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先天性心疾患(CHD)遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

先天性心疾患(CHD)遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

先天性心疾患(CHD)とは

先天性心疾患(CHD)とは、生まれつき心臓の構造に異常がある疾患の総称です。これらは心臓の働きに影響を与える構造的な心疾患で、最も一般的な先天異常として知られています。軽度のものから重篤なものまで幅広い症状があり、肺動脈閉鎖症や大動脈縮窄症などの一部の疾患では、出生直後から緊急の治療介入が必要となります。

CHDは出生前の超音波検査や出生直後の酸素飽和度スクリーニングで発見されることがありますが、これらの検査が陰性であっても、CHDが存在しないとは限りません。症状が後年になって現れることもあり、診断確定のために心エコー検査が推奨される場合があります。

重要なことは、CHDには単独で起こる場合と症候群の一部として起こる場合があることです。遺伝的要因が関与することが多く、類似した先天異常の家族歴がある場合には、遺伝学的検査が強く推奨されます。適切な遺伝子検査により原因を特定することで、治療方針の決定や家族計画に役立てることができます。

CHDの種類と症状

先天性心疾患は多種多様で、心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、動脈管開存症、ファロー四徴症など、さまざまな種類があります。これらは単独で発症する場合(非症候群性CHD)と、他の症状と組み合わせて症候群の一部として発症する場合(症候群性CHD)があります。

症候群性CHDの代表例には以下があります:

  • Noonan症候群
  • Holt-Oram症候群
  • 原発性線毛ジスキネジア
  • 22q11.2欠失症候群(DiGeorge症候群)
  • Williams-Beuren症候群

症状は疾患の種類や重症度により異なりますが、一般的には息切れ、疲労感、チアノーゼ(皮膚や唇の青み)、発育不良、感染症にかかりやすいなどの症状が見られることがあります。重篤な場合には心不全や不整脈を引き起こし、生命に関わることもあります。

ミネルバクリニックの先天性心疾患遺伝子パネル検査の特徴

「先天性心疾患遺伝子パネル検査」とは、現在CHDに関係があると報告されている115の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、CHDに関連する遺伝子を一度に調べられる「先天性心疾患遺伝子パネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で先天性心疾患の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、検体を海外の機関で検査しますので、CHDに関係するとされる115の遺伝子を一度に調べられる「先天性心疾患遺伝子パネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
検体の提出先はアメリカの臨床検査機関です。アメリカは日本と異なりCLIA認証を必ず受け、精度管理が厳しく行われています。我が国はこのあたりの法整備が遅れています。

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える先天性心疾患の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「先天性心疾患遺伝子パネル検査」の場合、CHDに関係する115の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

家族歴や症状から特定の先天性心疾患を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「先天性心疾患遺伝子パネル検査」ならば、現在CHDに関係すると報告されている115の遺伝子を網羅的に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「先天性心疾患遺伝子パネル検査」では、先天性心疾患に関係するとされる115種類の遺伝子をまとめて検査します。このパネルでは、非症候群性CHDおよび症候群性CHD(Noonan症候群、Holt-Oram症候群、原発性線毛ジスキネジアなど)を含む、すべてのカテゴリーの先天性心疾患を評価できます。

「先天性心疾患遺伝子パネル検査」は、CHDの遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を最大限に高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【先天性心疾患の個人歴または家族歴のある方】に
「先天性心疾患遺伝子パネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・先天性心疾患の診断を受けた方
・CHDの家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている方で、リスク評価を希望される方
・症候群性CHDが疑われる方
・複数の先天異常を有する方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、CHDの診断確定や、追加の身体システムのスクリーニングが必要かどうかの判断に役立ちます。また、高リスクと判明した両親は、受胎前、出生前、出生後のスクリーニングおよび診断検査のオプションを検討することができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・関連する追加症状のリスクの特定
・家族計画の支援
・食事や運動を含むライフスタイルの変更支援
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・関連リソースとサポートへの接続
・家族計画のためのオプション提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、近親者(両親・兄弟姉妹・子ども)のリスクも50%と高くなります。家族を検査することで、そのリスクを明らかにすることも可能です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ACTC1, ACVR2B, AKT3, ALMS1, ARL6, ARMC4, B9D1, B9D2, BBS1, BBS10, BBS12, BBS2, BBS4, BBS5, BBS7, BBS9, BCOR, BRAF, CBL, CC2D2A, CCDC103, CCDC114, CCDC151, CCDC28B, CCDC39, CCDC40, CCDC65, CCNO, CEP290, CFAP298, CFAP53, CHD7, CITED2, CPS1, CRELD1, CYR61, DNAAF1, DNAAF2, DNAAF3, DNAAF4, DNAAF5, DNAH11, DNAH5, DNAH8, DNAI1, DNAI2, DNAL1, DRC1, DTNA, ELN, FLNA, FOXF1, FOXH1, GATA4, GATA6, GDF1, GJA1, GPC3, HAND1, HRAS, INVS, JAG1, KIF7, KRAS, LEFTY2, MAP2K1, MAP2K2, MCIDAS, MED13L, MKKS, MKS1, MMP21, MYH6, NEK8, NKX2-5, NKX2-6, NME8, NODAL, NOTCH1, NPHP3, NR2F2, NRAS, NSD1, NTRK3, OFD1, PIK3CA, PIK3R2, PITX2, PKD1L1, PTPN11, RAF1, RAI1, RBM10, RIT1, RPGRIP1L, SEMA3E, SHOC2, SMAD6, SOS1, SPAG1, TAB2, TBX1, TBX20, TBX5, TCTN2, TLL1, TMEM216, TMEM231, TMEM67, TRIM32, TTC8, WDPCP, ZFPM2, ZIC3, ZMYND10 ( 115遺伝子 )

カバレッジ

カバレッジについての説明は別ページをご覧ください。
≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜ぬぐい液の場合は、遠方の方でもクリニックへお越しにならずに検査が可能です。(オンライン診療)
 その場合は、遠隔診療(ビデオスルーでの診療のことをいいます)で遺伝カウンセリングをしたのち、検体を当院にお送りいただく流れとなります。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

遺伝子特記事項:
PIK3CA:PIK3CA病原性変異の大部分は接合後に生じモザイクであるため、複数の組織を検査する必要がある場合があります。PIK3CA病原性変異が検出されなくても、示唆的特徴を有する個体におけるPIK3CA関連分節性過成長障害の臨床診断は除外されません。
ZIC3:現在の検査方法では、この遺伝子の三塩基反復伸長は評価されません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
息切れ、疲労感、チアノーゼ(皮膚や唇の青み)、発育不良、感染症にかかりやすいなどの症状がある方、先天性心疾患の家族歴がある方、健康診断で心雑音を指摘された方におすすめします。症状がなくても家族歴がある場合は検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
家族も検査を受ける必要がありますか?
患者さんで病原性変異が見つかった場合、近親者(両親・兄弟姉妹・子ども)のリスクは50%になります。ご家族の検査により、そのリスクを明らかにすることが可能です。特に将来子どもを持つ予定のある方は検査をご検討ください。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
検査で病原性変異が検出されなくても、症状がある場合は他の原因が考えられます。主治医と相談して、引き続き適切な経過観察や治療を受けることが重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、家族計画への影響などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
先天性心疾患は50%の確率で親から子に受け継がれる可能性があります。検査結果により、出生前診断や受胎前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では115遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を大幅に短縮できます。また、アメリカのCLIA認証機関での検査により、高い精度を保証しています。
症候群性CHDと非症候群性CHDの違いは何ですか?
症候群性CHDは心疾患以外にも複数の症状を伴うもので、Noonan症候群やHolt-Oram症候群などがあります。非症候群性CHDは心疾患のみが単独で起こるものです。当検査では両方のタイプを評価できます。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら