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運動失調症遺伝子検査パネル検査|ミネルバクリニック

運動失調症遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

運動失調症とは

運動失調症(Ataxia)は、神経系の障害により随意運動の協調性が失われ、バランスの維持、発話、微細運動技能に困難をきたす疾患の総称です。「Ataxia」はギリシャ語で「秩序の欠如」を意味し、体がスムーズに動かせなくなる状態を指します。

運動失調症は小脳を中心とした神経系の障害により生じます。小脳は運動のコントロールにおいて中心的な役割を果たしており、この部位が障害されることで、意図した動作を円滑に行うことが困難になります。

運動失調症の症状は多様で、患者さんによって異なります。咀嚼や嚥下の困難、構音障害(呂律が回らない)、異常な歩行パターン、協調運動障害、心臓の問題などが認められることがあります。病因によっては進行性であり、症状は小児期から成人期のいずれの時期にも発症する可能性があります。

現時点で運動失調症を完治させる治療法はありませんが、症状の管理と生活の質の向上を目指した治療が可能です。治療計画には言語療法や理学療法プログラムが含まれることが多く、できるだけ長く活動的に過ごすことが重要な治療計画の一部となります。

運動失調症の種類

運動失調症は、原因や障害部位によっていくつかのタイプに分類されます。遺伝性運動失調症は、遺伝形式によってさらに細分化されます。

遺伝形式による分類

遺伝性運動失調症には、以下の遺伝形式があります:

  • 常染色体優性遺伝(脊髄小脳失調症:SCA):親から子へ50%の確率で遺伝します。一方の親が病原性変異を持っている場合に発症します。多くの型が知られており、SCA1、SCA2、SCA3など番号で分類されています。
  • 常染色体劣性遺伝:両親がそれぞれ病原性変異を1つずつ持っている場合、子どもが疾患を発症する確率は25%です。フリードライヒ運動失調症などがこれに含まれます。
  • X連鎖性遺伝:X染色体上の遺伝子変異により発症します。男性に多く発症し、女性は保因者となることが多いです。

障害部位による分類

  • 小脳性運動失調:小脳の障害により生じる最も一般的なタイプです。歩行時のふらつき、測定障害、反復拮抗運動不全などが特徴的です。
  • 脊髄性運動失調:脊髄後索の障害により深部感覚が障害されて起こります。位置覚や振動覚の低下を伴います。
  • 大脳性運動失調:前頭葉、頭頂葉、側頭葉の障害で起こります。
  • 前庭性運動失調:内耳の前庭系の障害により生じ、めまいや平衡障害を伴います。

発症パターンによる分類

  • 進行性運動失調:症状が徐々に悪化していくタイプで、多くの遺伝性運動失調症がこれに該当します。
  • エピソード性運動失調:発作的に症状が現れ、その後改善するタイプです。エピソード性運動失調症1型・2型などがあります。
  • 急性発症運動失調:小脳梗塞、出血、感染などにより急激に発症します。

症候群性・非症候群性

当パネル検査には、運動失調のみを主症状とする非症候群性の運動失調症と、他の症状を伴う症候群性の運動失調症の両方が含まれています。症候群性には、Joubert症候群やBardet-Biedl症候群などの小児期発症の疾患も含まれます。

症状と病態

運動失調症の症状は多様で、病型や進行度によって異なります。主な症状について説明します。

運動機能の障害

  • 歩行障害:起立・歩行時のふらつきは運動失調症の最も代表的な症状です。足を開いて歩く開脚歩行や、千鳥足のような不安定な歩行パターンが見られます。
  • 協調運動障害:手の細かい動作が困難になります。書字が下手になる、水を入れたコップを持つと手が震えてこぼす、ボタンをかけられない、箸を使って食事するなど日常的な動作が円滑にできなくなります。
  • 測定障害:物をつかもうとすると行き過ぎたり届かなかったりする症状です。目標物への正確な到達が困難になります。
  • 反復拮抗運動不全:手を素早く回内・回外させるなどの反復運動が円滑にできなくなります。

発話と嚥下の障害

  • 構音障害:言葉の呂律が回らなくなります。話し方がぎこちなく、区切り区切りになる失調性構音障害が特徴的です。
  • 嚥下障害:飲み込みが悪くなり、むせて咳き込みやすくなります。誤嚥のリスクが高まります。

眼球運動の異常

  • 眼振(眼球が不随意に動く)
  • 滑らかな眼球運動ができない
  • 視線の固定が困難

その他の症状

  • バランス障害:立位保持や姿勢制御が困難になります。
  • 振戦:手足の震えが見られることがあります。
  • 心臓の問題:一部の運動失調症では心筋症などの心臓疾患を合併します。
  • 感覚障害:深部感覚(位置覚、振動覚)の低下が見られることがあります。
  • 認知機能の変化:一部の型では認知機能の低下を伴うことがあります。
  • 自律神経症状:起立性低血圧、排尿障害、発汗異常などが見られることがあります。

病型による特徴的な症状

運動失調症の種類によって、特徴的な症状の組み合わせが見られます:

  • 脊髄小脳失調症では、型によってパーキンソン症状、錐体路徴候、末梢神経障害などを伴うことがあります。
  • Joubert症候群では、特徴的な脳幹・小脳の形態異常(molar tooth sign)、発達遅滞、異常な呼吸パターンなどが見られます。
  • エピソード性運動失調では、ストレスや運動をきっかけに発作的に症状が現れ、数分から数時間で改善します。

ミネルバクリニックの運動失調症遺伝子パネル検査の特徴

「運動失調症NGSパネル検査」とは、現在運動失調症の原因として報告されている153の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、運動失調症に関連する153遺伝子を一度に調べられる「運動失調症NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で運動失調症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、運動失調症に関係するとされる153の遺伝子を一度に調べられる「運動失調症NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える運動失調症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「運動失調症NGSパネル検査」の場合、153の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から運動失調症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「運動失調症NGSパネル検査」ならば、X連鎖性、常染色体優性、常染色体劣性の遺伝形式を含む、小児期発症から成人期発症まで幅広い運動失調症の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

重要な注意事項

この運動失調症NGSパネル検査には、リピート伸長解析(反復配列の異常検査)は含まれていません。多くの脊髄小脳失調症(SCA1、SCA2、SCA3、SCA6、SCA7、SCA17など)やフリードライヒ運動失調症(FXN遺伝子)は、三塩基反復配列やGAA反復配列の異常拡大により発症します。これらの疾患が疑われる場合は、別途「運動失調症リピート伸長解析」の検査が必要です。詳しくは遺伝カウンセリング時にご相談ください。

検査内容

「運動失調症NGSパネル検査」では、運動失調症に関係するとされる153種類の遺伝子をまとめて検査します。これらには小児期発症のJoubert症候群やBardet-Biedl症候群などの症候群性運動失調症から、成人期発症の脊髄小脳失調症まで、幅広い疾患の原因遺伝子が含まれています。

「運動失調症NGSパネル検査」は、運動失調症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【運動失調症の個人歴または家族歴のある方】に
「運動失調症NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・慢性的な歩行時のふらつきやバランス障害がある方
・手の細かい動作が困難になってきた方
・構音障害(呂律が回らない)がある方
・協調運動障害がある方
・眼振など眼球運動の異常がある方
・嚥下障害(飲み込みの困難)がある方
・運動失調症の家族歴がある方
・画像検査で小脳や脳幹の萎縮が認められる方
・原因不明の進行性の運動障害がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、運動失調症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、早期からのリハビリテーションの開始、定期的なモニタリング、症状の進行予防などを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・症状の予後予測
・合併症のリスク評価と早期発見
・理学療法や言語療法などリハビリテーションの早期開始
・症候群性運動失調症の場合、他臓器の合併症スクリーニング
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族のリスクが異なります。常染色体優性遺伝の場合は50%、常染色体劣性遺伝の場合は兄弟姉妹で25%の発症リスクがあります。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ABCB7, ABHD12, ACO2, AFG3L2, AHI1, ALDH5A1, ALS2, ANO10, APTX, ARL13B, ASAH1, ATCAY, ATL1, ATM, ATP7A, ATP8A2, B9D1, BBS1, BBS12, BSCL2, C12orf65, C19orf12, CA8, CACNA1A, CACNB4, CAMTA1, CC2D2A, CCDC88C, CEP290, CEP41, CLCN2, CLN5, CLPP, COQ2, COQ6, COQ8A, COQ9, COX20, CPLANE1, CSTB, CWF19L1, CYP27A1, CYP7B1, DNAJC19, DNMT1, EEF2, EIF2B1, EIF2B2, EIF2B3, EIF2B4, EIF2B5, ELOVL4, ELOVL5, FA2H, FBXL4, FGF14, FLVCR1, FMR1, FXN, GALC, GBA2, GFAP, GJC2, GOSR2, GRID2, GRM1, GSS, HEPACAM, INPP5E, ITM2B, ITPR1, KCNA1, KCNC3, KCND3, KCNJ10, KIF1A, KIF1C, KIF5A, KIF7, LAMA1, MLC1, MRE11, MTPAP, NDUFS1, NDUFS7, NOL3, NOTCH3, OFD1, OPA1, OPA3, OPHN1, PAX6, PDSS1, PDSS2, PDYN, PEX10, PEX7, PHYH, PLP1, PNKD, PNKP, PNPLA6, POLG, POLR3A, POLR3B, PRKCG, PRRT2, RORA, RPGRIP1L, RRM2B, RUBCN, SACS, SETX, SIL1, SLC16A2, SLC1A3, SLC2A1, SLC52A2, SLC52A3, SLC9A6, SNX14, SPAST, SPG11, SPG7, SPR, SPTBN2, STUB1, SYNE1, SYT14, TCTN1, TCTN2, TCTN3, TDP1, TGM6, TMEM216, TMEM231, TMEM237, TMEM240, TMEM67, TPP1, TTBK2, TTPA, TUBB4A, TWNK, TYMP, VAMP1, VLDLR, WASHC5, WDR73, WDR81, WFS1, WWOX, ZNF423 ( 153遺伝子 )

遺伝子特記事項:
FXN遺伝子:FXN遺伝子で最も一般的な疾患関連変異は、GAA三塩基反復配列の伸長です。このパネル検査では、FXN遺伝子の塩基配列の変異とコピー数の変化のみを検査します。上記に特に記載がない限り、反復伸長の検査は含まれません。患者さんの臨床症状がこの遺伝子に関連する疾患(フリードライヒ運動失調症)に特異的である場合は、別途反復伸長検査が必要となる可能性があります。

このパネルに含まれる主要な疾患と遺伝子の例:
・脊髄小脳失調症(SCA)関連遺伝子:CACNA1A(SCA6)、PRKCG(SCA14)、ITPR1(SCA15/16)など
・常染色体劣性運動失調症:SACS(ARSACS)、APTX(AOA1)、SETX(AOA2)など
・エピソード性運動失調症:KCNA1(EA1)、CACNA1A(EA2)
・Joubert症候群関連遺伝子:AHI1、CC2D2A、CEP290、TMEM216など
・Bardet-Biedl症候群関連遺伝子:BBS1、BBS12など
・ミトコンドリア関連運動失調症:POLG、TWNK、COQ2など
・その他の症候群性運動失調症関連遺伝子

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※重要:この検査パネルには反復伸長解析は含まれていません。多くの脊髄小脳失調症(SCA1、SCA2、SCA3、SCA6、SCA7、SCA8、SCA10、SCA12、SCA17、SCA31、SCA36など)やフリードライヒ運動失調症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)などは、三塩基反復配列やその他の反復配列の異常拡大により発症します。これらの疾患が臨床的に疑われる場合は、別途「運動失調症リピート伸長解析」の検査が必要です。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
慢性的な歩行時のふらつきやバランス障害、手の細かい動作の困難、構音障害(呂律が回らない)、協調運動障害、眼球運動の異常、嚥下障害などがある方におすすめします。また、運動失調症の家族歴がある場合や、画像検査で小脳や脳幹の萎縮が認められる場合も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
この検査で全ての運動失調症が分かりますか?
この検査では153の遺伝子の塩基配列変異とコピー数変異を検出できますが、反復伸長(リピート伸長)は検出できません。多くの脊髄小脳失調症(SCA1、SCA2、SCA3など)やフリードライヒ運動失調症は反復伸長により発症するため、これらの疾患が疑われる場合は別途「運動失調症リピート伸長解析」が必要です。詳しくは遺伝カウンセリング時にご相談ください。
家族も検査を受ける必要がありますか?
運動失調症の遺伝形式によって家族のリスクは異なります。常染色体優性遺伝の場合、親から子へ50%の確率で遺伝します。常染色体劣性遺伝の場合、兄弟姉妹が疾患を発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
この検査で病原性変異が検出されなくても、反復伸長による運動失調症や、まだ同定されていない遺伝子の変異による運動失調症の可能性があります。また、後天性(非遺伝性)の運動失調症の可能性もあります。主治医と相談して、必要に応じて追加の検査(リピート伸長解析など)を受けることが重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療選択肢、リハビリテーションの方針などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
運動失調症の遺伝形式によって、お子さんへの影響は異なります。常染色体優性遺伝の場合は50%の確率で遺伝します。常染色体劣性遺伝の場合、保因者同士のカップルではお子さんが疾患を発症する確率は25%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
運動失調症の治療はどのように行われますか?
現時点で運動失調症を完治させる治療法はありませんが(ビタミンE欠乏による運動失調を除く)、症状を管理し生活の質を向上させる治療が可能です。理学療法、作業療法、言語療法などのリハビリテーションが中心となります。てんかん、パーキンソン症状、痙縮などの合併症に対しては薬物療法を行います。早期からのリハビリテーション開始が機能維持に重要です。
予後はどうですか?
予後は運動失調症の種類によって大きく異なります。進行性の遺伝性運動失調症の多くは徐々に症状が悪化しますが、適切なリハビリテーションにより機能を長く維持できる可能性があります。エピソード性運動失調症は発作の予防により良好な経過をたどることが多いです。早期診断と適切な管理が予後の改善につながります。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では153の遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を大幅に短縮できます。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも検査を受けることが可能です。ただし、反復伸長解析は含まれていないため、必要に応じて別途検査をご案内いたします。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら