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骨髄不全症候群NGSパネル|ミネルバクリニック

骨髄不全症候群NGSパネル|ミネルバクリニック

骨髄不全症候群とは

骨髄不全症候群(Bone Marrow Failure Syndromes: BMFS)は、骨髄が血液細胞(赤血球、白血球、血小板)を十分に産生できなくなる疾患群の総称です。骨髄は骨の中心部にある組織で、すべての血液細胞を作り出す重要な役割を担っています。

遺伝性骨髄不全症候群(Inherited Bone Marrow Failure Syndromes: IBMFS)は、遺伝子変異によって骨髄の造血機能が障害される先天性疾患であり、多くの場合、小児期に発症します。しかし、成人になってから診断される症例もあり、家族歴や特徴的な身体所見を伴うことが診断の手がかりとなります。

遺伝性骨髄不全症候群は稀な疾患群ですが、適切な診断と管理により、造血幹細胞移植などの治療選択肢があります。また、これらの疾患では骨髄異形成症候群(MDS)や急性骨髄性白血病(AML)、固形がんへの進展リスクが高いため、定期的なモニタリングが重要です。

症状と病態

骨髄不全症候群の主な症状は、血液細胞の減少による様々な症状です。疾患の種類や重症度によって症状の現れ方は異なりますが、共通して以下のような症状が見られます。

血球減少による主要症状

  • 貧血症状(赤血球減少):顔色不良、倦怠感、息切れ、動悸、めまい、易疲労感
  • 易感染性(白血球減少):発熱、肺炎などの感染症にかかりやすい、感染症が重症化しやすい
  • 出血傾向(血小板減少):鼻出血、歯肉出血、皮下出血(あざができやすい)、点状出血、重篤な出血

疾患特異的な症状

遺伝性骨髄不全症候群では、血液症状に加えて、疾患ごとに特徴的な身体所見や合併症が認められます:

  • 身体奇形:低身長、骨格異常(母指の異常、前腕の異常など)、頭蓋顔面異常(小頭症など)
  • 皮膚症状:皮膚色素沈着(カフェオレ斑など)、爪の萎縮、口腔粘膜白斑
  • 臓器異常:腎臓・泌尿器系の異常、心臓奇形、消化器系の異常、肝障害、肺線維症
  • 発達障害:精神運動発達遅滞、学習障害、小脳失調
  • 内分泌異常:性腺機能不全、成長ホルモン分泌不全、甲状腺機能低下症、糖尿病

進行と合併症

遺伝性骨髄不全症候群は進行性の疾患であり、以下のような重篤な合併症のリスクがあります:

  • 骨髄異形成症候群(MDS):骨髄の異常により正常な血球が作られなくなる前白血病状態
  • 急性骨髄性白血病(AML):白血病への進展リスクが高い
  • 固形がん:頭頸部がん、皮膚がん、泌尿器系がん、消化器がんなど、若年での発症リスクが高い
  • 臓器障害:肺線維症、肝硬変、腎不全などの臓器障害

主な遺伝性骨髄不全症

ファンコニ貧血(Fanconi Anemia)

ファンコニ貧血は、DNA修復機構の障害により発症する遺伝性骨髄不全症候群です。出生10万人あたり約1人の発症頻度があり、日本での年間発生数は5~10人程度と推定されています。

主な特徴:

  • 進行性の汎血球減少(通常10歳までに発症)
  • 低身長、皮膚色素沈着(カフェオレ斑)、骨格異常(母指・前腕の異常)
  • 頭蓋顔面異常(小頭症など)、腎臓・泌尿器系の奇形
  • 50歳までに約13%が急性骨髄性白血病を発症
  • 固形がん(特に頭頸部、皮膚、泌尿器系)のリスクが高い

遺伝形式:主に常染色体劣性(潜性)遺伝。一部はX連鎖遺伝(FANCB遺伝子)。

診断:染色体断裂試験(マイトマイシンCまたはジエポキシブタン負荷試験)で高度な染色体断裂が認められることが特徴的です。

先天性角化不全症(Dyskeratosis Congenita)

先天性角化不全症は、テロメア(染色体末端)の維持機構の障害により発症する疾患です。発症頻度は100万人に1人とされる稀な疾患です。

主な特徴:

  • 爪の萎縮、口腔粘膜白斑、網状皮膚色素沈着の三徴候
  • 骨髄不全(一系統以上の血球減少と骨髄低形成)
  • 肺線維症(成人期に約20%で発症)
  • 肝障害、食道狭窄、骨粗鬆症
  • 重症型:Hoyeraal-Hreidarsson症候群(小脳低形成、小頭症を伴う)、Revesz症候群(滲出性網膜症を伴う)
  • 免疫不全(T細胞、B細胞、NK細胞の減少)

遺伝形式:X連鎖遺伝(DKC1遺伝子)、常染色体優性または劣性遺伝。

特徴的検査所見:末梢血リンパ球のテロメア長が年齢に比して著しく短縮しています。

ダイアモンド・ブラックファン貧血(Diamond-Blackfan Anemia)

ダイアモンド・ブラックファン貧血は、赤血球造血のみが選択的に障害される先天性疾患です。出生100万人あたり約5~7人の発症頻度があります。

主な特徴:

  • 新生児期から1歳までに90%が発症(顔色不良で発見されることが多い)
  • 大球性正色素性貧血、網赤血球減少
  • 骨髄では赤血球系細胞のみが著減
  • 約50%で先天奇形を合併:頭蓋顔面異常、母指の異常、心奇形、泌尿生殖器異常
  • 低身長(約30%)
  • 悪性腫瘍(特に急性骨髄性白血病)のリスク上昇

遺伝形式:主に常染色体優性(顕性)遺伝。約10~20%で家族歴あり。

原因:約60%の症例でリボソームタンパク質遺伝子の変異が同定されます。

その他の主要な遺伝性骨髄不全症

Shwachman-Diamond症候群:

  • 好中球減少、膵外分泌機能不全、骨格異常を三徴とする
  • SBDS遺伝子変異による常染色体劣性遺伝
  • 白血病への進展リスクが高い

先天性無巨核球性血小板減少症:

  • 巨核球(血小板の元になる細胞)の欠如による重度の血小板減少
  • MPL遺伝子やTHPO遺伝子の変異

先天性好中球減少症(重症型):

  • 重度の好中球減少による易感染性
  • ELANE、HAX1、GFI1などの遺伝子変異

ミネルバクリニックの骨髄不全症候群遺伝子パネル検査の特徴

「骨髄不全症候群 NGSパネル検査」とは、現在骨髄不全症候群の原因として報告されている61の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、骨髄不全症候群に関連する61遺伝子を一度に調べられる「骨髄不全症候群 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で骨髄不全症候群の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、骨髄不全症候群に関係するとされる61の遺伝子を一度に調べられる「骨髄不全症候群 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える骨髄不全症候群の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「骨髄不全症候群 NGSパネル検査」の場合、61の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から骨髄不全症候群を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「骨髄不全症候群 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な61の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「骨髄不全症候群 NGSパネル検査」では、骨髄不全症候群に関係するとされる61種類の遺伝子をまとめて検査します。これらの遺伝子にはファンコニ貧血関連遺伝子群、先天性角化不全症関連遺伝子群、ダイアモンド・ブラックファン貧血関連のリボソームタンパク質遺伝子群、その他の骨髄不全関連遺伝子が含まれます。

「骨髄不全症候群 NGSパネル検査」は、骨髄不全症候群の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【骨髄不全症候群の個人歴または家族歴のある方】に
「骨髄不全症候群 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・汎血球減少または複数系統の血球減少がある方
・原因不明の貧血、白血球減少、血小板減少がある方
・骨髄生検で骨髄低形成が認められる方
・特徴的な身体奇形(低身長、骨格異常、皮膚色素沈着など)を伴う方
・若年での骨髄異形成症候群または急性骨髄性白血病の方
・ファンコニ貧血、先天性角化不全症、ダイアモンド・ブラックファン貧血などの疑いがある方
・染色体断裂試験陽性の方
・頭頸部がんなど若年での固形がんの家族歴がある方
・骨髄不全症候群の家族歴がある方
・造血幹細胞移植前の原因診断を希望される方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。なお、同種造血幹細胞移植後の患者さんや血液悪性腫瘍の患者さんの場合は、培養線維芽細胞から抽出したDNAを提出する必要があります。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、骨髄不全症候群の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、定期的な血液検査、骨髄検査、がんスクリーニング、臓器機能モニタリングなどの適切な管理を行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・造血幹細胞移植の適応判断と前処置の最適化
・骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病への進展リスクの評価
・固形がん(頭頸部がん、皮膚がん、消化器がんなど)の早期発見のためのスクリーニング
・臓器合併症(肺線維症、肝障害、内分泌異常など)の予測と管理
・輸血療法、造血因子投与などの支持療法の最適化
・鉄過剰症のモニタリングと除鉄療法の適応判断
・DNA損傷性抗がん剤や放射線治療の使用に関する注意喚起(ファンコニ貧血の場合)
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症するリスクは50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹が発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

AP3B1, BRCA2, BRIP1, CSF3R, CXCR4, DKC1, ELANE, ERCC4, FANCA, FANCB, FANCC, FANCD2, FANCE, FANCF, FANCG, FANCI, FANCL, FANCM, G6PC3, GATA1, GATA2, GBA, GFI1, HAX1, LAMTOR2, LYST, MPL, NHP2, NOP10, PALB2, RAB27A, RAC2, RAD51C, RBM8A, RMRP, RPL11, RPL15, RPL26, RPL35A, RPL5, RPS10, RPS17, RPS19, RPS24, RPS26, RPS7, RTEL1, RUNX1, SBDS, SLC37A4, SLX4, SRP72, TAZ, TERC, TERT, TINF2, USB1, VPS13B, VPS45, WAS, WRAP53 ( 61遺伝子 )

ファンコニ貧血関連遺伝子群(22遺伝子):
FANCA, FANCB, FANCC, FANCD2, FANCE, FANCF, FANCG, FANCI, FANCL, FANCM, BRCA2(FANCD1), BRIP1(FANCJ), PALB2(FANCN), RAD51C(FANCO), SLX4(FANCP), ERCC4(FANCQ), RAD51, XRCC2, MAD2L2, RFWD3, UBE2T, REV7
※DNA修復機構、特に鎖間架橋(ICL)修復経路に関与する遺伝子群です。

先天性角化不全症関連遺伝子群(11遺伝子):
DKC1, TERC, TERT, NHP2, NOP10, TINF2, WRAP53(TCAB1), RTEL1, CTC1, USB1, NAF1, POT1, ACD
※テロメア維持機構に関与する遺伝子群です。テロメラーゼ複合体やシェルタリン複合体の構成タンパク質をコードしています。

ダイアモンド・ブラックファン貧血関連遺伝子群(20遺伝子):
RPS19, RPS24, RPS17, RPS7, RPS10, RPS26, RPL5, RPL11, RPL35A, RPL15, RPL26, RPS27A, RPS28, RPS29, RPL9, RPL18, RPL27, RPL31, RPL35, GATA1, TSR2, EPO
※リボソームの構成タンパク質(40S小サブユニットのRPSタンパク質、60S大サブユニットのRPLタンパク質)をコードする遺伝子群と、赤血球分化に重要なGATA1転写因子の遺伝子が含まれます。

その他の重要な骨髄不全関連遺伝子:

・SBDS遺伝子:
Shwachman-Diamond症候群の原因遺伝子。リボソーム生合成に関与し、好中球減少、膵外分泌機能不全、骨格異常を引き起こします。

・ELANE遺伝子:
重症先天性好中球減少症の最も頻度の高い原因遺伝子。好中球エラスターゼをコードし、常染色体優性遺伝形式をとります。

・HAX1遺伝子:
常染色体劣性遺伝形式の重症先天性好中球減少症(Kostmann症候群)の原因遺伝子。

・GFI1遺伝子:
転写因子をコードし、重症先天性好中球減少症の原因となります。

・CSF3R遺伝子:
顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)受容体をコードし、重症先天性好中球減少症の原因となります。

・G6PC3遺伝子:
グルコース-6-リン酸カタラーゼ3をコードし、重症先天性好中球減少症の原因となります。心奇形や泌尿器系異常を伴うことがあります。

・GATA2遺伝子:
転写因子GATA2をコードし、MonoMAC症候群(単球減少・非定型抗酸菌感染症)の原因となります。骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病への進展リスクが高いです。

・MPL遺伝子:
トロンボポエチン受容体をコードし、先天性無巨核球性血小板減少症の原因となります。

・RUNX1遺伝子:
転写因子RUNX1をコードし、家族性血小板異常症/急性骨髄性白血病素因の原因となります。

・CXCR4遺伝子:
ケモカイン受容体をコードし、WHIM症候群(疣贅・低ガンマグロブリン血症・感染症・骨髄球増加症)の原因となります。

・SLC37A4遺伝子:
グルコース-6-リン酸トランスポーターをコードし、糖原病Ib型の原因となります。好中球減少を伴います。

・WAS遺伝子:
X連鎖遺伝のウィスコット・アルドリッチ症候群の原因遺伝子。血小板減少、湿疹、免疫不全を三徴とします。

・GBA遺伝子:
ゴーシェ病の原因遺伝子。グルコセレブロシダーゼ欠損により血小板減少、貧血を呈します。

・AP3B1遺伝子:
Hermansky-Pudlak症候群2型の原因遺伝子。眼皮膚白皮症、出血傾向を特徴とします。

・LYST遺伝子:
Chediak-Higashi症候群の原因遺伝子。部分的眼皮膚白皮症、易感染性、好中球機能異常を特徴とします。

・RAB27A遺伝子:
Griscelli症候群2型の原因遺伝子。色素希釈症、免疫不全を特徴とします。

・RAC2遺伝子:
好中球機能異常症の原因遺伝子。低γグロブリン血症を伴います。

・LAMTOR2遺伝子:
免疫不全と色素希釈症を特徴とする疾患の原因遺伝子。

・VPS13B, VPS45遺伝子:
Cohen症候群など、発達遅滞や好中球減少を伴う症候群の原因遺伝子。

・TAZ遺伝子:
X連鎖遺伝のBarth症候群の原因遺伝子。拡張型心筋症、骨格筋症、好中球減少を特徴とします。

・RMRP遺伝子:
軟骨毛髪低形成症の原因遺伝子。低身長、骨格異常、貧血を特徴とします。

・RBM8A遺伝子:
血小板減少・橈骨欠損症候群(TAR症候群)の原因遺伝子。両側橈骨欠損と血小板減少を特徴とします。

・SRP72遺伝子:
骨髄不全と膵外分泌機能不全を特徴とする疾患の原因遺伝子。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※重要:同種造血幹細胞移植を受けた患者さんや血液悪性腫瘍の患者さんの場合は、培養線維芽細胞から抽出したDNAを提出する必要があります。

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、61の原因遺伝子のみを対象としています。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、本パネルに含まれていない稀な原因遺伝子の変異は検出できません。

※テロメア長測定は本検査には含まれていません。先天性角化不全症が強く疑われる場合は、別途テロメア長測定の実施をご検討ください。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
原因不明の汎血球減少(貧血、白血球減少、血小板減少)がある方、骨髄低形成が認められる方、特徴的な身体奇形(低身長、骨格異常、皮膚色素沈着、爪の異常など)を伴う方におすすめします。また、若年での骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病の方、家族に骨髄不全症候群や若年でのがんがある場合も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。ただし、造血幹細胞移植を受けた方や血液悪性腫瘍の方は、培養線維芽細胞から抽出したDNAが必要です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
ファンコニ貧血の診断に必要な染色体断裂試験は含まれますか?
本検査は遺伝子変異を調べる検査であり、染色体断裂試験は含まれません。ファンコニ貧血が疑われる場合は、まず染色体断裂試験(マイトマイシンCまたはジエポキシブタン負荷試験)で機能的診断を行い、陽性の場合に本遺伝子検査で原因遺伝子を特定することをお勧めします。
先天性角化不全症のテロメア長測定は含まれますか?
本検査にはテロメア長測定は含まれません。先天性角化不全症が疑われる場合は、別途テロメア長測定の実施をご検討ください。本遺伝子検査で先天性角化不全症関連遺伝子の変異が見つかった場合、テロメア長測定により診断がより確実になります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画や、早期診断・早期介入に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
本パネルに含まれない稀な原因遺伝子の変異や、本検査では検出できない遺伝子変異(イントロン深部の変異、大規模な構造異常など)が原因である可能性があります。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と血液検査、骨髄検査などに基づいた診断と管理が引き続き重要です。
造血幹細胞移植を受けた後でも検査できますか?
造血幹細胞移植を受けた後は、血液細胞がドナー由来となるため、血液や唾液での検査では正確な結果が得られません。その場合は、培養線維芽細胞から抽出したDNAでの検査が必要です。移植前に原因遺伝子を特定しておくことが理想的ですが、移植後でも皮膚生検により検査は可能です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、造血幹細胞移植を含む治療・管理選択肢、がんスクリーニングの必要性などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%、常染色体劣性遺伝の場合は保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
骨髄不全症候群の治療はどのように行われますか?
治療は疾患の種類と重症度により異なります。輸血療法、造血因子(G-CSF、エリスロポエチンなど)投与、免疫抑制療法などの支持療法が基本となります。重症例や骨髄異形成症候群・白血病への進展が見られる場合は、造血幹細胞移植が唯一の根治的治療となります。遺伝子型により移植の前処置が調整されます(ファンコニ貧血では減量前処置が必要など)。
がんのリスクはどのくらいですか?
遺伝性骨髄不全症候群では、骨髄異形成症候群・急性骨髄性白血病のリスクが高く、ファンコニ貧血では50歳までに約13%が発症します。また、固形がん(頭頸部がん、皮膚がん、消化器がん、泌尿器系がんなど)のリスクも高く、若年での発症が特徴です。定期的ながんスクリーニングが重要です。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な61の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら