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小児てんかんNGS遺伝子パネル検査(2歳以降発症)|ミネルバクリニック

小児てんかんNGS遺伝子パネル検査(2歳以降発症)|ミネルバクリニック

小児てんかんとは

てんかんは、脳内の神経細胞が過剰に興奮することで、繰り返し発作を起こす慢性的な脳の疾患です。小児てんかんは医療上18歳位までの患者さんのてんかんを指し、全小児の0.5~0.8%が罹患しており、日本国内では約100万人以上の患者さんがいると推定されています。

本検査パネルは、2歳以降に発作活動が始まった小児てんかん患者さんを対象としています。てんかん発作、乳児スパズム(点頭てんかん)、脳症、または反復性熱性けいれんを経験した方に適した検査です。

小児てんかんは年齢によって発症しやすい種類が異なり、症状も多様です。1歳までの発症が最も多く、そのほとんどは脳に損傷があるなど原因が明確な症候性てんかんです。一方、幼児期から学童期にかけては欠神てんかんや良性小児てんかんなど、成人までに自然治癒するタイプも多いという特徴があります。現在までに200以上の原因遺伝子が同定されており、遺伝学的検査による正確な診断が重要となっています。

症状と病態

てんかん発作は、脳内の電気的活動の異常によって引き起こされ、その症状は発作が起こる脳の部位によって大きく異なります。発作の型は患者さんごとにほぼ一定で、同じような発作が繰り返し起こることが特徴です。

主要な発作型

  • 全般発作:両側の大脳半球全体で異常な電気活動が起こる発作。意識を失うことが多い
  • 焦点発作(部分発作):脳の一部から始まる発作。意識が保たれる場合と失う場合がある
  • 強直間代発作:全身が硬直した後、ガクガクとけいれんする発作(かつての大発作)
  • 欠神発作:短時間(数秒~数十秒)意識を失い、ボーッとする発作
  • ミオクロニー発作:突然の筋肉のぴくつき
  • 脱力発作:突然筋肉の力が抜けて倒れる発作
  • 乳児スパズム(点頭てんかん):乳児期特有の短いけいれん発作が繰り返し起こる

小児てんかんの特徴的症状

小児てんかんでは、以下のような症状が認められます:

  • 突然の意識消失やぼんやりとした状態
  • 手足や全身のけいれん、ガクガクとした動き
  • 突然倒れる、転倒する
  • 一点を見つめてぼーっとする
  • 口をモグモグさせる、手をパチパチ叩くなどの自動症
  • 突然の筋肉のぴくつき
  • 視覚や聴覚の異常(光が見える、音が聞こえる)
  • 恐怖感、既視感、離人感などの精神症状
  • 頭痛、吐き気、腹痛などの自律神経症状

脳症を伴うてんかん

脳症とは、脳の機能障害によって意識障害、けいれん、異常言動などを引き起こす状態です。てんかん性脳症では、発作そのものによる脳への影響や、基礎疾患による脳障害により、発達の遅れや知的障害を伴うことがあります。特に乳児期や小児期早期に発症する重症型てんかんでは、脳症を伴うことが多く、治療が困難な場合があります。

乳児スパズム(点頭てんかん・ウエスト症候群)

乳児期(生後3~11ヶ月)に発症する特殊なてんかんで、短いけいれん発作(スパズム)が繰り返し起こります。頭を前にカクンと曲げる動作(点頭発作)が特徴的で、脳波検査ではヒプスアリスミアという特徴的な異常波が認められます。多くの場合、発達の遅れを伴い、薬剤抵抗性(難治性)となることが多い重症型てんかんです。

熱性けいれん

発熱に伴って起こるけいれん発作です。生後6ヶ月から5歳頃までの小児に多く、通常は予後良好ですが、反復性熱性けいれんや複雑型熱性けいれんの場合、将来的にてんかんを発症するリスクが高まることがあります。

遺伝形式と原因遺伝子

小児てんかんの原因は多岐にわたります。脳に明らかな損傷や異常がある症候性てんかんと、明確な原因が特定できない特発性てんかんに大きく分類されます。近年、遺伝子研究の進展により、多くのてんかんに遺伝的要因が関与していることが明らかになってきました。

てんかんの原因分類

国際抗てんかん連盟(ILAE)では、てんかんの病因を以下のように分類しています:

  • 遺伝性(素因性):遺伝子や染色体の異常が原因。親から受け継がれた変異や、新規突然変異を含む
  • 構造的:脳の構造異常(脳形成異常、脳梗塞、脳出血、外傷など)が原因
  • 代謝性:代謝異常が原因
  • 免疫性:自己免疫機序が原因
  • 感染性:脳炎、髄膜炎などの感染症が原因
  • 原因不明:明確な原因が特定できない

遺伝性てんかんの遺伝形式

遺伝性てんかんには、以下の遺伝形式があります:

  • 常染色体優性(顕性)遺伝:変異遺伝子を1つ持つだけで発症。親が患者の場合、子どもが発症するリスクは50%
  • 常染色体劣性(潜性)遺伝:両親から1つずつ変異遺伝子を受け継いだ場合に発症。保因者同士の子どもが発症するリスクは25%
  • X連鎖遺伝:X染色体上の遺伝子変異による。主に男児に発症
  • 新規変異:親から受け継いだものではなく、受精時やそれ以降に新たに生じた変異

主要な原因遺伝子

小児てんかんに関連する遺伝子は200以上が同定されており、当検査パネルでは臨床的に重要な215遺伝子を対象としています。主な原因遺伝子には以下のようなものがあります:

  • SCN1A遺伝子:ナトリウムチャネルをコードし、ドラベ症候群などの重症てんかんの主要な原因遺伝子
  • KCNQ2、KCNQ3遺伝子:カリウムチャネルをコードし、良性家族性新生児けいれんの原因
  • CDKL5遺伝子:X連鎖遺伝形式で、早期発症てんかん性脳症の原因
  • STXBP1遺伝子:シナプス小胞の融合に関与し、大田原症候群などの原因
  • TSC1、TSC2遺伝子:結節性硬化症の原因遺伝子で、乳児スパズムを合併しやすい
  • MECP2遺伝子:レット症候群の原因遺伝子で、てんかんを高率に合併

遺伝子検査により原因遺伝子が判明することで、より正確な診断、適切な治療薬の選択、予後の予測、家族への遺伝カウンセリングが可能になります。また、一部の遺伝性てんかんでは、特定の薬剤が有効であったり、逆に避けるべき薬剤があることも知られています。

ミネルバクリニックの小児てんかん遺伝子パネル検査の特徴

「小児てんかん NGSパネル検査」とは、現在小児てんかんの原因として報告されている215の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、小児てんかんに関連する215遺伝子を一度に調べられる「小児てんかん NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で小児てんかんの遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、小児てんかんに関係するとされる215の遺伝子を一度に調べられる「小児てんかん NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える小児てんかんの遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「小児てんかん NGSパネル検査」の場合、215の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から小児てんかんを疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「小児てんかん NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な215の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「小児てんかん NGSパネル検査」では、2歳以降に発作活動が始まった小児てんかんに関係するとされる215種類の遺伝子をまとめて検査します。本パネルには、てんかん発作、乳児スパズム、脳症、反復性熱性けいれんに関連する主要な遺伝子が含まれています。

「小児てんかん NGSパネル検査」は、小児てんかんの遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【小児てんかんの個人歴または家族歴のある方】に
「小児てんかん NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・2歳以降にてんかん発作を経験した方
・乳児スパズム(点頭てんかん)の既往がある方
・脳症を伴うてんかんの方
・反復性熱性けいれんの既往がある方
・けいれん発作が繰り返し起こる方
・突然意識を失う発作がある方
・欠神発作(短時間ぼーっとする)がある方
・ミオクロニー発作(筋肉のぴくつき)がある方
・発達の遅れとてんかんを合併している方
・てんかんの家族歴がある方
・通常の抗てんかん薬が効きにくい難治性てんかんの方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。体細胞モザイクや体細胞変異の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、小児てんかんの診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な薬物療法、生活習慣の改善、定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・てんかん症候群の正確な分類
・最適な抗てんかん薬の選択(遺伝子型に応じた薬物療法)
・避けるべき薬剤の特定(特定の遺伝子変異で悪化する薬剤の回避)
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・発達障害や知的障害のリスク評価
・合併症の早期発見と予防
・より個別化された治療と症状管理
・不必要な検査の回避
・家族の危険因子に関する情報提供
・きょうだいの発症リスク評価
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ADSL, AKT3, ARG1, ARHGEF9, ARL13B, ARSA, ARSB, ASAH1, ASPM, ATIC, ATP1A2, ATP2A2, ATP6AP2, ATP6V0A2, ATP7A, ATRX, AUH, B4GALT1, BCKDK, BCS1L, BOLA3, BRAF, BTD, C12orf57, CACNA1A, CACNA1H, CACNB4, CASK, CASR, CC2D2A, CDKL5, CENPJ, CEP290, CHD2, CHRNA2, CHRNA4, CHRNB2, CLCN2, CLCN4, CLN3, CLN5, CLN6, CLN8, CNTNAP2, COG8, COL4A1, COQ2, COQ8A, COX10, CPA6, CPT2, CRH, CSTB, CTSA, CUL4B, DCX, DEPDC5, DHFR, DLD, DOLK, DPAGT1, DPM1, DPYD, DYRK1A, EEF1A2, EIF2B1, EIF2B2, EIF2B3, EIF2B4, EIF2B5, EMX2, EPM2A, FH, FLNA, FOLR1, GABRA1, GABRB3, GABRD, GABRG2, GALC, GAMT, GBA, GCSH, GFAP, GLB1, GLDC, GLI3, GLUD1, GNAO1, GNE, GNS, GOSR2, GRIA3, GRIN1, GRIN2A, HECW2, HEXA, HEXB, HGSNAT, HSD17B10, IDS, IQSEC2, IRF2BPL, KANSL1, KCNA1, KCNB1, KCNC1, KCNMA1, KCNT1, KDM5C, KDM6A, KMT2D, L2HGDH, LAMA2, LGI1, LRPPRC, MAP2K1, MBD5, MEF2C, MFSD8, MGAT2, MLC1, MOCS1, MTOR, NAGLU, NDUFA1, NDUFA2, NDUFS1, NDUFS3, NDUFS4, NDUFS7, NDUFS8, NDUFV1, NEDD4L, NEU1, NEXMIF, NF1, NGLY1, NHLRC1, NIPBL, NPC1, NPC2, NSD1, OFD1, PANK2, PCDH19, PDHA1, PHF6, PLA2G6, PLP1, PMM2, POLG, PPP3CA, PPT1, PRICKLE1, PRODH, PSAP, PURA, QDPR, RAB39B, RAI1, RARS2, RBFOX1, RBFOX3, RELN, RFT1, RNASEH2A, RNASEH2B, RNASEH2C, ROGDI, RORB, SAMHD1, SCN10A, SCN1A, SCN1B, SCN3A, SCN4A, SCN5A, SCN9A, SDHA, SERPINI1, SETBP1, SLC17A5, SLC19A3, SLC25A15, SLC2A1, SLC46A1, SLC4A10, SLC6A1, SLC6A8, SLC9A6, SMARCA2, SMC1A, SMC3, SMS, ST3GAL5, STX1B, SYN1, SYNGAP1, SZT2, TBL1XR1, TBX1, TCF4, TPP1, TREX1, TSC1, TSC2, TUBA1A, TUBB2B, TWNK, UBE2A, UBE3A, UNC80, VPS13A, ZEB2 ( 215遺伝子 )

これらの遺伝子には、イオンチャネル遺伝子(SCN1A、KCNQ2、KCNQ3など)、シナプス関連遺伝子(STXBP1、SYN1など)、代謝関連遺伝子、脳発達関連遺伝子、ミトコンドリア機能関連遺伝子などが含まれており、小児てんかんの主要な原因を包括的にカバーしています。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、215の主要な原因遺伝子のみを対象としています。小児てんかんの原因は非常に多様であり、検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、現在知られていない新しい原因遺伝子が今後発見される可能性もあります。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
2歳以降にてんかん発作(けいれん、意識消失、ぼーっとするなど)を経験した方、乳児スパズムの既往がある方、脳症を伴うてんかんの方、反復性熱性けいれんがある方におすすめします。また、家族にてんかんの方がいる場合も検査をご検討ください。通常の抗てんかん薬が効きにくい難治性てんかんの場合、原因遺伝子の特定により適切な治療法が見つかる可能性があります。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。小さなお子さんでも負担の少ない方法で検査できます。
なぜ2歳以降発症が対象なのですか?
てんかんは発症年齢によって原因遺伝子や病態が異なります。当パネルは2歳以降に発作活動が始まった小児てんかんに特化した遺伝子セットで構成されています。2歳未満で発症する新生児てんかんや乳児てんかんには、別の専用パネルが用意されています。
遺伝子検査の結果で治療法が変わりますか?
はい、変わる可能性があります。特定の遺伝子変異では、効果的な薬剤や避けるべき薬剤が判明しています。例えば、SCN1A遺伝子変異によるドラベ症候群では、ナトリウムチャネル遮断薬が発作を悪化させることがあります。遺伝子診断により、より適切な薬物療法を選択できます。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
検査で病原性変異が検出されなくても、てんかんの診断自体は否定されません。現在知られている主要な遺伝子を調べる検査ですが、まだ発見されていない原因遺伝子が存在する可能性があります。また、遺伝子以外の原因(脳の構造異常、代謝異常、感染など)によるてんかんもあります。臨床症状に基づいた診断と治療が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、臨床遺伝専門医が専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
小児てんかんは治りますか?
小児てんかんは比較的治る可能性の高い病気です。特に良性小児てんかんや欠神てんかんなど、成人までに自然治癒するタイプもあります。適切な診断と抗てんかん薬の服用により、多くの患者さんは発作を起こさず生活できます。ただし、てんかん性脳症など重症型では難治性となることもあり、個々の病態によって予後は異なります。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な215の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら