(更新日:2025/10/09)
心臓顔面皮膚症候群(CFC症候群)NGS遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック
心臓顔面皮膚症候群(CFC症候群)とは
心臓顔面皮膚症候群(Cardio-Facio-Cutaneous syndrome: CFC症候群)は、心臓(Cardio)、顔(Facio)、皮膚(Cutaneous)に特徴的な異常を呈する稀な遺伝性疾患です。RASopathy(RAS病)と呼ばれる疾患群の一つで、細胞内のRas/MAPKシグナル伝達経路に関わる遺伝子の異常によって引き起こされます。
この疾患は1986年に初めて報告され、その後の研究により原因遺伝子が解明されてきました。日本における推定患者数は約100~200名とされており、非常に稀な疾患です。世界的にも有病率は81万人に1人程度と推定されていますが、軽症例が診断されていないケースもあり、実際にはより多くの患者さんがいる可能性があります。
CFC症候群は、国の指定難病(指定難病103)および小児慢性特定疾病の対象疾患に指定されています。Ras/MAPKシグナル伝達経路は、細胞の成長、分化、増殖、アポトーシス(細胞死)などの重要な機能を制御しており、この経路の異常が発達段階で多様な症状を引き起こすと考えられています。
症状と病態
心臓顔面皮膚症候群は、その名の通り、心臓、顔、皮膚を中心に全身の多臓器にわたる症状を呈する多系統疾患です。症状の組み合わせや重症度は患者さんによって大きく異なります。
主要症状
1. 心臓の異常(Cardio)
先天性心疾患(患者の約75~80%に認められる)
肺動脈弁狭窄症(最も頻度が高い)
心房中隔欠損症
心室中隔欠損症
肥大型心筋症(出生時または乳児期に出現)
不整脈
その他の弁異常
2. 特徴的顔貌(Facio)
相対的大頭症(頭が体に比べて大きい)
高く突出した額
側頭部の狭小化
眼瞼下垂(まぶたが下がっている)
眼瞼裂斜下(目尻が下がっている)
眉毛が薄い、または欠損している
内眼角贅皮(目頭のひだ)
低い鼻梁を伴う短い鼻
突出した人中
高口蓋
厚い下唇
耳介低位(耳の位置が低い)
後方に傾いた耳
3. 皮膚・毛髪の異常(Cutaneous)
乾燥肌、皮膚の過度な乾燥
湿疹
角化異常(角質層が厚くなる)
魚鱗癬(うろこ状の皮膚)
毛孔性角化症(毛穴に角質が詰まる)
掌蹠角化症(手のひら、足の裏の角質増加)
色素性母斑(ほくろ)
血管腫
まばらで薄い毛髪
カールした脆弱な毛髪
まつ毛や眉毛の欠損または希薄化
爪の異栄養症または過成長
4. 神経・発達の異常
精神発達遅滞(軽度~重度)
知的障害(すべての患者に認められる)
運動発達の遅れ
言語発達の遅れ
筋緊張低下(乳児期)
てんかん・痙攣発作(約20~30%に認められる)
脳の構造異常(脳室拡大、脳梁の異常など)
5. 成長・栄養の問題
成長障害・低身長
哺乳困難(乳児期)
摂食障害・体重増加不良
胃食道逆流症
嘔吐
便秘
経管栄養や胃瘻が必要になる場合もある
6. その他の異常
眼科的異常(斜視、屈折異常、眼振など)
聴覚障害
骨格異常
短い頸部(翼状頸)
停留精巣(男児)
リンパ浮腫(新生児期)
羊水過多(胎児期)
疾患の経過と予後
妊娠中には羊水過多が認められることが多く、胎動減少を感じることもあります。出生時には特徴的な顔貌、心疾患、乳び胸やリンパ浮腫が認められることがあります。
乳児期には哺乳障害が強く、経管栄養が必要になることもありますが、多くの場合は年齢とともに改善します。成長とともに栄養摂取は改善しますが、低身長や体重増加不良は持続することが多いです。
発達遅滞はすべての患者さんに認められますが、その程度は様々です。適切なリハビリテーション、療育、医療的管理により、多くの患者さんは一定の発達を遂げることができます。
生命予後は心疾患や神経学的合併症の重症度によって異なりますが、適切な医療管理により長期生存が可能です。なお、CFC症候群では、類似疾患であるコステロ症候群とは異なり、悪性腫瘍のリスクは一般人口と比べて明らかには増加しないと考えられています(ただし、急性リンパ性白血病などの報告が少数あります)。
遺伝形式と原因遺伝子
心臓顔面皮膚症候群は、常染色体優性(顕性)遺伝の形式をとる遺伝性疾患です。現在までに報告されているほぼすべての症例は、新生突然変異(de novo変異)によるもので、患者さんのご両親には変異が認められません。そのため、同胞(兄弟姉妹)の再発リスクは非常に低いとされています。
ただし、常染色体優性遺伝であるため、患者さん自身が将来子どもを持つ場合、その子どもが発症するリスクは50%となります。
原因遺伝子
CFC症候群は、Ras/MAPKシグナル伝達経路に関わる以下の遺伝子の変異によって引き起こされます:
BRAF遺伝子(7q34): 約75~80%の患者さんで変異が見つかる最も頻度の高い原因遺伝子です。BRAF遺伝子はRaf/Milタンパク質ファミリーに属するセリン/トレオニンキナーゼをコードしており、細胞増殖シグナル伝達において重要な役割を果たしています。
MAP2K1遺伝子(15q22.31): MEK1(MAPK/ERKキナーゼ1)をコードする遺伝子で、約10~15%の患者さんで変異が見つかります。
MAP2K2遺伝子(19p13.3): MEK2(MAPK/ERKキナーゼ2)をコードする遺伝子で、約10~15%の患者さんで変異が見つかります。
KRAS遺伝子(12p12.1): 約2~5%未満の患者さんで変異が見つかる比較的稀な原因遺伝子です。
SHOC2遺伝子: 稀に報告されています。
SOS1遺伝子: 稀に報告されています。
これら4つの主要な遺伝子(BRAF、MAP2K1、MAP2K2、KRAS)で、CFC症候群患者さんの約75~85%の原因が説明されます。残りの15~25%の患者さんでは、これらの既知の遺伝子に変異が見つからず、未知の原因遺伝子の存在が示唆されています。
Ras/MAPKシグナル伝達経路
これらの遺伝子はすべて、Ras/MAPKシグナル伝達経路の構成要素です。この経路は以下のような細胞機能の制御に関与しています:
細胞の成長と増殖
細胞の分化と成熟
細胞の移動
細胞のアポトーシス(プログラムされた細胞死)
これらの遺伝子に変異が生じると、シグナル伝達経路が過剰に活性化され、正常な発達過程が妨げられることで、CFC症候群の多様な症状が引き起こされると考えられています。
他のRASopathyとの関係
CFC症候群は、ヌーナン症候群やコステロ症候群などと共にRASopathyと呼ばれる疾患群に分類されます。これらの疾患は共通のシグナル伝達経路の異常によって引き起こされるため、臨床症状に重複が見られます。
特にヌーナン症候群とコステロ症候群との鑑別は重要です:
ヌーナン症候群: 皮膚の角化異常や毛髪異常が軽度または認められないことが多く、知的障害も軽度であることが多いです。
コステロ症候群: HRAS遺伝子の変異が原因で、悪性腫瘍のリスクが高いことが特徴です。
CFC症候群: 特徴的な皮膚・毛髪異常、中等度~重度の知的障害が認められ、コステロ症候群と異なり悪性腫瘍のリスクは明らかには増加しません。
ミネルバクリニックの心臓顔面皮膚症候群(CFC症候群)遺伝子パネル検査の特徴
「心臓顔面皮膚症候群(CFC症候群) NGSパネル検査」とは、現在CFC症候群の原因として報告されている6つの遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、心臓顔面皮膚症候群(CFC症候群)に関連する6遺伝子を一度に調べられる「心臓顔面皮膚症候群(CFC症候群) NGSパネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページ をご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関でCFC症候群の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、CFC症候群に関係するとされる6つの遺伝子を一度に調べられる「心臓顔面皮膚症候群(CFC症候群) NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行えるCFC症候群の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「心臓顔面皮膚症候群(CFC症候群) NGSパネル検査」の場合、6つの遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
臨床症状からCFC症候群を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「心臓顔面皮膚症候群(CFC症候群) NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な6つの原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「心臓顔面皮膚症候群(CFC症候群) NGSパネル検査」では、CFC症候群に関係するとされる6種類の遺伝子(BRAF、KRAS、MAP2K1、MAP2K2、SHOC2、SOS1)をまとめて検査します。
「心臓顔面皮膚症候群(CFC症候群) NGSパネル検査」は、CFC症候群の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【心臓顔面皮膚症候群(CFC症候群)の個人歴または家族歴のある方】に
「心臓顔面皮膚症候群(CFC症候群) NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・先天性心疾患(肺動脈弁狭窄、心房中隔欠損、心室中隔欠損、肥大型心筋症など)がある方
・特徴的な顔貌(高い額、眉毛が薄い、眼瞼下垂、低い鼻梁など)がある方
・皮膚・毛髪の異常(乾燥肌、湿疹、角化異常、魚鱗癬、まばらでカールした毛髪など)がある方
・精神発達遅滞または知的障害がある方
・成長障害・低身長がある方
・哺乳困難や摂食障害がある乳児
・てんかんや痙攣発作がある方
・CFC症候群、ヌーナン症候群、コステロ症候群などのRASopathyの家族歴がある方
・臨床症状からCFC症候群が疑われるが、他のRASopathyとの鑑別が必要な方
・将来子どもを持つことを考えている患者さんで、リスク評価を希望される方
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、CFC症候群の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な医療的管理、早期介入、定期的なモニタリングを行うことができます。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・ヌーナン症候群、コステロ症候群などの他のRASopathyとの鑑別
・心疾患の適切な管理と治療計画の立案
・発達支援・療育プログラムの早期開始
・てんかんや痙攣発作のリスク評価と管理
・栄養管理の最適化(経管栄養や胃瘻の適応判断)
・成長ホルモン分泌不全の評価と治療
・眼科的・聴覚的異常の早期発見と治療
・皮膚症状の適切な管理
・悪性腫瘍リスクの評価(コステロ症候群との鑑別により重要)
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、新生突然変異(de novo変異)であることがほとんどですが、患者さん自身が将来子どもを持つ場合、その子どもが発症するリスクは50%となります。家族計画において重要な情報となります。
対象遺伝子
詳しくはこちら
BRAF, KRAS, MAP2K1, MAP2K2, SHOC2, SOS1 ( 6遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・BRAF遺伝子(7q34):
Raf/Milタンパク質ファミリーに属するセリン/トレオニンキナーゼ(BRAF)をコードする遺伝子。CFC症候群の原因として最も頻度が高く、約75~80%の患者さんで変異が見つかります。Ras/MAPKシグナル伝達経路において重要な役割を果たし、細胞の増殖、分化、生存に関与しています。BRAF遺伝子のエクソン6、11、12に変異が集中して見られます。最も多い変異はp.Gln257Arg(Q257R)で、この変異を持つ患者さんでは比較的軽度の発達遅滞を示す傾向があります。
・KRAS遺伝子(12p12.1):
低分子量GTPアーゼであるKRASタンパク質をコードする遺伝子。Ras/MAPKシグナル伝達経路の上流に位置し、細胞外からのシグナルを細胞内に伝達する役割を果たします。CFC症候群では約2~5%未満と比較的稀な原因遺伝子です。KRAS変異を持つ患者さんは、心疾患の頻度が高い傾向があります。なお、ヌーナン症候群でもKRAS変異が見られるため、臨床症状との照合が重要です。
・MAP2K1遺伝子(15q22.31):
MAPK/ERKキナーゼ1(MEK1)をコードする遺伝子。BRAFの下流に位置し、ERK(細胞外シグナル調節キナーゼ)を活性化することでシグナルを伝達します。CFC症候群の約10~15%の患者さんで変異が見つかります。MAP2K1変異を持つ患者さんでは、心疾患の頻度がやや低い傾向が報告されています。
・MAP2K2遺伝子(19p13.3):
MAPK/ERKキナーゼ2(MEK2)をコードする遺伝子。MEK1と同様にBRAFの下流に位置し、ERKを活性化します。CFC症候群の約10~15%の患者さんで変異が見つかります。MAP2K2変異とMAP2K1変異による表現型は類似していますが、個々の患者さんによって症状の重症度は異なります。
・SHOC2遺伝子:
SHOC2(soc-2 suppressor of clear homolog)タンパク質をコードする遺伝子。Ras/MAPKシグナル伝達経路においてRas-Rafの相互作用を調節する足場タンパク質として機能します。CFC症候群では稀な原因遺伝子ですが、報告されています。SHOC2変異を持つ患者さんは、臨床的にヌーナン症候群様の表現型を示すこともあります。
・SOS1遺伝子:
Son of Sevenless homolog 1(SOS1)をコードする遺伝子。Rasのグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)として機能し、Rasを不活性型から活性型に変換します。主にヌーナン症候群の原因遺伝子として知られていますが、CFC症候群でも稀に変異が報告されています。SOS1変異を持つ患者さんでは、肺動脈弁狭窄の頻度が高い傾向があります。
カバレッジ
カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。
≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能 です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。
検査の限界
詳しくはこちら
すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
※この検査パネルでは、6つの原因遺伝子のみを対象としています。約15~25%のCFC症候群症例では、既知の遺伝子に変異が見つかりません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状に基づく診断が引き続き重要です。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
先天性心疾患、特徴的な顔貌(高い額、薄い眉毛、眼瞼下垂など)、皮膚・毛髪の異常(乾燥肌、湿疹、角化異常、まばらでカールした毛髪など)、精神発達遅滞、成長障害などの症状がある方におすすめします。特に、これらの症状が複数組み合わさっている場合や、家族に同様の症状がある場合は検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
ヌーナン症候群やコステロ症候群との違いは何ですか?
これらはすべてRASopathyと呼ばれる疾患群に属し、症状に重複があります。CFC症候群は特徴的な皮膚・毛髪異常と中等度~重度の知的障害が認められます。コステロ症候群は悪性腫瘍のリスクが高いのに対し、CFC症候群では明らかなリスク増加は認められません。ヌーナン症候群は皮膚症状が軽度で知的障害も軽いことが多いです。遺伝子検査により正確な診断が可能になります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
ほとんどのCFC症候群は新生突然変異(de novo変異)によるもので、ご両親には変異が認められません。そのため、兄弟姉妹の発症リスクは非常に低いです。ただし、患者さん自身が将来子どもを持つ場合、その子どもが発症するリスクは50%となりますので、家族計画においては遺伝カウンセリングが重要です。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
約15~25%のCFC症候群症例では、既知の遺伝子に変異が見つかりません。検査で病原性変異が検出されなくても、臨床症状からCFC症候群と診断される場合があります。その場合は、症状に基づいた適切な医療管理と支援が引き続き行われます。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
CFC症候群は常染色体優性遺伝ですので、患者さん自身が将来子どもを持つ場合、その子どもが発症する確率は50%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
CFC症候群の治療はどのように行われますか?
現在のところ根本的な治療法はありませんが、症状に対する対症療法が行われます。心疾患に対しては心臓外科的治療、発達遅滞に対しては療育・リハビリテーション、栄養障害に対しては栄養管理(経管栄養、胃瘻など)、てんかんに対しては抗てんかん薬、皮膚症状に対しては皮膚科的治療などが行われます。集学的なチームによる包括的な医療管理が重要です。
予後はどうですか?
予後は症状の重症度によって大きく異なります。心疾患や神経学的合併症の重症度が予後に影響します。適切な医療管理により、多くの患者さんは長期生存が可能です。発達の程度も個人差が大きいですが、適切な療育・支援により、一定の発達を遂げることができます。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な6つの原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得 して以来、のべ10万人以上 のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
仲田洋美のプロフィールはこちら