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ベルナール・スーリエ症候群NGS遺伝子検査|ミネルバクリニック

ベルナール・スーリエ症候群NGS遺伝子検査|ミネルバクリニック

ベルナール・スーリエ症候群とは

ベルナール・スーリエ症候群(Bernard-Soulier syndrome:BSS)は、血小板膜糖蛋白(GP)Ib/IX/V複合体の先天性欠損により、巨大血小板性血小板減少症と血小板粘着能障害を特徴とする遺伝性血小板機能異常症です。巨大血小板症候群とも呼ばれます。

本疾患は常染色体劣性遺伝形式をとり、GPIb/IX/V複合体の欠損によって血管損傷部位へのvon Willebrand因子を介した血小板粘着が障害されるため、出血傾向を呈します。フランス人医師のジャン・ベルナールとジャン・ピエール・スーリエによって報告されたことから、この名称がつけられました。

ベルナール・スーリエ症候群は、遺伝性血小板機能異常症の中でも代表的な疾患の一つです。血小板数は減少し、血小板のサイズが著明に増大(巨大血小板)することが特徴です。有病率は100万人あたり1人程度と推定されており、非常に稀な疾患ですが、ヘテロ接合性保因者は500人に1人と計算されています。日本人特有の遺伝子変異があり、九州・沖縄地方で頻度が高いことが知られています。

症状と病態

ベルナール・スーリエ症候群の主な症状は、皮膚粘膜における出血傾向です。GPIb/IX/V複合体の欠損により、血管破綻部位への血小板粘着が障害されるため、一次止血機能が低下します。

主要症状

  • 点状出血、紫斑(皮膚の出血斑)
  • 鼻出血(頻回、遷延性)
  • 歯肉出血(歯磨き時など)
  • 過多月経(女性患者において)
  • 外傷時の遷延性出血
  • 分娩時・産褥期の大量出血
  • 手術時の止血困難

血液学的特徴

ベルナール・スーリエ症候群では、以下の血液学的異常が認められます:

  • 巨大血小板:末梢血塗抹標本で直径3~8μmの巨大血小板が観察されます(正常血小板は2~4μm)。赤血球やリンパ球と同程度の大きさになることもあります
  • 血小板数減少:血小板数は通常50,000~100,000/μL程度に減少します。巨大血小板は自動血球計数装置では血小板として計数されないことが多いため、目視による血小板算定が推奨されます
  • 平均血小板容積(MPV)の増大:自動血球計数装置で測定不能となることもあります
  • 出血時間の著明延長:通常の数倍から10倍以上に延長します
  • 血小板凝集能異常:リストセチンによる血小板凝集が欠如します(正常血漿添加でも補正されない)。ADP、コラーゲン、エピネフリンなどによる凝集は正常です

病態生理

血小板による止血は、粘着、放出、凝集の3段階に分かれます。血管が破綻すると、血管内皮下組織に露呈したvon Willebrand因子を介して、血小板膜表面のGPIb/IX/V複合体により血小板が粘着します。ベルナール・スーリエ症候群では、このGPIb/IX/V複合体が欠損しているため、血小板粘着が障害されます。

また、GPIb/IX/V複合体は血小板の成熟にも関与するため、シグナル伝達が適切に行われず、血小板の成熟障害をきたし、巨大血小板性血小板減少症が生じます。

鑑別診断

ベルナール・スーリエ症候群は、巨大血小板と血小板減少を特徴とするため、以下の疾患との鑑別が重要です:

  • 特発性血小板減少性紫斑病(ITP):最も誤診されやすい疾患です。血小板減少と出血症状を呈しますが、巨大血小板は通常認めません
  • MYH9異常症:巨大血小板性血小板減少症の代表疾患です。血小板凝集能検査で鑑別できます
  • von Willebrand病:血小板粘着障害を呈しますが、正常血漿添加により血小板凝集が補正される点で異なります

進行と予後

ベルナール・スーリエ症候群は生涯にわたる出血傾向が持続します。症状の重症度は個人差がありますが、多くの患者さんは日常生活における軽微な出血症状を経験します。重篤な出血エピソードは、外傷、手術、抜歯、分娩などの際に起こりやすくなります。適切な予防的管理により、多くの患者さんは通常の生活を送ることができます。

遺伝形式と原因遺伝子

ベルナール・スーリエ症候群は常染色体劣性遺伝形式をとる遺伝性疾患です。GPIb/IX/V複合体を構成する3つの遺伝子(GP1BA、GP1BB、GP9)のいずれかにホモ接合性変異または複合ヘテロ接合性変異が生じることで発症します。

原因遺伝子

GP1BA遺伝子

GPIbα(糖蛋白Ibα鎖)をコードする遺伝子です。GPIb/IX/V複合体の主要構成成分であり、von Willebrand因子の結合部位を持ちます。最も頻度の高い原因遺伝子で、ベルナール・スーリエ症候群の約50~60%を占めます。17番染色体(17pter-p12)に位置します。

GP1BB遺伝子

GPIbβ(糖蛋白Ibβ鎖)をコードする遺伝子です。GPIbαと結合して複合体を形成し、細胞膜への係留に関与します。22番染色体(22q11.2)に位置し、約20~30%の症例で変異が認められます。

GP9遺伝子

GPIX(糖蛋白IX)をコードする遺伝子です。GPIb/IX/V複合体の安定性と細胞膜での発現に重要な役割を果たします。3番染色体(3q21)に位置し、約10~20%の症例で変異が認められます。

遺伝形式の特徴

常染色体劣性遺伝:両親がともに保因者(ヘテロ接合体)の場合、子どもが発症する確率は25%、保因者となる確率は50%、正常である確率は25%です。

ヘテロ接合性保因者:片方の親からのみ変異遺伝子を受け継いだ保因者は、通常無症状ですが、軽度の血小板減少と大型血小板を認めることがあります。出血症状はほとんど認めません。

日本人特有の変異:日本人では特定の遺伝子変異が高頻度に認められ、特に九州・沖縄地方で創始者効果による集積が報告されています。

変異のタイプ

ベルナール・スーリエ症候群を引き起こす遺伝子変異には、以下のようなタイプがあります:

  • ミスセンス変異:アミノ酸が別のアミノ酸に置換される変異
  • ナンセンス変異:途中で終止コドンが生じる変異
  • フレームシフト変異:塩基の挿入や欠失により遺伝子の読み枠がずれる変異
  • スプライシング変異:遺伝子のスプライシング過程に影響を与える変異
  • 欠失変異:遺伝子の一部または全部が欠失する変異

ミネルバクリニックのベルナール・スーリエ症候群遺伝子検査の特徴

「ベルナール・スーリエ症候群 NGS検査」とは、ベルナール・スーリエ症候群の原因として報告されている3つの遺伝子(GP1BA、GP1BB、GP9)に異常があるかどうかを調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、GP1BA遺伝子の検査をして異常がなければ次にGP1BB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、ベルナール・スーリエ症候群に関連する3遺伝子を一度に調べられる「ベルナール・スーリエ症候群 NGS検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関でベルナール・スーリエ症候群の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、ベルナール・スーリエ症候群に関係するとされる3つの遺伝子を一度に調べられる「ベルナール・スーリエ症候群 NGS検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行えるベルナール・スーリエ症候群の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「ベルナール・スーリエ症候群 NGS検査」の場合、3つの遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状からベルナール・スーリエ症候群を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「ベルナール・スーリエ症候群 NGS検査」ならば、3つの原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「ベルナール・スーリエ症候群 NGS検査」では、ベルナール・スーリエ症候群に関係するとされる3種類の遺伝子(GP1BA、GP1BB、GP9)をまとめて検査します。

「ベルナール・スーリエ症候群 NGS検査」は、ベルナール・スーリエ症候群の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【ベルナール・スーリエ症候群の個人歴または家族歴のある方】に
「ベルナール・スーリエ症候群 NGS検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・頻回または遷延性の鼻出血がある方
・軽微な外傷で紫斑や皮下出血が生じやすい方
・歯肉出血が頻繁にある方
・過多月経がある女性
・血小板数が減少していると指摘された方
・末梢血塗抹標本で巨大血小板を指摘された方
・出血時間が著明に延長している方
・リストセチンによる血小板凝集が欠如している方
・特発性血小板減少性紫斑病と診断されたが治療に反応しない方
・ベルナール・スーリエ症候群または遺伝性血小板機能異常症の家族歴がある方
・血縁者に血小板減少を指摘されている方がいる場合
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、ベルナール・スーリエ症候群の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な予防的管理、出血時の対応、定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・特発性血小板減少性紫斑病や他の血小板減少症との鑑別
・不必要な治療(ステロイド療法など)の回避
・手術・抜歯・分娩時の適切な止血管理計画の立案
・血小板輸血の適応判断
・デスモプレシン(DDAVP)など止血薬の使用可否判断
・外傷や出血リスクの高い活動への注意喚起
・女性患者における月経管理と妊娠・分娩計画
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
・関連リソースやサポートへの患者の接続

患者さんで病原性変異が同定された場合、常染色体劣性遺伝のため、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。両親はともに保因者です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

GP1BA, GP1BB, GP9 ( 3遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・GP1BA遺伝子:
糖蛋白Ibα鎖(GPIbα)をコードする遺伝子。17番染色体(17pter-p12)に位置します。GPIb/IX/V複合体の主要構成成分であり、von Willebrand因子の結合部位を含みます。最も頻度の高い原因遺伝子で、ベルナール・スーリエ症候群の約50~60%を占めます。変異により、血小板膜上のGPIbα発現が欠損または著減し、血小板粘着能が障害されます。

・GP1BB遺伝子:
糖蛋白Ibβ鎖(GPIbβ)をコードする遺伝子。22番染色体(22q11.2)に位置します。GPIbαとジスルフィド結合により複合体を形成し、細胞膜への係留に関与します。約20~30%の症例で変異が認められます。変異により、GPIb複合体の安定性が低下し、血小板膜上での発現が障害されます。

・GP9遺伝子:
糖蛋白IX(GPIX)をコードする遺伝子。3番染色体(3q21)に位置します。GPIb/IX/V複合体の安定性と細胞膜での発現に重要な役割を果たします。約10~20%の症例で変異が認められます。変異により、GPIb/IX/V複合体全体の発現が低下し、血小板粘着能が障害されます。

これら3つの遺伝子のいずれかにホモ接合性変異または複合ヘテロ接合性変異が生じることで、ベルナール・スーリエ症候群が発症します。ヘテロ接合性保因者は通常無症状ですが、軽度の血小板減少と大型血小板を認めることがあります。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。稀な変異や未同定の遺伝子変異が存在する可能性があります。臨床症状と検査所見に基づいた診断が引き続き重要です。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

遺伝性血小板機能異常症について

遺伝性血小板機能異常症は、血小板の機能に先天的な異常があるために出血傾向を呈する疾患群の総称です。血小板は止血において重要な役割を果たしており、血管が破綻すると血管壁に粘着し、活性化物質を放出し、血小板同士が凝集して血栓を形成します。この過程のいずれかに障害があると、出血傾向が生じます。

遺伝性血小板機能異常症の分類

遺伝性血小板機能異常症は、障害される機能によって以下のように分類されます:

  • 血小板粘着能異常症:ベルナール・スーリエ症候群(GPIb/IX/V複合体の欠損)、血小板型von Willebrand病などが含まれます
  • 血小板凝集能異常症:血小板無力症(Glanzmann血小板無力症、GPIIb/IIIa複合体の欠損)が代表的です
  • 血小板放出異常症:ストレージプール病(血小板顆粒の異常)、放出機構異常症などが含まれます
  • 血小板プロコアグラント活性異常症:Scott症候群などが含まれます

代表的な遺伝性血小板機能異常症

ベルナール・スーリエ症候群

GPIb/IX/V複合体の欠損により血小板粘着能が障害される疾患です。巨大血小板、血小板減少、リストセチン凝集の欠如が特徴です。常染色体劣性遺伝形式をとります。

血小板無力症(Glanzmann血小板無力症)

GPIIb/IIIa複合体(インテグリンαIIb/β3)の欠損により血小板凝集能が障害される疾患です。血小板数と血小板サイズは正常ですが、ADP、コラーゲン、エピネフリンなどによる血小板凝集が障害されます。常染色体劣性遺伝形式をとります。日本では1986年の調査で222例が登録されており、ベルナール・スーリエ症候群の43例と比較して頻度が高い疾患です。

ストレージプール病

血小板の顆粒(デンス顆粒、α顆粒)の量的・質的異常により、放出される物質が不足する疾患です。デンス顆粒欠乏症、α顆粒欠乏症(Gray platelet症候群)などが含まれます。出血傾向は比較的軽度です。

診断と管理

遺伝性血小板機能異常症の診断には、詳細な出血歴の聴取、家族歴の確認、血液検査(血小板数、末梢血塗抹標本)、出血時間測定、血小板凝集能検査が重要です。確定診断には遺伝子検査が有用です。

治療は対症療法が中心で、重篤な出血時には血小板輸血が必要となります。一部の疾患ではデスモプレシン(DDAVP)や抗線溶薬(トラネキサム酸)が有効な場合があります。手術や抜歯、分娩時には事前の準備と適切な止血管理が必要です。

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
頻回または遷延性の鼻出血、軽微な外傷での紫斑や皮下出血、歯肉出血、過多月経などの出血症状がある方におすすめします。特に、血小板数が減少していると指摘された方、末梢血塗抹標本で巨大血小板を認める方、出血時間が著明に延長している方、リストセチンによる血小板凝集が欠如している方は検査をご検討ください。また、家族に同様の症状や血小板減少を指摘されている方がいる場合も重要です。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。血液検体の場合は、全国の提携医療機関での採血も可能です。
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)との違いは何ですか?
ベルナール・スーリエ症候群は遺伝性疾患で、巨大血小板とリストセチン凝集の欠如が特徴です。ITPは自己免疫疾患で、通常巨大血小板は認めず、血小板凝集能は正常です。ベルナール・スーリエ症候群はITPと誤診されやすく、ステロイド治療に反応しない場合は本症を疑う必要があります。遺伝子検査により正確な診断が可能になります。
家族も検査を受ける必要がありますか?
常染色体劣性遺伝のため、患者さんの両親は保因者です。兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。保因者は通常無症状ですが、軽度の血小板減少と大型血小板を認めることがあります。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
検査で病原性変異が検出されなくても、臨床症状と検査所見からベルナール・スーリエ症候群と診断される場合があります。稀な変異や未同定の遺伝子変異が存在する可能性もあります。臨床診断に基づいた適切な管理が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
常染色体劣性遺伝のため、患者さんのお子さんは全員保因者となります。配偶者が保因者の場合、子どもが発症する確率は50%、保因者となる確率は50%です。保因者同士のカップルで子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
ベルナール・スーリエ症候群の治療はどのように行われますか?
現在のところ根本的な治療法はありませんが、出血症状の予防と管理が中心となります。重篤な出血時には血小板輸血が必要です。一部の患者さんではデスモプレシン(DDAVP)や抗線溶薬(トラネキサム酸)が有効な場合があります。手術や抜歯、分娩時には事前の計画と適切な止血管理が重要です。外傷や出血リスクの高い活動は避けることが推奨されます。
予後はどうですか?
ベルナール・スーリエ症候群は生涯にわたる出血傾向が持続しますが、適切な管理により多くの患者さんは通常の生活を送ることができます。重篤な出血エピソードは、外傷、手術、分娩などの際に起こりやすいため、これらの状況では事前の準備と専門医による管理が必要です。生命予後は一般的に良好ですが、重篤な出血への適切な対応が重要です。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では3つの原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら