドリア遺伝のいずれの形式でも発症します。現在までに複数の原因遺伝子が同定されていますが、原因遺伝子が同定されない症例も多く存在します。
X連鎖遺伝形式
最も頻度の高い遺伝形式で、主に男性が発症します:
- ALAS2遺伝子:5′-アミノレブリン酸合成酵素2をコードし、ヘム合成の最初の段階に関与します。X連鎖性鉄芽球性貧血(XLSA)の原因で、遺伝性鉄芽球性貧血の中で最も頻度が高い病型です。現在までに100種類以上の変異が確認されています
- ABCB7遺伝子:ABC輸送体をコードし、鉄-硫黄クラスターのミトコンドリアから細胞質への輸送に関与します。X連鎖性鉄芽球性貧血と小脳性運動失調を合併することがあります
常染色体劣性(潜性)遺伝形式
両親がともに保因者の場合、25%の確率で発症します:
- SLC25A38遺伝子:ミトコンドリアグリシントランスポーターをコードし、ヘム合成におけるグリシンの供給に関与します。鉄芽球性貧血2型の原因で、重症の小球性低色素性貧血を呈します
- GLRX5遺伝子:グルタレドキシン5をコードし、鉄-硫黄クラスターの合成に関与します
- PUS1遺伝子:プソイドウリジン合成酵素1をコードし、tRNAの修飾に関与します。ミトコンドリア病様の症状を伴うことがあります
- SLC19A2遺伝子:チアミン輸送体をコードします。チアミン反応性巨赤芽球性貧血(TRMA)の原因で、巨赤芽球性貧血、糖尿病、感音性難聴を三徴とします
- TRNT1遺伝子:CCA付加酵素をコードし、tRNAの成熟に関与します。SIFD症候群(鉄芽球性貧血、免疫不全、周期性発熱、発育障害)の原因となります
- YARS2遺伝子:ミトコンドリアチロシルtRNA合成酵素をコードします。ミオパチー、乳酸アシドーシス、鉄芽球性貧血を呈することがあります
ミトコンドリア遺伝
- ミトコンドリアDNA:Pearson-marrow-pancreas症候群(PMPS)は、ミトコンドリアDNAの大規模欠失により、鉄芽球性貧血、膵外分泌不全、乳酸アシドーシスを呈する重症型です
当検査パネルでは、これらの原因遺伝子のうち、臨床的に重要な8遺伝子(ABCB7、ALAS2、GLRX5、PUS1、SLC19A2、SLC25A38、TRNT1、YARS2)を対象としています。これにより、遺伝性鉄芽球性貧血の主要な原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。
ミネルバクリニックの遺伝性鉄芽球性貧血遺伝子パネル検査の特徴
「遺伝性鉄芽球性貧血 NGSパネル検査」とは、現在遺伝性鉄芽球性貧血の原因として報告されている8つの遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、遺伝性鉄芽球性貧血に関連する8遺伝子を一度に調べられる「遺伝性鉄芽球性貧血 NGSパネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関で遺伝性鉄芽球性貧血の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、遺伝性鉄芽球性貧血に関係するとされる8つの遺伝子を一度に調べられる「遺伝性鉄芽球性貧血 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行える遺伝性鉄芽球性貧血の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「遺伝性鉄芽球性貧血 NGSパネル検査」の場合、8つの遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
臨床症状から遺伝性鉄芽球性貧血を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「遺伝性鉄芽球性貧血 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な8つの原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「遺伝性鉄芽球性貧血 NGSパネル検査」では、遺伝性鉄芽球性貧血に関係するとされる8種類の遺伝子(ABCB7、ALAS2、GLRX5、PUS1、SLC19A2、SLC25A38、TRNT1、YARS2)をまとめて検査します。
「遺伝性鉄芽球性貧血 NGSパネル検査」は、遺伝性鉄芽球性貧血の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【遺伝性鉄芽球性貧血の個人歴または家族歴のある方】に
「遺伝性鉄芽球性貧血 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・小球性低色素性貧血がある方(特に若年発症)
・骨髄検査で環状鉄芽球が認められた方
・血清鉄、フェリチンが高値で鉄過剰が疑われる方
・貧血があり、家族歴がある方
・X連鎖性鉄芽球性貧血の家族歴がある男性
・鉄過剰に伴う臓器障害(肝障害、心機能障害、糖尿病)がある方
・巨赤芽球性貧血と糖尿病、難聴を合併している方
・ビタミンB6投与で貧血が改善する方
・後天性鉄芽球性貧血(骨髄異形成症候群など)が除外された方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、遺伝性鉄芽球性貧血の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切なビタミン補充療法、除鉄療法、輸血療法、定期的なモニタリングを行うことができます。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・後天性鉄芽球性貧血や他の貧血疾患との鑑別
・ビタミンB6やビタミンB1が有効かどうかの判断
・鉄過剰による臓器障害のリスク評価と管理
・除鉄療法の適応判断
・造血幹細胞移植の適応評価
・合併症(糖尿病、心機能障害、肝障害など)の早期発見と対策
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。X連鎖遺伝の場合は男児が50%の確率で発症し、女児は50%の確率で保因者となります。常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。
対象遺伝子
- 詳しくはこちら
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ABCB7, ALAS2, GLRX5, PUS1, SLC19A2, SLC25A38, TRNT1, YARS2 ( 8遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・ABCB7遺伝子:
ABC輸送体(ATP-binding cassette transporter)をコードする遺伝子。X連鎖遺伝形式をとり、鉄-硫黄クラスターのミトコンドリアから細胞質への輸送に関与します。変異により、X連鎖性鉄芽球性貧血と小脳性運動失調を合併することがあります。
・ALAS2遺伝子:
5′-アミノレブリン酸合成酵素2(δ-aminolevulinate synthase 2)をコードする遺伝子。ヘム生合成の最初の段階であるグリシンとスクシニルCoAからALAを合成する反応を触媒します。X連鎖遺伝形式で、遺伝性鉄芽球性貧血の中で最も頻度が高い原因遺伝子です。ビタミンB6(ピリドキシン)は本酵素の補因子であるため、約半数の患者でピリドキシン投与が有効です。現在までに100種類以上の変異が確認されています。
・GLRX5遺伝子:
グルタレドキシン5(glutaredoxin 5)をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、ミトコンドリアにおける鉄-硫黄クラスターの合成に関与します。変異により鉄-硫黄クラスター形成不全が生じ、鉄芽球性貧血を発症します。
・PUS1遺伝子:
プソイドウリジン合成酵素1(pseudouridine synthase 1)をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、tRNAおよびrRNAの修飾に関与します。変異により、鉄芽球性貧血とともにミトコンドリア病様の症状(筋症、乳酸アシドーシス、発達遅滞など)を伴うことがあります。
・SLC19A2遺伝子:
チアミン輸送体1(thiamine transporter 1)をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、細胞内へのチアミン(ビタミンB1)の取り込みに関与します。変異により、チアミン反応性巨赤芽球性貧血(TRMA、ロジャース症候群)を発症し、巨赤芽球性貧血、糖尿病、感音性難聴を三徴とします。チアミン投与により貧血が改善することがあります。
・SLC25A38遺伝子:
ミトコンドリアグリシントランスポーター(mitochondrial glycine transporter)をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、ヘム合成に必要なグリシンをミトコンドリア内に輸送します。変異により、鉄芽球性貧血2型を発症し、重症の小球性低色素性貧血を呈します。日本人を含むアジア人で比較的頻度が高いとされています。
・TRNT1遺伝子:
CCA付加酵素(CCA-adding enzyme)をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、tRNAの成熟に必要なCCA配列の付加に関与します。変異により、SIFD症候群(鉄芽球性貧血、免疫不全、周期性発熱、発育障害)を発症します。B細胞の欠損、周期性発熱、発達遅滞などの多彩な症状を呈します。
・YARS2遺伝子:
ミトコンドリアチロシルtRNA合成酵素(mitochondrial tyrosyl-tRNA synthetase)をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式で、ミトコンドリアにおけるタンパク質合成に関与します。変異により、ミオパチー(筋疾患)、乳酸アシドーシス、鉄芽球性貧血を呈することがあります。
カバレッジ
カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。
≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。
検査の限界
- 詳しくはこちら
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すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
※この検査パネルでは、8つの原因遺伝子のみを対象としています。遺伝性鉄芽球性貧血症例の中には、既知の遺伝子に変異が見つからない症例も存在します。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、ミトコンドリアDNAの変異(Pearson症候群など)は本検査では検出されません。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
- どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
- 若年で貧血がある方、特に小球性低色素性貧血で血清鉄やフェリチンが高値の方におすすめします。骨髄検査で環状鉄芽球が認められた場合、家族に同様の貧血がある場合は、遺伝性鉄芽球性貧血の可能性が高くなります。また、ビタミンB6投与で貧血が改善する方、鉄過剰による臓器障害がある方も検査をご検討ください。
- 検査はどのように行いますか?
- 血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
- 後天性の鉄芽球性貧血との違いは何ですか?
- 後天性鉄芽球性貧血は骨髄異形成症候群や薬剤、アルコールなどによるもので、通常は高齢者に発症します。遺伝性鉄芽球性貧血は若年発症で家族歴があることが特徴です。当検査により原因遺伝子を特定することで、遺伝性であることを確認できます。
- ビタミンB6やB1が効くかどうか分かりますか?
- ALAS2遺伝子変異によるX連鎖性鉄芽球性貧血では約半数の患者でビタミンB6(ピリドキシン)が有効です。SLC19A2遺伝子変異によるチアミン反応性巨赤芽球性貧血ではビタミンB1(チアミン)が有効です。遺伝子検査により原因遺伝子が判明すれば、ビタミン補充療法の有効性を予測できます。
- 家族も検査を受ける必要がありますか?
- 遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。X連鎖遺伝の場合、患者さんの男児が発症するリスクは50%、女児は50%の確率で保因者となります。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
- 検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
- 遺伝性鉄芽球性貧血症例の中には、既知の遺伝子に変異が見つからない症例も存在します。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、ミトコンドリアDNAの変異(Pearson症候群など)は本検査では検出されないため、臨床的に疑われる場合は別途検査が必要です。
- 保険は適用されますか?
- 当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
- 結果はどのように説明されますか?
- 検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
- 子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
- 遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。X連鎖遺伝の場合は男児が50%の確率で発症し、女児は50%の確率で保因者となります。常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
- 遺伝性鉄芽球性貧血の治療はどのように行われますか?
- 原因遺伝子によって治療法が異なります。ALAS2遺伝子変異ではビタミンB6投与、SLC19A2遺伝子変異ではビタミンB1投与が有効なことがあります。重症例では輸血療法、鉄過剰に対しては除鉄療法(デフェラシロクスなど)が行われます。輸血依存性の若年患者では造血幹細胞移植が治療選択肢となります。
- 予後はどうですか?
- 予後は原因遺伝子や病型によって大きく異なります。X連鎖性鉄芽球性貧血は比較的軽症で、ビタミンB6投与により貧血が改善する症例も多く、適切な管理により長期生存が可能です。一方、乳児期発症の重症型(Pearson症候群など)は予後不良のこともあります。鉄過剰による臓器障害の管理が長期予後に重要です。
- 他の医療機関での検査との違いは何ですか?
- 当院では臨床的に重要な8つの原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
仲田洋美のプロフィールはこちら