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先天性筋無力症候群NGS遺伝子検査|ミネルバクリニック

先天性筋無力症候群NGS遺伝子検査|ミネルバクリニック

先天性筋無力症候群とは

先天性筋無力症候群(Congenital Myasthenic Syndrome: CMS)は、神経筋接合部を構成するタンパク質の先天的な異常により、筋力低下や易疲労性を主症状とする遺伝性疾患です。神経から筋肉への信号伝達がうまくいかないことで、様々な程度の筋力低下が生じます。

神経筋接合部は、運動神経の末端と筋肉が接続する部位で、神経からアセチルコリンという神経伝達物質が放出され、筋肉側のアセチルコリン受容体に結合することで筋肉が収縮します。先天性筋無力症候群では、この神経筋接合部の構造や機能に関わる様々なタンパク質に異常が生じることで、神経から筋肉への信号伝達が障害されます。

先天性筋無力症候群は、自己免疫疾患である重症筋無力症とは異なり、遺伝子変異による先天的な疾患です。重症筋無力症では抗アセチルコリン受容体抗体などの自己抗体が陽性となりますが、先天性筋無力症候群ではこれらの抗体は陰性です。日本では指定難病12として認定されており、推定患者数は約100人程度とされていますが、診断されていない潜在的な患者さんはさらに多いと考えられています。

症状と病態

先天性筋無力症候群の主な症状は、体の様々な部位の筋力低下と易疲労性(疲れやすさ)です。多くの場合、生後1年以内に発症しますが、筋症状が軽度な場合には成人期に診断されることもあります。症状の重症度は非常に幅広く、軽度から重度まで様々です。

主要症状

  • 全身の筋力低下(特に顔面、眼、四肢の筋肉)
  • 易疲労性(運動により筋力が低下する)
  • 眼瞼下垂(まぶたが垂れ下がる)
  • 眼球運動障害(眼を動かしにくい、複視)
  • 顔面筋の筋力低下(表情が乏しい)
  • 哺乳力低下(乳児期)
  • 嚥下困難(飲み込みにくい)
  • 構音障害(発音が不明瞭)
  • 呼吸筋力低下(重症例)
  • 運動発達遅滞(首のすわりや歩行の遅れ)

発症時期による特徴

発症時期や症状パターンは原因遺伝子によって異なります:

  • 新生児期・乳児期発症:出生直後から哺乳力低下、泣き声が弱い、呼吸困難などの症状が現れます。重症例では人工呼吸器が必要となることもあります
  • 幼児期発症:運動発達の遅れ、転びやすい、階段の上り下りが困難などの症状が現れます
  • 学童期以降発症:運動時の易疲労性、眼瞼下垂、複視などが主症状となります
  • 成人期発症:軽度の筋力低下や眼瞼下垂で発症することがあります

病型による特徴

先天性筋無力症候群は、障害される神経筋接合部の部位により以下のように分類されます:

  • 終板アセチルコリン受容体欠損症:最も頻度が高い病型で、CHRNE遺伝子変異が約50%を占めます。眼瞼下垂、眼球運動障害、全身の筋力低下を呈します
  • スローチャンネル症候群:アセチルコリン受容体のイオンチャネルの開口時間が異常に延長します。常染色体優性遺伝形式をとり、進行性の筋力低下を呈します
  • ファーストチャンネル症候群:イオンチャネルの開口時間が異常に短縮します。眼瞼下垂や眼球運動障害が目立ちます
  • 終板アセチルコリンエステラーゼ欠損症:COLQ遺伝子変異により、アセチルコリンを分解する酵素が欠損します。反復刺激により筋力低下が悪化する特徴があります
  • DOK7筋無力症:DOK7遺伝子変異により、体幹や近位筋の筋力低下が目立ちます。日本人に比較的多い病型です
  • ナトリウムチャンネル筋無力症:SCN4A遺伝子変異により、骨格筋ナトリウムチャネルの開口不全が起こります
  • 発作性無呼吸を伴う先天性筋無力症:CHAT遺伝子変異により、神経終末のアセチルコリン再合成酵素が欠損します。突然の無呼吸発作が特徴的です

日内変動と運動による悪化

重症筋無力症と同様に、先天性筋無力症候群でも運動により筋力低下が悪化し、休息により改善することがあります。また、夕方になると症状が悪化する日内変動を示すこともあります。

遺伝形式と原因遺伝子

先天性筋無力症候群は遺伝学的に非常に多様性が高く、現在までに30種類以上の原因遺伝子が報告されています。遺伝形式も常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝のいずれもあります。

常染色体優性(顕性)遺伝形式

以下の遺伝子変異では常染色体優性遺伝形式をとります:

  • CHRNA1、CHRNB1、CHRND、CHRNE遺伝子の機能獲得型変異:スローチャンネル症候群の原因となります
  • SYT2遺伝子:シナプトタグミン2をコードし、神経伝達物質の放出に関与します
  • SNAP25遺伝子:シナプス小胞の融合に関与するタンパク質をコードします

常染色体劣性(潜性)遺伝形式

大多数の先天性筋無力症候群は常染色体劣性遺伝形式をとります:

  • CHRNE遺伝子:最も頻度が高く、約50%を占めます。アセチルコリン受容体ε(イプシロン)サブユニットをコードします
  • RAPSN遺伝子:約15~20%を占めます。アセチルコリン受容体の集積に関与するラプシンをコードします
  • DOK7遺伝子:約10~15%を占めます。筋特異的チロシンキナーゼMuSKの活性化に関与します
  • COLQ遺伝子:約10~15%を占めます。アセチルコリンエステラーゼの終板への結合に関与します
  • CHAT遺伝子:約4~5%を占めます。アセチルコリン合成酵素をコードします
  • GFPT1遺伝子:約2%を占めます。糖鎖修飾に関与する酵素をコードします
  • その他の遺伝子:CHRNA1、CHRNB1、CHRND、CHRNG、AGRN、LRP4、MUSK、COL13A1、LAMB2、ALG2、ALG14、DPAGT1、GMPPB、PLEC、PREPL、SLC25A1、SLC5A7、MYO9A、VAMP1、STIM1など

当検査パネルでは、これらの原因遺伝子のうち、臨床的に重要な29遺伝子を対象としています。これにより、先天性筋無力症候群の主要な原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。

ミネルバクリニックの先天性筋無力症候群遺伝子パネル検査の特徴

「先天性筋無力症候群 NGSパネル検査」とは、現在先天性筋無力症候群の原因として報告されている29の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、先天性筋無力症候群に関連する29遺伝子を一度に調べられる「先天性筋無力症候群 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で先天性筋無力症候群の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、先天性筋無力症候群に関係するとされる29の遺伝子を一度に調べられる「先天性筋無力症候群 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える先天性筋無力症候群の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「先天性筋無力症候群 NGSパネル検査」の場合、29の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から先天性筋無力症候群を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「先天性筋無力症候群 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な29の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「先天性筋無力症候群 NGSパネル検査」では、先天性筋無力症候群に関係するとされる29種類の遺伝子(AGRN、ALG14、ALG2、CHAT、CHRNA1、CHRNB1、CHRND、CHRNE、CHRNG、COL13A1、COLQ、DOK7、DPAGT1、GFPT1、GMPPB、LAMB2、LRP4、MUSK、MYO9A、PLEC、PREPL、RAPSN、SCN4A、SLC25A1、SLC5A7、SNAP25、STIM1、SYT2、VAMP1)をまとめて検査します。

「先天性筋無力症候群 NGSパネル検査」は、先天性筋無力症候群の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【先天性筋無力症候群の個人歴または家族歴のある方】に
「先天性筋無力症候群 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・全身の筋力低下がある方
・易疲労性(運動により筋力が低下する)がある方
・眼瞼下垂(まぶたが垂れ下がる)がある方
・眼球運動障害や複視がある方
・乳児期に哺乳力低下や呼吸困難があった方
・嚥下困難や構音障害がある方
・抗アセチルコリン受容体抗体などの自己抗体が陰性の方
・反復神経刺激検査で複合筋活動電位の異常衰退がある方
・ステロイドや免疫抑制剤が効果のない筋無力症状がある方
・先天性筋無力症候群または重症筋無力症の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、先天性筋無力症候群の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な薬物療法、リハビリテーション、生活習慣の改善、定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・重症筋無力症や他の神経筋疾患との鑑別
・原因遺伝子に応じた適切な薬物療法の選択
・無効または有害な治療(ステロイド、免疫抑制剤など)の回避
・呼吸機能障害のリスク評価と管理
・嚥下機能障害や栄養管理の最適化
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

AGRN, ALG14, ALG2, CHAT, CHRNA1, CHRNB1, CHRND, CHRNE, CHRNG, COL13A1, COLQ, DOK7, DPAGT1, GFPT1, GMPPB, LAMB2, LRP4, MUSK, MYO9A, PLEC, PREPL, RAPSN, SCN4A, SLC25A1, SLC5A7, SNAP25, STIM1, SYT2, VAMP1 ( 29遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・AGRN遺伝子:
アグリンをコードする遺伝子。アセチルコリン受容体の終板への集積に重要な役割を果たします。

・ALG14遺伝子:
糖鎖修飾に関与する酵素をコードする遺伝子。N-グリコシル化の初期段階に関与します。

・ALG2遺伝子:
糖鎖修飾に関与する酵素をコードする遺伝子。マンノース転移酵素として機能します。

・CHAT遺伝子:
コリンアセチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子。アセチルコリン合成に必須の酵素で、変異により発作性無呼吸を伴う先天性筋無力症を引き起こします。約4~5%を占めます。

・CHRNA1遺伝子:
アセチルコリン受容体α1サブユニットをコードする遺伝子。機能獲得型変異はスローチャンネル症候群、機能喪失型変異はファーストチャンネル症候群や受容体欠損症を引き起こします。

・CHRNB1遺伝子:
アセチルコリン受容体β1サブユニットをコードする遺伝子。CHRNA1と同様に、様々な病型の原因となります。

・CHRND遺伝子:
アセチルコリン受容体δ(デルタ)サブユニットをコードする遺伝子。受容体欠損症やチャンネル異常症の原因となります。

・CHRNE遺伝子:
アセチルコリン受容体ε(イプシロン)サブユニットをコードする遺伝子。最も頻度が高く、先天性筋無力症候群の約50%を占めます。常染色体劣性遺伝形式で、終板アセチルコリン受容体欠損症の主要な原因です。

・CHRNG遺伝子:
アセチルコリン受容体γ(ガンマ)サブユニットをコードする遺伝子。胎児型受容体のサブユニットで、通常は出生後にCHRNEに置き換わります。

・COL13A1遺伝子:
XIII型コラーゲンα1鎖をコードする遺伝子。神経筋接合部の構造維持に関与します。

・COLQ遺伝子:
コラーゲン様尾部サブユニットをコードする遺伝子。アセチルコリンエステラーゼの終板への結合に関与し、終板アセチルコリンエステラーゼ欠損症の原因となります。約10~15%を占めます。

・DOK7遺伝子:
ダウンストリーム・オブ・キナーゼ7をコードする遺伝子。筋特異的チロシンキナーゼMuSKの活性化に関与し、約10~15%を占めます。DOK7筋無力症では体幹や近位筋の筋力低下が特徴的です。

・DPAGT1遺伝子:
糖鎖修飾に関与する酵素をコードする遺伝子。N-グリコシル化の初期段階に関与します。

・GFPT1遺伝子:
グルタミン-フルクトース-6-リン酸トランスアミナーゼ1をコードする遺伝子。糖鎖修飾に関与し、約2%を占めます。肢帯型の筋力低下を呈することがあります。

・GMPPB遺伝子:
GDP-マンノースピロホスホリラーゼBをコードする遺伝子。糖鎖修飾に関与します。

・LAMB2遺伝子:
ラミニンβ2鎖をコードする遺伝子。基底膜の構成成分で、神経筋接合部の構造維持に関与します。

・LRP4遺伝子:
低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質4をコードする遺伝子。アグリンのシグナル伝達に重要な受容体です。

・MUSK遺伝子:
筋特異的チロシンキナーゼをコードする遺伝子。アセチルコリン受容体の集積に中心的な役割を果たします。

・MYO9A遺伝子:
ミオシンIXAをコードする遺伝子。細胞骨格の調節に関与します。

・PLEC遺伝子:
プレクチンをコードする遺伝子。細胞骨格タンパク質で、筋線維の構造維持に関与します。

・PREPL遺伝子:
プロリルエンドペプチダーゼ様タンパク質をコードする遺伝子。ペプチダーゼ活性を持ちます。

・RAPSN遺伝子:
ラプシンをコードする遺伝子。アセチルコリン受容体の集積と安定化に関与し、約15~20%を占めます。乳児期発症が多く、眼瞼下垂や呼吸障害を呈します。

・SCN4A遺伝子:
骨格筋ナトリウムチャネルα(アルファ)サブユニットをコードする遺伝子。ナトリウムチャンネル筋無力症の原因となります。

・SLC25A1遺伝子:
ミトコンドリアクエン酸輸送体をコードする遺伝子。ミトコンドリア機能に関与します。

・SLC5A7遺伝子:
高親和性コリントランスポーターをコードする遺伝子。神経終末へのコリン取り込みに関与します。

・SNAP25遺伝子:
シナプトソーム関連タンパク質25をコードする遺伝子。シナプス小胞の融合に関与し、神経伝達物質の放出に重要です。常染色体優性遺伝形式をとります。

・STIM1遺伝子:
ストロマ相互作用分子1をコードする遺伝子。カルシウムストア量のセンサーとして機能します。

・SYT2遺伝子:
シナプトタグミン2をコードする遺伝子。カルシウム依存性の神経伝達物質放出に関与します。常染色体優性遺伝形式をとります。

・VAMP1遺伝子:
小胞関連膜タンパク質1をコードする遺伝子。シナプス小胞の融合に関与します。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、29の原因遺伝子のみを対象としています。先天性筋無力症候群では30種類以上の原因遺伝子が報告されており、検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、臨床症状や電気生理学的検査が診断において重要です。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
眼瞼下垂(まぶたが垂れ下がる)、眼球運動障害、全身の筋力低下、易疲労性(運動により筋力が低下する)などの症状がある方におすすめします。特に、乳児期に哺乳力低下や呼吸困難があった方、抗アセチルコリン受容体抗体などの自己抗体が陰性で重症筋無力症と診断されない方、ステロイドや免疫抑制剤が効果のない筋無力症状がある方は、先天性筋無力症候群の可能性が高くなります。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
重症筋無力症との違いは何ですか?
重症筋無力症は自己免疫疾患で、抗アセチルコリン受容体抗体などの自己抗体が陽性となり、ステロイドや免疫抑制剤が有効です。一方、先天性筋無力症候群は遺伝性疾患で、自己抗体は陰性で、ステロイドや免疫抑制剤は効果がありません。原因遺伝子に応じた適切な薬物療法(抗コリンエステラーゼ剤、エフェドリン、キニジンなど)が選択されます。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝(スローチャンネル症候群など)の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝(大多数の病型)の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
先天性筋無力症候群では30種類以上の原因遺伝子が報告されており、当検査パネルでは主要な29遺伝子を対象としています。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状、反復神経刺激検査などの電気生理学的検査、薬物反応性などを総合的に判断して診断することが重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
先天性筋無力症候群の治療はどのように行われますか?
原因遺伝子によって有効な治療薬が異なります。終板アセチルコリン受容体欠損症やファーストチャンネル症候群では抗コリンエステラーゼ剤や3,4-ジアミノピリジンが、DOK7筋無力症や終板アセチルコリンエステラーゼ欠損症ではエフェドリンが、スローチャンネル症候群ではキニジンやフルオキセチンが使用されます。遺伝子検査により適切な治療薬を選択できます。
予後はどうですか?
疾患の重症度は原因遺伝子や個人によって大きく異なります。適切な薬物療法により多くの患者さんは症状のコントロールが可能です。一部の重症例では呼吸筋障害により人工呼吸器が必要となることもありますが、適切な管理により日常生活を維持できることが多いです。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な29の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら