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胆汁うっ滞(cholestasis)遺伝子検査|ミネルバクリニック

胆汁うっ滞(cholestasis)遺伝子検査|ミネルバクリニック

胆汁うっ滞とは

胆汁うっ滞(cholestasis)とは、肝臓で生成される胆汁の流れが障害され、肝臓内や胆管に胆汁が滞留する状態を指します。胆汁は肝臓で作られ、胆嚢に蓄えられた後、脂肪の消化を助けるために十二指腸へ分泌される消化液ですが、この流れが障害されると肝臓に損傷が生じます。

胆汁うっ滞には、感染症、薬剤の使用、ホルモンの影響など様々な原因がありますが、遺伝性胆汁うっ滞症は遺伝子変異によって引き起こされます。原因遺伝子は、胆汁塩やリン脂質の分泌・輸送を担うタンパク質、胆管の発達に関与する因子、胆汁酸代謝に関わる酵素、その他肝臓の代謝に影響を与える遺伝子など多岐にわたります。

遺伝性胆汁うっ滞症の代表的な疾患に、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(Progressive Familial Intrahepatic Cholestasis: PFIC)があります。PFICは乳児期に発症し、常染色体劣性遺伝形式をとる稀少疾患で、指定難病に指定されています。現在PFIC1からPFIC12まで12の病型が同定されており、それぞれ異なる遺伝子変異が原因となっています。

症状と病態

胆汁うっ滞の症状は、発症年齢や原因によって異なりますが、胆汁の流れが障害されることで共通して以下のような症状が現れます。

主要症状

  • 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
  • 掻痒(激しいかゆみ、特にPFICでは著明)
  • 肝脾腫(肝臓や脾臓の腫大)
  • 悪心・嘔吐
  • 腹痛
  • 体重増加不良(乳幼児の場合)
  • 成長障害
  • 尿の色が濃くなる
  • 便の色が薄くなる(灰白色便)
  • 脂溶性ビタミン(A、D、E、K)欠乏症状

進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)の特徴

PFICは病型によって臨床症状に違いがあります。

  • PFIC1(ATP8B1遺伝子変異):乳児期から遷延性黄疸として発症し、著明な掻痒感、肝脾腫を呈します。肝外症状として、下痢、膵機能不全、難聴、低身長などを合併することが特徴です。血清γ-GTP値は正常または軽度高値です。
  • PFIC2(ABCB11遺伝子変異):肝外症状は認めませんが、PFIC1と比較して肝不全への進行が早く、若年で肝細胞癌を発症することがあります。血清γ-GTP値は正常または軽度高値です。
  • PFIC3(ABCB4遺伝子変異):日本人では極めて稀です。PFIC1、2と異なり、血清γ-GTP値が高値を示します。
  • PFIC4(TJP2遺伝子変異):PFIC2と同様に肝外症状は認めず、早期に肝不全が進行します。
  • PFIC5(NR1H4遺伝子変異):比較的新しく同定された病型です。

アラジール症候群

JAG1遺伝子やNOTCH2遺伝子の変異によって引き起こされる症候群で、胆汁うっ滞に加えて、特徴的な顔貌、心血管異常、骨格異常、眼の異常などの多臓器症状を呈します。

進行と予後

遺伝性胆汁うっ滞症は進行性の経過をとることが多く、保存的治療(利胆剤、脂溶性ビタミン補充など)の効果が不十分な場合は肝移植が適応となります。早期診断と適切な管理により、予後の改善が期待できます。

遺伝形式と原因遺伝子

遺伝性胆汁うっ滞症は、主に常染色体劣性(潜性)遺伝形式をとりますが、アラジール症候群のように常染色体優性(顕性)遺伝形式をとる疾患もあります。現在までに多数の原因遺伝子が同定されており、それぞれ異なる分子メカニズムで胆汁うっ滞を引き起こします。

胆汁分泌・輸送に関わる遺伝子

  • ATP8B1遺伝子:PFIC1の原因遺伝子。FIC1タンパク質をコードし、その異常により胆汁分泌が障害されます。
  • ABCB11遺伝子:PFIC2の原因遺伝子。胆汁酸トランスポーターであるBSEP(bile salt export pump)をコードし、肝細胞から胆汁酸を分泌できなくなります。
  • ABCB4遺伝子:PFIC3の原因遺伝子。MDR3 P糖タンパク質をコードし、胆汁中のリン脂質分泌に関与します。
  • ABCC2遺伝子:MRP2タンパク質をコードし、ビリルビンや有機陰イオンの排泄に関与します。
  • ABCG5、ABCG8遺伝子:植物ステロールの排泄に関与し、シトステロール血症の原因となります。

胆管発達に関わる遺伝子

  • JAG1遺伝子:アラジール症候群の主要原因遺伝子(約94%)。Notchシグナル伝達経路に関与します。
  • NOTCH2遺伝子:アラジール症候群の原因遺伝子(約1%)。

胆汁酸代謝に関わる遺伝子

  • AKR1D1、CYP7A1、CYP7B1、CYP27A1遺伝子:胆汁酸合成に関与する酵素をコードします。
  • HSD3B7、HSD17B4遺伝子:胆汁酸合成経路の酵素をコードします。
  • BAAT、AMACR遺伝子:胆汁酸抱合に関与します。

その他の遺伝子

  • TJP2遺伝子:PFIC4の原因遺伝子。タイトジャンクションタンパク質をコードし、毛細胆管の構造維持に関与します。
  • NR1H4遺伝子:PFIC5の原因遺伝子。FXR(Farnesoid X receptor)をコードし、胆汁酸代謝の調節に関与します。
  • MYO5B、VPS33B、VIPAS39遺伝子:細胞内輸送に関与し、微絨毛封入体病や関節拘縮-腎機能障害-胆汁うっ滞症候群の原因となります。

当検査パネルでは、これらの原因遺伝子を含む72遺伝子を対象としており、遺伝性胆汁うっ滞症の主要な原因を包括的にスクリーニングすることが可能です。

ミネルバクリニックの胆汁うっ滞遺伝子パネル検査の特徴

「胆汁うっ滞 NGSパネル検査」とは、現在遺伝性胆汁うっ滞症の原因として報告されている72の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、胆汁うっ滞に関連する72遺伝子を一度に調べられる「胆汁うっ滞 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で胆汁うっ滞の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、胆汁うっ滞に関係するとされる72の遺伝子を一度に調べられる「胆汁うっ滞 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える胆汁うっ滞の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「胆汁うっ滞 NGSパネル検査」の場合、72の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から胆汁うっ滞を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「胆汁うっ滞 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な72の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「胆汁うっ滞 NGSパネル検査」では、胆汁うっ滞に関係するとされる72種類の遺伝子(ABCB11、ABCB4、ABCC2、ABCG5、ABCG8、AKR1D1、ALDOB、AMACR、ATP8B1、BAAT、CC2D2A、CFTR、CLDN1、CREB3L3、CYP27A1、CYP7A1、CYP7B1、DCDC2、DGUOK、DHCR7、EHHADH、EPHX1、FAH、GBA、GPBAR1、HNF1B、HSD17B4、HSD3B7、INVS、JAG1、LCT、LIPA、LMF1、MKS1、MPV17、MYO5B、NOTCH2、NPC1、NPC2、NPHP1、NPHP3、NPHP4、NR1H4、PEX1、PEX10、PEX11B、PEX12、PEX13、PEX14、PEX16、PEX19、PEX2、PEX26、PEX3、PEX5、PEX6、PEX7、PKHD1、POLG、SCP2、SERPINA1、SLC10A1、SLC10A2、SLC25A13、SLC27A5、SMPD1、TJP2、TMEM216、TRMU、UGT1A1、VIPAS39、VPS33B)をまとめて検査します。

「胆汁うっ滞 NGSパネル検査」は、遺伝性胆汁うっ滞症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【胆汁うっ滞の個人歴または家族歴のある方】に
「胆汁うっ滞 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・原因不明の黄疸がある方
・激しい掻痒がある方
・肝脾腫が認められる方
・乳幼児期から続く遷延性黄疸がある方
・体重増加不良や成長障害がある方
・灰白色便や濃い尿が認められる方
・血液検査で直接ビリルビン、総胆汁酸、AST・ALT高値を呈する方
・脂溶性ビタミン欠乏症状がある方
・進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)やアラジール症候群の疑いがある方
・胆汁うっ滞の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、胆汁うっ滞の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な薬物療法、栄養管理、定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)の病型分類
・適切な薬物療法(利胆剤、ウルソデオキシコール酸など)の選択
・脂溶性ビタミン(A、D、E、K)補充の適応判断
・肝移植の適応とタイミングの判断
・肝外症状(下痢、難聴など)のリスク評価
・肝細胞癌発症リスクの評価と管理
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ABCB11, ABCB4, ABCC2, ABCG5, ABCG8, AKR1D1, ALDOB, AMACR, ATP8B1, BAAT, CC2D2A, CFTR, CLDN1, CREB3L3, CYP27A1, CYP7A1, CYP7B1, DCDC2, DGUOK, DHCR7, EHHADH, EPHX1, FAH, GBA, GPBAR1, HNF1B, HSD17B4, HSD3B7, INVS, JAG1, LCT, LIPA, LMF1, MKS1, MPV17, MYO5B, NOTCH2, NPC1, NPC2, NPHP1, NPHP3, NPHP4, NR1H4, PEX1, PEX10, PEX11B, PEX12, PEX13, PEX14, PEX16, PEX19, PEX2, PEX26, PEX3, PEX5, PEX6, PEX7, PKHD1, POLG, SCP2, SERPINA1, SLC10A1, SLC10A2, SLC25A13, SLC27A5, SMPD1, TJP2, TMEM216, TRMU, UGT1A1, VIPAS39, VPS33B ( 72遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・ABCB11遺伝子:
PFIC2の原因遺伝子。胆汁酸トランスポーターBSEP(bile salt export pump)をコードし、肝細胞から胆汁酸を毛細胆管腔に分泌させます。

・ABCB4遺伝子:
PFIC3の原因遺伝子。MDR3 P糖タンパク質をコードし、胆汁中へのリン脂質分泌に関与します。

・ABCC2遺伝子:
MRP2タンパク質をコードし、ビリルビンや有機陰イオンの胆汁中への排泄に関与します。Dubin-Johnson症候群の原因遺伝子です。

・ABCG5、ABCG8遺伝子:
植物ステロールの排泄に関与し、シトステロール血症の原因遺伝子です。

・AKR1D1遺伝子:
5β-レダクターゼをコードし、胆汁酸合成に関与します。変異により胆汁酸合成障害を引き起こします。

・ATP8B1遺伝子:
PFIC1の原因遺伝子。FIC1タンパク質をコードし、肝細胞、小腸細胞において胆汁酸代謝に関わる核内受容体FXRの発現調節に関与します。

・BAAT遺伝子:
胆汁酸CoA:アミノ酸N-アシルトランスフェラーゼをコードし、胆汁酸の抱合に関与します。

・CFTR遺伝子:
嚢胞性線維症の原因遺伝子。塩化物イオンチャネルをコードし、胆汁うっ滞を伴うことがあります。

・CYP7A1、CYP7B1、CYP27A1遺伝子:
胆汁酸合成経路の酵素をコードし、変異により胆汁酸合成障害を引き起こします。

・HSD3B7、HSD17B4遺伝子:
胆汁酸合成経路の酵素をコードし、変異により胆汁酸合成障害を引き起こします。

・JAG1遺伝子:
アラジール症候群の主要原因遺伝子(約94%)。Notchシグナル伝達経路のリガンドであるJagged1をコードし、胆管の発達に重要な役割を果たします。

・NOTCH2遺伝子:
アラジール症候群の原因遺伝子(約1%)。Notch受容体をコードし、胆管発達に関与します。

・NR1H4遺伝子:
PFIC5の原因遺伝子。FXR(Farnesoid X receptor)をコードし、胆汁酸代謝の主要な調節因子です。

・TJP2遺伝子:
PFIC4の原因遺伝子。タイトジャンクションタンパク質ZO-2をコードし、毛細胆管の構造維持に関与します。

・MYO5B、VPS33B、VIPAS39遺伝子:
細胞内輸送に関与し、微絨毛封入体病や関節拘縮-腎機能障害-胆汁うっ滞症候群の原因となります。

・SERPINA1遺伝子:
α1-アンチトリプシンをコードし、その欠損症では肝疾患や肺気腫を引き起こします。

・UGT1A1遺伝子:
ビリルビンの抱合に関与し、Gilbert症候群やCrigler-Najjar症候群の原因遺伝子です。

・その他のPEX遺伝子群(PEX1、PEX2、PEX3、PEX5、PEX6、PEX7、PEX10、PEX11B、PEX12、PEX13、PEX14、PEX16、PEX19、PEX26):
ペルオキシソーム形成障害症の原因遺伝子で、Zellweger症候群などを引き起こし、肝障害を伴うことがあります。

・その他の遺伝子:
代謝異常症(ガラクトース血症、チロシン血症、ミトコンドリア病など)や多臓器疾患に関連する遺伝子も含まれており、胆汁うっ滞を伴う疾患を包括的に評価できます。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※胆汁うっ滞には多様な原因があり、すべての原因遺伝子が同定されているわけではありません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、薬剤性や感染症など、遺伝子以外の原因による胆汁うっ滞も存在します。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
原因不明の黄疸、激しい掻痒、肝脾腫がある方におすすめします。特に乳幼児期からの遷延性黄疸、体重増加不良、成長障害、灰白色便がある場合は、遺伝性胆汁うっ滞症の可能性があります。血液検査で直接ビリルビン、総胆汁酸、AST・ALT高値を呈し、原因が特定できない場合も検査をご検討ください。また、家族に同様の症状がある場合も重要です。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)とは何ですか?
PFICは、乳児期に発症する遺伝性の肝内胆汁うっ滞症で、常染色体劣性遺伝形式をとります。現在PFIC1からPFIC12まで12の病型が同定されており、それぞれ異なる遺伝子変異が原因となっています。著明な掻痒、黄疸、肝脾腫を呈し、進行性の経過をとります。当検査により原因遺伝子を特定することで、病型分類と適切な治療方針の決定が可能になります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝性胆汁うっ滞症の多くは常染色体劣性遺伝形式をとり、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。アラジール症候群など常染色体優性遺伝の場合は、子どもが発症するリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
胆汁うっ滞には多様な原因があり、すべての原因遺伝子が同定されているわけではありません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、薬剤性や感染症など、遺伝子以外の原因による胆汁うっ滞も存在します。臨床症状と血液検査、画像検査に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%、常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
胆汁うっ滞の治療はどのように行われますか?
治療は原因によって異なりますが、利胆剤(ウルソデオキシコール酸など)、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の補充、掻痒に対する対症療法などが行われます。栄養管理も重要で、中鎖脂肪酸トリグリセリドを多く含む栄養療法が推奨されることがあります。保存的治療の効果が不十分な場合は、肝移植が適応となることがあります。
予後はどうですか?
予後は原因遺伝子や病型によって大きく異なります。PFIC1は肝外症状を伴いますが、比較的緩徐に進行します。PFIC2やPFIC4は肝不全への進行が早く、若年で肝細胞癌を発症することがあります。適切な栄養管理と薬物療法により、肝移植までの期間を延長できる可能性があります。早期診断と適切な管理により、予後の改善が期待できます。
肝移植について教えてください。
保存的治療(利胆剤、脂溶性ビタミン補充など)の効果が不十分で、著明な掻痒や肝不全が進行する場合は肝移植が適応となります。PFIC1では、移植後に難治性下痢や移植肝の脂肪肝を来すことがあり、適応を慎重に検討する必要があります。PFIC2では、肝移植後に免疫抑制療法を適切に維持することが再発予防に重要です。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な72の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら