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関節拘縮症(Arthrogryposis)遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

関節拘縮症(Arthrogryposis)遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

関節拘縮症とは

関節拘縮症(Arthrogryposis)は、出生時から複数の関節に拘縮(関節が固まって動かしにくい状態)がみられる先天性疾患の総称です。正式には先天性多発性関節拘縮症(Arthrogryposis Multiplex Congenita: AMC)と呼ばれ、300を超える異なる疾患で認められる臨床所見です。

「Arthrogryposis」という言葉は、ギリシャ語で「関節」を意味する「arthro」と「曲がった」を意味する「gryposis」が組み合わさったものです。発生率は出生約3,000~12,000人に1人とされる稀な疾患群です。

関節拘縮症は、子宮内で胎児の関節運動が3週間以上にわたり制限されることにより生じます。原因となる基礎疾患は多岐にわたり、遺伝性神経疾患、筋疾患、結合組織疾患など様々です。適切な遺伝学的検査により原因を特定することで、患者さんとご家族にとって重要な医学的情報と治療方針を提供できます。

主な原因遺伝子と疾患分類

関節拘縮症の原因は多様で、胎児の運動を妨げるあらゆる状態が関節拘縮症を引き起こす可能性があります。主な原因として以下が挙げられます:

神経系疾患

前角細胞疾患、脊髄性筋萎縮症(SMN1、SMN2遺伝子など)、神経障害などが含まれます。胎児期に神経系の発達や機能に異常が生じることで、筋肉への神経信号の伝達が障害され、関節運動が制限されます。

筋疾患

先天性ミオパチー、筋ジストロフィー(NEB、RYR1、ACTA1遺伝子など)が含まれます。筋形成不全(Amyoplasia)は関節拘縮症の中で最も頻度が高く、典型的には遺伝しない散発性の疾患です。骨格筋の発達異常により、子宮内での運動が制限されます。

結合組織疾患

コラーゲン関連疾患(COL6A2、COL6A3遺伝子など)、エーラス・ダンロス症候群などが含まれます。関節を支える結合組織の異常により、関節の形成や可動性に影響が生じます。

神経筋接合部疾患

先天性筋無力症候群(CHRNA1、CHRNB1、CHRND、CHRNE、CHRNG、DOK7、MUSK、RAPSN遺伝子など)が含まれます。神経から筋肉への信号伝達に異常が生じることで、筋収縮が障害されます。

その他の原因

以下のような原因も報告されています:

  • 物理的な運動制限(子宮形成異常、多胎妊娠、羊水過少など)
  • 母体の疾患(多発性硬化症、子宮血管分布障害など)
  • 胎児血管分布異常
  • 染色体異常(18トリソミーなど)

関節拘縮症には複数の臨床分類があり、最も頻度の高い筋形成不全(Amyoplasia)、主に手足の遠位関節が侵される遠位型関節拘縮症(Distal Arthrogryposis)、その他の症候性関節拘縮症に大別されます。本検査パネルでは、これらの原因となる107の遺伝子を包括的に検査します。

症状と病態

関節拘縮症の症状は原因疾患や重症度により多様ですが、共通する特徴として複数の関節における拘縮が生下時から認められます。

主要症状

  • 多発性の関節拘縮(肩、肘、手首、手指、股、膝、足関節など)
  • 関節周囲の皮膚の肥厚や蹼状(水かきのような)形成
  • 筋萎縮または筋形成不全
  • 骨の変形や脱臼
  • 可動域の著しい制限
  • 関節の対称性または非対称性の侵され方

筋形成不全(Amyoplasia)の典型的な特徴

関節拘縮症の中で最も頻度が高い筋形成不全では、以下のような特徴的な所見が認められます:

  • 上肢:肩関節の内転、肘関節の伸展拘縮、手関節の強い掌屈位、内転母指
  • 下肢:股関節脱臼(約15%)、膝関節の伸展または屈曲拘縮、内反尖足または垂直距骨
  • 硬い四肢と対称性の侵され方
  • 顔面や体幹の関節拘縮を伴うこともある
  • 脊柱側弯症や腰椎前弯症
  • 知能は通常正常
  • 胎児期の胎動減少
  • 生下時の長管骨骨折のリスク
  • 鼡径ヘルニアの合併

遠位型関節拘縮症の特徴

遠位型関節拘縮症(Distal Arthrogryposis)では、主に手足の遠位小関節が侵されます。現在11の異なる症候群が同定されており、それぞれ特徴的な所見を示します。

Freeman-Sheldon症候群(2型)の特徴:

  • 内転母指と手指の尺側偏位
  • 小口症(口笛を吹いているような口、whistling mouth)
  • 顔面の特徴的な変化

合併症と予後

関節拘縮症は進行性ではありませんが、原因となる基礎疾患(筋ジストロフィーなど)が進行性の場合があります。一部の基礎疾患では周産期死亡率が32%と高いため、具体的な診断の確定が予後判定と遺伝カウンセリングに極めて重要です。

適切な早期治療により、多くの患者さんで機能的な改善が期待できます。生後数カ月以内に関節の徒手整復とギプス固定を開始することで、相当の改善が得られることが報告されています。重症例を除き、多くの場合5歳までに歩行能力を獲得することが可能です。

ミネルバクリニックの関節拘縮症遺伝子パネル検査の特徴

「関節拘縮症NGSパネル検査」とは、現在関節拘縮症の原因として報告されている107の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、関節拘縮症に関連する107の遺伝子を一度に調べられる「関節拘縮症NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で関節拘縮症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、関節拘縮症に関係するとされる107の遺伝子を一度に調べられる「関節拘縮症NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える関節拘縮症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「関節拘縮症NGSパネル検査」の場合、107の関連遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から関節拘縮症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「関節拘縮症NGSパネル検査」ならば、神経疾患、筋疾患、結合組織疾患、神経筋接合部疾患など、多様な原因遺伝子を網羅的に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「関節拘縮症NGSパネル検査」では、関節拘縮症に関係するとされる107種類の遺伝子をまとめて検査します。これらには神経疾患、筋疾患、結合組織疾患、神経筋接合部疾患など、多様な原因遺伝子が含まれています。

「関節拘縮症NGSパネル検査」は、関節拘縮症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【関節拘縮症の個人歴または家族歴のある方】に
「関節拘縮症NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・出生時から複数の関節に拘縮が認められる方
・関節の可動域が著しく制限されている方
・筋力低下や筋萎縮を伴う関節拘縮がある方
・特徴的な肢位(肩の内転、肘の伸展拘縮、手関節の掌屈など)を呈する方
・内反尖足や股関節脱臼を伴う方
・家族に関節拘縮症の方がいる
・原因不明の多発性関節拘縮がある方
・将来子どもを持つことを考えている方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、関節拘縮症の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、早期からの理学療法や整形外科的介入を計画することができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・基礎疾患の特定による治療方針の最適化
・早期からの理学療法・作業療法の開始
・整形外科的治療(徒手整復、ギプス固定、装具療法、手術)の計画
・予後の予測
・合併症のリスクの特定と予防
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族のリスク評価が可能になります。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

ACTA1, ADCY6, ADGRG6, AGRN, ANTXR2, ASCC1, ASXL3, BICD2, BIN1, BRAT1, CASK, CFL2, CHAT, CHRNA1, CHRNB1, CHRND, CHRNE, CHRNG, CHST14, CNTN1, CNTNAP1, COG6, COL6A2, COL6A3, COLQ, DHCR24, DNM2, DOK7, DPAGT1, DYNC1H1, ECEL1, EGR2, ERBB3, ERCC5, ERCC6, EXOSC3, FBN2, FHL1, FKBP10, FKTN, GBA, GBE1, GFPT1, GLDN, GLE1, GMPPB, IGHMBP2, KAT6B, KLHL40, KLHL41, LGI4, LMNA, LMOD3, MAGEL2, MPZ, MTM1, MUSK, MYBPC1, MYH2, MYH3, MYH8, NALCN, NEB, NEK9, PIEZO2, PIP5K1C, PLOD2, PMM2, RAPSN, RARS2, RIPK4, RYR1, SCN1A, SCN4A, SCO2, SELENON, SKI, SLC35A3, SLC5A7, SLC6A9, SMN1, SMN2, SOX10, STAC3, SYNE1, TGFB3, TK2, TNNI2, TNNT1, TNNT3, TOR1A, TOR1AIP1, TPM2, TPM3, TRIP4, TRPV4, TSEN2, TSEN54, TTN, UBA1, UNC50, VIPAS39, VPS33B, VRK1, ZBTB42, ZC4H2, ZMPSTE24 ( 107遺伝子 )

主要な遺伝子の機能:

神経筋疾患関連遺伝子:
・SMN1, SMN2:脊髄性筋萎縮症の原因遺伝子。運動神経細胞の生存に必須。
・IGHMBP2:遠位型脊髄性筋萎縮症の原因遺伝子。
・DYNC1H1:軸索輸送に関与。下肢優位型脊髄性筋萎縮症の原因。

筋疾患関連遺伝子:
・NEB:ネマリンミオパチーの最も頻度の高い原因遺伝子。
・RYR1:先天性ミオパチー、中心核ミオパチーの原因遺伝子。
・ACTA1:ネマリンミオパチー、アクチンミオパチーの原因遺伝子。
・MTM1:X連鎖性ミオチュブラーミオパチーの原因遺伝子。
・DNM2:中心核ミオパチーの原因遺伝子。

神経筋接合部疾患関連遺伝子:
・CHRNA1, CHRNB1, CHRND, CHRNE, CHRNG:アセチルコリン受容体のサブユニット。先天性筋無力症候群の原因。
・DOK7, MUSK, RAPSN:神経筋接合部の形成と維持に関与。先天性筋無力症候群の原因。
・CHAT:アセチルコリン合成酵素。
・COLQ:アセチルコリンエステラーゼの固定に関与。

結合組織疾患関連遺伝子:
・COL6A2, COL6A3:VI型コラーゲンをコードし、ベスレムミオパチーやウルリッヒ型先天性筋ジストロフィーの原因。
・FBN2:フィブリリン2をコードし、先天性拘縮性くも指症の原因。
・PLOD2:リジルヒドロキシラーゼをコードし、エーラス・ダンロス症候群の原因。

その他の重要な遺伝子:
・PIEZO2:機械受容器の機能に関与。遠位型関節拘縮症5型の原因。
・MYH3:胚性ミオシン重鎖をコードし、Freeman-Sheldon症候群などの遠位型関節拘縮症の原因。
・TRPV4:イオンチャネルをコードし、遠位型脊髄性筋萎縮症や骨格異形成症の原因。

SMN2遺伝子に関する特記事項:
SMN2遺伝子(NM_017411.3)の検査は、エキソン7-8の配列決定と欠失/重複解析に限定され、SMN1遺伝子で診断的結果が検出された場合にのみ実施されます。その他の領域については配列決定および欠失/重複解析は実施されません。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※関節拘縮症は300を超える疾患で認められる臨床所見であり、この検査パネルで全ての原因遺伝子を網羅することはできません。検査で病原性変異が検出されなくても、関節拘縮症の診断が否定されるわけではありません。臨床症状と検査結果を総合的に判断することが重要です。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
出生時から複数の関節に拘縮が認められる方、関節の可動域が著しく制限されている方、筋力低下や筋萎縮を伴う関節拘縮がある方におすすめします。また、特徴的な肢位(肩の内転、肘の伸展拘縮、手関節の掌屈など)を呈する方や、家族に関節拘縮症の方がいる場合も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
107の遺伝子で全ての原因がわかりますか?
関節拘縮症は300を超える疾患で認められる臨床所見であり、この検査パネルで全ての原因を特定できるわけではありません。しかし、最も頻度の高い原因遺伝子を包括的に検査することで、多くの症例で診断が可能です。検査で病原性変異が検出されなくても、臨床診断や他の検査と組み合わせて総合的に判断します。
家族も検査を受ける必要がありますか?
関節拘縮症の原因遺伝子の多くは常染色体劣性遺伝または常染色体優性遺伝の形式をとります。患者さんで病原性変異が同定された場合、遺伝形式に応じて家族のリスク評価が重要になります。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
この検査で病原性変異が検出されなくても、関節拘縮症の診断が否定されるわけではありません。まだ同定されていない原因遺伝子がある可能性や、このパネルに含まれていない稀な遺伝子の変異の可能性があります。主治医と相談して、必要に応じて追加の遺伝子検査や臨床検査を受けることが重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
関節拘縮症の原因遺伝子の多くは遺伝性であるため、検査結果により、お子さんへの遺伝リスクを評価できます。遺伝形式に応じて、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
関節拘縮症の治療はどのように行われますか?
治療は早期からの理学療法が中心となります。生後数カ月以内に関節の徒手整復とギプス固定を開始することで、相当の改善が得られることが報告されています。装具療法や必要に応じて手術も行われます。原因疾患が特定されれば、その疾患に応じた治療も可能になります。
予後はどうですか?
関節拘縮症自体は進行性ではありませんが、原因となる基礎疾患によって予後は異なります。適切な早期治療により、多くの患者さんで機能的な改善が期待でき、重症例を除き、多くの場合5歳までに歩行能力を獲得することが可能です。一部の基礎疾患では周産期死亡率が高いため、具体的な診断の確定が予後判定に極めて重要です。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では関節拘縮症の原因となる107の遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも検査を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら