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包括的原発性免疫不全症NGSパネル遺伝子検査|ミネルバクリニック

包括的原発性免疫不全症NGSパネル遺伝子検査|ミネルバクリニック

原発性免疫不全症・先天性免疫異常症とは

原発性免疫不全症(Primary Immunodeficiency: PID)とは、先天的に免疫系のいずれかの部分に欠陥がある疾患の総称です。障害される免疫担当細胞(好中球、T細胞、B細胞など)や補体の種類により、現在では500以上の疾患が同定されています。

近年、原発性免疫不全症は従来の「易感染性を示す疾患」という概念を超えて、自己免疫疾患、自己炎症性疾患、アレルギー、悪性腫瘍など、広範な免疫異常をきたす疾患群として理解されるようになりました。そのため、2017年以降は「先天性免疫異常症(Inborn Errors of Immunity: IEI)」という包括的な名称も使用されています。

原発性免疫不全症は、HIV感染により免疫力が低下するエイズなどの「後天性免疫不全症候群」とは明確に区別されます。本疾患は遺伝性であり、生まれつき免疫系に異常を持つ疾患群です。個々の疾患は希少ですが、全体として10万人あたり2~3人程度の発症頻度と推定されています。

症状と病態

原発性免疫不全症の最も重要な症状は、感染に対する抵抗力の低下による易感染性です。重症感染症のため、重篤な肺炎、中耳炎、膿瘍、髄膜炎などを繰り返すことが特徴です。時に生命の危険を生じることもあり、中耳炎の反復による難聴、肺感染の反復により気管支拡張症などの後遺症を残すこともあります。

易感染性の特徴

  • 感染症が治りにくい、繰り返す、重症化しやすい
  • 通常は病気の原因にならない微生物でも感染症を引き起こす
  • 1年に2回以上肺炎にかかる
  • 1年に4回以上中耳炎にかかる
  • 重症副鼻腔炎を繰り返す
  • 抗菌薬を服用しても2か月以上感染症が治癒しない
  • 髄膜炎、骨髄炎、蜂窩織炎、敗血症、皮下膿瘍、臓器内膿瘍などの深部感染症に2回以上かかる
  • 乳児で呼吸器・消化器感染症を繰り返し、体重増加不良や発育不良を認める
  • 気管支拡張症を発症する

免疫不全以外の症状

易感染性のほかにも、以下のような多様な症状を呈することがあります:

  • 自己免疫疾患:免疫系が自分の組織を攻撃してしまう病態。免疫性血小板減少症、自己免疫性溶血性貧血、関節炎などを合併することがあります
  • 自己炎症性疾患:自然免疫の異常により、感染症や自己免疫疾患の関与なしに全身性の炎症を繰り返す病態。周期性発熱、関節炎、皮膚症状、漿膜炎などが特徴です
  • アレルギー:湿疹、喘息、食物アレルギーなどを合併しやすい
  • 悪性腫瘍:リンパ腫などの悪性腫瘍のリスクが高い
  • リンパ増殖:リンパ節腫大、肝脾腫など
  • その他:発育不良、慢性下痢、カンジダ症、皮膚症状など

病原体の特徴

感染症の病原体は、免疫機能の欠陥の部位によって異なる傾向がみられます:

  • 好中球やB細胞(抗体産生)の異常:細菌感染が多い(肺炎球菌、インフルエンザ菌など)
  • T細胞の異常:真菌・ウイルス感染が多い(カンジダ、ニューモシスチス、サイトメガロウイルスなど)
  • 補体の異常:莢膜をもつ細菌による髄膜炎や敗血症(髄膜炎菌、肺炎球菌など)

重症度と予後

疾患の種類や重症度により経過は大きく異なります。軽症例では抗菌薬の予防内服やヒト免疫グロブリンの定期補充療法などにより通常の日常生活を送ることができます。一方、重症複合免疫不全症(SCID)では造血幹細胞移植を行わないと多くは2歳までに命を落とすことになります。また、慢性肉芽腫症(CGD)などは予防内服をしていても30歳以上で予後不良となることがあり、造血幹細胞移植が行われる場合もあります。

分類と原因遺伝子

国際免疫学会連合(IUIS)により、原発性免疫不全症・先天性免疫異常症は2年ごとに分類が更新されています。2024年現在、508の遺伝子と17のフェノコピーが分類されており、以下の10のカテゴリーに大別されています:

主要な分類(IUIS 2024年分類)

  • 複合免疫不全症(Combined Immunodeficiencies):T細胞とB細胞の両方が障害される疾患群。重症複合免疫不全症(SCID)が代表的
  • 抗体産生不全症(Antibody Deficiencies):B細胞の異常により抗体が産生されない疾患群。X連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)、分類不能型免疫不全症(CVID)など
  • 免疫調節障害(Immune Dysregulation):自己免疫疾患やリンパ増殖を伴う疾患群
  • 食細胞の異常(Phagocyte Disorders):好中球やマクロファージの異常による疾患群。慢性肉芽腫症(CGD)など
  • 自然免疫不全症(Innate Immune Defects):自然免疫系の異常による疾患群
  • 自己炎症性疾患(Autoinflammatory Disorders):炎症の制御異常による疾患群。家族性地中海熱(FMF)など
  • 補体欠損症(Complement Deficiencies):補体系の異常による疾患群
  • 骨髄不全(Bone Marrow Failure):造血障害を伴う疾患群
  • 表現型特徴を伴う複合免疫不全症:特徴的な身体所見を伴う疾患群
  • その他の先天性免疫異常症

代表的な疾患

日本で比較的多くみられる疾患には以下のようなものがあります:

  • X連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA):BTK遺伝子変異により、B細胞が成熟できず抗体が産生されない
  • 分類不能型免疫不全症(CVID):最も頻度の高い抗体産生不全症。20~40代で診断されることが多い
  • 慢性肉芽腫症(CGD):食細胞の殺菌能が低下し、難治性感染症や肉芽腫形成をきたす
  • 重症複合免疫不全症(SCID):T細胞とB細胞の両方が障害される最重症型。早期の造血幹細胞移植が必要
  • ウィスコット・オルドリッチ症候群(WAS):血小板減少、湿疹、免疫不全の三徴を呈する

ミネルバクリニックの包括的原発性免疫不全症遺伝子パネル検査の特徴

「包括的原発性免疫不全症NGSパネル検査」とは、現在原発性免疫不全症・先天性免疫異常症の原因として報告されている596の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、原発性免疫不全症・先天性免疫異常症に関連する596遺伝子を一度に調べられる「包括的原発性免疫不全症NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で原発性免疫不全症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、原発性免疫不全症・先天性免疫異常症に関係するとされる596の遺伝子を一度に調べられる「包括的原発性免疫不全症NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える原発性免疫不全症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「包括的原発性免疫不全症NGSパネル検査」の場合、596の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から原発性免疫不全症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「包括的原発性免疫不全症NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な596の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。これにより、抗体欠損症、複合免疫不全症、食細胞異常、補体欠損症、自己炎症性疾患など、幅広い疾患群の原因を網羅的に検索できます。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「包括的原発性免疫不全症NGSパネル検査」では、原発性免疫不全症・先天性免疫異常症に関係するとされる596種類の遺伝子をまとめて検査します。これには、抗体欠損症、自己炎症性疾患、複合免疫不全症、免疫調節障害、悪性腫瘍、アレルギー、その他類似の表現型を示す可能性のある病態に関連する遺伝子が含まれます。

「包括的原発性免疫不全症NGSパネル検査」は、原発性免疫不全症・先天性免疫異常症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【原発性免疫不全症・先天性免疫異常症の個人歴または家族歴のある方】に
「包括的原発性免疫不全症NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・反復性感染症(肺炎、中耳炎、副鼻腔炎など)のある方
・重症感染症や難治性感染症のある方
・通常は病原性のない微生物による感染症を経験した方
・抗菌薬を服用しても2か月以上感染症が治癒しない方
・髄膜炎、骨髄炎、敗血症などの深部感染症を2回以上経験した方
・乳児で呼吸器・消化器感染症を繰り返し、体重増加不良や発育不良を認める方
・気管支拡張症を発症した方
・自己免疫疾患(免疫性血小板減少症、自己免疫性溶血性貧血など)を合併している方
・周期性発熱など自己炎症性疾患が疑われる方
・原因不明のリンパ節腫大や肝脾腫がある方
・原発性免疫不全症または先天性免疫異常症の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象や体細胞変異の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、原発性免疫不全症・先天性免疫異常症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な感染予防、免疫グロブリン補充療法、造血幹細胞移植などの治療選択、定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・感染予防策の立案(抗菌薬予防内服、ワクチン接種計画など)
・免疫グロブリン補充療法の適応判断
・造血幹細胞移植などの根治的治療の適応判断
・悪性腫瘍や自己免疫疾患などの合併症のリスク評価と早期発見
・疾患特異的な治療法(サイトカイン補充、酵素補充療法など)の選択
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%、X連鎖遺伝の場合は男児が発症するリスクが高くなります。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ACD, ACP5, ACTB, ADA, ADA2, ADAM17, ADAMTS13, ADAMTS3, ADAR, ADGRE2, ADIPOR1, ADIPOR2, AICDA, AIRE, AK2, ALG6, ALPI, ALPK1, ANGPT1, ANKZF1, AP1S3, AP3B1, AP3D1, APOL1, ARHGEF1, ARMC4, ARPC1B, ASAH1, ATG4A, ATM, ATP6AP1, B2M, BACH2, BCL10, BCL11B, BLM, BLNK, BLOC1S3, BLOC1S6, BRCA2, BRIP1, BTK, C1QA, C1QB, C1QC, C1R, C1S, C2, C3, C3AR1, C4BPA, C4BPB, C5, C5AR1, C6, C7, C8A, C8B, C8G, C9, CARD11, CARD14, CARD8, CARD9, CARMIL2, CASP10, CASP8, CAVIN1, CBL, CCBE1, CCDC103, CCDC114, CCDC151, CCDC39, CCDC40, CCDC65, CCNO, CD19, CD247, CD27, CD3D, CD3E, CD3G, CD4, CD40, CD40LG, CD46, CD55, CD59, CD70, CD79A, CD79B, CD81, CD8A, CDC42, CDCA7, CEBPE, CENPF, CFAP298, CFAP300, CFB, CFD, CFH, CFHR1, CFHR2, CFHR3, CFHR4, CFHR5, CFI, CFP, CFTR, CHD7, CIB1, CIITA, CLCN7, CLEC7A, CLPB, COG6, COL7A1, COLEC11, COPA, CORO1A, CR2, CREBBP, CSF2RA, CSF2RB, CSF3R, CTC1, CTLA4, CTNNBL1, CTPS1, CTSC, CXCR2, CXCR4, CYBA, CYBB, CYBC1, CYP27A1, DBR1, DCLRE1B, DCLRE1C, DDX58, DEF6, DGAT1, DGKE, DHFR, DIAPH1, DKC1, DNAAF1, DNAAF2, DNAAF3, DNAAF4, DNAAF5, DNAH1, DNAH11, DNAH5, DNAH9, DNAI1, DNAI2, DNAJB13, DNAJC21, DNAL1, DNASE1L3, DNASE2, DNMT3B, DOCK2, DOCK8, DRC1, DTNBP1, EFL1, ELANE, ELF4, EPG5, ERBIN, ERCC2, ERCC3, ERCC4, ERCC6L2, ETV6, EXTL3, F11, F13A1, F13B, F5, F7, F8, F9, FAAP24, FADD, FANCA, FANCB, FANCC, FANCD2, FANCE, FANCF, FANCG, FANCI, FANCL, FANCM, FAS, FASLG, FAT4, FCGR3A, FCHO1, FCN3, FERMT3, FGA, FGB, FNIP1, FOXJ1, FOXN1, FOXP3, FPR1, G6PC, G6PC3, G6PD, GAS2L2, GAS8, GATA1, GATA2, GFI1, GINS1, GP1BA, GP1BB, GP9, GTF2H5, GUCY2C, HAVCR2, HAX1, HELLS, HMOX1, HPS1, HPS3, HPS4, HPS5, HPS6, HYDIN, HYOU1, ICOS, IFIH1, IFNAR1, IFNAR2, IFNG, IFNGR1, IFNGR2, IGHM, IGLL1, IKBKB, IKZF1, IL10, IL10RA, IL10RB, IL12B, IL12RB1, IL17F, IL17RA, IL17RC, IL18BP, IL1RN, IL2, IL21, IL21R, IL23R, IL2RA, IL2RB, IL2RG, IL36RN, IL6R, IL6ST, IL7, IL7R, INO80, INSR, INVS, IRAK1, IRAK4, IRF2BP2, IRF3, IRF4, IRF7, IRF8, IRF9, ISG15, ITCH, ITGAM, ITGB2, ITK, IVNS1ABP, JAGN1, JAK1, JAK2, JAK3, KDM6A, KIT, KMT2D, KRAS, LAMTOR2, LAT, LCK, LCP2, LIG1, LIG4, LPIN2, LRBA, LRRC6, LRRC8A, LSM11, LYST, MAGT1, MALT1, MAN2B1, MANBA, MAP3K14, MASP1, MASP2, MBL2, MC2R, MCIDAS, MCM10, MCM4, MEFV, MKL1, MLPH, MOGS, MPL, MPO, MRE11, MS4A1, MSH6, MSN, MTHFD1, MVK, MYD88, MYH9, MYO5A, MYSM1, NBAS, NBN, NCF1, NCF2, NCF4, NCKAP1L, NCSTN, NFAT5, NFE2L2, NFKB1, NFKB2, NFKBIA, NHEJ1, NHP2, NKX2-5, NLRC4, NLRP1, NLRP12, NLRP3, NME8, NOD2, NOP10, NRAS, NSMCE3, OAS1, OFD1, ORAI1, OSTM1, OTULIN, PALB2, PARN, PAX1, PCCA, PCCB, PDCD1, PEPD, PGM3, PI4KA, PIGA, PIH1D3, PIK3CD, PIK3CG, PIK3R1, PLCG2, PLEKHM1, PLG, PLVAP, PMM2, PMS2, PNP, POLA1, POLD1, POLD2, POLE, POLE2, POLR3A, POLR3C, POLR3F, POMP, PRF1, PRG4, PRKCD, PRKDC, PROC, PROS1, PSENEN, PSMA3, PSMB4, PSMB8, PSMB9, PSMG2, PSTPIP1, PTEN, PTPRC, RAB27A, RAC2, RAD50, RAD51C, RAG1, RAG2, RANBP2, RASGRP1, RBCK1, RBM8A, RECQL4, REL, RELA, RELB, RFWD3, RFX5, RFXANK, RFXAP, RHOG, RHOH, RIPK1, RMRP, RNASEH2A, RNASEH2B, RNASEH2C, RNF113A, RNF168, RNF31, RNU4ATAC, RORC, RPGR, RPL11, RPL15, RPL26, RPL35A, RPL36, RPL5, RPS10, RPS15, RPS15A, RPS17, RPS19, RPS24, RPS26, RPS27A, RPS28, RPS29, RPS7, RPSA, RSPH1, RSPH3, RSPH4A, RSPH9, RTEL1, RUNX1, SAMD9, SAMD9L, SAMHD1, SAR1B, SBDS, SEC61A1, SEMA3E, SERPING1, SGPL1, SH2D1A, SH3BP2, SH3KBP1, SI, SKIV2L, SLC10A2, SLC26A3, SLC29A3, SLC35A1, SLC35C1, SLC37A4, SLC39A4, SLC39A7, SLC46A1, SLC51B, SLC5A1, SLC7A7, SLC9A3, SLX4, SMARCAL1, SMARCD2, SNORA31, SNX10, SOCS1, SP110, SPAG1, SPINK5, SPINT2, SPPL2A, SRP54, SRP72, STAT1, STAT2, STAT3, STAT4, STAT5B, STAT6, STIM1, STK36, STK4, STN1, STX11, STX3, STXBP2, TAP1, TAP2, TAPBP, TAZ, TBK1, TBX1, TCF3, TCIRG1, TCN2, TERC, TERT, TET2, TFRC, TGFB1, TGFBR1, TGFBR2, THBD, TICAM1, TINF2, TIRAP, TLR2, TLR3, TLR7, TMC6, TMC8, TMEM173, TMPRSS15, TNFAIP3, TNFRSF11A, TNFRSF13B, TNFRSF13C, TNFRSF1A, TNFRSF4, TNFRSF9, TNFSF11, TNFSF12, TNFSF13, TONSL, TOP2B, TP63, TPP1, TPP2, TRADD, TRAF3, TRAF3IP2, TREX1, TRNT1, TTC12, TTC25, TTC37, TTC7A, TYK2, UBA1, UBE2T, UNC119, UNC13D, UNC93B1, UNG, USB1, USP18, VAV1, VPS13B, VPS45, VSIG4, WAS, WDR1, WIPF1, WNT2B, WRAP53, XIAP, XK, XRCC2, ZAP70, ZBTB24, ZCCHC8, ZMYND10, ZNF341, ZNFX1 ( 596遺伝子 )

※これらの遺伝子には、抗体欠損症、自己炎症性疾患、複合免疫不全症、免疫調節障害、悪性腫瘍、アレルギー、その他の類似する表現型に関連する遺伝子が含まれています。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

遺伝子特異的事項:

CD40LG遺伝子:現在の検査方法では、この遺伝子の三塩基反復伸長は評価されません。

F8遺伝子:現在の検査方法には、凝固パネル、F8単一遺伝子検査、またはリクエストによる場合を除き、F8遺伝子のイントロン1/イントロン22逆位の検出は含まれません。

RPGR遺伝子:この検査は、RPGRゲノム(NM_001034853.1)の重要な「ORF15」領域におけるほとんどの病原性変異を検出できます。ただし、この遺伝子座の複雑さのため、現在利用可能な検査では、この領域の一部における変異の存在を完全に除外することはできません:chrX(GRCh37):38144792-38146498。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
反復性の感染症(1年に2回以上の肺炎、4回以上の中耳炎など)がある方、重症感染症や難治性感染症の方、自己免疫疾患や自己炎症性疾患を合併している方におすすめします。また、家族に原発性免疫不全症の方がいる場合も検査をご検討ください。乳児で呼吸器・消化器感染症を繰り返し、体重増加不良や発育不良を認める場合は早期の検査が重要です。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
この検査で全ての原発性免疫不全症が分かりますか?
当検査パネルでは596の原因遺伝子を網羅的に検査しますが、すべての症例で原因が特定できるわけではありません。また、未知の遺伝子による疾患や、この検査では検出できないタイプの遺伝子変異(大規模な構造異常、反復配列の異常など)が原因の場合もあります。検査で異常が見つからなくても、臨床的な診断と管理は引き続き重要です。
自己炎症性疾患と自己免疫疾患の違いは何ですか?
自己炎症性疾患は自然免疫の異常により、感染症や自己免疫疾患の関与なしに全身性の炎症を繰り返す疾患です。周期性発熱、関節炎、皮膚症状などが特徴で、薬を飲まなくても自然に改善することがあります。一方、自己免疫疾患は免疫系が自分の組織を異物と誤認して攻撃する疾患です。どちらも原発性免疫不全症・先天性免疫異常症に含まれ、当検査で原因遺伝子を特定できる可能性があります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。X連鎖遺伝の場合、男児が発症するリスクが特に高くなります。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つかった場合、どのような治療がありますか?
原因遺伝子や疾患の種類によって治療法は異なります。抗菌薬の予防内服、免疫グロブリン補充療法(静脈注射または皮下注射)、サイトカイン補充療法(G-CSF、インターフェロンγなど)、免疫抑制療法、造血幹細胞移植、遺伝子治療などがあります。早期診断により、適切な治療を開始でき、感染症の予防や合併症のリスク軽減が期待できます。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。診断確定後の治療については、疾患の種類により難病医療費助成制度や小児慢性特定疾病医療費助成制度の対象となる場合があります。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢、専門医療機関への紹介などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%、X連鎖遺伝の場合は男児が発症するリスクが高くなります。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
重症複合免疫不全症(SCID)とは何ですか?
重症複合免疫不全症(SCID)は、T細胞とB細胞の両方が障害される最重症型の原発性免疫不全症です。生後早期から重症感染症を繰り返し、治療を行わないと多くは2歳までに命を落とすことになります。早期診断と造血幹細胞移植により救命が可能です。一部の自治体では新生児スクリーニングが実施されています。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な596の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら