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包括的眼疾患遺伝子検査(NGSパネル510遺伝子)|ミネルバクリニック

包括的眼疾患遺伝子検査(NGSパネル510遺伝子)|ミネルバクリニック

遺伝性眼疾患とは

遺伝性眼疾患は、遺伝子の変異によって引き起こされる眼の病気の総称です。350種類以上の眼疾患が遺伝的要因と関連していることが明らかになっており、網膜、角膜、水晶体、視神経など眼のさまざまな部分に影響を及ぼします。

これらの疾患は、先天性(生まれつき)のものから成人期に発症するものまで幅広く、視力低下や失明の主要な原因となっています。遺伝形式も常染色体優性(顕性)遺伝、常染色体劣性(潜性)遺伝、X連鎖遺伝、ミトコンドリア遺伝など多様で、家族歴の有無や発症年齢も疾患によって異なります。

近年の遺伝子工学の発達により、遺伝性眼疾患の原因遺伝子が次々と解明されています。早期に遺伝的原因を特定することで、適切な治療や管理方針の決定、家族計画における重要な情報提供が可能になります。特に網膜色素変性症やレーベル先天黒内障など、一部の疾患では遺伝子治療の臨床応用も始まっており、分子診断の重要性がますます高まっています。

主な遺伝性眼疾患

網膜色素変性症(Retinitis Pigmentosa: RP)

網膜の視細胞(桿体細胞と錐体細胞)および網膜色素上皮細胞の変性により進行性の視覚障害をきたす遺伝性疾患群です。日本における中途失明原因の上位を占めており、4,000~8,000人に1人の頻度で発症します。

  • 主な症状:夜盲(暗いところで見えにくい)、視野狭窄(視野が狭くなる)、視力低下
  • 発症時期:幼児期から成人期まで様々
  • 遺伝形式:常染色体優性遺伝(10~17%)、常染色体劣性遺伝(25~35%)、X連鎖遺伝(2~5%)
  • 原因遺伝子:80種類以上が報告されており、本パネルには主要な原因遺伝子が含まれます

レーベル先天黒内障(Leber Congenital Amaurosis: LCA)

出生時または生後早期に重度の視覚障害を呈する遺伝性網膜疾患です。小児失明の原因の約20%を占め、世界で出生3万~8万人に1人の割合で発生します。

  • 主な症状:重度の視力障害、眼振(眼球が揺れ動く)、瞳孔対光反応の異常、眼指徴候(眼を押す、こする行動)
  • 発症時期:出生時または生後数ヶ月以内
  • 遺伝形式:主に常染色体劣性遺伝
  • 原因遺伝子:28種類以上が報告されており、RPE65遺伝子変異による一部のタイプでは遺伝子治療が承認されています

加齢黄斑変性(Age-related Macular Degeneration: AMD)

網膜の中心部である黄斑が加齢とともに変性し、視力低下を引き起こす疾患です。欧米では中途失明の主要原因であり、日本でも患者数が増加しています。

  • 主な症状:中心視力の低下、物が歪んで見える、中心暗点
  • 発症時期:通常50歳以降
  • 遺伝的要因:15~20%の患者に家族歴があり、親族に患者がいる場合のリスクは50%に上昇
  • 関連遺伝子:40以上の遺伝子座が同定されており、疾患の15~65%に関与

緑内障(Glaucoma)

眼圧上昇などにより視神経が障害され、視野が狭くなる疾患です。成人における主要な失明原因の一つであり、遺伝的要因が大きく関与します。

  • 主な症状:視野狭窄、視力低下(進行すると失明)
  • 家族歴との関連:家族に緑内障患者がいる場合、発症リスクは4~9倍に上昇
  • 原因遺伝子:MYOC、OPTN、CYP1B1など複数の遺伝子が同定されています

白内障(Cataract)

水晶体が濁り、視力が低下する疾患です。加齢性白内障が最も多いですが、先天性白内障や若年性白内障は遺伝的要因が関与します。

  • 主な症状:視力低下、かすみ目、まぶしさ
  • 遺伝性白内障:約50の遺伝子座が関連しており、生後1年以内に発症する先天性や10歳代に発症する若年性があります
  • 家族歴:近親者に白内障患者がいる場合、発症リスクが上昇

その他の主要な遺伝性眼疾患

  • スターガルト病:若年性の黄斑変性症
  • アッシャー症候群:網膜色素変性症と難聴を合併
  • 色覚異常:色の識別困難
  • 網膜芽細胞腫:小児の眼内悪性腫瘍
  • 角膜ジストロフィー:角膜の混濁をきたす疾患群
  • 視神経萎縮症:視神経の変性による視力低下

ミネルバクリニックの包括的眼疾患遺伝子パネル検査の特徴

「包括的眼疾患 NGSパネル検査」とは、現在遺伝性眼疾患の原因として報告されている510の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、遺伝性眼疾患に関連する510遺伝子を一度に調べられる「包括的眼疾患 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で遺伝性眼疾患の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、遺伝性眼疾患に関係するとされる510の遺伝子を一度に調べられる「包括的眼疾患 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える遺伝性眼疾患の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「包括的眼疾患 NGSパネル検査」の場合、510の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から遺伝性眼疾患を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「包括的眼疾患 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な510の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。網膜疾患、角膜疾患、水晶体疾患、視神経疾患、緑内障など、幅広い眼疾患を網羅的に評価できます。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「包括的眼疾患 NGSパネル検査」では、遺伝性眼疾患に関係するとされる510種類の遺伝子をまとめて検査します。これには網膜色素変性症、レーベル先天黒内障、黄斑変性、緑内障、白内障、角膜ジストロフィー、視神経症など、主要な遺伝性眼疾患の原因遺伝子が含まれます。

「包括的眼疾患 NGSパネル検査」は、遺伝性眼疾患の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【遺伝性眼疾患の個人歴または家族歴のある方】に
「包括的眼疾患 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・進行性の視力低下がある方
・夜盲(暗いところで見えにくい)がある方
・視野狭窄(視野が狭くなる)がある方
・中心視力の低下や歪んで見える症状がある方
・先天性または若年性の視力障害がある方
・眼振(眼球が揺れ動く)がある方
・網膜色素変性症、レーベル先天黒内障、緑内障などの診断を受けた方
・遺伝性眼疾患の家族歴がある方
・両親が血縁関係にある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、遺伝性眼疾患の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、定期的な眼科検診、生活環境の調整、遺伝子治療を含む最新治療へのアクセス、ロービジョンケアなどを適切なタイミングで行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・他の眼疾患との鑑別診断
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・遺伝子治療などの最新治療法へのアクセス(RPE65遺伝子変異など)
・ロービジョンケア(拡大鏡、遮光眼鏡など)の適切な導入
・生活環境の調整(照明、コントラストなど)
・職業選択や日常生活に関する適切な助言
・視覚障害者手帳取得などの社会的支援へのアクセス
・関連症状(難聴、腎疾患など)のリスク評価
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ABCA4, ABCB6, ABCC6, ABCD1, ABHD12, ACBD5, ACO2, ACTB, ACVR1, ADAM9, ADAMTS18, ADGRA3, ADGRV1, ADIPOR1, AFG3L2, AGBL1, AGBL5, AGK, AHI1, AHR, AIPL1, ALDH1A3, ALMS1, ALPK1, AMACR, ARHGEF18, ARL13B, ARL2BP, ARL3, ARL6, ASB10, ATF6, ATOH7, ATXN7, AUH, B3GLCT, B9D1, B9D2, BBIP1, BBS1, BBS10, BBS12, BBS2, BBS4, BBS5, BBS7, BBS9, BCOR, BEST1, BFSP1, BFSP2, BMP4, BMP7, BTK, C12orf57, C12orf65, C1QTNF5, C21orf2, C2orf71, C8orf37, CA2, CA4, CABP4, CACNA1F, CACNA2D4, CANT1, CAPN15, CAPN5, CASK, CAV1, CC2D2A, CDH23, CDH3, CDHR1, CEP164, CEP250, CEP290, CEP41, CEP78, CERKL, CFH, CHD7, CHM, CHMP4B, CHN1, CHRDL1, CHST6, CIB2, CISD2, CLCC1, CLDN19, CLN3, CLN5, CLN6, CLN8, CLPB, CLRN1, CNGA1, CNGA3, CNGB1, CNGB3, CNNM4, COL11A1, COL17A1, COL18A1, COL2A1, COL4A1, COL5A1, COL8A2, COL9A1, COL9A2, CPLANE1, CRB1, CRX, CRYAA, CRYAB, CRYBA1, CRYBA2, CRYBA4, CRYBB1, CRYBB2, CRYBB3, CRYGB, CRYGC, CRYGD, CRYGS, CRYL1, CSPP1, CTC1, CTDP1, CTNNA1, CTNNB1, CTSD, CTSF, CWC27, CYP1B1, CYP4V2, DCN, DGKQ, DHDDS, DHX38, DNAJC30, DNAJC5, DNM1L, DRAM2, DTHD1, EFEMP1, ELOVL4, ELP4, EMC1, EPHA2, ERCC1, ERCC2, ERCC5, ERCC6, EXOSC2, EYA1, EYS, FAM126A, FAM161A, FBLN5, FDX2, FDXR, FLVCR1, FOXC1, FOXE3, FOXL2, FRAS1, FREM1, FREM2, FRMD7, FSCN2, FTL, FYCO1, FZD4, GALK1, GCNT2, GDF3, GDF6, GFER, GJA1, GJA3, GJA8, GJB2, GJB6, GLI2, GNAT1, GNAT2, GNB3, GNPTG, GPR143, GPR179, GRHL2, GRIP1, GRK1, GRM6, GRN, GSN, GUCA1A, GUCA1B, GUCY2D, HARS, HCCS, HCN1, HESX1, HGSNAT, HK1, HMCN1, HMGB3, HMX1, HOXA1, HOXB1, HSF4, IARS2, IDH3A, IDH3B, IFT140, IFT172, IFT27, IFT43, IFT81, IGBP1, IMPDH1, IMPG1, IMPG2, INPP5E, INVS, IQCB1, ISPD, ITM2B, JAG1, JAM3, KCNJ13, KCNV2, KCTD7, KERA, KIAA1549, KIF11, KIF21A, KIF7, KIZ, KLC2, KLHL7, KRT12, KRT3, LAMA1, LAMB2, LCA5, LCAT, LEMD2, LIM2, LMX1B, LOXHD1, LOXL1, LRAT, LRIT3, LRMDA, LRP5, LSS, LTBP2, LZTFL1, MAB21L1, MAB21L2, MAF, MAK, MAPKAPK3, MCAT, MECR, MERTK, MFN2, MFRP, MFSD8, MGME1, MIEF1, MIP, MIR184, MITF, MKKS, MKS1, MMACHC, MSMO1, MTPAP, MTTP, MVK, MYO7A, MYOC, NAA10, NBAS, NDP, NDUFS1, NEK2, NEUROD1, NGLY1, NHS, NMNAT1, NPHP1, NPHP3, NPHP4, NR2E3, NR2F1, NRL, NTF4, NYX, OAT, OCRL, OFD1, OPA1, OPA3, OPTN, OR2W3, OTX2, OVOL2, P3H2, PANK2, PAX2, PAX6, PCDH15, PCYT1A, PDE6A, PDE6B, PDE6C, PDE6D, PDE6G, PDE6H, PDSS1, PDZD7, PEX1, PEX10, PEX11B, PEX12, PEX13, PEX14, PEX16, PEX19, PEX2, PEX26, PEX3, PEX5, PEX6, PEX7, PGAP1, PGK1, PHOX2A, PHYH, PIGL, PIKFYVE, PITPNM3, PITX2, PITX3, PLA2G5, PLK4, PNPLA6, POC1B, POLG, POLG2, POMGNT1, POMT1, PORCN, PPT1, PQBP1, PRCD, PRDM5, PRKCG, PROM1, PRPF3, PRPF31, PRPF4, PRPF6, PRPF8, PRPH2, PRPS1, PRSS56, PXDN, RAB18, RAB28, RAB3GAP1, RAB3GAP2, RARB, RAX, RAX2, RB1, RBP3, RBP4, RCBTB1, RD3, RDH11, RDH12, RDH5, REEP6, RERE, RGR, RGS9, RGS9BP, RHO, RIMS1, RLBP1, ROBO3, ROM1, RP1, RP1L1, RP2, RP9, RPE65, RPGR, RPGRIP1, RPGRIP1L, RRM2B, RS1, RTN4IP1, SAG, SALL2, SALL4, SBF2, SCAPER, SDCCAG8, SEMA3E, SEMA4A, SH3PXD2B, SHH, SIL1, SIPA1L3, SIX3, SIX6, SLC16A12, SLC24A1, SLC25A46, SLC33A1, SLC38A8, SLC4A11, SLC4A4, SLC4A7, SLC7A14, SMOC1, SNF8, SNRNP200, SOX2, SOX5, SPATA7, SPG7, SPP2, SRD5A3, SSBP1, STRA6, TACSTD2, TBC1D20, TBK1, TCF4, TCTN1, TCTN2, TCTN3, TDRD7, TEAD1, TEK, TENM3, TFAP2A, TGFBI, TGIF1, TIMM8A, TIMP3, TMEM126A, TMEM138, TMEM216, TMEM231, TMEM237, TMEM67, TMEM98, TOPORS, TPP1, TREX1, TRIM32, TRNT1, TRPM1, TSPAN12, TTC21B, TTC8, TTLL5, TTPA, TTR, TUB, TUBB3, TUBGCP4, TUBGCP6, TULP1, TWNK, TYMP, UBIAD1, UNC119, UNC45B, USH1C, USH1G, USH2A, VAX1, VCAN, VIM, VPS13B, VSX1, VSX2, WDPCP, WDR19, WDR36, WFS1, WHRN, YAP1, YME1L1, ZEB1, ZIC2, ZNF408, ZNF423, ZNF469, ZNF513 ( 510遺伝子 )

主要な遺伝子の詳細:

・網膜色素変性症関連遺伝子:
RHO(ロドプシン)、PRPH2(ペリフェリン)、RP1、RP2、RPGR、RPE65、PDE6A、PDE6B、CNGA1、CNGB1、GUCA1B、SAG、RDH12、CRX、NRL、NR2E3、ABCA4、EYS、USH2Aなど、網膜色素変性症の主要な原因遺伝子を包括的にカバーしています。

・レーベル先天黒内障関連遺伝子:
GUCY2D、RPE65、CRB1、CRX、AIPL1、LCA5、RPGRIP1、CEP290、IMPDH1、RD3、RDH12、LRAT、TULP1、KCNJ13、NMNAT1など、LCAの主要原因遺伝子が含まれます。

・黄斑変性関連遺伝子:
ABCA4(スターガルト病)、EFEMP1、C1QTNF5、PRPH2、BEST1、TIMP3、PROM1など。

・緑内障関連遺伝子:
MYOC(ミオシリン)、OPTN、CYP1B1、PITX2、FOXC1、PAX6など、先天緑内障や若年性緑内障の原因遺伝子。

・白内障関連遺伝子:
CRYAA、CRYAB、CRYBA1、CRYBB2、CRYGC、CRYGD、GJA3、GJA8、MIP、HSF4、BFSP2など、先天性・若年性白内障の原因遺伝子。

・視神経症関連遺伝子:
OPA1、OPA3、WFS1、TIMM8A(レーベル遺伝性視神経症関連)など。

・角膜ジストロフィー関連遺伝子:
TGFBI、KRT3、KRT12、CHST6、SLC4A11など。

・アッシャー症候群関連遺伝子:
MYO7A、USH1C、USH1G、CDH23、PCDH15、USH2A、ADGRV1、WHRN、CLRN1など、難聴を伴う網膜色素変性症の原因遺伝子。

・その他重要な遺伝子:
RS1(若年性網膜分離症)、CHM(脈絡膜欠損症)、NYX(先天停在性夜盲)、CACNA1F(X連鎖網膜疾患)、NDP(Norrie病)、RB1(網膜芽細胞腫)など。

遺伝子特異的注記

RPGR遺伝子:
本検査は、RPGR遺伝子の重要な「ORF15」領域(NM_001034853.1)における大部分の病原性変異を検出可能です。ただし、この領域の複雑性により、現在利用可能な検査では一部の領域(chrX(GRCh37):38144792-38146498)の変異を完全に除外することはできません。

ZIC2遺伝子:
現在の検査方法では、この遺伝子におけるトリヌクレオチドリピート伸長は評価していません。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルは510の遺伝子を対象としていますが、すべての遺伝性眼疾患の原因遺伝子を網羅しているわけではありません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、ミトコンドリア遺伝子の一部の変異など、核DNA以外の遺伝的要因は本検査では評価されません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
進行性の視力低下、夜盲、視野狭窄、先天性の視力障害、眼振などがある方におすすめします。また、網膜色素変性症、レーベル先天黒内障、緑内障、若年性白内障などの診断を受けた方や、これらの疾患の家族歴がある方も検査をご検討ください。遺伝性眼疾患は多様な症状を呈するため、原因不明の眼症状がある場合も検査が有用です。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
510遺伝子を調べることのメリットは何ですか?
遺伝性眼疾患は非常に多様で、臨床症状だけでは原因遺伝子を特定することが困難です。包括的パネル検査により、網膜疾患、角膜疾患、水晶体疾患、視神経疾患など幅広い眼疾患の原因遺伝子を一度に調べることができ、診断確定の可能性が大幅に高まります。また、単一遺伝子検査を繰り返すよりも費用と時間を節約できます。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。X連鎖遺伝の場合は性別によってリスクが異なります。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
510遺伝子を調べても、すべての遺伝性眼疾患の原因遺伝子を網羅しているわけではありません。未同定の原因遺伝子や、検査で検出できない変異タイプ(深部イントロン変異、リピート伸長など)が存在する可能性があります。検査で病原性変異が検出されなくても、遺伝性眼疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と眼科検査に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
遺伝子治療は受けられますか?
RPE65遺伝子変異によるレーベル先天黒内障に対しては、既に遺伝子治療が承認されています。その他の遺伝子についても、多くの臨床試験が進行中です。遺伝子検査で原因遺伝子を特定することは、将来的な遺伝子治療へのアクセスの第一歩となります。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。一部の遺伝子については保険診療での検査が可能な場合もありますが、対象遺伝子や適応条件が限られています。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。病原性変異が見つかった場合は、その遺伝子に関する最新の治療法や臨床試験情報もご提供します。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
網膜色素変性症と診断されていますが、この検査は有用ですか?
はい、非常に有用です。網膜色素変性症は80種類以上の遺伝子が原因となり得る疾患群で、原因遺伝子によって進行速度や合併症のリスクが異なります。本パネルには主要な網膜色素変性症原因遺伝子が含まれており、原因遺伝子を特定することで、より適切な管理方針の決定や将来の治療法へのアクセスが可能になります。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では510の遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を大幅に短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら