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血友病・凝固異常症遺伝子検査|ミネルバクリニック

血友病・凝固異常症遺伝子検査|ミネルバクリニック

凝固異常症とは

凝固異常症(血液凝固障害)は、血液が正常に固まらない遺伝性の疾患群です。私たちの体では、けがをして出血した際に血液が固まって出血を止める仕組み(止血機構)が働きます。この止血機構には血小板と凝固因子と呼ばれる多くのタンパク質が関与していますが、これらの因子に異常があると、出血が止まりにくくなります。

凝固異常症には多くの種類がありますが、最も頻度の高いものは血友病A(第VIII因子欠乏症)、血友病B(第IX因子欠乏症)、フォン・ヴィレブランド病です。これらは遺伝性の疾患であり、多くの場合、幼少期から症状が現れます。

正常な止血には、血小板と12種類の凝固因子(第I~XIII因子、第VI因子は欠番)が協調して働く必要があります。これらの因子のいずれかが欠乏したり、機能が低下したりすると、血液が正常に固まらず、出血傾向を示すようになります。日本では血友病Aの患者数は約5,000人、血友病Bは約1,000人と報告されています。

主な凝固異常症

血友病A(第VIII因子欠乏症)

血友病Aは、血液凝固第VIII因子の量的・質的異常により出血傾向を示す疾患です。X連鎖劣性遺伝(伴性劣性遺伝)形式をとるため、ほとんどが男性に発症します。日本では約5,000人の患者さんがおり、先天性凝固障害症の中で最も頻度の高い疾患です。

第VIII因子の活性値により重症度が分類され、活性値が1%未満の場合は「重症」、1~5%の場合は「中等症」、5%以上の場合は「軽症」とされます。重症例では自然出血が起こりやすく、関節内出血や筋肉内出血が反復することで、血友病性関節症などの合併症をきたすことがあります。

血友病B(第IX因子欠乏症、クリスマス病)

血友病Bは、血液凝固第IX因子の量的・質的異常により出血傾向を示す疾患です。血友病Aと同様にX連鎖劣性遺伝形式をとり、ほとんどが男性に発症します。日本では約1,000人の患者さんがおり、血友病Aの約1/5の頻度です。

臨床症状は血友病Aとほぼ同じで、重症度も第IX因子の活性値により分類されます。血友病Aと血友病Bは臨床症状だけでは区別できず、凝固因子の測定や遺伝子検査により鑑別されます。

フォン・ヴィレブランド病

フォン・ヴィレブランド病は、フォン・ヴィレブランド因子(VWF)の量的減少または質的異常により止血障害をきたす遺伝性疾患です。VWFは血管損傷部位に血小板が粘着するのをサポートし、また第VIII因子を安定化させる働きがあります。

血友病とは異なり、常染色体優性遺伝または常染色体劣性遺伝の形式をとるため、男女同じ割合で発症します。人口の0.1~1%に認められるとされ、出血性疾患の中では比較的頻度の高い疾患です。多くの場合は血友病よりも軽症で、鼻出血、歯肉出血、皮下出血、過多月経などの粘膜出血が主な症状です。

病型は、量的減少症の1型、質的異常症の2型(2A、2B、2M、2Nの4亜型)、完全欠損症の3型に分類されます。1型が最も多く、全患者の約70%を占めます。

先天性フィブリノゲン異常症

先天性フィブリノゲン異常症は、フィブリノゲン(第I凝固因子)の異常による出血性疾患です。フィブリノゲンは血液凝固の最終段階でフィブリンに変換され、血栓形成に重要な役割を果たします。

本疾患には以下の3つの型があります:

  • 無フィブリノゲン血症:フィブリノゲンがほとんど産生されない常染色体劣性遺伝疾患。重症の出血傾向を示します。
  • 低フィブリノゲン血症:フィブリノゲンの産生量が減少している疾患。症状は軽度で、半数以上は無症候性です。
  • 異常フィブリノゲン血症:フィブリノゲンの構造異常により機能が低下している疾患。出血症状のほか、血栓症を呈することもあります。

症状と病態

凝固異常症の主な症状は出血傾向です。しかし、疾患の種類や重症度によって出血の部位や程度は大きく異なります。

主要症状

  • 皮下出血(あざができやすい)
  • 関節内出血(特に膝、肘、足関節)
  • 筋肉内出血
  • 口腔内出血(歯肉出血、抜歯後の止血困難)
  • 鼻出血(なかなか止まらない)
  • 過多月経(女性の場合)
  • 外傷後の遷延性出血
  • 手術後の止血困難
  • 重症例では頭蓋内出血、消化管出血など

血友病の症状

血友病の出血症状は、凝固因子の活性値により異なります。重症例(因子活性1%未満)では、外傷がなくても自然出血が起こることがあります。最も問題となるのは関節内出血で、反復すると関節の変形や機能障害を引き起こす血友病性関節症となります。

乳幼児期では皮下出血や外傷による出血が多く、歩行開始後は関節内出血が増加します。頭蓋内出血は生命を脅かす重篤な合併症であり、頭部外傷時には注意が必要です。中等症や軽症では、手術や抜歯、外傷時に異常出血として気づかれることが多いです。

フォン・ヴィレブランド病の症状

フォン・ヴィレブランド病は、血友病と比較して皮膚粘膜出血が主体です。鼻出血、歯肉出血、口腔内出血、皮下出血、抜歯後・手術後の止血困難などが特徴的です。女性では過多月経、初潮時異常出血、流産・分娩時の異常出血が認められます。

重症例(3型)では関節内出血や筋肉内出血など、血友病様の深部出血を呈することもあります。軽症例では出血症状が軽微で、検査値も変動するため診断が困難なことがあります。

先天性フィブリノゲン異常症の症状

無フィブリノゲン血症は重症の出血傾向を示し、臍帯出血、頭蓋内出血、消化管出血などが新生児期から起こることがあります。低フィブリノゲン血症は症状が軽度で、半数以上は無症候性です。異常フィブリノゲン血症では出血症状のほか、まれに血栓症を呈することもあります。

進行と予後

凝固異常症は生涯にわたり管理が必要な疾患ですが、適切な治療により多くの患者さんは通常の生活を送ることができます。現在では凝固因子製剤による補充療法や定期補充療法(予防投与)が確立され、出血の予防と重症合併症の回避が可能となっています。

重症血友病では、定期補充療法により関節症の発症を予防し、QOL(生活の質)を大きく改善できます。ただし、反復する補充療法により、一部の患者さんでは凝固因子に対する抗体(インヒビター)が出現することがあり、これが治療を困難にする場合があります。

遺伝形式と原因遺伝子

X連鎖劣性遺伝(伴性劣性遺伝)

血友病A(F8遺伝子)と血友病B(F9遺伝子)はX連鎖劣性遺伝形式をとります。原因遺伝子はX染色体上にあるため、ほとんどの患者は男性です。

  • 患者男性の娘は必ず保因者となります
  • 患者男性の息子は正常です(父親からY染色体を受け継ぐため)
  • 保因者女性が妊娠した場合、息子が患者となる確率は50%、娘が保因者となる確率は50%です
  • 女性でも、両親がともに病的変異を持つ場合や、X染色体の不活化の偏りがある場合に発症することがあります(非常にまれ)

常染色体優性遺伝

フォン・ヴィレブランド病の1型および2型の多くは常染色体優性遺伝形式をとります(VWF遺伝子)。男女同じ確率で発症し、患者の子どもが発症する確率は50%です。

常染色体劣性遺伝

フォン・ヴィレブランド病の3型や一部の2型、先天性フィブリノゲン異常症(FGA、FGB、FGG遺伝子)の多くは常染色体劣性遺伝形式をとります。患者の兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。

当検査パネルでは、これらの凝固異常症に関連する24の遺伝子を対象としています。F8遺伝子のイントロン1およびイントロン22の逆位検出も含まれており、重症血友病Aの約40%を占めるこれらの変異を検出することができます。

ミネルバクリニックの凝固異常症遺伝子パネル検査の特徴

「凝固異常症 NGSパネル検査」とは、現在凝固異常症の原因として報告されている24の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、凝固異常症に関連する24遺伝子を一度に調べられる「凝固異常症 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で凝固異常症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、凝固異常症に関係するとされる24の遺伝子を一度に調べられる「凝固異常症 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える凝固異常症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「凝固異常症 NGSパネル検査」の場合、24の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から凝固異常症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「凝固異常症 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な24の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。血友病A・B、フォン・ヴィレブランド病、先天性フィブリノゲン異常症をはじめとする多様な凝固異常症を包括的に評価できます。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
F8遺伝子イントロン1/イントロン22逆位検出 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「凝固異常症 NGSパネル検査」では、凝固異常症に関係するとされる24種類の遺伝子(F10, F11, F12, F13A1, F13B, F2, F5, F7, F8, F9, FGA, FGB, FGG, GGCX, GP1BA, KLKB1, KNG1, LMAN1, MCFD2, PLG, SERPINE1, SERPINF2, VKORC1, VWF)をまとめて検査します。

「凝固異常症 NGSパネル検査」は、凝固異常症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【凝固異常症の個人歴または家族歴のある方】に
「凝固異常症 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・原因不明の出血傾向がある方
・あざができやすい方
・鼻出血がなかなか止まらない方
・歯肉出血や抜歯後の止血困難がある方
・関節内出血や筋肉内出血を繰り返す方
・過多月経がある女性
・手術や外傷時に異常出血があった方
・凝固因子の活性値が低い方
・PT延長、APTT延長などの凝固検査異常がある方
・血友病、フォン・ヴィレブランド病、またはその他の凝固異常症の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
・原因不明の新生児出血がある乳児

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、凝固異常症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な補充療法、定期補充療法、出血予防策、生活指導を行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・血友病A・B、フォン・ヴィレブランド病、先天性フィブリノゲン異常症の鑑別
・重症度の評価と予後予測
・適切な凝固因子製剤の選択
・定期補充療法の適応判断
・インヒビター出現リスクの評価
・手術や処置時の止血管理計画の立案
・関節症など合併症の予防策の実施
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。X連鎖劣性遺伝の血友病の場合、保因者女性の息子が発症するリスクは50%です。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

F10, F11, F12, F13A1, F13B, F2, F5, F7, F8, F9, FGA, FGB, FGG, GGCX, GP1BA, KLKB1, KNG1, LMAN1, MCFD2, PLG, SERPINE1, SERPINF2, VKORC1, VWF ( 24遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・F8遺伝子:
血液凝固第VIII因子をコードする遺伝子。X染色体上に位置し、変異により血友病Aを発症します。イントロン22の逆位は重症血友病Aの約40%を占め、当検査では逆位の検出も可能です。イントロン1の逆位も検出対象に含まれます。

・F9遺伝子:
血液凝固第IX因子をコードする遺伝子。X染色体上に位置し、変異により血友病B(クリスマス病)を発症します。点変異が多いのが特徴です。

・VWF遺伝子:
フォン・ヴィレブランド因子をコードする遺伝子。12番染色体上に位置します。量的減少(1型)、質的異常(2型)、完全欠損(3型)のいずれの病型も、VWF遺伝子の変異により生じます。

・FGA、FGB、FGG遺伝子:
フィブリノゲンのAα鎖、Bβ鎖、γ鎖をそれぞれコードする遺伝子。4番染色体上に位置し、これらの遺伝子の変異により無フィブリノゲン血症、低フィブリノゲン血症、異常フィブリノゲン血症が生じます。

・F2遺伝子:
プロトロンビン(第II因子)をコードする遺伝子。変異により先天性プロトロンビン欠乏症が生じます。

・F5遺伝子:
第V因子をコードする遺伝子。変異により先天性第V因子欠乏症(パラ血友病)が生じます。

・F7遺伝子:
第VII因子をコードする遺伝子。変異により先天性第VII因子欠乏症が生じます。比較的軽症のことが多いです。

・F10遺伝子:
第X因子をコードする遺伝子。変異により先天性第X因子欠乏症(スチュアート・プラウア因子欠乏症)が生じます。

・F11遺伝子:
第XI因子をコードする遺伝子。変異により先天性第XI因子欠乏症(血友病C)が生じます。常染色体劣性遺伝形式をとります。

・F12遺伝子:
第XII因子(ハーゲマン因子)をコードする遺伝子。欠乏症は通常出血症状を呈しませんが、検査異常として発見されます。

・F13A1、F13B遺伝子:
第XIII因子のA subunitとB subunitをそれぞれコードする遺伝子。変異により先天性第XIII因子欠乏症が生じ、臍帯出血や創傷治癒遅延が特徴的です。

・GGCX遺伝子:
γ-グルタミルカルボキシラーゼをコードする遺伝子。ビタミンK依存性凝固因子(第II、VII、IX、X因子)の活性化に必要な酵素です。

・VKORC1遺伝子:
ビタミンKエポキシド還元酵素複合体サブユニット1をコードする遺伝子。ビタミンKサイクルに関与し、複合的凝固因子欠乏症の原因となります。

・GP1BA遺伝子:
血小板糖タンパク質Ibαをコードする遺伝子。変異によりベルナール・スリエ症候群が生じます。VWFと血小板の結合に関与します。

・LMAN1、MCFD2遺伝子:
第V因子・第VIII因子の細胞内輸送に関与するタンパク質をコードする遺伝子。変異により複合的第V・VIII因子欠乏症が生じます。

・KLKB1遺伝子:
プレカリクレインをコードする遺伝子。接触因子系に関与します。

・KNG1遺伝子:
キニノーゲンをコードする遺伝子。接触因子系に関与します。

・PLG遺伝子:
プラスミノーゲンをコードする遺伝子。線溶系の主要因子です。

・SERPINE1遺伝子:
プラスミノーゲン活性化因子インヒビター1(PAI-1)をコードする遺伝子。線溶系の制御に関与します。

・SERPINF2遺伝子:
α2-プラスミンインヒビターをコードする遺伝子。線溶系の制御に関与し、欠乏症では線溶亢進による出血傾向を示します。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位(F8遺伝子のイントロン1/イントロン22逆位を除く)、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

F8遺伝子特記事項:
当検査方法ではF8遺伝子のイントロン1およびイントロン22逆位の検出が含まれています。これらの逆位は重症血友病Aの主要な原因であり、イントロン22逆位は重症型の約40%に認められます。

※検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、本検査パネルに含まれない稀な凝固因子欠乏症や、未同定の原因遺伝子による疾患の可能性もあります。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
原因不明の出血傾向がある方、あざができやすい方、鼻出血がなかなか止まらない方、関節内出血を繰り返す方におすすめします。また、凝固検査(PT、APTT)で異常が認められた方、凝固因子の活性値が低い方も検査をご検討ください。女性では過多月経も重要なサインです。家族に血友病やフォン・ヴィレブランド病の方がいる場合も検査をおすすめします。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
血友病AとBの違いは何ですか?
血友病Aは第VIII因子の欠乏、血友病Bは第IX因子の欠乏による疾患です。臨床症状はほぼ同じで、いずれもX連鎖劣性遺伝形式をとります。血友病Aの方が約5倍多く、日本では血友病Aが約5,000人、血友病Bが約1,000人と報告されています。治療には欠乏している因子の製剤を使用するため、遺伝子検査により正確な診断が重要です。
女性でも血友病になりますか?
血友病A・Bはほとんどが男性に発症しますが、女性でも非常にまれに発症することがあります。一方、フォン・ヴィレブランド病は男女同じ割合で発症します。血友病の保因者女性も、X染色体の不活化の偏りにより軽度の出血傾向を示すことがあります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。血友病(X連鎖劣性遺伝)の場合、保因者女性の息子が患者となるリスクは50%です。フォン・ヴィレブランド病(多くは常染色体優性遺伝)の場合、患者の子どもが発症するリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。本検査パネルに含まれない稀な凝固因子欠乏症や、未同定の原因遺伝子による疾患の可能性もあります。臨床症状と凝固検査に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。血友病(X連鎖劣性遺伝)の場合、患者男性の娘は必ず保因者となり、保因者女性の息子が患者となる確率は50%です。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
凝固異常症の治療はどのように行われますか?
血友病では不足している凝固因子製剤(第VIII因子製剤または第IX因子製剤)による補充療法が基本です。重症例では定期補充療法(予防投与)により出血を予防します。フォン・ヴィレブランド病では、病型により第VIII因子・VWF複合体製剤やデスモプレシンが使用されます。先天性フィブリノゲン異常症ではフィブリノゲン濃縮製剤が使用されます。
予後はどうですか?
適切な治療により、多くの患者さんは通常の生活を送ることができます。現在では凝固因子製剤による補充療法や定期補充療法が確立され、出血の予防と重症合併症の回避が可能となっています。ただし、一部の患者さんでは凝固因子に対する抗体(インヒビター)が出現することがあり、注意が必要です。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な24の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、F8遺伝子のイントロン1/イントロン22逆位の検出も含まれており、重症血友病Aの主要な原因を検出できます。臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら