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1色覚(全色盲)NGS遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

1色覚(全色盲)NGS遺伝子検査パネル|ミネルバクリニック

1色覚(全色盲)とは

1色覚(全色盲、Achromatopsia)は、生まれつき色を識別する能力が欠如または著しく低下している遺伝性の眼疾患です。正式には杆体1色覚とも呼ばれ、網膜の錐体細胞(明所で機能し色を感じる細胞)がほとんど機能せず、杆体細胞(暗所で機能する細胞)のみに依存して物を見ている状態です。

本疾患は非進行性の先天性色覚異常で、視力低下、眼振(目が小刻みに揺れる)、羞明(強いまぶしさ)、色識別力の完全喪失または著しい低下を特徴とします。日本眼科学会は2005年に「全色盲」という呼称を廃止し、「1色覚」という用語を採用しました。完全型は「杆体1色覚」、不完全型は「錐体1色覚」と呼ばれます。

1色覚は常染色体劣性(潜性)遺伝形式をとる稀な疾患で、頻度は約3万〜4万人に1人と推定されています。両親がともに保因者(キャリア)である場合、子どもが1色覚を発症する確率は25%です。ミクロネシアのピンゲラップ島では創始者効果により頻度が4〜10%と高く、「Pingelapese blindness(ピンゲラップ島の盲目症)」とも呼ばれています。

症状と病態

1色覚の主な症状は、生後数週間から数ヶ月以内に現れます。錐体細胞がほとんど機能しないため、明るい場所での視覚機能が著しく障害され、色の識別ができません。視力や症状は基本的に安定していますが、一部の患者さんでは加齢に伴い黄斑部に変化が生じることがあります。

主要症状

  • 色識別力の完全喪失または著しい低下(すべての色が灰色に見える)
  • 視力低下(完全型では0.1以下、不完全型では0.25以上のこともある)
  • 眼振(生後数週間で出現し、通常は水平性)
  • 羞明(明るい光に対する強い感受性、まぶしさ)
  • 小さい中心暗点(視野の中心部に見えにくい部分)
  • 偏心固視(中心で物を見ることができず、視線を少しずらして見る)
  • 屈折異常(遠視が多い)

完全型と不完全型の違い

1色覚は完全型(complete achromatopsia)と不完全型(incomplete achromatopsia)に分類されます:

  • 完全型(杆体1色覚):3種類すべての錐体(赤・緑・青)が全く機能せず、すべての視機能を杆体が担います。色の識別は完全に不可能で、視力は0.1以下、強い羞明と眼振を伴います。
  • 不完全型(錐体1色覚):1種類以上の錐体が部分的に機能する場合があります。完全型より症状は軽度で、視力は0.25以上のこともあり、羞明は通常みられないか軽度です。色識別力には個人差があります。

眼底所見と画像検査

眼底検査では、多くの場合正常に見えますが、一部の患者さんでは黄斑部の変化や血管狭窄が認められることがあります。光干渉断層計(OCT)による検査では、時間の経過とともに進行する黄斑部の微細な構造変化が明らかになることがあります。網膜電図(ERG)では、暗所視(杆体機能)の反応は正常ですが、明所視(錐体機能)の反応は著しく低下または消失しています。

日常生活への影響

1色覚の患者さんは以下のような困難に直面することがあります:

  • 明るい場所での活動が困難(屋外での活動、スポーツなど)
  • 色による識別が必要な場面での困難(信号、色分けされた情報など)
  • 読書や細かい作業の困難
  • 眼振による視力低下と疲労
  • 職業選択の制限

予後と経過

1色覚は通常、非進行性の疾患です。視力は一般的に経年的に大きく変化しませんが、眼振と明るい光に対する感受性は年齢とともに若干改善することがあります。適切な補助具の使用や環境調整により、多くの患者さんは日常生活を送ることができます。ただし、一部の患者さんでは加齢に伴い黄斑部に変性変化が生じることがあり、定期的な眼科検査が推奨されます。

遺伝形式と原因遺伝子

1色覚は常染色体劣性(潜性)遺伝形式をとる遺伝性疾患です。現在までに複数の原因遺伝子が同定されており、いずれも錐体細胞の光伝達経路に関与するタンパク質をコードしています。

常染色体劣性(潜性)遺伝

1色覚は常染色体劣性遺伝形式をとるため、以下の特徴があります:

  • 両親がともに保因者(キャリア)の場合、子どもが発症する確率は25%
  • 子どもが保因者となる確率は50%、正常な遺伝子型である確率は25%
  • 保因者は通常、症状を示しません
  • 男女とも同じ頻度で発症します
  • 血族婚がある地域や集団では発症頻度が高くなります

主要な原因遺伝子

1色覚の原因遺伝子として、以下の4つが主要なものとして知られています:

  • CNGA3遺伝子(Achromatopsia 2, ACHM2):錐体細胞の環状ヌクレオチド依存性陽イオンチャネルのα3サブユニットをコードします。このチャネルは光信号の伝達に重要な役割を果たします。CNGA3変異は1色覚の約25%を占めます。
  • CNGB3遺伝子(Achromatopsia 3, ACHM3):錐体細胞の環状ヌクレオチド依存性陽イオンチャネルのβ3サブユニットをコードします。CNGB3変異は1色覚の最も頻度の高い原因で、約50%を占めます。特定の変異(c.1148delC)がヨーロッパ系で多く見られます。
  • GNAT2遺伝子(Achromatopsia 4, ACHM4):錐体細胞のトランスデューシン(G蛋白質)のα2サブユニットをコードします。光信号を細胞内のシグナル伝達系に伝える役割を果たします。GNAT2変異は1色覚の約2〜10%を占めます。
  • PDE6C遺伝子(Achromatopsia 5, ACHM5):錐体細胞特異的なホスホジエステラーゼ6Cをコードします。環状GMPを分解することで光信号伝達を制御します。PDE6C変異は1色覚の約1〜2%を占めます。

遺伝子型と表現型の関連

変異の重症度と1色覚の表現型(完全型か不完全型か)には相関があります。完全に機能を失う変異(ナンセンス変異やフレームシフト変異)は完全型1色覚を、部分的に機能が残る変異(ミスセンス変異)は不完全型1色覚を引き起こす傾向があります。

ミネルバクリニックの1色覚(全色盲)遺伝子パネル検査の特徴

「1色覚(全色盲) NGSパネル検査」とは、現在1色覚(全色盲)の原因として報告されている4つの主要な遺伝子に異常があるかどうかを、一度に調べられる検査方法です。

従来の検査方法の場合、複数の関連遺伝子を調べるために、A遺伝子の検査をして異常がなければ次にB遺伝子を検査する、というように何度も検査する必要がありました。もちろん、検査のたびに高額な料金がかかります。

何度も検査することでかかる費用や手間は、患者さんにとって大きな負担になります。ミネルバクリニックではそうした不便を解消するために、1色覚(全色盲)に関連する4つの主要遺伝子を一度に調べられる「1色覚(全色盲) NGSパネル検査」を採用しています。

一般的な遺伝子検査のメリットとデメリットについてはこちらのページをご覧ください。

1.費用がリーズナブル

一般的な医療機関で1色覚(全色盲)の遺伝子検査を行う場合、単一遺伝子ごとに数万円から数十万円の費用がかかることが多く、複数の遺伝子を調べる場合は非常に高額になります。

当院では、1色覚(全色盲)に関係するとされる4つの主要遺伝子を一度に調べられる「1色覚(全色盲) NGSパネル検査」をリーズナブルに受けられます。(費用はページの一番下をご確認ください。)

2.結果が出るまでがはやい

一般的な医療機関で行える1色覚(全色盲)の遺伝子検査の場合、結果が出るまでには通常数週間から数ヶ月かかることがあります。また、単一遺伝子の検査で異常が見つからなかった場合、追加の遺伝子検査が必要になることもあります。

当院で行う「1色覚(全色盲) NGSパネル検査」の場合、4つの主要遺伝子を、2~3週間程度で一度に調べることが可能です。

3.一気にまとめてできる

臨床症状から1色覚(全色盲)を疑って単一遺伝子検査を行っても、病的変異が見つからないことがあります。また、他の遺伝子に変異があるかどうかまでは分かりません。

当院で行う「1色覚(全色盲) NGSパネル検査」ならば、臨床的に重要な4つの主要原因遺伝子を同時に検査できるという利点があります。

オプション

塩基配列 (料金に含まれる)
欠失・挿入 (料金に含まれる)
至急:結果が出るまでの期間が約7日短くなります。 33,000円
VUS除外 *VUS(variant of unknown significance)とは病的意義がよく分かっていない変異の事を指します。(無料)

検査内容

「1色覚(全色盲) NGSパネル検査」では、1色覚(全色盲)に関係するとされる4種類の遺伝子(CNGA3、CNGB3、GNAT2、PDE6C)をまとめて検査します。

「1色覚(全色盲) NGSパネル検査」は、1色覚(全色盲)の遺伝的原因をお持ちの方を見つける可能性を高められると同時に、現在および将来的に活用できる情報を提供します。

どんな人が受けたらいいの?

【1色覚(全色盲)の個人歴または家族歴のある方】に
「1色覚(全色盲) NGSパネル検査」を受けることをおすすめします。

この検査は以下のような方に適しています:
・乳幼児期から色の識別ができない方
・著しい視力低下がある方(矯正視力0.1前後またはそれ以下)
・眼振(目が小刻みに揺れる)がある方
・強い羞明(まぶしさ)を感じる方
・明るい場所で特に見えにくい方
・遠視などの屈折異常がある方
・網膜電図(ERG)で錐体機能の低下または消失が確認された方
・1色覚(全色盲)の家族歴がある方
・将来子どもを持つことを考えている保因者の方で、リスク評価を希望される方

このパネル検査は、血液、抽出DNA、頬粘膜スワブ、または唾液検体で実施可能です。モザイク現象の検出は目的としておらず、腫瘍組織での検査は適応外です。

検査で得られる患者さんの潜在的利益は?

遺伝子検査により原因が判明すると、1色覚(全色盲)の診断確定や、適切な管理方針の決定に役立ちます。また、リスクが判明した場合には、適切な補助具の使用、生活環境の調整、定期的なモニタリングを行うことができます。

遺伝子検査により以下の利益が期待できます:
・適切な診断の確立または確認
・他の色覚異常や網膜疾患との鑑別
・適切な補助具(暗色フィルター眼鏡、拡大鏡など)の選択
・教育環境における適切な配慮の提供
・黄斑部変性のリスク評価と定期的なモニタリング
・将来的な遺伝子治療の適応評価
・追加の関連症状のリスクの特定
・関連リソースやサポートへの患者の接続
・より個別化された管理と症状への対応
・家族の危険因子に関する情報提供
・家族計画のためのオプション提供
・出生前・着床前診断の選択肢提供

患者さんで病原性変異が同定された場合、常染色体劣性遺伝であるため、両親はともに保因者であり、兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。家族を検査することでそのリスクを明らかにすることが重要です。

対象遺伝子

詳しくはこちら

CNGA3, CNGB3, GNAT2, PDE6C ( 4遺伝子 )

各遺伝子の詳細:
・CNGA3遺伝子:
第2染色体(2q11.2)に位置し、環状ヌクレオチド依存性陽イオンチャネルα3サブユニット(Cyclic Nucleotide Gated Channel Alpha 3)をコードする遺伝子。錐体細胞において、光刺激によって生じた環状GMPに応答してイオンチャネルを開き、細胞の脱分極を引き起こす重要な役割を果たします。CNGA3遺伝子の変異は1色覚(全色盲)の約25%を占め、Achromatopsia 2型(ACHM2)として分類されます。

・CNGB3遺伝子:
第8染色体(8q21.3)に位置し、環状ヌクレオチド依存性陽イオンチャネルβ3サブユニット(Cyclic Nucleotide Gated Channel Beta 3)をコードする遺伝子。CNGA3と共同してヘテロ四量体チャネルを形成し、錐体細胞の光伝達に必須です。CNGB3遺伝子の変異は1色覚(全色盲)の最も頻度の高い原因で、全症例の約50%を占めます。Achromatopsia 3型(ACHM3)として分類され、特定の変異(c.1148delC)がヨーロッパ系集団で高頻度に見られます。ピンゲラップ島で高頻度の創始者変異(p.Ser435Phe)もCNGB3遺伝子に存在します。

・GNAT2遺伝子:
第1染色体(1p13.3)に位置し、錐体細胞特異的なトランスデューシンα2サブユニット(Guanine Nucleotide Binding Protein Alpha Transducing 2)をコードする遺伝子。光受容体で光が吸収されると活性化され、下流のホスホジエステラーゼを活性化することで環状GMPの濃度を低下させ、光信号を増幅する役割を果たします。GNAT2遺伝子の変異は1色覚(全色盲)の約2〜10%を占め、Achromatopsia 4型(ACHM4)として分類されます。多くの変異は切断型の非機能性タンパク質を産生します。

・PDE6C遺伝子:
第10染色体(10q24.32)に位置し、錐体細胞特異的なホスホジエステラーゼ6Cサブユニット(Phosphodiesterase 6C)をコードする遺伝子。トランスデューシンによって活性化され、環状GMPを分解することで錐体細胞の光応答を制御します。PDE6C遺伝子の変異は1色覚(全色盲)の約1〜2%を占め、Achromatopsia 5型(ACHM5)として分類されます。比較的稀な原因遺伝子ですが、特定の集団では高頻度に見られる創始者変異が報告されています。

カバレッジ

カバレッジとは、遺伝子検査においてDNA配列がどの程度正確に読み取られたかを示す指標です。「20x」は同じ部位を20回読み取ることを意味し、読み取り回数が多いほど検査の精度が高くなります。

≥99% at 20x(読み取り深度20回以上)
これは、検査対象遺伝子の99%以上の領域を、20回以上の高い精度で読み取ることができることを示しています。

検体

血液(EDTAチューブ4ml×2本、紫色キャップ)、抽出DNA(EBバッファー中3μg)、頬粘膜スワブ、唾液(要請により採取キット提供)

※唾液・口腔粘膜擦過組織・血液いずれもオンライン診療が可能です。
 ほとんどの検査は唾液・口腔粘膜擦過組織で実施できます。
 血液検体の場合は、全国の提携医療機関で採血をお願いします。
 オンライン診療(ビデオ通話での診療)で遺伝カウンセリングを行った後、検体を当院にお送りいただく流れとなります。
 検体採取キットは検査料金をお支払いいただいた後にお送りいたします。ご自身で勝手に検体を採取しないでください。

検査の限界

詳しくはこちら

すべての配列決定技術には限界があります。この分析は次世代シーケンシング(NGS)により実施され、コード領域とスプライス接合部の検査を目的として設計されています。次世代シーケンシング技術と当院のバイオインフォマティクス分析により、偽遺伝子配列やその他の高度に相同な配列の寄与は大幅に減少しますが、これらは配列決定および欠失/重複分析の両方において病原性変異体対立遺伝子を同定するアッセイの技術的能力を時に妨げる可能性があります。

低品質スコアの変異確認および被覆標準を満たすためにサンガー配列決定が使用されます。注文された場合、欠失/重複分析は、1つの完全な遺伝子(頬粘膜スワブ検体および全血検体)および2つ以上の連続するエキソンサイズ(全血検体のみ)のゲノム領域の変化を同定できます。単一エキソンの欠失または重複が時に同定される場合がありますが、この検査では日常的に検出されません。同定された推定欠失または重複は、直交法(qPCRまたはMLPA)により確認されます。

この検査では、疾患を引き起こす可能性がある特定のタイプのゲノム変化は検出されません。これには、転座や逆位、反復伸長(例:三塩基またはヘキサ塩基)、ほとんどの調節領域(プロモーター領域)または深部イントロン領域(エキソンから20bp以上)の変化が含まれますが、これらに限定されません。この検査は体細胞モザイクまたは体細胞変異の検出を目的として設計または検証されていません。

※この検査パネルでは、4つの主要原因遺伝子のみを対象としています。その他の稀な原因遺伝子(ATF6、PDE6Hなど)による1色覚(全色盲)は検出できません。また、約20〜30%の1色覚(全色盲)症例では、既知の遺伝子に変異が見つかりません。検査で病原性変異が検出されなくても、疾患を完全に否定することはできません。

結果が出るまでの期間

2~3週間
※至急オプションを利用すると、結果が出るまでの期間が約7日短くなります。

料金

税込み275,000円
遺伝カウンセリング料金は別途30分16,500円(税込)

よくあるご質問

どのような症状があれば検査を受けるべきですか?
乳幼児期から色の識別ができない、著しい視力低下(矯正視力0.1前後またはそれ以下)、眼振(目が小刻みに揺れる)、強い羞明(まぶしさ)がある方におすすめします。特に明るい場所で見えにくい、網膜電図(ERG)で錐体機能の低下または消失が確認された場合は、1色覚(全色盲)の可能性が高くなります。また、家族に同様の症状がある場合も検査をご検討ください。
検査はどのように行いますか?
血液採取(4ml×2本)または唾液・頬粘膜スワブで検査可能です。唾液や頬粘膜の場合はオンライン診療も可能で、遠方の方でもクリニックにお越しいただかずに検査を受けられます。
一般的な色覚異常(赤緑色覚異常など)との違いは何ですか?
一般的な色覚異常(赤緑色覚異常など)は特定の色の識別が困難ですが、視力は正常で羞明や眼振はありません。1色覚(全色盲)はすべての色の識別ができず、著しい視力低下、眼振、強い羞明を伴う点が大きく異なります。1色覚は非常に稀な疾患で、一般的な色覚異常とは遺伝形式も異なります(1色覚は常染色体劣性遺伝、赤緑色覚異常はX連鎖遺伝が多い)。
家族も検査を受ける必要がありますか?
1色覚は常染色体劣性遺伝であるため、患者さんの両親はともに保因者(キャリア)です。兄弟姉妹が発症するリスクは25%、保因者となるリスクは50%です。将来子どもを持つ予定のある方は、保因者診断を受けることで家族計画に重要な情報を得ることができます。
検査で異常が見つからなかった場合はどうなりますか?
約20〜30%の1色覚(全色盲)症例では、既知の遺伝子に変異が見つかりません。また、この検査パネルでは4つの主要遺伝子のみを対象としているため、稀な原因遺伝子による場合は検出できません。検査で病原性変異が検出されなくても、臨床症状に基づいた診断と管理が引き続き重要です。
保険は適用されますか?
当検査は自費診療となり、保険適用外です。費用は税込み275,000円、別途遺伝カウンセリング料金(30分16,500円)が必要です。
結果はどのように説明されますか?
検査結果は遺伝カウンセリングにて詳しくご説明いたします。結果の意味、今後の対応、ご家族への影響、管理の選択肢などについて、専門的な観点から分かりやすくお伝えします。
子どもや将来の妊娠への影響はありますか?
1色覚は常染色体劣性遺伝であるため、患者さんとパートナーがともに保因者または発症者でない限り、子どもが発症することはありません。ただし、患者さんの子どもは全員が保因者となります。パートナーが保因者の場合、子どもが発症する確率は50%、保因者となる確率は50%です。検査結果により、出生前診断や着床前診断など、将来の家族計画についてもご相談いただけます。
1色覚(全色盲)の治療はどのように行われますか?
現在のところ根本的な治療法はありませんが、症状を和らげる対症療法が行われます。暗色フィルター眼鏡や赤色着色コンタクトレンズにより羞明を軽減し視力を改善できます。拡大鏡やデジタル機器などの弱視補助具も有用です。教育現場では適切な座席配置や色以外の情報提示などの配慮が重要です。近年、遺伝子治療の臨床試験が進行中で、将来的な治療法として期待されています。
予後はどうですか?
1色覚は通常、非進行性の疾患です。視力は一般的に経年的に大きく変化せず、眼振と羞明は年齢とともに若干改善することがあります。適切な補助具の使用や環境調整により、多くの患者さんは日常生活を送ることができます。ただし、一部の患者さんでは加齢に伴い黄斑部に変性変化が生じることがあり、定期的な眼科検査が推奨されます。
遺伝子治療の可能性はありますか?
1色覚に対する遺伝子治療の臨床試験が複数進行中です。特にCNGA3やCNGB3遺伝子変異による1色覚を対象とした治療法の開発が進んでおり、初期の結果は有望とされています。遺伝子検査により原因遺伝子を特定することで、将来的に遺伝子治療の適応となる可能性があります。
他の医療機関での検査との違いは何ですか?
当院では臨床的に重要な4つの主要原因遺伝子を一度に検査でき、従来の単一遺伝子検査と比べて費用・時間を短縮できます。また、臨床遺伝専門医が常駐しており、すべての患者さんに対して専門医が必ず診療と遺伝カウンセリングを行います。オンライン診療にも対応しており、全国どこからでも専門的な診療を受けることが可能です。


プロフィール

この記事の筆者:仲田洋美(医師)

ミネルバクリニック院長・仲田洋美は、1995年に医師免許を取得して以来、のべ10万人以上のご家族を支え、「科学的根拠と温かなケア」を両立させる診療で信頼を得てきました。『医療は科学であると同時に、深い人間理解のアートである』という信念のもと、日本内科学会認定総合内科専門医、日本臨床腫瘍学会認定がん薬物療法専門医、日本人類遺伝学会認定臨床遺伝専門医としての専門性を活かし、科学的エビデンスを重視したうえで、患者様の不安に寄り添い、希望の灯をともす医療を目指しています。

仲田洋美のプロフィールはこちら