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ブルーム症候群 BLM遺伝子検査|ミネルバクリニック

ブルーム症候群 BLM遺伝子検査|ミネルバクリニック

ブルーム症候群とは

ブルーム症候群(Bloom Syndrome)は、1954年に米国の皮膚科医ブルーム博士によって初めて報告された、極めて稀な常染色体劣性遺伝性疾患です。染色体の不安定性を特徴とし、DNA複製・修復に関与するヘリカーゼタンパクBLMをコードするBLM遺伝子の変異により発症します。

本疾患は、出生前後からの成長遅延(低身長・低体重)、特徴的な顔貌、日光過敏性紅斑、免疫不全、そして最も重要な特徴として悪性腫瘍の著しく高い発症リスクを呈します。染色体レベルでのゲノム不安定性を示す疾患の代表例として、医学的に重要な位置づけにあります。

ブルーム症候群は極めて稀な疾患で、世界での報告例は約300例程度、日本では推定患者数が数十人です。全ての人種で発症する可能性がありますが、特にアシュケナージ系(中央・東ヨーロッパ系)ユダヤ人集団で比較的高頻度に認められ、この集団における保因者頻度は約1/100と推定されています。出生時有病率は一般集団で1/100,000~1/1,000,000程度とされています。

症状と病態

ブルーム症候群の臨床症状は多岐にわたり、個人差がありますが、特徴的な症状パターンが認められます。最も顕著な特徴は出生前後からの成長遅延と、生涯を通じた悪性腫瘍の極めて高い発症リスクです。

主要症状

  • 成長遅延:出生時から体重・身長が標準より小さく、成人後も著しい低身長(多くは150cm未満)と低体重が持続します
  • 特徴的な顔貌:細長い顔、突出した鼻、小さい下顎、鳥様顔貌、小頭症が認められます
  • 日光過敏性紅斑:乳児期から日光暴露により顔面(特に鼻や頬)に蝶形紅斑が出現します
  • 皮膚病変:毛細血管拡張、色素沈着と脱色素が混在した皮膚変化が特徴的です
  • 免疫不全:免疫グロブリン値の低下により、上気道感染、中耳炎、肺炎などの感染症を反復します
  • 造血不全:貧血や血小板減少などの造血障害を呈することがあります
  • 糖尿病:インスリン抵抗性により2型糖尿病のリスクが増加します
  • 生殖機能障害:男性では無精子症による不妊、女性では早発閉経が認められます

悪性腫瘍の高リスク

ブルーム症候群の最も重要な特徴は、あらゆる種類の悪性腫瘍に対する著しく高い発症リスクです。一般人口と比較して癌の発症リスクは150~300倍高く、20歳までに約30%の患者さんが何らかの悪性腫瘍を発症します。

  • 造血器腫瘍:白血病(特に急性骨髄性白血病)、悪性リンパ腫が高頻度に発症します
  • 消化器系癌:大腸癌、胃癌、食道癌などが若年で発症することがあります
  • 皮膚癌:扁平上皮癌、基底細胞癌のリスクが増加します
  • その他の固形癌:乳癌、肺癌、子宮頸癌など、多種多様な癌が発症します
  • 複数の癌:生涯にわたり複数の異なる種類の癌を発症する可能性があります

悪性腫瘍は小児期から発症する可能性があり、ブルーム症候群患者の平均寿命は25~30歳程度で、死因の多くは悪性腫瘍です。そのため、定期的な癌スクリーニングと早期発見が極めて重要です。

染色体不安定性

ブルーム症候群の病態の根本には、染色体レベルでのゲノム不安定性があります。細胞遺伝学的検査では、姉妹染色分体交換(Sister Chromatid Exchange: SCE)の頻度が正常の約10倍に増加していることが特徴的です。このSCEの増加は、ブルーム症候群に特異的な所見であり、診断において重要な役割を果たします。

進行と予後

ブルーム症候群は出生時から症状が認められる先天性疾患です。成長遅延は生涯持続し、感染症のリスクは乳幼児期に特に高くなります。悪性腫瘍の発症リスクは年齢とともに累積的に増加し、生命予後に最も大きな影響を与えます。放射線感受性が亢進しているため、放射線治療や診断のための放射線検査には特別な配慮が必要です。

遺伝形式と原因遺伝子

ブルーム症候群は常染色体劣性遺伝形式をとる遺伝性疾患で、15番染色体の15q26.1領域に位置するBLM遺伝子(RECQL3遺伝子としても知られる)の変異により発症します。両親から変異を受け継いだ場合(ホモ接合体または複合ヘテロ接合体)に発症し、片親からのみ変異を受け継いだ保因者(ヘテロ接合体)は通常無症状です。

BLM遺伝子とBLMタンパク質

BLM遺伝子は、RecQヘリカーゼファミリーに属するBLMタンパク質をコードしています。BLMタンパク質は、DNA複製、DNA修復、染色体分離において重要な役割を果たす酵素で、以下の機能を持ちます:

  • DNA二重鎖切断の修復:DNA損傷の修復機構において中心的な役割を果たします
  • 姉妹染色分体交換の抑制:正常な細胞分裂において染色体の安定性を維持します
  • ゲノム複製フォークの再開:DNA複製が停止した際の再開を促進します
  • ホリデイジャンクションの解消:BTR複合体(BLM-TOP3A-RMI1-RMI2)の一部として、DNA組換え中間体の解消に関与します
  • 異常DNA二次構造の解消:G-四重鎖などの異常な構造を解消します

遺伝子変異のタイプ

BLM遺伝子には様々なタイプの変異が報告されています:

  • アシュケナージ系ユダヤ人に多い変異:6塩基の欠失と7塩基の挿入が生じる特定の変異(blmAsh変異)が最も頻度が高く、この集団の保因者の約1%に認められます
  • ミスセンス変異:アミノ酸が置換され、タンパク質の機能が低下または消失します
  • ナンセンス変異:タンパク質合成の途中で停止シグナルが発生し、短縮型の非機能的タンパク質が産生されます
  • フレームシフト変異:塩基の挿入や欠失により読み枠がずれ、異常なタンパク質が産生されます
  • スプライシング変異:mRNAの正常なスプライシングが障害され、機能的なタンパク質が産生されません

遺伝カウンセリングの重要性

ブルーム症候群の両親は通常、それぞれが変異を1つずつ持つ保因者です。保因者同士のカップルから生まれる子どもについては:

  • 25%の確率でブルーム症候群を発症(変異を両親から1つずつ受け継ぐ)
  • 50%の確率で保因者となる(片親からのみ変異を受け継ぐ)
  • 25%の確率で変異を受け継がない

患者さんご本人が子どもを持つ場合、パートナーが保因者でなければ、子どもは全員保因者となりますが発症はしません。パートナーも保因者の場合は、子どもが50%の確率で発症します。そのため、家族計画において遺伝カウンセリングが極めて重要です。

ミネルバクリニックのブルーム症候群 BLM遺伝子検査の特徴

「ブルーム症候群 BLM遺伝子検査」は、ブルーム症候群の原因であるBLM遺伝子に病的変異があるかどうかを調べる次世代シーケンシング(NGS)による遺伝子検査です。

ブルーム症候群は極めて稀な疾患で、臨床症状のみでの診断は困難な場合があります。特に、成長遅延や日光過敏性紅斑は他の疾患でも認められる可能性があり、確定診断には遺伝子検査が不可欠です。

当院のBLM遺伝子検査では、BLM遺伝子の塩基配列変異(点変異、小さな挿入・欠失)および遺伝子内の大きな欠失・重複(コピー数変異)の両方を高精度で検出することができます。これにより、ブルーム症候群の確定診断、保因者診断、出生前診断、着床前診断などに活用できます。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

ブルーム症候群の遺伝子検査は、多くの医療機関では研究ベースでの実施となるか、高額な費用がかかることがあります。

当院では、BLM遺伝子の包括的な検査(塩基配列解析および欠失・重複解析)をリーズナブルな料金で受けることができます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関でのブルーム症候群の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには数ヶ月かかることもあります。

当院で行う「ブルーム症候群 BLM遺伝子検査」の場合、2~3週間程度で結果をお知らせすることが可能です。

3.包括的な検査

当院のBLM遺伝子検査では、塩基配列の変異だけでなく、遺伝子全体の大きな欠失や重複(コピー数変異)も検出可能です。これにより、ブルーム症候群を引き起こす様々なタイプの遺伝子変異を見逃すことなく検出できます。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・重複 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「ブルーム症候群 BLM遺伝子検査」では、15番染色体15q26.1に位置するBLM遺伝子(RECQL3遺伝子)の全コード領域とスプライス接合部を対象として、次世代シーケンシング(NGS)により塩基配列を解析します。また、遺伝子全体の欠失や重複(コピー数変異)も検出します。

「ブルーム症候群 BLM遺伝子検査」は、ブルーム症候群の確定診断、保因者診断、家族内発症リスク評価、出生前診断・着床前診断など、現在および将来的に活用できる重要な情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

以下のような方に「ブルーム症候群 BLM遺伝子検査」を受けることをおすすめします:

【臨床症状からブルーム症候群が疑われる方】
・出生時からの著しい低身長・低体重がある方
・日光暴露後に顔面(特に鼻や頬)に蝶形紅斑が出現する方
・特徴的な顔貌(細長い顔、突出した鼻、小さい下顎)がある方
・毛細血管拡張や色素異常を伴う皮膚病変がある方
・反復する感染症(上気道感染、中耳炎、肺炎など)がある方
・免疫グロブリン値の低下が認められる方
・姉妹染色分体交換(SCE)の頻度が正常の10倍以上に増加している方
・若年で悪性腫瘍を発症した方、または複数の癌を発症した方
・糖尿病や不妊症を合併している方

【家族歴がある方】
・ブルーム症候群と診断された家族がいる方
・アシュケナージ系ユダヤ人の血統で、家族計画を考えている方
・保因者である可能性が高く、パートナーも保因者のリスクがある方

【保因者診断を希望される方】
・ブルーム症候群の患者さんの兄弟姉妹
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方
・パートナーがブルーム症候群患者または保因者の方

【出生前診断・着床前診断を検討されている方】
・保因者同士のカップルで妊娠を計画されている方
・既に妊娠中で、胎児の診断を希望される方

この検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

BLM遺伝子検査により病的変異が確認されると、ブルーム症候群の確定診断が可能となり、適切な医学的管理と生涯にわたる包括的なケアの計画を立てることができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・診断の確定:臨床症状と遺伝子検査により確定診断が得られます
・鑑別診断:ファンコニ貧血、毛細血管拡張性運動失調症、ロスムンド・トムソン症候群など、類似症状を示す他の疾患との鑑別が可能になります
・癌サーベイランス:悪性腫瘍の高リスクを認識し、定期的な癌スクリーニング(血液検査、画像検査、内視鏡検査など)により早期発見・早期治療が可能になります
・感染症管理:免疫不全を考慮した適切な予防接種プログラムと感染症対策が可能になります
・日光対策:日焼け止めの使用、紫外線防護衣類の着用など、適切な日光暴露対策を講じることができます
・放射線暴露の回避:放射線感受性が亢進しているため、不必要な放射線検査を避け、必要な場合は最小限の線量で実施できます
・糖尿病管理:糖尿病リスクを認識し、定期的な血糖値モニタリングと予防的介入が可能になります
・生殖医療への対応:不妊症のリスクを認識し、早期に生殖医療の専門家に相談できます
・家族へのリスク情報:兄弟姉妹や親族の保因者診断、将来の家族計画に重要な情報を提供できます
・出生前・着床前診断:保因者カップルに対して、出生前診断や着床前診断の選択肢を提供できます
・予後の理解:疾患の自然経過と予後について正確な情報を得ることができます
・患者団体への接続:同じ疾患を持つ患者さんや家族との交流、情報共有の機会が得られます
・臨床試験への参加:将来的な治療法開発のための臨床試験に参加する機会が得られる可能性があります

保因者診断が確定した場合、その方の兄弟姉妹も50%の確率で保因者です。また、保因者同士のカップルから生まれる子どもは25%の確率でブルーム症候群を発症します。家族を検査することで、これらのリスクを明らかにし、適切な家族計画を立てることが可能になります。

対象遺伝子

詳しくはこちら

BLM遺伝子(RECQL3遺伝子)(1遺伝子)

遺伝子の詳細:

・染色体位置:15番染色体15q26.1
・遺伝子サイズ:約99kbの遺伝子領域
・エキソン数:22個のエキソン
・タンパク質:1,417アミノ酸からなるBLMタンパク質(RecQヘリカーゼファミリー)
・分子量:約159kDa

・BLMタンパク質の機能:
BLMタンパク質は、RecQヘリカーゼファミリーに属するDNA/RNAヘリカーゼで、以下の重要な機能を持ちます:

  • DNA複製:DNA複製フォークの進行と停止した複製フォークの再開を促進します
  • DNA修復:DNA二重鎖切断の修復、特に相同組換え修復において中心的な役割を果たします
  • 染色体安定性:姉妹染色分体交換(SCE)を抑制し、染色体の安定性を維持します
  • BTR複合体:TOP3A、RMI1、RMI2と共にBTR複合体を形成し、ホリデイジャンクションの解消を担います
  • G-四重鎖の解消:DNAのG-四重鎖構造などの異常な二次構造を解消します
  • テロメア維持:テロメアの複製と維持に関与します
  • DNA損傷応答:DNA損傷に応答してp53経路を活性化し、細胞周期チェックポイントを調節します

・病的変異のタイプ:

  • blmAsh変異:アシュケナージ系ユダヤ人に最も頻度が高い変異(2281del6ins7: c.2207_2212delinsTAGATTC)。6塩基が欠失し7塩基が挿入されることで、フレームシフトと早期終止コドンが生じます
  • ナンセンス変異:早期終止コドンが生じ、短縮型の非機能的タンパク質が産生されます
  • ミスセンス変異:アミノ酸置換により、タンパク質の機能が低下または消失します
  • フレームシフト変異:塩基の挿入や欠失により読み枠がずれ、異常なタンパク質が産生されます
  • スプライシング変異:正常なmRNAスプライシングが障害され、機能的なタンパク質が産生されません
  • 大きな欠失・重複:遺伝子全体または複数のエキソンにまたがる欠失や重複が生じます

・遺伝形式:常染色体劣性遺伝
両親からそれぞれ変異を1つずつ受け継いだ場合(ホモ接合体または複合ヘテロ接合体)に発症します。片親からのみ変異を受け継いだ保因者(ヘテロ接合体)は通常無症状ですが、一部の研究では保因者における大腸癌リスクの軽度増加が示唆されています。

・遺伝子型-表現型相関:
BLM遺伝子の変異位置や種類によって、臨床症状の重症度に多少の違いが見られることがありますが、明確な遺伝子型-表現型相関は確立されていません。ほとんどの病的変異は機能喪失型で、BLMタンパク質の完全な欠損または著しい機能低下を引き起こします。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、BLM遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。この高いカバレッジにより、病的変異を高精度で検出することが可能です。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※稀に、技術的な理由により検出できない変異が存在する可能性があります。検査で病的変異が検出されなくても、臨床症状が強く疑われる場合は、他の検査方法(姉妹染色分体交換の解析など)や専門医への相談を検討してください。

※この検査は臨床診断の補助として使用されるべきであり、他の臨床的・検査的所見と総合的に判断する必要があります。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み220,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
出生時からの著しい低身長・低体重、日光暴露後の顔面の蝶形紅斑、特徴的な顔貌(細長い顔、突出した鼻)、反復する感染症がある方におすすめします。また、若年で悪性腫瘍を発症した方、姉妹染色分体交換(SCE)の頻度が著しく増加している方も検査をご検討ください。家族にブルーム症候群の方がいる場合も、保因者診断のために検査が推奨されます。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)、唾液、または頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。次世代シーケンシング(NGS)技術により、BLM遺伝子の全コード領域と欠失・重複を包括的に解析します。
ブルーム症候群と確定診断された場合、どのような管理が必要ですか?
ブルーム症候群には根本的な治療法はありませんが、包括的な管理により生活の質を向上させることができます。日焼け止めの使用と紫外線防護、定期的な感染症予防と早期治療、悪性腫瘍の定期的なスクリーニング(血液検査、画像検査、内視鏡検査など)、糖尿病のモニタリング、不必要な放射線暴露の回避などが重要です。定期的に専門医の診察を受け、早期発見・早期治療を心がけることが大切です。
癌のリスクはどの程度高いのですか?
ブルーム症候群患者さんの癌発症リスクは一般人口の150~300倍と非常に高く、20歳までに約30%の方が何らかの悪性腫瘍を発症します。白血病、悪性リンパ腫、消化器系癌、皮膚癌など、あらゆる種類の癌のリスクが増加します。そのため、定期的な癌スクリーニングによる早期発見が極めて重要です。
家族も検査を受ける必要がありますか?
ブルーム症候群患者さんの両親は必ず保因者です。兄弟姉妹も50%の確率で保因者となります。保因者自身は通常無症状ですが、保因者同士のカップルから生まれる子どもは25%の確率でブルーム症候群を発症します。将来の家族計画のため、兄弟姉妹や近親者の保因者診断が推奨されます。
保因者にはリスクがありますか?
保因者(ヘテロ接合体)は通常、ブルーム症候群の症状を示しません。ただし、一部の研究では保因者における大腸癌リスクの軽度増加が示唆されています。保因者であることが判明した場合、パートナーも保因者診断を受けることで、将来の子どもへのリスクを評価できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
検査で病的変異が検出されなかった場合、ブルーム症候群である可能性は低くなりますが、技術的な限界により検出できない変異が稀に存在する可能性があります。臨床症状が強く疑われる場合は、姉妹染色分体交換(SCE)の解析など他の検査方法や、類似疾患の鑑別診断を検討します。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み220,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。病的変異が確認された場合の疾患管理、家族への影響、保因者診断の意義、将来の家族計画における選択肢(出生前診断、着床前診断など)について、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
ブルーム症候群患者さん本人が子どもを持つ場合、パートナーが保因者でなければ、子どもは全員保因者となりますが発症はしません。パートナーも保因者の場合は、子どもが50%の確率で発症します。保因者同士のカップルの場合、子どもが25%の確率で発症します。出生前診断(羊水検査、絨毛検査)や着床前診断により、発症を避けることが可能です。検査結果により、これらの選択肢についてもご相談いただけます。
アシュケナージ系ユダヤ人ですが、検査を受けるべきですか?
アシュケナージ系ユダヤ人集団では保因者頻度が約1/100と高いため、将来子どもを持つことを計画されている場合は、保因者診断を受けることが推奨されます。特に、パートナーも同じ血統の場合は、両者とも保因者診断を受けることで、将来の子どもへのリスクを評価できます。
姉妹染色分体交換(SCE)の検査も必要ですか?
姉妹染色分体交換(SCE)の頻度上昇はブルーム症候群に特徴的な所見ですが、確定診断には遺伝子検査が必要です。SCE検査で異常が認められた場合は、BLM遺伝子検査により確定診断を行います。逆に、遺伝子検査で病的変異が確認されれば、SCE検査は必須ではありません。
予後はどうですか?
ブルーム症候群患者さんの平均寿命は25~30歳程度とされており、主な死因は悪性腫瘍です。ただし、定期的な癌スクリーニングによる早期発見・早期治療、適切な感染症管理、生活習慣の改善により、より長い生存期間を達成できる可能性があります。医学の進歩により、予後の改善も期待されています。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では、BLM遺伝子の包括的な解析(塩基配列解析および欠失・重複解析の両方)を2~3週間という短期間で実施できます。臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。また、検査後の長期的なフォローアップ、癌スクリーニング計画の立案、家族への遺伝カウンセリングなど、包括的なサポートを提供しています。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら