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先天性筋線維タイプ不均等症 NGS遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック

先天性筋線維タイプ不均等症 NGS遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック

先天性筋線維タイプ不均等症とは

先天性筋線維タイプ不均等症(Congenital Fiber Type Disproportion: CFTD)は、骨格筋の1型筋線維が2型筋線維と比べて著しく小さいことを特徴とする先天性ミオパチーの一種です。生まれつき、または乳幼児期から筋力低下や筋緊張低下(低緊張)を認め、運動発達の遅れとして気づかれることが多い疾患です。

本疾患は筋生検による組織学的診断が必要であり、1型筋線維が2型筋線維よりも12~40%以上小さいことが診断の基準となります。また、正常な筋肉では1型と2型の筋線維がほぼ同程度の割合(約1:1)で存在しますが、先天性筋線維タイプ不均等症では、多くの場合1型筋線維が全体の80%以上を占める「1型線維優位」という所見も認められます。つまり、サイズが小さい1型筋線維が数としても圧倒的に多いという二重の特徴があります。臨床症状と進行速度は患者さんによって大きく異なり、軽症から重症まで幅広いスペクトラムを示します。

筋線維の1型と2型の違い

骨格筋は、収縮特性や代謝特性の異なる2つのタイプの筋線維から構成されています:

1型筋線維(遅筋・赤筋):
・収縮速度が遅いが、長時間にわたって持続的に収縮できる持久力に優れた筋線維です
・酸素を蓄えるミオグロビンというタンパク質を多く含むため、赤い色をしています
・マラソンや長距離水泳など、持久力を必要とする運動に使われます
・疲労しにくく、加齢による萎縮が比較的少ない筋線維です
・立位姿勢の維持など、日常生活での持続的な筋収縮に重要な役割を果たします

2型筋線維(速筋・白筋):
・収縮速度が速く、瞬間的に大きな力を発揮できる筋線維です
・ミオグロビンの含有量が少ないため、白っぽい色をしています
・短距離走やジャンプなど、瞬発力を必要とする運動に使われます
・疲労しやすく、加齢とともに選択的に萎縮する傾向があります
・さらに2A型(持久性がやや高い)、2X型、2B型(最も瞬発力が高い)に細分されます

正常な筋肉と先天性筋線維タイプ不均等症の違い:
正常な筋肉では、1型と2型の筋線維がモザイク状に混在し、その比率はほぼ1:1(約50%ずつ)です。また、1型と2型の筋線維のサイズもほぼ同じです。一方、先天性筋線維タイプ不均等症では以下の2つの異常が特徴的です:
①1型筋線維が2型筋線維よりも12~40%以上小さい(サイズの不均等)
②1型筋線維が全体の80%以上を占める(数の偏り)
つまり、小さい1型筋線維が数としても圧倒的に多いという状態になっています。

先天性筋線維タイプ不均等症は、指定難病111「先天性ミオパチー」に含まれる疾患です。先天性ミオパチーは生まれながらに筋組織の形態に問題があり、筋力低下や低緊張などの症状を呈する疾患群です。先天性筋線維タイプ不均等症は、ネマリンミオパチー、セントラルコア病、ミオチュブラーミオパチーなどと並ぶ主要な先天性ミオパチーの病型の一つです。正確な頻度は不明ですが、比較的稀な疾患です。

症状と病態

先天性筋線維タイプ不均等症の主な症状は、生後間もなくまたは乳幼児期からの筋緊張低下(低緊張)と筋力低下です。多くの患者さんは「体が柔らかい」「力が弱い」という症状で気づかれ、運動発達の遅れ(首の座りの遅れ、寝返り・お座り・歩行の遅れ)として発見されます。

主要症状

  • 筋緊張低下(低緊張):新生児期・乳児期から体が柔らかい
  • 全身性の筋力低下(特に近位筋や体幹筋)
  • 運動発達の遅れ(首の座り、寝返り、お座り、歩行の遅れ)
  • 顔面筋の筋力低下(長い顔貌、高口蓋、テント状の上唇)
  • 四肢筋力低下(近位筋優位が多いが遠位筋のみの症例もある)
  • 深部腱反射の低下または消失
  • 関節拘縮(足関節、指、股関節、肘、膝)
  • 脊柱変形(側弯症、後側弯症、前弯症)

重症度のスペクトラム

先天性筋線維タイプ不均等症の重症度は極めて多様です:

  • 重症型:出生直後から呼吸障害や哺乳困難があり、人工呼吸器管理や経管栄養が必要となります。眼瞼下垂、眼球運動障害、顔面・球麻痺などを伴う場合は予後不良となります。
  • 中等症型:乳幼児期に低緊張と運動発達の遅れで気づかれますが、多くは歩行を獲得できます。筋力低下は緩徐進行性です。
  • 軽症型:幼少期以降に運動能力の低下から気づかれ、診断に至ることがあります。一部の患者さんは小児期に症状が改善し、筋線維サイズの不均等も正常化することがあります。
  • 成人発症型:稀ですが、成人になってから「力が入りにくい」「疲れやすい」という症状で発症する方もいます。

合併症

先天性筋線維タイプ不均等症では、以下の合併症を認めることがあります:

  • 呼吸障害:約30%の患者さんに軽度から重度の呼吸障害があります。呼吸筋の筋力低下により、夜間低換気から始まることが多く、朝の頭痛、日中の眠気、痰の排出困難などとして自覚されます。重症例では人工呼吸器管理が必要です。
  • 摂食・嚥下障害:哺乳力の低下や嚥下困難により、栄養管理に注意が必要です。食欲低下や体重減少がみられることもあります。
  • 心臓合併症:心収縮能の低下や不整脈などが検査で見つかることがあります。
  • 整形外科的合併症:側弯症、関節拘縮、先天性股関節脱臼、内反尖足などを認めます。
  • その他:稀に知的障害、てんかん、停留精巣を伴うことがあります。

進行と予後

疾患の進行速度は原因遺伝子や患者さんによって大きく異なります。多くの症例では非進行性または緩徐進行性の経過をたどります。一部の患者さんでは小児期に筋力が改善する「grow out」現象が認められ、1型筋線維サイズの正常化を伴うこともあります。生命予後は呼吸機能障害の程度に大きく依存します。

遺伝形式と原因遺伝子

先天性筋線維タイプ不均等症は遺伝学的に多様性が高く、複数の遺伝子が原因として同定されています。常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝のいずれの形式でも発症します。ただし、全症例の約60%では既知の遺伝子に変異が見つからず、まだ同定されていない原因遺伝子が存在すると考えられています。

主要な原因遺伝子

臨床的に最も頻度の高い原因遺伝子は以下の通りです:

  • TPM3遺伝子(20~40%):最も頻度の高い原因遺伝子です。α-トロポミオシンスローをコードし、常染色体優性または劣性遺伝形式をとります。ネマリンミオパチーの原因遺伝子でもあります。
  • RYR1遺伝子(10~20%):リアノジン受容体1をコードし、常染色体劣性遺伝形式をとります。セントラルコア病、中心核ミオパチーの原因遺伝子でもあり、悪性高熱症のリスクと関連します。
  • ACTA1遺伝子(6%未満):骨格筋α-アクチンをコードし、常染色体優性または劣性遺伝形式をとります。ネマリンミオパチー、アクチンミオパチーの原因遺伝子でもあります。重度の先天性筋力低下と呼吸不全を呈することが多いです。
  • SELENON遺伝子(SEPN1):セレノプロテインNをコードし、常染色体劣性遺伝形式をとります。ミニコア病の原因遺伝子でもあります。
  • TPM2遺伝子:β-トロポミオシンをコードし、常染色体優性遺伝形式をとります。

その他の関連遺伝子

稀ではありますが、MYH7、MYL2などの遺伝子変異も報告されています。

遺伝カウンセリングの重要性

遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合、患者さんの子どもが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、保因者同士のカップルで子どもが発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ただし、親から子へ遺伝するだけでなく、新生突然変異により発症する場合もあります。家族計画において遺伝カウンセリングは非常に重要です。

ミネルバクリニックの先天性筋線維タイプ不均等症遺伝子パネル検査の特徴

「先天性筋線維タイプ不均等症 NGSパネル検査」とは、現在先天性筋線維タイプ不均等症の原因として報告されている5つの主要遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、先天性筋線維タイプ不均等症に関連する5遺伝子を一度に調べられる「先天性筋線維タイプ不均等症 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で先天性筋線維タイプ不均等症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、先天性筋線維タイプ不均等症に関係するとされる5つの遺伝子を一度に調べられる「先天性筋線維タイプ不均等症 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える先天性筋線維タイプ不均等症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「先天性筋線維タイプ不均等症 NGSパネル検査」の場合、5つの遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状や筋生検所見から先天性筋線維タイプ不均等症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「先天性筋線維タイプ不均等症 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な5つの主要原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「先天性筋線維タイプ不均等症 NGSパネル検査」では、先天性筋線維タイプ不均等症に関係するとされる5種類の遺伝子(ACTA1、RYR1、SELENON、TPM2、TPM3)をまとめて検査します。

「先天性筋線維タイプ不均等症 NGSパネル検査」は、先天性筋線維タイプ不均等症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【先天性筋線維タイプ不均等症または先天性ミオパチーの個人歴または家族歴のある方】に
「先天性筋線維タイプ不均等症 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・新生児期・乳児期からの筋緊張低下(低緊張)がある方
・全身性の筋力低下がある方
・運動発達の遅れ(首の座り、寝返り、お座り、歩行の遅れ)がある方
・顔面筋力低下(長い顔貌、高口蓋)がある方
・関節拘縮や脊柱変形がある方
・呼吸障害や摂食・嚥下障害がある方
・筋生検で1型筋線維が2型筋線維より著しく小さいと診断された方
・先天性筋線維タイプ不均等症または先天性ミオパチーの家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、先天性筋線維タイプ不均等症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切なリハビリテーション、装具療法、呼吸管理、栄養管理、定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・他の先天性ミオパチーとの鑑別
・適切なリハビリテーションプログラムの立案
・装具療法の適応判断
・呼吸機能障害のリスク評価と管理(人工呼吸器導入の適切なタイミング)
・摂食・嚥下障害に対する栄養管理(経管栄養の適応判断)
・心臓合併症の早期発見と管理
・整形外科的合併症(側弯症、関節拘縮)の予防と治療
・RYR1遺伝子変異例では悪性高熱症リスクの評価(麻酔時の注意)
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ACTA1, RYR1, SELENON, TPM2, TPM3 ( 5遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・ACTA1遺伝子:
骨格筋α-アクチンをコードする遺伝子。常染色体優性または劣性遺伝形式をとります。先天性筋線維タイプ不均等症の原因遺伝子として約6%未満を占めます。ネマリンミオパチー、アクチンミオパチー、筋内核ロッドミオパチー、ロッド・コアミオパチーの原因遺伝子でもあります。ACTA1遺伝子変異による先天性筋線維タイプ不均等症は、重度の先天性筋力低下と呼吸不全を伴うことが多く、眼筋麻痺を伴わないことが特徴です。アクチンは筋収縮の基本構成要素であり、トロポミオシンと相互作用して筋収縮を制御します。

・RYR1遺伝子:
リアノジン受容体1をコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式(一部優性)をとります。先天性筋線維タイプ不均等症の原因遺伝子として約10~20%を占め、最も頻度の高い原因遺伝子の一つです。セントラルコア病、中心核ミオパチー、ミニコア病、全タイプ1線維ミオパチーの原因遺伝子でもあります。リアノジン受容体1は筋小胞体のカルシウム放出チャネルであり、興奮収縮連関(E-C coupling)において中心的な役割を果たします。RYR1遺伝子変異は悪性高熱症(全身麻酔時の高体温)の感受性とも関連しており、麻酔管理において特に注意が必要です。

・SELENON遺伝子(旧名SEPN1):
セレノプロテインNをコードする遺伝子。常染色体劣性遺伝形式をとります。ミニコア病(多発ミニコア病)の最も頻度の高い原因遺伝子(30~54%)でもあります。セレノプロテインNは小胞体に局在するセレノシステインを含むタンパク質で、酸化ストレスからの細胞保護やカルシウム恒常性の維持に関与すると考えられています。SELENON遺伝子変異による先天性筋線維タイプ不均等症では、脊柱硬直症候群(rigid spine syndrome)を伴うことがあり、また2型糖尿病やインスリン抵抗性との関連も報告されています。

・TPM2遺伝子:
β-トロポミオシンをコードする遺伝子。常染色体優性遺伝形式をとります。ネマリンミオパチー、キャップ病、遠位型関節拘縮症の原因遺伝子でもあります。トロポミオシンはアクチンフィラメント上に位置し、筋収縮の調節に重要な役割を果たします。カルシウムイオン濃度に応じてトロポニンと相互作用し、アクチンとミオシンの結合を制御します。

・TPM3遺伝子:
α-トロポミオシンスロー(slow)をコードする遺伝子。常染色体優性または劣性遺伝形式をとります。先天性筋線維タイプ不均等症の原因遺伝子として約20~40%を占め、最も頻度の高い原因遺伝子です。ネマリンミオパチーの稀な原因遺伝子でもあります。TPM3遺伝子変異による先天性筋線維タイプ不均等症は、1型筋線維が2型筋線維より平均50%以上小さいという典型的な組織学的特徴を示します。多くの症例で遺伝性であり、家族歴が認められます。α-トロポミオシンスローは主に1型(遅筋)線維で発現し、持続的な筋収縮に重要です。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、5つの主要原因遺伝子のみを対象としています。約60%の先天性筋線維タイプ不均等症症例では、既知の遺伝子に変異が見つかりません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、稀な原因遺伝子(MYH7、MYL2など)は本パネルには含まれていません。

※先天性筋線維タイプ不均等症は、他の先天性ミオパチー(ネマリンミオパチー、ミニコア病、中心核ミオパチーなど)や神経筋接合部疾患との鑑別が必要な場合があります。確定診断には筋生検による組織学的診断が必須です。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
新生児期・乳児期からの筋緊張低下(低緊張)や筋力低下がある方、運動発達の遅れ(首の座り、寝返り、お座り、歩行の遅れ)がある方におすすめします。顔面筋力低下(長い顔貌、高口蓋)、関節拘縮、脊柱変形、呼吸障害がある場合も検査をご検討ください。また、筋生検で1型筋線維が2型筋線維より著しく小さいと診断された方や、家族に同様の症状がある場合も検査対象となります。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
筋生検は必ず必要ですか?
先天性筋線維タイプ不均等症の確定診断には、筋生検による組織学的診断が必須です。1型筋線維が2型筋線維より12~40%以上小さいこと、および1型筋線維優位(80%以上)であることが診断基準となります。遺伝子検査は診断を補助し、原因遺伝子を特定するためのものです。ただし、臨床症状と遺伝子検査の結果から総合的に診断される場合もあります。
他の先天性ミオパチーとの違いは何ですか?
先天性筋線維タイプ不均等症は、筋生検で1型筋線維が2型筋線維より著しく小さいという特徴的な所見で診断されます。ネマリンミオパチー(ネマリンロッドの存在)、セントラルコア病(コア構造の存在)、ミオチュブラーミオパチー(中心核の存在)とは組織学的所見が異なります。ただし、同じ遺伝子変異が複数の病型の原因となることもあり、遺伝子検査により原因を特定することで、より正確な診断と予後予測が可能になります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。特に将来妊娠を考えている方は、遺伝カウンセリングを受けることをお勧めします。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
約60%の先天性筋線維タイプ不均等症症例では、既知の遺伝子に変異が見つかりません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と筋生検所見に基づいた診断と管理が引き続き重要です。また、本パネルに含まれていない稀な原因遺伝子(MYH7、MYL2など)の可能性もあります。
RYR1遺伝子変異が見つかった場合、何に注意が必要ですか?
RYR1遺伝子変異は悪性高熱症(全身麻酔時の高体温反応)の感受性と関連しています。手術や全身麻酔が必要な場合には、必ず麻酔科医にRYR1遺伝子変異があることを伝え、特定の麻酔薬(揮発性麻酔薬やスキサメトニウムなど)を避ける必要があります。この情報は生涯にわたって重要ですので、医療者に必ず伝えてください。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
先天性筋線維タイプ不均等症の治療はどのように行われますか?
現在のところ根本的な治療法はありませんが、症状を改善・緩和する治療が長期にわたり行われます。理学療法や作業療法などのリハビリテーション、装具療法、呼吸障害に対する人工呼吸器導入や呼吸リハビリテーション、摂食・嚥下障害に対する経管栄養、心臓合併症に対する薬物療法、整形外科的治療(側弯症や関節拘縮に対する手術)などが行われます。2016年からはHAL医療用下肢タイプによる歩行運動処置が保険適用となっています。
予後はどうですか?
疾患の重症度と進行速度は原因遺伝子や個人によって大きく異なります。重症型では出生直後から呼吸障害や哺乳困難があり、人工呼吸器管理が必要です。中等症型では多くが歩行を獲得でき、緩徐進行性の経過をたどります。軽症型では小児期に症状が改善する「grow out」現象が認められることもあります。生命予後は呼吸機能障害の程度に大きく依存しますが、適切な管理により多くの患者さんは日常生活を維持できます。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な5つの主要原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら