アルビニズム(白皮症)NGSパネル遺伝子検査|ミネルバクリニック
アルビニズム(白皮症)とは
アルビニズム(albinism)は、先天性白皮症とも呼ばれ、メラニン色素の生成が生まれつき低下または欠損することにより、皮膚・毛髪・眼の色素が減少または消失する遺伝性疾患です。メラニンは、アミノ酸の一種であるチロシンから作られる色素で、皮膚や眼、毛髪に色を与える重要な物質です。
アルビニズムには、全身の皮膚・毛髪・眼に症状が現れる「眼皮膚白皮症(Oculocutaneous Albinism: OCA)」と、主に眼のみに症状が現れる「眼白皮症(Ocular Albinism: OA)」があります。また、色素異常に加えて出血傾向や免疫不全などの全身症状を伴う症候群性のアルビニズムも知られています。
アルビニズムは国の指定難病(眼皮膚白皮症:指定難病164)に指定されており、日本では年間約160人が特定機能病院を受診すると報告されています。世界的には、地域や人種によって発症頻度が異なり、OCA1は白人で約39,000人に1人、OCA2はアフリカで3,900人に1人と報告されています。
症状と病態
アルビニズムの主な症状は、皮膚・毛髪・眼の色素減少または欠損と、それに伴う視覚障害です。症状の程度は、メラニン生成能力の残存度によって個人差が大きく、同じ遺伝子変異でも症状の重症度が異なることがあります。
主要症状
- 皮膚の色素減少(白色から淡褐色)
- 毛髪の色素減少(白色、銀色、金色、茶色など)
- 虹彩の色素減少(淡青色、灰色、ピンク色など)
- 視力低下(矯正視力0.05~0.5程度)
- 眼振(無意識に起こる眼球の往復運動)
- 羞明(光がまぶしいこと)
- 斜視
- 中心窩低形成(網膜の中心部の発達不全)
- 視神経交叉の異常(視覚情報の伝達経路の異常)
皮膚症状
メラニン色素が欠乏しているため、紫外線に対する防御機能が低下しています。このため、日光による紅斑(日焼け)を起こしやすく、長期的には皮膚がんのリスクが高まります。日光にさらされると、ほくろ、そばかす、色素沈着が生じることもあります。チロシナーゼ陽性型では、成長に伴いある程度色素が増加することがありますが、チロシナーゼ陰性型では生涯にわたり色素がほとんど出現しません。
眼症状
眼球にメラニン色素がないため、眼底の血管まで透過され、目が赤く見えることがあります。羞明(光がまぶしいこと)が激しく、眼振(無意識に起こる眼球の往復運動)も認められます。視力は0.1~0.2程度にとどまることが多く、成長しても大きく改善することは少ないです。中心窩低形成により、詳細な視覚情報の処理が困難になります。
症候群性アルビニズムの特徴
一部のアルビニズムでは、色素異常に加えて以下のような全身症状を伴います:
- ヘルマンスキー・パドラック症候群:出血傾向(血小板機能異常)、肺線維症(30代以降に発症しやすい)、肉芽腫性大腸炎、免疫不全を合併することがあります
- チェディアック・東症候群:易感染性(免疫不全)、出血傾向、神経症状(小脳失調、末梢神経障害、けいれん)、血球貪食症候群を合併します
- グリセリ症候群:免疫不全、血球貪食性リンパ組織球症(1型では神経症状、2型では免疫異常が主体)を合併します
- ワーデンブルグ症候群:先天性感音難聴、虹彩異色症(左右の目の色が異なる)、眼角開離、白髪(前髪の一部)を特徴とします
進行と予後
非症候群性の眼皮膚白皮症では、知的発達には影響せず、適切な紫外線対策と視覚補助により日常生活を送ることができます。ただし、定期的な皮膚科受診(皮膚がんのチェック)と眼科受診(視力評価)が重要です。症候群性アルビニズムでは、合併する症状に応じた専門的な管理が必要となります。
遺伝形式と原因遺伝子
アルビニズムは遺伝学的に非常に多様性が高く、大部分は常染色体劣性(潜性)遺伝形式をとりますが、一部は常染色体優性(顕性)遺伝やX連鎖遺伝の形式もあります。現在までに多数の原因遺伝子が同定されており、遺伝子型と表現型(症状)には一定の相関が認められます。
眼皮膚白皮症(OCA)の分類
主な眼皮膚白皮症の型と原因遺伝子:
- OCA1(チロシナーゼ関連):TYR遺伝子の変異により発症。最も重症型のOCA1Aではチロシナーゼ活性が全くなく、メラニンを全く生成できません。皮膚は乳白色、毛髪はプラチナブロンド、虹彩は無色(淡青色や紫色)です。OCA1Bでは、わずかにチロシナーゼ活性があり、成長とともに多少の色素沈着が見られます
- OCA2(P遺伝子関連):OCA2(P)遺伝子の変異により発症。最も頻度が高い型です。チロシナーゼ活性はありますが、メラノソーム内へのチロシン取り込みが障害されます。OCA1より色素が多く、毛髪はブロンドや茶色、虹彩は淡青色や灰色です
- OCA3:TYRP1遺伝子の変異により発症。主にアフリカ系の人々に見られます
- OCA4:SLC45A2遺伝子の変異により発症。日本人患者の主要な病型の一つです
- OCA5-OCA7:より稀な型で、それぞれ異なる遺伝子変異が原因です
眼白皮症(OA)
- OA1(GPR143遺伝子):X連鎖遺伝形式で、主に男性に発症します。視力障害が主体で、皮膚や毛髪の色素は正常範囲内です
症候群性アルビニズム
- ヘルマンスキー・パドラック症候群:HPS1、AP3B1、HPS3、HPS4、HPS5、HPS6、DTNBP1、BLOC1S3など9型以上のサブタイプがあり、それぞれ異なる遺伝子変異が原因です。常染色体劣性遺伝形式をとります
- チェディアック・東症候群:LYST遺伝子の変異により発症。常染色体劣性遺伝形式です
- グリセリ症候群:MYO5A遺伝子(1型)、RAB27A遺伝子(2型)、MLPH遺伝子(3型)の変異により発症。常染色体劣性遺伝形式です
- ワーデンブルグ症候群:PAX3、MITF、SNAI2、EDNRB、EDN3、SOX10、KIT、KITLGなど複数の遺伝子が関与。主に常染色体優性遺伝形式をとります
当検査パネルでは、これらの原因遺伝子を含む臨床的に重要な34遺伝子を対象としています。これにより、アルビニズムの主要な原因を包括的にスクリーニングすることが可能です。
ミネルバクリニックのアルビニズム(白皮症)遺伝子パネル検査の特徴
「アルビニズム(白皮症)NGSパネル検査」とは、現在アルビニズムおよび関連症候群の原因として報告されている34の遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、アルビニズムに関連する34遺伝子を一度に調べられる「アルビニズム(白皮症)NGSパネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関でアルビニズムの遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、アルビニズムに関係するとされる34の遺伝子を一度に調べられる「アルビニズム(白皮症)NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行えるアルビニズムの遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「アルビニズム(白皮症)NGSパネル検査」の場合、34の遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
臨床症状からアルビニズムを疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「アルビニズム(白皮症)NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な34の原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。非症候群性の眼皮膚白皮症だけでなく、症候群性アルビニズムも一度の検査で網羅的に評価できます。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「アルビニズム(白皮症)NGSパネル検査」では、アルビニズムおよび関連症候群に関係するとされる34種類の遺伝子(AP3B1、AP3D1、BLOC1S3、BLOC1S6、DCT、DTNBP1、EDN3、EDNRB、EPG5、FRMD7、GPR143、HPS1、HPS3、HPS4、HPS5、HPS6、KIT、KITLG、LRMDA、LYST、MC1R、MITF、MLPH、MYO5A、OCA2、PAX3、RAB27A、SLC24A5、SLC38A8、SLC45A2、SNAI2、SOX10、TYR、TYRP1)をまとめて検査します。
「アルビニズム(白皮症)NGSパネル検査」は、アルビニズムの遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【アルビニズムの個人歴または家族歴のある方】に
「アルビニズム(白皮症)NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・皮膚や毛髪の色素が薄い(白色、銀色、金色、淡褐色など)方
・虹彩の色素が薄い(淡青色、灰色、ピンク色など)方
・視力低下がある方(特に矯正視力が0.5以下)
・眼振(眼球が揺れる)がある方
・羞明(光をまぶしく感じる)が強い方
・日光による紅斑(日焼け)を起こしやすい方
・斜視や中心窩低形成と診断された方
・出血傾向や易感染性を伴う方
・先天性感音難聴と色素異常を併せ持つ方
・アルビニズムまたは関連症候群の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、アルビニズムの診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な紫外線対策、視覚補助、定期的なモニタリングを行うことができます。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・非症候群性と症候群性アルビニズムの鑑別
・適切な紫外線対策の立案(日焼け止め、防護服、帽子の使用)
・視覚補助の選択(サングラス、拡大鏡、弱視用レンズなど)
・皮膚がんリスクの評価と定期的な皮膚科受診
・眼科的合併症の早期発見と対応
・症候群性アルビニズムの場合、出血傾向や免疫不全などの合併症の予防と管理
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、ほとんどのアルビニズムは常染色体劣性遺伝のため、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ワーデンブルグ症候群など常染色体優性遺伝の場合は、子どもが発症するリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。
対象遺伝子
- 詳しくはこちら
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AP3B1、AP3D1、BLOC1S3、BLOC1S6、DCT、DTNBP1、EDN3、EDNRB、EPG5、FRMD7、GPR143、HPS1、HPS3、HPS4、HPS5、HPS6、KIT、KITLG、LRMDA、LYST、MC1R、MITF、MLPH、MYO5A、OCA2、PAX3、RAB27A、SLC24A5、SLC38A8、SLC45A2、SNAI2、SOX10、TYR、TYRP1 ( 34遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・TYR遺伝子:
チロシナーゼをコードする遺伝子。OCA1(眼皮膚白皮症1型)の原因遺伝子です。チロシナーゼはメラニン合成の律速酵素で、この遺伝子の変異により重症型のアルビニズムが生じます。
・OCA2(P)遺伝子:
メラノソーム膜タンパク質をコードする遺伝子。OCA2(眼皮膚白皮症2型)の原因遺伝子で、最も頻度の高いアルビニズムの型です。
・TYRP1遺伝子:
チロシナーゼ関連タンパク質1をコードする遺伝子。OCA3の原因遺伝子です。
・SLC45A2遺伝子:
膜輸送タンパク質をコードする遺伝子。OCA4の原因遺伝子で、日本人患者に多く見られます。
・SLC24A5遺伝子:
カルシウム交換輸送体をコードする遺伝子。OCA6の原因遺伝子です。
・SLC38A8遺伝子:
アミノ酸輸送体をコードする遺伝子。OCA7の原因遺伝子です。
・GPR143遺伝子:
Gタンパク質共役受容体をコードする遺伝子。眼白皮症1型(OA1)の原因遺伝子で、X連鎖遺伝形式をとります。
・HPS1、HPS3、HPS4、HPS5、HPS6遺伝子:
それぞれヘルマンスキー・パドラック症候群の各サブタイプの原因遺伝子です。色素異常に加えて、出血傾向、肺線維症、大腸炎を合併します。
・AP3B1、AP3D1遺伝子:
アダプタータンパク質複合体3(AP-3)のサブユニットをコードする遺伝子。ヘルマンスキー・パドラック症候群2型と関連し、免疫不全を合併しやすいです。
・DTNBP1、BLOC1S3、BLOC1S6遺伝子:
BLOC-1複合体の構成タンパク質をコードする遺伝子。ヘルマンスキー・パドラック症候群の原因遺伝子です。
・LYST遺伝子:
ライソゾーム輸送調節タンパク質をコードする遺伝子。チェディアック・東症候群の原因遺伝子で、免疫不全、出血傾向、神経症状を伴います。
・MYO5A遺伝子:
ミオシンVAをコードする遺伝子。グリセリ症候群1型の原因遺伝子で、神経症状を主体とします。
・RAB27A遺伝子:
低分子量Gタンパク質をコードする遺伝子。グリセリ症候群2型の原因遺伝子で、免疫不全と血球貪食症候群を合併します。
・MLPH遺伝子:
メラノフィリンをコードする遺伝子。グリセリ症候群3型の原因遺伝子で、色素異常のみを呈します。
・PAX3遺伝子:
転写因子をコードする遺伝子。ワーデンブルグ症候群1型および3型の原因遺伝子で、常染色体優性遺伝形式をとります。
・MITF遺伝子:
転写因子をコードする遺伝子。ワーデンブルグ症候群2型の原因遺伝子です。
・SNAI2遺伝子:
転写因子をコードする遺伝子。ワーデンブルグ症候群2型の原因遺伝子の一つです。
・EDNRB、EDN3遺伝子:
エンドセリン受容体とそのリガンドをコードする遺伝子。ワーデンブルグ症候群4型(ワーデンブルグ・シャー症候群)の原因遺伝子で、ヒルシュスプルング病を合併します。
・SOX10遺伝子:
転写因子をコードする遺伝子。ワーデンブルグ症候群4型の原因遺伝子です。
・KIT、KITLG遺伝子:
受容体型チロシンキナーゼとそのリガンドをコードする遺伝子。色素異常に関与します。
・DCT遺伝子:
ドーパクロムトートメラーゼをコードする遺伝子。メラニン合成に関与します。
・MC1R遺伝子:
メラノコルチン1受容体をコードする遺伝子。色素の種類(ユーメラニンとフェオメラニン)の決定に関与します。
・EPG5遺伝子:
オートファジー関連タンパク質をコードする遺伝子。
・FRMD7遺伝子:
眼振に関連する遺伝子。
・LRMDA遺伝子:
ロイシンリッチリピートおよび死ドメイン含有タンパク質をコードする遺伝子。
カバレッジ
カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。
≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。
検査の限界
- 詳しくはこちら
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すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
※この検査パネルでは、34の原因遺伝子のみを対象としています。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。また、臨床的にアルビニズムと診断される場合でも、既知の遺伝子に変異が見つからないことがあります。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
- どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
- 皮膚や毛髪、虹彩の色素が薄い方、視力低下や眼振がある方、羞明(光をまぶしく感じる)が強い方におすすめします。また、日光による紅斑を起こしやすい、出血傾向がある、易感染性がある、先天性難聴と色素異常を併せ持つなど、症候群性アルビニズムが疑われる場合も検査をご検討ください。家族に同様の症状がある場合も重要な検査の適応となります。
- 検査はどのように行いますか?
- 血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
- アルビニズムは治療できますか?
- 現在のところ根本的な治療法はありませんが、適切な対症療法により症状を管理できます。紫外線対策(日焼け止め、防護服、帽子の使用)、視覚補助(サングラス、拡大鏡、弱視用レンズ)、定期的な皮膚科・眼科受診が重要です。症候群性アルビニズムの場合は、合併症に応じた専門的な治療が必要です。
- 家族も検査を受ける必要がありますか?
- ほとんどのアルビニズムは常染色体劣性遺伝のため、患者さんの兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。ワーデンブルグ症候群など常染色体優性遺伝の場合、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
- 検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
- 臨床的にアルビニズムと診断される場合でも、既知の遺伝子に変異が見つからないことがあります。新規の原因遺伝子の可能性や、検査パネルに含まれていない稀な遺伝子の変異の可能性があります。検査で病原性変異が検出されなくても、臨床診断と症状に基づいた適切な管理が引き続き重要です。
- 保険は適用されますか?
- 当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
- 結果はどのように説明されますか?
- 検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
- 子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
- 遺伝形式によって子どもへの影響が異なります。常染色体劣性遺伝の場合、患者さんと保因者のカップルで子どもが発症する確率は50%、保因者となる確率は50%です。常染色体優性遺伝の場合は子どもが発症する確率は50%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
- 日常生活で気をつけることはありますか?
- 紫外線対策が最も重要です。外出時は日焼け止め(SPF50以上)を使用し、帽子、長袖の服、サングラスを着用してください。視力に応じて拡大鏡や弱視用レンズなどの視覚補助を活用し、定期的な眼科・皮膚科受診で合併症を早期発見することが大切です。症候群性アルビニズムの場合は、合併症に応じた専門的なフォローアップが必要です。
- 皮膚がんのリスクはどの程度ですか?
- メラニン色素が欠乏しているため、紫外線に対する防御機能が低下し、皮膚がんのリスクが高まります。適切な紫外線対策と定期的な皮膚科受診により、リスクを軽減できます。早期発見・早期治療のため、年1~2回の皮膚科検診をお勧めします。
- 症候群性アルビニズムと非症候群性アルビニズムの違いは何ですか?
- 非症候群性の眼皮膚白皮症は色素異常と視覚障害のみを呈しますが、症候群性アルビニズムは色素異常に加えて、出血傾向(ヘルマンスキー・パドラック症候群、チェディアック・東症候群)、免疫不全(チェディアック・東症候群、グリセリ症候群)、難聴(ワーデンブルグ症候群)などの全身症状を伴います。当検査により両者を鑑別し、適切な管理方針を決定できます。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
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