アラジール症候群遺伝子検査(JAG1/NOTCH2)|ミネルバクリニック
アラジール症候群とは
アラジール症候群(Alagille syndrome: ALGS)は、小葉間胆管減少症による慢性胆汁うっ滞に特徴的な肝外症状を伴う遺伝性肝内胆汁うっ滞症です。食物の消化・吸収を助ける「胆汁」の通り道(胆管)がうまく形成されないことにより、肝臓の中に胆汁がたまってしまう遺伝性疾患です。
本疾患は臨床的にも遺伝学的にも多様性が高く、症状の種類や重症度は患者さんによって異なります。同じ家族内でも気付かないほど軽いものから、移植が必要となる重篤な心臓病や肝臓病までさまざまです。主に症状が現れるのは「肝臓」「心臓や血管」「目」「椎骨」「顔立ち」の5つですが、必ずしも5つ全てに症状が現れるというわけではありません。
アラジール症候群は指定難病297として登録されており、日本での患者数は約200~300人程度と推定されています。世界では3万~5万人に1人が診断されており、比較的稀な疾患です。従来の臨床症状による診断では、5つ全てに異常が見られる場合を「完全型アラジール症候群」、肝臓を含めた3つの症状が見られる場合を「不完全型アラジール症候群」と分類されます。近年は、これらの臨床症状を全ては満たさないが、特有の遺伝子異常を伴う場合も本症として報告されています。
症状と病態
アラジール症候群の主な症状は肝臓の障害で、患者さんによっては心臓や血管の障害、骨の異常、眼の異常などもあらわれます。新生児期や乳児期から黄疸(肌や白眼が黄色くなる)や、母子健康手帳に入っている便色カードを確認して色の薄い便からわかることが多く、出生後早い時期に黄疸で気付かれるケースが多いです。
主要な5つの症候
- 肝病理所見:小葉間胆管の減少による慢性胆汁うっ滞
- 胆汁うっ滞:黄疸(皮膚や白眼が黄色くなる)、強い皮膚のかゆみ、色の薄い便
- 心臓血管奇形:末梢性肺動脈狭窄が最も特徴的所見、心雑音など
- 骨格の異常:蝶形椎体(前方弓癒合不全)が特徴的所見
- 眼球の異常:後部胎生環が特徴的所見
- 特徴的な顔立ち:幅広い額、深く窪んだ眼、尖った顎(日本人ではあまりみられない)
肝臓の障害
胆汁の通り道がうまくつくられないことで胆汁が肝臓の中にたまり、それによりさまざまな症状があらわれます。まず、胆汁がたまると「黄疸」といって皮膚や白眼が黄色みがかったようになります。加えて、ほとんどの患者さんにかゆみがあらわれます。胆汁がたまったままの状態が続くと、肝硬変や肝不全になることもあり、肝移植が必要となってしまうこともあります。
胆汁うっ滞がある場合は、ビタミン吸収の障害による出血や骨折などがあります。また、脳出血を起こす前に治療を行う必要があります。胆汁うっ滞は1歳ごろまでに軽快することが多いですが、乳児期に黄疸が改善せず、著明な高脂血症やそれに伴う黄色腫(皮膚に脂肪成分が蓄積することで生じる小さいこぶ)、QOLを障害する胆汁うっ滞による痒みがある場合は、肝移植が必要になります。
心臓・血管の障害
心雑音など心臓の病気で気付かれることもあります。末梢性肺動脈狭窄が最も特徴的な所見です。心臓病の経過もさまざまで、患者さんの状態により適切なタイミングでカテーテル治療や外科手術を行う必要があります。また、脳以外にも腎動脈などの血管病変を生じる症例も近年報告されており、もやもや病など脳血管病変で気付かれるケースもありますがまれです。
その他の症候
- 腎臓の障害:生まれつき腎臓の形がうまくつくられず、腎臓がうまくはたらかないことで、腎不全などの腎臓の障害があらわれます。特に腎奇形の患者さんで腎不全に進行し、腎移植を必要とする場合もあります
- 発育・発達障害:体重の増加が不十分、発達の遅れや成長障害を認めることがあります
- 性腺機能不全:不妊や流産が多いとされていますが、最近では妊娠分娩に成功したという報告もみられます
- 膵臓の異常:消化管の異常などを伴う場合があります
- 免疫機能:免疫機能がうまくはたらかない場合があります
- 知能障害:一部の患者さんで認められることがあります
進行と予後
症状には大きな個人差があり、経過はさまざまです。生命やQOLにかかわるものとして、肝臓病(胆汁うっ滞)、心臓病、腎臓病、もやもや病など脳血管病変があります。約1/3の患者さんは肝硬変に進行し、その半数は成人に達するまでに肝移植が必要になります。まれに肝細胞癌を認めることがあり、落ち着いていても定期的な受診が必要です。肝移植や心臓の手術で救命が可能になっており、成人期に移行しても長期間に渡るフォローアップを受けていくことが望ましいです。
遺伝形式と原因遺伝子
アラジール症候群は常染色体優性(顕性)遺伝形式をとる遺伝性疾患です。原因遺伝子としてJAG1が1997年に、NOTCH2が2006年に、それぞれ発見され、現在ではJAG1の異常によるアラジール症候群1型とNOTCH2によるアラジール症候群2型が区別されるようになりました。
原因遺伝子
JAG1とNOTCH2はともに、Notchシグナル伝達系を構成し、この遺伝子異常が胎生期の発生過程で何らかの影響をきたすことが原因と考えられていますが、病態の詳細は不明です。これらは臓器の発生過程において何らかの影響を及ぼすと考えられています。
- JAG1遺伝子(20番染色体):Jagged1タンパク質をコードし、アラジール症候群の大多数(約94%)の原因となります。Notchシグナル伝達のリガンドとして機能します
- NOTCH2遺伝子(1番染色体):NOTCH2受容体タンパク質をコードし、少数(約1~2%)のアラジール症候群の原因となります。NOTCH2変異による2型では重症腎障害が特徴的とされます
しかし、アラジール症候群の特徴を満たす方の全員にこれらの変異がみつかるわけではありません。また、これらの変異があっても、軽症で不自由なく生活されている方もいらっしゃいます。現在までに、JAG1遺伝子またはNOTCH2遺伝子に病原性変異を有する患者さんは700人を超えています。
遺伝形式の特徴
アラジール症候群は常染色体優性(顕性)遺伝形式で遺伝します。ご両親から受け継いだ遺伝子変異で発症することが多いとされます。ご本人のご両親のどちらかが保因者である場合、遺伝子変異を受け継ぐ可能性は1/2(50%)であるため、ごきょうだいや次子は1/2の確率で遺伝子変異の保因者もしくはアラジール症候群である可能性があります。
しかし、遺伝子変異があっても軽症や無症状(保因者)の方もいらっしゃいます。ご本人のお子さんは1/2(50%)の確率でアラジール症候群もしくは保因者になります。両親のどちらかがJAG1遺伝子もしくはNOTCH2遺伝子にアラジール症候群の原因となる変異を持っていた場合、子どもがその遺伝子を受け継ぐ確率は50%です。変異があっても軽症や無症状の人もいます。そのため、遺伝子を受け継げば必ず発症するものではなく、無症状の保因者となることもあります。
ミネルバクリニックのアラジール症候群遺伝子パネル検査の特徴
「アラジール症候群 NGSパネル検査」とは、現在アラジール症候群の原因として報告されている2つの遺伝子(JAG1、NOTCH2)に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。
従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。
何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、アラジール症候群に関連する2遺伝子を一度に調べられる「アラジール症候群 NGSパネル検査」を採用しています。
一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。
1.費用がリーズナブル
一般的な医療機関でアラジール症候群の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。
当院では、アラジール症候群に関係するとされる2つの遺伝子を一度に調べられる「アラジール症候群 NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)
2.結果が出るまでがはやい
一般的な医療機関で行えるアラジール症候群の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。
当院で行う「アラジール症候群 NGSパネル検査」の場合、2つの遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。
3.一気にまとめてできる
臨床症状からアラジール症候群を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。
当院で行う「アラジール症候群 NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な2つの原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。
オプション
塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)
検査内容
「アラジール症候群 NGSパネル検査」では、アラジール症候群に関係するとされる2種類の遺伝子(JAG1、NOTCH2)をまとめて検査します。
「アラジール症候群 NGSパネル検査」は、アラジール症候群の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。
どんな人が受けたらいいの?
【アラジール症候群の個人歴または家族歴のある方】に
「アラジール症候群 NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。
この検査は以下のような方に適しています:
・新生児期・乳児期から黄疸が持続している方
・便の色が薄い(淡色便、灰白色便)方
・強い皮膚のかゆみがある方
・小葉間胆管の減少が認められる方
・慢性胆汁うっ滞がある方
・末梢性肺動脈狭窄などの心血管異常がある方
・蝶形椎体などの骨格異常がある方
・後部胎生環などの眼球異常がある方
・幅広い額、深く窪んだ眼、尖った顎などの特徴的な顔立ちがある方
・腎臓の形態異常や腎機能障害がある方
・アラジール症候群の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方
このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。
検査で得られる患者さんの潜在的利益は?
遺伝子検査により原因が判明すると、アラジール症候群の診断確定や、適切な治療・管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な薬物療法、生活習慣の改善、定期的なモニタリングを行うことができます。
遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・胆道閉鎖症や新生児肝炎などとの鑑別
・胆汁うっ滞に対する適切な治療(回腸胆汁酸トランスポーター阻害薬など)
・ビタミン補充療法の適応判断
・肝移植のタイミングの判断
・心血管異常に対するカテーテル治療や外科手術の計画
・腎機能障害のリスク評価と管理
・もやもや病などの脳血管病変の早期発見
・疾患の進行予測と長期的な管理計画の立案
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された治療と症状管理
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供
患者さんで病原性変異が同定された場合、常染色体優性遺伝のため、子どもが発症するリスクは50%です。ただし、変異があっても軽症や無症状の保因者となることもあります。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。
対象遺伝子
- 詳しくはこちら
-
JAG1, NOTCH2 ( 2遺伝子 )
各遺伝子の詳細:
・JAG1遺伝子(20番染色体):
Jagged1タンパク質をコードする遺伝子。Notchシグナル伝達のリガンドとして機能し、胎生期の臓器発生に重要な役割を果たします。JAG1遺伝子の異常によるアラジール症候群1型は、全症例の約94%を占めます。JAG1遺伝子変異は、肝臓、心臓、血管、骨格、眼、腎臓など多臓器に影響を及ぼします。
・NOTCH2遺伝子(1番染色体):
NOTCH2受容体タンパク質をコードする遺伝子。Notchシグナル伝達の受容体として機能し、細胞分化や臓器形成に関与します。NOTCH2遺伝子の異常によるアラジール症候群2型は、全症例の約1~2%を占めます。NOTCH2変異による2型では、重症腎障害が特徴的とされています。肝臓、心血管系の異常も認められますが、JAG1変異とは異なる臨床像を呈することがあります。
カバレッジ
カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。
≥99% at 20x(読み取り深度平均20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。
検体
血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)
※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。
検査の限界
- 詳しくはこちら
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すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。
低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。
この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。
※この検査パネルでは、2つの原因遺伝子のみを対象としています。アラジール症候群の特徴を満たす方の全員にこれらの変異がみつかるわけではありません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。
結果が出るまでの期間
2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。
料金
税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)
よくあるご質問
- どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
- 新生児期・乳児期から黄疸が持続している方、便の色が薄い方、強い皮膚のかゆみがある方におすすめします。また、心雑音などの心血管異常、蝶形椎体などの骨格異常、後部胎生環などの眼球異常が認められる場合も、アラジール症候群の可能性が高くなります。家族に同様の症状や診断歴がある場合も検査をご検討ください。
- 検査はどのように行いますか?
- 血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
- 胆道閉鎖症との違いは何ですか?
- 胆道閉鎖症は胆管が閉塞する疾患であるのに対し、アラジール症候群は小葉間胆管が減少する疾患です。両疾患とも新生児期・乳児期の黄疸で発見されることが多く、鑑別が必要です。アラジール症候群では心血管異常、骨格異常、眼球異常などの肝外症状を伴うことが特徴です。当検査により原因遺伝子を特定することで、より正確な診断が可能になります。
- 家族も検査を受ける必要がありますか?
- アラジール症候群は常染色体優性遺伝のため、患者さんのお子さんが発症するリスクは50%です。ただし、変異があっても軽症や無症状の保因者となることもあります。ご家族の検査により、将来の家族計画に重要な情報を提供できます。
- 検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
- アラジール症候群の特徴を満たす方の全員にJAG1またはNOTCH2の変異がみつかるわけではありません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。臨床症状と肝生検所見に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
- 保険は適用されますか?
- 当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
- 結果はどのように説明されますか?
- 検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、治療・管理選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
- 子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
- 常染色体優性遺伝のため、子どもが変異を受け継ぐ確率は50%です。ただし、変異があっても軽症や無症状の保因者となることもあります。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
- アラジール症候群の治療はどのように行われますか?
- 胆汁うっ滞に対しては回腸胆汁酸トランスポーター阻害薬(マラリキシバット塩化物)による治療、ビタミン補充療法などが行われます。重症例では肝移植が必要になることがあります。心血管異常に対してはカテーテル治療や外科手術、腎機能障害に対しては腎代替療法や腎移植が行われます。症状や重症度に応じて、適切な治療・管理を行います。
- 予後はどうですか?
- 症状には大きな個人差があり、経過はさまざまです。胆汁うっ滞は1歳ごろまでに軽快することが多いですが、約1/3の患者さんは肝硬変に進行し、その半数は成人に達するまでに肝移植が必要になります。肝移植や心臓の手術で救命が可能になっており、適切な管理により多くの患者さんが良好な経過をたどります。ただし、成人期に移行しても長期間に渡るフォローアップが必要です。
- 他の医療機関での検査との違いは何ですか?
- 当院では臨床的に重要な2つの原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。
プロフィール
この記事の筆者:仲田洋美(医師)
ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。
仲田洋美のプロフィールはこちら