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B細胞陽性重症複合免疫不全症NGS遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック

B細胞陽性重症複合免疫不全症NGS遺伝子パネル検査|ミネルバクリニック

B細胞陽性重症複合免疫不全症とは

B細胞陽性重症複合免疫不全症(B-Positive Severe Combined Immunodeficiency: B-Positive SCID)は、重症複合免疫不全症(SCID)のサブタイプの一つで、T細胞がほとんど存在しないかまたは著しく減少している一方で、B細胞の数は正常または増加している免疫不全症です。ただし、B細胞は数が正常でもT細胞の助けがないため機能することができず、結果として細胞性免疫と液性免疫の両方が重度に障害されます。

重症複合免疫不全症は、生まれつき免疫システムがほとんど機能しない重篤な遺伝性疾患です。適切な治療を受けなければ、細菌、ウイルス、真菌などのあらゆる病原体による重症感染症により、生後1年以内に命を落とすことが多い、緊急性の高い疾患です。

B細胞陽性重症複合免疫不全症は、リンパ球の表現型により「T細胞陰性、B細胞陽性、NK細胞の状態は変動(T-B+NK-またはT-B+NK+)」と分類されます。最も頻度の高いX連鎖型SCID(X-SCID)は、全SCID症例の約半数を占め、4万~7.5万人に1人の割合で発症します。常染色体劣性遺伝形式をとるJAK3欠損症も同様の免疫学的表現型を示します。

症状と病態

B細胞陽性重症複合免疫不全症の患者さんは、生後3~6か月頃から重症感染症の症状が現れ始めます。母体からの移行抗体が減少するこの時期に、免疫不全の症状が顕在化します。

主要症状

  • 繰り返す重度の細菌感染症(肺炎、中耳炎、敗血症など)
  • 持続性ウイルス感染症(サイトメガロウイルス、RSウイルス、アデノウイルスなど)
  • 真菌感染症(鵞口瘡、全身性カンジダ症など)
  • ニューモシスチス肺炎(カリニ肺炎)
  • 慢性下痢・難治性下痢
  • 発育不良・体重増加不良
  • BCGワクチンによる播種性感染症
  • 生ワクチン接種後の重篤な副反応
  • 移植片対宿主病(GVHD):母体リンパ球や輸血による

免疫学的特徴

B細胞陽性重症複合免疫不全症では、以下の免疫学的異常が認められます:

  • T細胞数:著しく減少または欠如(<300/μL)
  • B細胞数:正常または増加
  • NK細胞数:X連鎖型では欠如または著減(T-B+NK-)、IL7R欠損症やCD3欠損症では正常(T-B+NK+)
  • 免疫グロブリン:低ガンマグロブリン血症(IgG、IgA、IgM低値)
  • リンパ球幼若化反応:著しく低下(正常の10%未満)
  • 胸腺:極めて小さい、またはほぼ認めず
  • リンパ組織:縮小または欠如

X連鎖型SCID(X-SCID)の特徴

最も頻度の高いX連鎖型SCIDでは、インターロイキン2受容体の共通γ鎖(IL2RG遺伝子)の変異により発症します。この共通γ鎖は、少なくとも6種類のサイトカイン受容体(IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15、IL-21受容体)の構成成分であるため、その機能障害は免疫系に広範な影響を及ぼします。男児のみに発症し、T細胞とNK細胞が著減または欠損しますが、B細胞数は正常または増加します。

JAK3欠損症の特徴

JAK3欠損症は、X連鎖型SCIDとほぼ同一の臨床像および免疫学的表現型を示しますが、常染色体劣性遺伝形式をとるため、男女ともに発症します。JAK3は共通γ鎖のシグナル伝達に必須の酵素であるため、その欠損はX-SCIDと同様の免疫不全を引き起こします。

IL7R欠損症の特徴

IL-7受容体α鎖の欠損により発症し、T細胞の発達と生存に必須のIL-7シグナルが障害されます。T細胞は欠損しますが、B細胞とNK細胞は正常数存在します(T-B+NK+)。常染色体劣性遺伝形式をとり、男女ともに発症します。

診断と予後

新生児スクリーニング(TRECスクリーニング)により早期発見が可能となり、診断後は造血幹細胞移植による根治的治療が必要です。早期に造血幹細胞移植を行わなければ、生後1年以内に重症感染症により死亡します。適切な時期に移植を受けた場合、生存率は大きく改善し、多くの患者さんが健康な生活を送ることが可能です。

遺伝形式と原因遺伝子

B細胞陽性重症複合免疫不全症は、複数の遺伝子変異により引き起こされます。遺伝形式はX連鎖遺伝と常染色体劣性遺伝の両方が存在します。

X連鎖遺伝形式

最も頻度の高い遺伝形式で、全SCID症例の約半数を占めます:

  • IL2RG遺伝子(X連鎖型SCID):インターロイキン2受容体共通γ鎖をコードし、複数のサイトカイン受容体のシグナル伝達に必須です。男児のみに発症し、表現型はT-B+NK-です。

常染色体劣性遺伝形式

男女ともに発症する可能性があります:

  • JAK3遺伝子(JAK3欠損症):ヤヌスキナーゼ3をコードし、共通γ鎖のシグナル伝達に必須の酵素です。表現型はX-SCIDと同じT-B+NK-ですが、男女ともに発症します。全SCID症例の約6%を占めます。
  • IL7R遺伝子(IL7R欠損症):IL-7受容体α鎖をコードし、T細胞の発達に必須です。表現型はT-B+NK+で、B細胞とNK細胞は正常です。
  • CD3D遺伝子(CD3δ欠損症):T細胞受容体複合体の構成成分であるCD3δ鎖をコードします。表現型はT-B+NK+です。
  • CD3E遺伝子(CD3ε欠損症):T細胞受容体複合体の構成成分であるCD3ε鎖をコードします。表現型はT-B+NK+です。
  • CD247遺伝子(CD3ζ欠損症):T細胞受容体複合体の構成成分であるCD3ζ鎖をコードします。表現型はT-B+NK+です。
  • PTPRC遺伝子(CD45欠損症):タンパク質チロシンホスファターゼ受容体C型(CD45)をコードし、リンパ球のシグナル伝達に重要です。表現型はT-B+NK+です。

その他の関連遺伝子

B細胞陽性SCIDのパネルには、主要型に加えて以下の遺伝子も含まれます:

  • 免疫調節関連遺伝子:CIITA、RFX5、RFXANK、RFXAPなど(MHCクラスII欠損症)
  • その他の免疫機能関連遺伝子:ATM、CHD7、CORO1A、DOCK8、FOXN1、ORAI1、PNP、RMRP、SP110、STAT5B、STIM1、TBX1、ZAP70など

当検査パネルでは、B細胞陽性重症複合免疫不全症および関連する免疫不全症の原因となる26遺伝子を対象としています。これにより、T-B+型SCIDの主要な原因を効率的にスクリーニングすることが可能です。

ミネルバクリニックのB細胞陽性重症複合免疫不全症遺伝子パネル検査の特徴

「B細胞陽性重症複合免疫不全症 NGSパネル検査」とは、現在B細胞陽性重症複合免疫不全症および関連する免疫不全症の原因として報告されている26の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、B細胞陽性重症複合免疫不全症に関連する26遺伝子を一度に調べられる「B細胞陽性重症複合免疫不全症 NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関でB細胞陽性重症複合免疫不全症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、B細胞陽性重症複合免疫不全症に関係するとされる26の遺伝子を一度に調べられる「B細胞陽性重症複合免疫不全症 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行えるB細胞陽性重症複合免疫不全症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「B細胞陽性重症複合免疫不全症 NGSパネル検査」の場合、26の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状からB細胞陽性重症複合免疫不全症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「B細胞陽性重症複合免疫不全症 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な26の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「B細胞陽性重症複合免疫不全症 NGSパネル検査」では、B細胞陽性重症複合免疫不全症および関連する免疫不全症に関係するとされる26種類の遺伝子(ATM、CD247、CD3D、CD3E、CD8A、CHD7、CIITA、CORO1A、DOCK8、FOXN1、IL2RA、IL2RG、IL7R、JAK3、ORAI1、PNP、PTPRC、RFX5、RFXANK、RFXAP、RMRP、SP110、STAT5B、STIM1、TBX1、ZAP70)をまとめて検査します。

「B細胞陽性重症複合免疫不全症 NGSパネル検査」は、B細胞陽性重症複合免疫不全症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【B細胞陽性重症複合免疫不全症または重症複合免疫不全症の個人歴または家族歴のある方】に
「B細胞陽性重症複合免疫不全症 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・生後3~6か月頃から繰り返す重症感染症がある乳児
・持続性の下痢や体重増加不良がある乳児
・鵞口瘡(口腔カンジダ症)が治りにくい乳児
・ニューモシスチス肺炎を発症した乳児
・BCGワクチン接種後に播種性感染症を発症した乳児
・生ワクチン接種後に重篤な副反応があった乳児
・新生児スクリーニング(TRECスクリーニング)で異常を指摘された乳児
・リンパ球数が著しく少ない乳児
・T細胞数が著減(<300/μL)している乳児
・免疫グロブリンが著しく低値の乳児
・胸腺が極めて小さいか認めない乳児
・重症複合免疫不全症またはX連鎖型SCIDの家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、B細胞陽性重症複合免疫不全症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。特に、造血幹細胞移植のドナー選択や移植前処置の決定に重要な情報を提供します。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・他の免疫不全症との鑑別
・造血幹細胞移植のドナー選択と移植前処置の最適化
・遺伝子型に応じた予後予測
・感染予防対策の立案(免疫グロブリン補充療法、抗菌薬予防投与など)
・生ワクチン接種の回避
・移植片対宿主病(GVHD)のリスク評価
・長期的なフォローアップ計画の立案
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族の発症リスクが異なります。X連鎖遺伝の場合、保因者である母親から生まれる男児が発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ATM, CD247, CD3D, CD3E, CD8A, CHD7, CIITA, CORO1A, DOCK8, FOXN1, IL2RA, IL2RG, IL7R, JAK3, ORAI1, PNP, PTPRC, RFX5, RFXANK, RFXAP, RMRP, SP110, STAT5B, STIM1, TBX1, ZAP70 ( 26遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・ATM遺伝子:
毛細血管拡張性運動失調症の原因遺伝子。DNA修復に関与し、免疫不全を伴うことがあります。

・CD247遺伝子(CD3ζ):
T細胞受容体複合体の構成成分であるCD3ζ鎖をコードします。常染色体劣性遺伝形式で、T-B+NK+ SCIDの原因となります。

・CD3D遺伝子(CD3δ):
T細胞受容体複合体の構成成分であるCD3δ鎖をコードします。常染色体劣性遺伝形式で、T-B+NK+ SCIDの原因となります。

・CD3E遺伝子(CD3ε):
T細胞受容体複合体の構成成分であるCD3ε鎖をコードします。常染色体劣性遺伝形式で、T-B+NK+ SCIDの原因となります。

・CD8A遺伝子:
CD8α鎖をコードし、細胞傷害性T細胞の機能に重要です。

・CHD7遺伝子:
CHARGE症候群の原因遺伝子で、免疫不全を合併することがあります。

・CIITA遺伝子:
MHCクラスII転写調節因子をコードし、MHCクラスII欠損症(bare lymphocyte syndrome)の原因となります。

・CORO1A遺伝子:
コロニン1Aをコードし、免疫細胞の機能に関与します。

・DOCK8遺伝子:
DOCK8欠損症の原因遺伝子で、複合免疫不全症を引き起こします。

・FOXN1遺伝子:
胸腺の発達に必須の転写因子をコードします。FOXN1欠損症では胸腺が形成されず、T細胞が欠損します。

・IL2RA遺伝子:
IL-2受容体α鎖(CD25)をコードします。欠損すると免疫調節障害を引き起こします。

・IL2RG遺伝子:
IL-2受容体共通γ鎖をコードする、X連鎖型SCIDの原因遺伝子です。IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-15、IL-21受容体の構成成分であり、最も頻度の高いSCID原因遺伝子です。表現型はT-B+NK-です。

・IL7R遺伝子:
IL-7受容体α鎖をコードします。常染色体劣性遺伝形式で、T細胞の発達と生存に必須です。表現型はT-B+NK+です。

・JAK3遺伝子:
ヤヌスキナーゼ3をコードし、共通γ鎖のシグナル伝達に必須の酵素です。常染色体劣性遺伝形式で、X-SCIDと同一の表現型(T-B+NK-)を示しますが、男女ともに発症します。

・ORAI1遺伝子:
カルシウムチャネルをコードし、免疫細胞の活性化に重要です。

・PNP遺伝子:
プリンヌクレオシドホスホリラーゼをコードし、その欠損はT細胞選択的な免疫不全を引き起こします。

・PTPRC遺伝子(CD45):
タンパク質チロシンホスファターゼ受容体C型(CD45)をコードします。常染色体劣性遺伝形式で、リンパ球のシグナル伝達に重要です。表現型はT-B+NK+です。

・RFX5遺伝子:
MHCクラスII遺伝子の転写調節因子をコードし、MHCクラスII欠損症の原因となります。

・RFXANK遺伝子:
MHCクラスII遺伝子の転写調節に関与し、MHCクラスII欠損症の原因となります。

・RFXAP遺伝子:
MHCクラスII遺伝子の転写調節に関与し、MHCクラスII欠損症の原因となります。

・RMRP遺伝子:
軟骨毛髪低形成症の原因遺伝子で、免疫不全を合併します。

・SP110遺伝子:
核内タンパク質をコードし、免疫機能に関与します。

・STAT5B遺伝子:
シグナル伝達兼転写活性化因子5Bをコードし、成長ホルモンシグナルと免疫機能に重要です。

・STIM1遺伝子:
ストローマ相互作用分子1をコードし、カルシウムシグナルに関与します。

・TBX1遺伝子:
DiGeorge症候群(22q11.2欠失症候群)に関連し、胸腺低形成を伴う免疫不全を引き起こします。

・ZAP70遺伝子:
ゼータ鎖関連タンパク質キナーゼ70をコードし、T細胞のシグナル伝達に必須です。常染色体劣性遺伝形式で、CD8陽性T細胞が選択的に欠損します。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、26の関連遺伝子のみを対象としています。B細胞陽性重症複合免疫不全症の全ての原因遺伝子をカバーしているわけではありません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と免疫学的検査に基づいた診断と管理が引き続き重要です。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
生後3~6か月頃から繰り返す重症感染症(肺炎、下痢、鵞口瘡など)がある乳児、新生児スクリーニング(TRECスクリーニング)で異常を指摘された乳児、リンパ球数やT細胞数が著しく少ない乳児におすすめします。特に、BCGワクチン接種後の播種性感染症や生ワクチン接種後の重篤な副反応があった場合は、早急に検査をご検討ください。また、重症複合免疫不全症の家族歴がある場合も検査が推奨されます。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。ただし、乳児の場合は血液検体が推奨されることがあります。
X連鎖型SCIDとJAK3欠損症の違いは何ですか?
X連鎖型SCID(IL2RG遺伝子変異)は男児のみに発症し、最も頻度の高いSCIDです。一方、JAK3欠損症は常染色体劣性遺伝形式をとるため男女ともに発症します。両者は臨床像および免疫学的表現型(T-B+NK-)がほぼ同一ですが、遺伝形式と原因遺伝子が異なります。当検査により原因遺伝子を特定することで、家族の発症リスク評価や遺伝カウンセリングに重要な情報を提供できます。
家族も検査を受ける必要がありますか?
遺伝形式によって家族の発症リスクが異なります。X連鎖型SCIDの場合、保因者である母親から生まれる男児が発症するリスクは50%です。常染色体劣性遺伝の場合、患者さんの兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。特に、次の妊娠を考えている場合は、出生前診断や着床前診断の選択肢についてもご相談いただけます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
この検査パネルでは26の関連遺伝子を対象としていますが、B細胞陽性重症複合免疫不全症の全ての原因遺伝子をカバーしているわけではありません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と免疫学的検査(リンパ球数、T・B・NK細胞数、免疫グロブリン値など)に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢(造血幹細胞移植など)について、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。特に、造血幹細胞移植が必要な場合は、ドナー選択や移植前処置についても詳しくご説明します。
B細胞陽性重症複合免疫不全症の治療はどのように行われますか?
根本的治療は造血幹細胞移植です。早期に移植を行うことで、生存率が大きく改善します。移植までの感染予防対策として、免疫グロブリン補充療法、抗菌薬予防投与、ニューモシスチス肺炎予防、無菌管理などが行われます。遺伝子型により、遺伝子治療が選択肢となる場合もあります(X-SCIDやADA欠損症など)。
予後はどうですか?
適切な治療を受けなければ、生後1年以内に重症感染症により死亡します。しかし、早期に造血幹細胞移植を受けた場合、生存率は大きく改善し、多くの患者さんが健康な生活を送ることが可能です。特に、生後3.5か月以内に移植を受けた場合の生存率は90%以上と報告されています。新生児スクリーニングによる早期発見と早期治療が予後を大きく左右します。
新生児スクリーニングとは何ですか?
新生児スクリーニング(TRECスクリーニング)は、生後数日の新生児から採取した血液(乾燥ろ紙血)を用いて、T細胞が正常に作られているかを調べる検査です。SCIDではT細胞が作られないため、TRECスクリーニングで早期発見が可能です。日本では一部の自治体で実施されており、早期発見により造血幹細胞移植の適切なタイミングを逃さず、予後を大きく改善できます。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な26の原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。緊急性の高い疾患であるため、至急オプションもご用意しています。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら