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バルデー・ビードル症候群NGSパネル遺伝子検査|ミネルバクリニック

バルデー・ビードル症候群NGSパネル遺伝子検査|ミネルバクリニック

バルデー・ビードル症候群とは

バルデー・ビードル症候群(Bardet-Biedl Syndrome: BBS)は、多臓器にわたって症状が現れる遺伝性の繊毛病です。視力障害、肥満、多指症、腎機能障害、性腺機能低下症、知的障害などを主な症状とし、繊毛(細胞表面に存在する毛のような構造)の機能異常によって引き起こされます。

本疾患は1866年にLaurenceとMoonによって最初の症例が報告され、1920年にBardet、1922年にBiedlによって詳細な報告がなされました。日本では「ローレンス・ムーン・ビードル症候群」と呼ばれることもありますが、国際的には肥満のない別の疾患を指すとされ、現在はバルデー・ビードル症候群として区別されています。

バルデー・ビードル症候群は繊毛病の一種であり、繊毛の構造や機能の異常によって様々な症状が引き起こされます。繊毛は細胞の表面に存在する毛のような構造で、シグナル伝達や細胞の感覚受容など重要な役割を担っています。有病率は北米で10万人に1人、ヨーロッパで16万人に1人程度と推定されており、比較的稀な疾患です。

症状と病態

バルデー・ビードル症候群は多臓器にわたって症状が現れる多系統疾患です。主要症状と副次的症状があり、患者さんによって症状の組み合わせや重症度が大きく異なります。

主要症状

  • 網膜色素変性症(視力障害)
  • 軸後性多指症(手足の小指側に余分な指がある)
  • 肥満(特に体幹部の肥満)
  • 学習障害・知的障害
  • 性腺機能低下症(男性では外性器の発達不全、女性では複雑な泌尿生殖器の異常)
  • 腎機能障害(腎臓の構造異常や機能低下)

視力障害について

視力障害はバルデー・ビードル症候群の最も重要な症状の一つです。網膜の視細胞(錐体細胞と桿体細胞)が徐々に変性することによって起こります。最も早期に現れる症状は夜盲症(暗いところで見えにくい)で、多くの場合小児期に始まります。その後、周辺視野の盲点が進行し、患者さんの約90%が成人までに法的失明(視覚障害認定)の状態に至ります。

肥満とメタボリック症候群

体幹部の肥満は乳児期から幼児期に始まり、成人期まで続く特徴的な症状です。バルデー・ビードル症候群患者さんの多くは、メタボリック症候群(中心性肥満に加えて、高血圧、脂質異常症、糖尿病のうち2つ以上を有する状態)を発症します。肥満は食欲調節の異常や代謝の問題によって引き起こされると考えられています。

腎機能障害

腎機能障害はバルデー・ビードル症候群の重要な合併症で、生命予後に大きく影響します。腎臓の構造異常(奇形、嚢胞など)や機能低下が認められ、進行すると慢性腎不全、透析が必要となることがあります。腎不全は本症候群における早期死亡の主要な原因の一つです。

副次的症状

  • 発達の遅れ(粗大運動、微細運動、言語の各領域)
  • 言語障害(受容性・表出性言語の遅れ、構音障害)
  • 行動・精神医学的異常(強迫性行動、不安、気分障害)
  • 歯の異常(歯の配列不整、欠損)
  • 心臓の異常(先天性心疾患)
  • 肝疾患(肝線維化、肝硬変)
  • 難聴
  • 嗅覚障害
  • バランスと協調運動の障害

進行と予後

バルデー・ビードル症候群の予後は患者さんによって異なり、同じ家族内でも症状の現れ方は様々です。早期死亡の主な原因は腎不全ですが、適切な治療とモニタリングを行うことで、多くの患者さんの平均余命は正常またはほぼ正常になる可能性があります。早期診断と適切な管理により、合併症を予防し、生活の質を維持することが重要です。

遺伝形式と原因遺伝子

バルデー・ビードル症候群は主に常染色体劣性(潜性)遺伝の形式をとる遺伝性疾患です。現在までに24以上の原因遺伝子(BBS1~BBS24)が同定されていますが、原因不明の症例も多く存在します。

常染色体劣性(潜性)遺伝

バルデー・ビードル症候群の大部分は常染色体劣性遺伝形式をとります。両親がそれぞれ病原性変異を持つ保因者(キャリア)である場合、子どもが発症する確率は25%、保因者となる確率は50%、正常である確率は25%です。保因者は通常症状を示しません。

主要な原因遺伝子

現在までに同定されている原因遺伝子は以下の通りです:

  • BBS1遺伝子:最も頻度の高い原因遺伝子で、バルデー・ビードル症候群の約20%を占めます
  • BBS2遺伝子:2番目に頻度の高い原因遺伝子です
  • BBS4遺伝子:比較的頻度の高い原因遺伝子の一つです
  • BBS5遺伝子:BBSome複合体の構成タンパク質をコードします
  • BBS7遺伝子:BBSome複合体の構成タンパク質をコードします
  • BBS9遺伝子:BBSome複合体の構成タンパク質をコードします
  • BBS10遺伝子:シャペロン様タンパク質をコードします
  • BBS12遺伝子:約11%の症例の原因となります

その他、ARL6、CEP290、MKKS、MKS1、SDCCAG8、TRIM32、TTC8、WDPCPなど多数の遺伝子が原因遺伝子として知られています。

BBSomeとBBS遺伝子の機能

BBS遺伝子の多くは「BBSome」と呼ばれるタンパク質複合体を形成します。BBSomeは繊毛の形成や機能維持に重要な役割を果たしており、繊毛内でのタンパク質輸送や繊毛膜の構成に関与しています。これらの遺伝子に変異が生じると、繊毛の機能が障害され、多臓器にわたる様々な症状が引き起こされます。

日本における遺伝的背景

日本での研究では、欧米で報告されているBBS1~BBS15遺伝子の既知の変異が検出されない症例が多く認められており、日本人患者さんでは欧米とは異なる遺伝的背景を持つ可能性が示唆されています。そのため、包括的な遺伝子検査が重要となります。

当検査パネルでは、これらの原因遺伝子のうち、臨床的に重要な16遺伝子を対象としています。これにより、バルデー・ビードル症候群の主要な原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。

ミネルバクリニックのバルデー・ビードル症候群遺伝子パネル検査の特徴

「バルデー・ビードル症候群 NGSパネル検査」とは、現在バルデー・ビードル症候群の原因として報告されている16の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、バルデー・ビードル症候群に関連する16遺伝子を一度に調べられる「バルデー・ビードル症候群 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関でバルデー・ビードル症候群の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、バルデー・ビードル症候群に関係するとされる16の遺伝子を一度に調べられる「バルデー・ビードル症候群 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行えるバルデー・ビードル症候群の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「バルデー・ビードル症候群 NGSパネル検査」の場合、16の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状からバルデー・ビードル症候群を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「バルデー・ビードル症候群 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な16の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「バルデー・ビードル症候群 NGSパネル検査」では、バルデー・ビードル症候群に関係するとされる16種類の遺伝子(ARL6、BBS1、BBS10、BBS12、BBS2、BBS4、BBS5、BBS7、BBS9、CEP290、MKKS、MKS1、SDCCAG8、TRIM32、TTC8、WDPCP)をまとめて検査します。

「バルデー・ビードル症候群 NGSパネル検査」は、バルデー・ビードル症候群の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【バルデー・ビードル症候群の個人歴または家族歴のある方】に
「バルデー・ビードル症候群 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・進行性の視力障害がある方(特に夜盲症や周辺視野の狭窄)
・網膜色素変性症と診断された方
・体幹部の肥満がある方
・軸後性多指症(手足の小指側に余分な指)がある方
・腎機能障害や腎臓の構造異常がある方
・性腺機能低下症がある方
・学習障害や知的障害がある方
・複数の主要症状を有する方
・バルデー・ビードル症候群の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、バルデー・ビードル症候群の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、定期的なモニタリング、生活習慣の改善、合併症の早期発見と治療を行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・他の繊毛病や症候群との鑑別
・視力障害の進行予測と早期介入
・腎機能のモニタリングと腎不全の予防
・メタボリック症候群や糖尿病のリスク評価と管理
・心臓、肝臓などの合併症の早期発見
・適切な教育支援や発達支援の計画
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、常染色体劣性遺伝であるため、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。両親が保因者である場合、子どもが発症するリスクは25%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ARL6, BBS1, BBS10, BBS12, BBS2, BBS4, BBS5, BBS7, BBS9, CEP290, MKKS, MKS1, SDCCAG8, TRIM32, TTC8, WDPCP ( 16遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・ARL6遺伝子(BBS3):
ADP-リボシル化因子様タンパク質6をコードする遺伝子。BBSomeの輸送に関与し、繊毛の形成と機能に重要です。

・BBS1遺伝子:
最も頻度の高い原因遺伝子で、バルデー・ビードル症候群の約20%を占めます。BBSomeの構成タンパク質をコードし、繊毛内タンパク質輸送に関与します。

・BBS2遺伝子:
2番目に頻度の高い原因遺伝子。BBSomeの構成タンパク質をコードし、繊毛膜の形成と維持に重要です。

・BBS4遺伝子:
BBSomeの構成タンパク質をコードする遺伝子。繊毛の構造維持とシグナル伝達に関与します。

・BBS5遺伝子:
BBSomeの構成タンパク質をコードする遺伝子。繊毛内での物質輸送に重要な役割を果たします。

・BBS7遺伝子:
BBSomeの構成タンパク質をコードする遺伝子。繊毛の形成と機能に必須です。

・BBS9遺伝子(PTHB1):
BBSomeの構成タンパク質をコードする遺伝子。繊毛の形成と維持に関与します。

・BBS10遺伝子:
シャペロン様タンパク質をコードする遺伝子。BBSome複合体の形成を補助します。

・BBS12遺伝子:
約11%の症例の原因となる遺伝子。シャペロン様タンパク質をコードし、BBSome複合体の形成に関与します。この遺伝子の変異では糖尿病、歯の異常、心臓病、行動の問題が特徴的です。

・CEP290遺伝子(BBS14):
中心体タンパク質290をコードする遺伝子。繊毛の形成と維持、中心体の機能に重要です。重症型の原因となることがあります。

・MKKS遺伝子(BBS6):
シャペロン様タンパク質をコードする遺伝子。BBSome複合体の形成を補助します。McKusick-Kaufman症候群の原因遺伝子でもあります。

・MKS1遺伝子(BBS13):
繊毛タンパク質をコードする遺伝子。Meckel症候群の原因遺伝子でもあり、重症型と関連することがあります。

・SDCCAG8遺伝子(BBS16):
セリン/アスパラギン酸含有CAGリピート8タンパク質をコードする遺伝子。中心体と繊毛の機能に関与します。

・TRIM32遺伝子(BBS11):
トリパルタイトモチーフ含有タンパク質32をコードする遺伝子。ユビキチン化に関与し、タンパク質の分解調節に重要です。

・TTC8遺伝子(BBS8):
テトラトリコペプチドリピート含有タンパク質8をコードする遺伝子。BBSomeの構成タンパク質で、繊毛の形成と機能に関与します。

・WDPCP遺伝子(BBS15):
WDリピートおよび平面細胞極性エフェクタータンパク質をコードする遺伝子。繊毛の方向性や配置に関与します。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、16の原因遺伝子のみを対象としています。バルデー・ビードル症候群では現在24以上の原因遺伝子が知られており、また原因不明の症例も多く存在します。特に日本人患者さんでは欧米で報告されている既知の変異が検出されないことが多く、遺伝的背景が異なる可能性があります。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
視力障害(特に夜盲症)、体幹部の肥満、多指症、腎機能障害、学習障害などの症状がある方におすすめします。これらの主要症状のうち4つ以上、または主要症状3つと副次的症状2つ以上を有する場合、バルデー・ビードル症候群の可能性が高くなります。また、家族に同様の症状がある場合も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
視力障害の進行を止めることはできますか?
現在のところ、網膜色素変性症の進行を完全に止める治療法はありません。しかし、早期に診断することで、視覚補助具の使用、歩行訓練、点字の習得など、視力低下に備えた準備をすることができます。また、定期的な眼科検診により、合併症(白内障など)を早期に発見し治療することが可能です。
家族も検査を受ける必要がありますか?
バルデー・ビードル症候群は常染色体劣性遺伝形式をとるため、患者さんのご両親は保因者である可能性が高く、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
バルデー・ビードル症候群では現在24以上の原因遺伝子が知られており、原因不明の症例も多く存在します。特に日本人患者さんでは欧米で報告されている既知の変異が検出されないことが多いです。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
バルデー・ビードル症候群は常染色体劣性遺伝形式をとるため、両親がともに保因者である場合、子どもが発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
バルデー・ビードル症候群の治療はどのように行われますか?
現在のところ根本的な治療法はありませんが、各症状に対する対症療法が主体となります。視力障害に対する視覚補助、肥満に対する食事療法と運動療法、腎機能障害に対する定期的なモニタリングと必要に応じた透析、糖尿病の管理、教育支援などが行われます。早期診断により、合併症の予防と適切な管理が可能になります。
予後はどうですか?
バルデー・ビードル症候群の予後は患者さんによって異なります。早期死亡の主な原因は腎不全ですが、適切な治療とモニタリングを行うことで、多くの患者さんの平均余命は正常またはほぼ正常になる可能性があります。早期診断と適切な管理により、生活の質を維持することが重要です。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な16の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら