InstagramInstagram

アルツハイマー・認知症NGS遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

アルツハイマー・認知症NGS遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

アルツハイマー病・認知症とは

アルツハイマー病は認知症の中で最も頻度が高く、認知症全体の約6割を占める神経変性疾患です。脳内にアミロイドβ(ベータ)と呼ばれる異常なタンパク質が蓄積し、神経原線維変化(過剰にリン酸化されたタウタンパク質の蓄積)が生じることで、脳の神経細胞が徐々に減少し、脳全体が萎縮していきます。

認知症とは、一度正常に発達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたす状態を指します。アルツハイマー病の他にも、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などがありますが、これらの疾患にも遺伝的要因が関与することがあります。

アルツハイマー病は65歳以上の高齢者に多く発症しますが、40~50歳代で発症する若年性アルツハイマー病も存在します。若年発症例の中には、特定の遺伝子変異が原因となる家族性アルツハイマー病が含まれており、遺伝カウンセリングと遺伝子検査が重要な役割を果たします。

遺伝性アルツハイマー病・認知症

アルツハイマー病は、孤発性(遺伝とは関係なく発症するもの)と家族性(遺伝が関係するもの)の2つのタイプに分類されます。アルツハイマー病全体の約90%以上は孤発性で、遺伝とは関係なく発症します。

家族性アルツハイマー病

家族性アルツハイマー病はアルツハイマー病全体の1%未満と稀ですが、常染色体優性遺伝形式をとります。つまり、両親のどちらかが病原性変異を持っている場合、その子どもは50%の確率で同じ変異を受け継ぎ、アルツハイマー病を発症する可能性があります。

家族性アルツハイマー病の原因遺伝子として、APP(アミロイド前駆体タンパク質)、PSEN1(プレセニリン1)、PSEN2(プレセニリン2)の3つが同定されています。これらの遺伝子に病原性変異がある場合、ほぼ100%に近い確率でアルツハイマー病を発症し、発症年齢も20歳代後半~50歳代と早期であることが特徴です。

リスク遺伝子

孤発性アルツハイマー病においても、遺伝的な発症リスクを高める遺伝子が知られています。最も影響が大きいリスク遺伝子はAPOE(アポリポタンパク質E)遺伝子です。

APOE遺伝子にはε2、ε3、ε4の3つの型(アレル)があり、特にε4型を持つ人はアルツハイマー病の発症リスクが高くなります。ε4を1つ持つ場合は発症リスクが3~4倍、ε4を2つ持つ場合は約10倍になると報告されています。ただし、ε4を持っているからといって必ず発症するわけではなく、発症しやすい体質を持っているということを意味します。

その他の認知症関連遺伝子

近年の研究により、孤発性アルツハイマー病においても、前頭側頭型認知症の原因遺伝子と考えられるMAPTやGRNの新規変異、C9orf72の繰り返し配列伸長が見つかっています。また、TREM2、GBA、CSF1Rなどの遺伝子も認知症や神経変性疾患のリスクに関与することが明らかになっています。

当検査パネルでは、アルツハイマー病の確定診断に関わる原因遺伝子だけでなく、リスク遺伝子、さらに認知症を引き起こす他の神経変性疾患の関連遺伝子を包括的に検査することで、より正確なリスク評価と診断が可能になります。

症状と病態

アルツハイマー病・認知症では、脳内でのアミロイドβの蓄積とタウタンパク質の異常リン酸化により、神経細胞が徐々に死滅し、脳が萎縮していきます。症状は徐々に進行し、初期から後期にかけて様々な認知機能障害が現れます。

初期症状

  • 記憶障害(特に新しいことが覚えられない、最近の出来事を忘れる)
  • 日常生活に支障をきたす物忘れ
  • 同じことを何度も聞く、言う
  • 物の置き場所を忘れる、探し物が多くなる
  • 日付や曜日がわからなくなる
  • 慣れた場所で道に迷う
  • 会話の内容が理解しにくくなる
  • 料理や趣味など慣れた作業が困難になる

中期から後期の症状

病状が進行すると、以下のような症状が現れます:

  • 見当識障害の進行(時間、場所、人物がわからなくなる)
  • 判断力・理解力の低下
  • 実行機能障害(計画を立てて物事を実行することが困難)
  • 言語障害(言葉が出にくい、会話が成立しにくい)
  • 気分や性格の変化
  • 意欲の低下、無関心
  • 妄想(物盗られ妄想など)
  • 徘徊
  • 日常生活動作(ADL)の低下

若年性アルツハイマー病の特徴

65歳未満で発症する若年性アルツハイマー病は、以下のような特徴があります:

  • 進行が比較的速い
  • 仕事や家庭生活への影響が大きい
  • 家族性アルツハイマー病の割合が高い
  • 記憶障害よりも、言語障害や実行機能障害が先行することがある

認知症を引き起こすその他の神経変性疾患

このパネル検査で対象としている遺伝子には、以下のような疾患の原因遺伝子も含まれます:

  • 前頭側頭型認知症(MAPT、GRN、C9orf72遺伝子)
  • パーキンソン病関連認知症(SNCA、SNCB、GBA遺伝子)
  • レビー小体型認知症(GBA、SNCA遺伝子)
  • プリオン病(PRNP遺伝子)
  • 脳白質脳症を伴う遺伝性血管性認知症(CSF1R、EIF4G1、DNMT1遺伝子)

ミネルバクリニックのアルツハイマー・認知症遺伝子パネル検査の特徴

「アルツハイマー・認知症NGSパネル検査」とは、アルツハイマー病および認知症を引き起こす神経変性疾患に関連する16の遺伝子を、一度に調べられる検査方法です。さらに、C9orf72遺伝子のリピート伸長についても、リピートプライムドPCR(rpPCR)法により検査します。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、アルツハイマー病・認知症に関連する16の遺伝子を一度に調べられる「アルツハイマー・認知症NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関でアルツハイマー病・認知症の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、アルツハイマー病・認知症に関係するとされる16の遺伝子を一度に調べられる「アルツハイマー・認知症NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行えるアルツハイマー病・認知症の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「アルツハイマー・認知症NGSパネル検査」の場合、アルツハイマー病・認知症に関係する16の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状からアルツハイマー病や認知症を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「アルツハイマー・認知症NGSパネル検査」ならば、アルツハイマー病の原因遺伝子だけでなく、リスク遺伝子、さらに認知症を引き起こす他の神経変性疾患の関連遺伝子を包括的に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
C9orf72リピート伸長解析(rpPCR法) (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「アルツハイマー・認知症NGSパネル検査」では、アルツハイマー病および認知症を引き起こす神経変性疾患に関係するとされる16種類の遺伝子をまとめて検査します。これには、家族性アルツハイマー病の原因遺伝子、リスク遺伝子、および前頭側頭型認知症、パーキンソン病関連認知症、プリオン病などの原因遺伝子が含まれます。

「アルツハイマー・認知症NGSパネル検査」は、神経変性疾患による認知症の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【アルツハイマー病・認知症の個人歴または家族歴のある方】に
「アルツハイマー・認知症NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・アルツハイマー病または認知症と診断された方、またはその疑いがある方
・記憶障害や認知機能低下の症状がある方
・若年性アルツハイマー病(65歳未満での発症)の方
・家族にアルツハイマー病や認知症の方がいる方
・複数の家族がアルツハイマー病または認知症を発症している方
・脳の画像検査(MRIやCTなど)で異常が認められる方
・日常生活に支障をきたす物忘れや、時間・場所がわからなくなるなどの症状がある方
・会話が困難になる、慣れた作業ができなくなるなどの症状がある方
・気分や性格の変化、運動機能の異常がある方
・将来子どもを持つことを考えている家系内保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。体細胞モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、アルツハイマー病や認知症の診断確定、適切な治療・管理方針の決定、心理社会的カウンセリング、患者さんやご家族へのサポートプログラムの計画などに役立ちます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・治療方針の決定と最適化
・疾患の進行予測と適切な管理計画の立案
・家族性アルツハイマー病の場合、家族への情報提供
・リスク遺伝子(特にAPOE)の保有状況の把握
・生活習慣改善や予防的介入の検討
・臨床試験や最新治療への参加機会
・関連リソースやサポートグループへの接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供(家族性の場合)

患者さんで病原性変異(特にAPP、PSEN1、PSEN2遺伝子)が同定された場合、常染色体優性遺伝形式のため、第一度近親者(子ども、兄弟姉妹、両親)が同じ変異を受け継ぐリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

APOE, APP, C9orf72, CSF1R, DNMT1, EIF4G1, GBA, GRN, MAPT, PRNP, PSEN1, PSEN2, SNCA, SNCB, TREM2, TYROBP ( 16遺伝子 )

各遺伝子の詳細:

・APP遺伝子(アミロイド前駆体タンパク質):
家族性アルツハイマー病の原因遺伝子の一つ。APP遺伝子の変異により、アミロイドβの産生が増加し、早期発症のアルツハイマー病を引き起こす。常染色体優性遺伝形式をとり、変異保有者はほぼ100%の確率で発症する。

・PSEN1遺伝子(プレセニリン1):
家族性アルツハイマー病の最も頻度の高い原因遺伝子。PSEN1遺伝子の変異により、アミロイドβの産生が増加し、非常に早期(20歳代後半~50歳代)にアルツハイマー病を発症する。常染色体優性遺伝形式をとる。

・PSEN2遺伝子(プレセニリン2):
家族性アルツハイマー病の原因遺伝子の一つ。PSEN1と同様の機能を持ち、変異によりアミロイドβの産生が増加する。PSEN1よりも頻度は低いが、常染色体優性遺伝形式をとる。

・APOE遺伝子(アポリポタンパク質E):
遅発性(老年性)アルツハイマー病の最も強力なリスク遺伝子。ε4型を持つ人は発症リスクが高くなる。ε4を1つ持つと3~4倍、2つ持つと約10倍のリスク増加。ただし、ε4を持っていても必ず発症するわけではない。

・MAPT遺伝子(微小管結合タンパク質タウ):
前頭側頭型認知症の原因遺伝子の一つ。タウタンパク質の異常により、神経細胞の変性と認知機能障害を引き起こす。行動異常や人格変化を伴うことが特徴。

・GRN遺伝子(プログラニュリン):
前頭側頭型認知症の原因遺伝子の一つ。GRN遺伝子の変異により、プログラニュリンタンパク質の機能低下が生じ、前頭側頭型認知症を発症する。常染色体優性遺伝形式をとる。

・C9orf72遺伝子:
前頭側頭型認知症および筋萎縮性側索硬化症(ALS)の最も頻度の高い原因遺伝子。遺伝子内のヘキサヌクレオチドリピートの異常伸長により発症する。当検査ではリピートプライムドPCR(rpPCR)法によりリピート伸長を検出する。

・SNCA遺伝子(αシヌクレイン):
パーキンソン病およびレビー小体型認知症の原因遺伝子。αシヌクレインの蓄積により、レビー小体が形成され、神経細胞の変性を引き起こす。

・SNCB遺伝子(βシヌクレイン):
パーキンソン病やレビー小体型認知症のリスク遺伝子として同定されている。αシヌクレインと相互作用し、神経変性に関与する。

・GBA遺伝子(グルコセレブロシダーゼ):
パーキンソン病およびレビー小体型認知症の強力なリスク遺伝子。ゴーシェ病の原因遺伝子でもあるが、GBA遺伝子変異保有者はパーキンソン病の発症リスクが高い。

・PRNP遺伝子(プリオン蛋白):
クロイツフェルト・ヤコブ病などのプリオン病の原因遺伝子。急速進行性の認知症を引き起こす。家族性プリオン病は常染色体優性遺伝形式をとる。

・CSF1R遺伝子(コロニー刺激因子1受容体):
遺伝性びまん性白質脳症を伴う脳症(HDLS)の原因遺伝子。成人発症の進行性認知症と運動機能障害を引き起こす。常染色体優性遺伝形式をとる。

・TREM2遺伝子(骨髄系細胞に発現する2型トリガー受容体):
遅発性アルツハイマー病のリスク遺伝子として近年注目されている。ミクログリア(脳の免疫細胞)の機能に関与し、変異により認知症リスクが上昇する。

・TYROBP遺伝子(TREM2結合タンパク質):
TREM2と協調して働く遺伝子。脳内の炎症反応や免疫応答に関与し、認知症のリスクに影響する。

・EIF4G1遺伝子(真核生物翻訳開始因子4ガンマ1):
パーキンソン病および認知症のリスク遺伝子。タンパク質合成の制御に関与する。

・DNMT1遺伝子(DNAメチルトランスフェラーゼ1):
遺伝性感覚性・自律神経性ニューロパチーを伴う認知症の原因遺伝子。DNAメチル化の異常により神経変性を引き起こす。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。C9orf72遺伝子のリピート伸長はリピートプライムドPCR(rpPCR)法により検査しますが、C9orf72メチル化研究は含まれません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※APOE遺伝子については、リスク遺伝子としての検査結果が得られますが、APOE遺伝子型だけでアルツハイマー病の発症を確定診断することはできません。リスク評価の一つの指標として用いられます。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
記憶障害(特に新しいことが覚えられない)、日常生活に支障をきたす物忘れ、時間や場所がわからなくなる、会話が困難になる、慣れた作業ができなくなる、気分や性格の変化などの症状がある方におすすめします。特に若年性(65歳未満)での発症や、家族にアルツハイマー病や認知症の方がいる場合は検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
家族も検査を受ける必要がありますか?
家族性アルツハイマー病(APP、PSEN1、PSEN2遺伝子変異)は常染色体優性遺伝形式をとるため、患者さんの第一度近親者(子ども、兄弟姉妹、両親)が同じ変異を受け継ぐリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
APOE遺伝子の検査結果はどのように解釈すればよいですか?
APOE遺伝子はリスク遺伝子であり、ε4型を持っていても必ず発症するわけではありません。逆にε4を持っていなくてもアルツハイマー病を発症することもあります。APOE遺伝子型は発症リスクの評価や、生活習慣の改善などの予防的介入を検討する際の参考情報として用いられます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
この検査で病原性変異が検出されなくても、アルツハイマー病や認知症を完全に否定することはできません。孤発性のアルツハイマー病は遺伝とは関係なく発症することが多く、また、現在同定されていない他の遺伝子が関与している可能性もあります。主治医と相談して、適切なフォローアップを行うことが重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療選択肢、生活習慣の改善などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
家族性アルツハイマー病(APP、PSEN1、PSEN2遺伝子変異)は常染色体優性遺伝形式をとるため、変異保有者のお子さんが変異を受け継ぐ確率は50%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
アルツハイマー病の治療はどのように行われますか?
現在、アルツハイマー病の進行を完全に止める根本的治療法はありませんが、症状の進行を遅らせる薬物療法(コリンエステラーゼ阻害薬、NMDA受容体拮抗薬など)や、最近承認された抗アミロイドβ抗体療法などがあります。また、生活習慣の改善、認知機能訓練、リハビリテーションなど、非薬物療法も重要です。
予防はできますか?
家族性アルツハイマー病の発症を完全に予防することは現時点では困難ですが、リスクを下げるための生活習慣改善は効果的です。適度な運動、バランスの良い食事(地中海食など)、知的活動の継続、社会的交流の維持、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の管理、禁煙などが推奨されます。
C9orf72遺伝子のリピート伸長とは何ですか?
C9orf72遺伝子内の特定の6塩基配列(ヘキサヌクレオチド)が異常に繰り返される現象です。健常者では数回程度の繰り返しですが、患者さんでは数百回以上繰り返されることがあります。前頭側頭型認知症や筋萎縮性側索硬化症(ALS)の最も頻度の高い原因です。当検査ではリピートプライムドPCR法により検出します。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院ではアルツハイマー病の原因遺伝子だけでなく、リスク遺伝子(APOE)、前頭側頭型認知症、パーキンソン病関連認知症、プリオン病などの原因遺伝子を含む16遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも検査を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら